第8話
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
翌日。
今日は、始業式の次の日、つまり学校が始まってから2日目にもかかわらず、授業は1時間目から6時間目まであった。
とは言っても、どの教科も先生の自己紹介や1年間の予定、授業形式などの説明など、ガイダンス的な感じではあった。
だが、3時間目の数学の時間は、そうもいかなかった。数学の先生は、明のクラスの担任なのだ。
授業のガイダンスもそこそこに、担任であり数学の先生である、有川先生が切り出した。
「え~~、先生としては、まだ君達の学力が分からないので、これから小テストをしたいと思います。」
そう言うと、有川先生は、にやりと笑った。
もちろん、明は慌てた。受験が終わってから、特に何もしていなかったからだ。周囲の人も、一部の人を除いて、慌てている。どこかから、「えーー」とか、「最悪~~」とか言う声も聞こえた。
明がふと横を見ると、落ち着いた姿の由美がいた。おそらく、休みの間も勉強はしていたのだろう。多分、美咲は心の中で、かなり動揺しているに違いない。
由美の横顔を見ていたので、それに気がついた由美は、不思議そうに尋ねた。
「どうしたの?何か顔についてる?」
「あ、いや…その……、よ、余裕そうだなぁ…と。」
「え~そんなことないよ~。休みの間、そんなに勉強しなかったから。」
あ、やっぱり、多少は勉強してたんですね…。
しょぼーん。
明が由美と話しているうちに、前からテストの用紙が配られてきた。2枚である。
鞄から筆箱を出そうとしていると、前の席の男子が、ためらいがちに明に声をかけてきた。
「ねぇ、あの、シャーペン貸してくれる?俺、筆箱忘れちゃったみたいで…。」
「ん、あぁいいよ。」
明が、はい、とシャーペンと消しゴムを手渡すと、ありがとう、とその子は言って、前を向いた。教壇では、有川先生が、全員に用紙が行き渡ったことを、確認していた。
「いいかー。そろそろ始めるぞー。時間はチャイムがなるまでだ。
それでは、よーい、始めっ!!」
キーンコーンカーンコーン……
「終了っ!はい、みんなペン置いて~。
じゃあ、後ろの人から、紙を前に回して。」
明は言われた通り、前に回した。有川先生は、各列の用紙を集め終わると、挨拶をして教室を後にした。
「あぁーー」
「大丈夫、近藤君?」
悲痛な声を出している明を見て、心配そうに由美が言った。
「……全然ダメ…。………白井さんは?」
「え?私は…、うーん、まぁ悪くはないと思う…。」
多分、相当良いのだろう…。ただ、元気のない明を見て、出来た、なんて言えないに違いない……。
そう考えた明は、はぁー、と大きく溜め息をついた。
「まぁまぁ、そんなに落ち込まないで。別に定期テストじゃないし…。」
「それはそうなんだけどね………。」
とそこへ、明の前の席の男子が、話しかけてきた。
「あ、これ。ありがとう。」
そう言って、明のシャーペンと消しゴムを渡してきた。
「ん?あぁ。」
「あ、俺、北川っていうんだ。北川真平。よろしく。」
「俺は近藤明。こっちこそよろしく。」
「あ、私、白井由美です。よろしくね。」
「それよりさ、北川、今のテストどうだった?」
「え?今のテスト?結構簡単じゃなかった?」
それを聞いた明は、ガクッと肩を落とした。
そんな明を見て、由美が、クスクスと笑った。
「あ、あれ?もしかして、ダメ……だった?」
「う、うるさいっ。それ以上言うなっ、北川っ。」
そう言うと、明は机に突っ伏した。真平と由美は顔を合わせると、苦笑いをして、由美は肩をすくめた。
真平がにやにやして続ける。
「あれれ~?今のテスト随分と簡単だった気がするんだけどなぁ~?
もしかして、勘違いかなぁ?」
そう言われた明は、すぐに顔を上げて、にやりと笑って言った。
「でもまあー、授業初日に筆箱忘れるより良いよねー。」
由美はまたしても、クスクスと笑った。
真平は、恥ずかしさで顔が真っ赤だった。
安心した。
なんとかうまくやっていけそうだ。
知り合いが少なかった明は、心からそう思った。
今年も頑張って続けていきますので、どうか応援よろしくお願いします。




