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Happy life!!  作者: 夏月
16/18

第2章 第1話

 

「―――であるから、ここのxにはこれを代入して――――」

 

3時間目の数学の授業。

前の教壇では、クラスの担任の有川先生が問題の解説をしている。

 

松井美咲はつまんなそうにはぁー、と溜め息をついた。

 

「どうした~??授業中に溜め息とは感心しないぞ~?」

 

後ろの席の、宮代絵里みやしろえりがそう囁いてきた。

 

彼女はこの学校に入ってから初めて出来た友達だ。


顔は可愛い方なのだが、化粧をほとんどしてない。化粧すれば男子は放っておかないだろう、と美咲は思っている。

髪は1つに結わえており、活発な印象を抱かせる。

 

 

「だって授業なんてつまんない~~」

 

「えっ!?美咲ちゃんってそんなに頭良いのー!?いいなぁ~」

 

「い、いや………そういうわけじゃなくて………やばっ!」

 

美咲が宮代絵里と話していると、有川先生と目があったので慌てて前に向き直った。

 

彼女にはああ言ったが、美咲の溜め息の理由は授業のせいではない。

 

近藤明のことだ。

 

明はこのところずっと部活に出ていて、あまり会話できてない。行き帰りで一緒になることもほとんどない。

 

それに……

明が白井由美とどんどん仲良くなっていく。

 

見た感じだと由美は明に対して何も感じてないようだけど……なんか面白くない……。

 

そう思って美咲は再び溜め息をついた。 

 

 

 

 

 

3時間目と4時間目の授業が終わって昼休みになった。

 

「やったー!やっとお昼だー」

 

宮代絵里がそう言いながら、机に頭をのせてだら~としている。

 

「じゃあお弁当食べよっ」

 

美咲がそう言うと、絵里は何に気付いたように、あっと声をあげた。

 

「今日お弁当持ってきてないんだった!」

 

「あ、そう?じゃあ食堂で食べよ?」

 

「うんっ」

 

そう言って二人は立ち上がり教室を出ようとしたが、美咲が絵里を引き止めた。

 

「あ、由美誘ってもいい?」

 

「由美……?」

 

「白井さんのことだよ!同じ塾だったんだよ!」

 

「そうなの?じゃあ一緒に行こっ?」

 

美咲は後ろの方の席の由美に手を振った。

 

「おーい由美ー。お昼食堂で一緒に食べよー?」

 

大声でそう訊くと、由美は笑顔でうなずいてお弁当を持ってきた。

 

美咲は由美が近くに来ると三人で食堂に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここの学校の食堂は一階にあり、かなりのスペースがある。百人以上座れるようになっている。

四人席もあれば長テーブルもある。

 

しかも、ちゃんとした料理カレーとかラーメンに加えて、パンやアイスなどの既製品も買うことができる。要は種類が豊富なのだ。

 

ドラマによく見るような熾烈な争奪戦とかもなく、みんな思い思いに好きなものを買っている。中には美咲のように、お弁当を食堂に持ってきて食べている人もいた。

 

 

「じゃー私買ってくるから、どっか座っといてー」

 

そう言って絵里は売り場へ向かった。

美咲と由美は空いている長テーブルに向かい合わせで座った。

 

「ところで由美さー、マネージャーどう?大変?」

 

お弁当の蓋をあけながら美咲が言った。

 

「んー……そうでもない、かな。まだ忙しい時期じゃないらしくて、それに先輩のマネージャーもいるし」

 

「でもさー、なんかじっとしてるのっていやじゃない?」

 

「それは美咲ちゃんだからでしょ……」

 

そう言って苦笑する由美。

 

「……まぁたまに休憩時間に遊びで相手してもらうくらいかな………。そういう美咲ちゃんは?テニス部どう?」

 

「問題なし!周りの先輩とかもみーんな優しいし!」

 

「へぇー」

 

 

ふと美咲が売り場で並んでいる絵里を見ようと顔を上げると、こちらに近づいてくる明と北川真平の姿が見えた。

 

「お、美咲じゃん。あと白井さんも。」

 

そう言って明は美咲の隣に座った。手には食堂のうどんがあった。

同時に、真平が由美の隣にお弁当を置きながら座った。

 

「あれ?明、お弁当じゃないの?」

 

「ん?あぁ。母さんが寝坊しちまって。美咲と白井さんは?二人とも弁当みたいだけど………」

 

「私たちは絵里がお弁当忘れたって言うから……」

 

「「絵里?」」

 

と、明と真平が聞き返すと、美咲は説明した。

 

「ほら、教室で私の後ろの。今向かってきてる子」

 

美咲が指さした方向には、トレーを両手で持ちながら歩いてくる絵里がいた。

 

絵里は、美咲達に気付くと声をあげた。

 

「……あら?…人数増えてる……??」

 

 


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