第1章 第1話
初めての投稿です!温かく見守って下さると幸いです。
ぽかぽかとした寝室。この時期、4月ともなれば冬が過ぎ去ったことで、最近は寝心地がいい。
ここにも、気持ち良さそうに寝ている男子が1人。
しかし、もうすぐ起こされることは確実だった。
「明〜?そろそろ起きる時間よ〜?」
母親から催促がかかる。
そう、この寝ている青年は、近藤明という。大人と子供の中間の、高校一年生という多感な時期だ。 ………正確に言うと、入学するのは今日なのだが。
「明!早く起きなさい!」
いつの間にか明の部屋に入っていた、明の母親、近藤由紀子によって、掛け布団が剥がされた。
「今日は入学式でしょ!?初日から遅刻なんて許さないからね!?」
「ん〜〜わかってるよ〜。」
防具(掛け布団)を取られた明は、しぶしぶ起きながら呟いた。
「ちゃんと下りてきなさいよ!?」
母親はそう言い残して、1階のリビングに下りていった。
……ん〜〜、まだねむいんだけどなぁ、母さん怒らすとなぁ、ちょっと面倒だし、しゃーない、起きるか!
なんて思いながら、明は支度を済ませて、1階に下りていくのだった。
リビングに下りていくと、台所で母親が朝食を作っており、机には明の父親、近藤信夫が先に座っていた。
「おはよう明。……新しい制服なかなかいいじゃないか。守はまだか?」
「おはよう父さん。今日は俺は入学式だから起きたの。」
「起きたんじゃなくて、起こされたんでしょ!」
早速母親に突っ込まれた。まったく、朝からうるさいなぁ…
「明、何か言った!?」
「何でもないです!!」
ちなみに、守というのは明の弟で、2歳離れている。つまり、新中2で、世間では生意気になってくる時期だ。もっとも、守は別だが……。
「行ってきまーす。」
と、挨拶しながら明は家を出た。最寄り駅までは自転車を使い、そこから3駅離れた駅で降りる。
たらたらと走る各停の電車に揺られながら、明はこれから日常になるであろう電車に対して、物思いにふけった。
「明!おーはよ!」
と、駅を出て学校へ歩いてる途中に、後ろから声をかけられた。振り向くと、小走りで駆け寄ってくる女の子がいた。
彼女の名前は、松井美咲という。明と同じ高校一年生であり、さっぱりした性格で、髪はかかるかどうかぐらいのショートだ。なかなか可愛いのだが、明は大和撫子っぽい人が好きなので、美咲に恋心を抱いたことはない。
「おっす、美咲。寝癖ついてんぞ。」
「えっ、ほんと!?今日寝坊しそうだったからさー急いでたんだよねー」 あははと苦笑いしたがら、髪を直す美咲。
まったく、こいつはいつもこうだ。もっと女の子らしくすりゃいいのに…。
「何?人の顔じろじろ見ちゃって。あ、それとも新しい制服の私に見とれちゃった?」
「まだ寝ぼけてんの?ったく、遅刻するよ。」
と、明が先に歩き出した。
「ちょっと!?も〜、待ってよ〜」
ちなみに、明と美咲が出会ったのは小学校のころで、ちょっとしたことがあって二人は仲良くなった。言わば腐れ縁ってやつだ。
二人は揃って校門を抜けると、先生の指示通りにクラス分けの書かれた紙を見てから体育館に行くことにした。
クラス分けの紙の前には大勢の生徒がおり、あちこちから喜ぶ声や悲しむ声が聞こえる。まるで受験の合格発表みたいだ。
明と美咲は生徒の間をすり抜けるようにして、紙の前に着いた。
「えっーと、近藤明…近藤明……あ、あった。2組か〜。」
「あれっ?私の名前がない〜!?」
と、美咲が騒いだ。明は、はあっと溜め息をつくと、美咲に言う。
「ほら、ここにあるじゃん。俺と同じ2組。ちゃんと探せっつーの。」
「あ!ほんとだー。明と一緒じゃん!ねぇ、嬉しい?」
「んーどうかなー。」
「ひどーい!?嬉しくないの!?ねぇ!」
「冗談冗談。まことに光栄でございます。」
「それでよろしい。」
その後、明は美咲と一緒に体育館へ行き、入学式が始まった。
…どーもこうゆう堅苦しいものが苦手なんだよな〜。校長先生の話って長い上につまらないだけだし。ほら、他の教員も欠伸してるじゃーん…
などと考えながら、明がうつらうつらしてると、後ろから頭をぺちんと叩かれた。
「何だよ美咲。」
「もう校長先生の話終わったわよ。次は生徒会長の話。先輩の話なんだから少しぐらい聞いてなさい。」
と、囁くように美咲が言ってきた。
前を見ると、確かに1人の女子生徒が壇上に登っているところだった。
…とても綺麗な人だ…
そして、その生徒会長が静かに話し始めた。
「初めまして、新入生の皆さん。私は、生徒会長の、桐島静香です。この風華学園に、また新しい仲間が入ったことをとても嬉しく思います。この学校には、文化祭や体育祭、学年旅行など、様々なイベントがあります。皆さんには、そのようなイベントを通じて、青春を謳歌し、学校生活を有意義なものに出来ることを約束します。
私達生徒会は、生徒のみで構成された機関です。皆さんの学校生活がより良いものとなるよう、尽力していきます。生徒会には、どんな生徒でも入ることが出来ます。新しい生徒会員をお待ちしております。以上です。」
ぱらぱらという拍手に見送られながら、先生会長である桐島静香は壇上から下りていった。
「すっげー綺麗だったな。」
「……う、うん。そうだね…。」
何か、美咲は煮え切らない顔をしていた。
「これにて入学式を終わります。それでは新入生の皆さん、下校して下さい。」 入学式が終わり、教頭先生から指示が下る。
「それじゃ美咲、一緒に帰るか。家も近いし。」
「は〜い!!」
「何だよ?やけにテンション高いな〜。」
「だってだって〜、中学の時は一緒に帰るとかなかったじゃーん?」
「そうか〜?まぁ別に一緒に帰りたいなんて思うわけないからなー、って痛い痛い!背中を叩くなよ!嘘だって!」
明と美咲が体育館を出て、校門近くまで他の新入生に流されるように歩いていくと、そこには満開の桜が両脇に道に沿って咲いていた。先程登校してきた時は、緊張していたのと急いでいたのでほとんど気が付かなかった。様々な種類の桜が植えられていて、とても綺麗だ。
「うわっ、綺麗〜!!ねぇ、明もそう思うでしょ?」
「確かに綺麗だな〜。」
二人は桜に見とれながら立っていた。
満開の桜の下で明は思った。
新しい生活が始まる。




