七不思議
息抜きという言い方もおかしいけど、しばらく「名前を付けられた怪異」=「シロ」に関しては、そこまで情報が入る見込みがないので、本来の雑話に戻ろうかと思う。
ということで、今回は七不思議に関する話を紹介する。
詳しい経緯はわからないものの、日本において、説明の付かない不思議なことを七つで一まとめにして、七不思議と称することが昔からあったそうだ。
この不思議というのは、単に不思議なことや伝承などをいっているものが多く、怪異と関係のないものがほとんどだったらしい。
七不思議と言われているもので、古くは諏訪大社七不思議や遠州七不思議などが挙げられるそうだ。ただ、これらは実際に調べてみると、七つ以上の不思議が語られていて、どれを七不思議とするか諸説あるらしい。
というか、七不思議と言われているのに、七つ以上不思議があるというケースは結構多く、むしろ七つで納まっている方が珍しいぐらいだ。このことは、以前から知っていて、何だか適当だなと常々思っていた。
ただ今回、七不思議の元祖と言われているものを調べてみたわけだけど、この時点で七つじゃないという話があるわけで、さすがに随分と適当なものだなと思ってしまった。
また、個人的に興味深いと思ったこととして、一般的に七福神や、ラッキーセブンといった形で幸福の数字とされている「七」を用いていることだ。
人は不思議なもの――未知なものに恐怖心を持ち、不幸を呼ぶんじゃないかと不安になるものだ。
なので、不思議なものを無理やり七つ挙げて、七不思議とすることで、幸福と不幸を相殺しようといった試みがあったのかもしれない。
この辺りは、私の勝手な考察だけど、そこまで大きく外れていないんじゃないかと、自信を持っている。
ここで、皆さんに馴染みがある七不思議の話をしたいと思う。
それは恐らく、学校の七不思議かと思う。
学校には七つの不思議なこと――怪談が存在し、七つすべてを知ってしまうと不幸になる。
そんな言い伝えが、日本全国様々な学校に存在している。
どういった話が七不思議として語られているかというのは、一般的に学校の怪談と呼ばれているものが多く、怪談が好きな人なら誰でも知っていそうな話も多い。
具体的に、どういったものがあるか、いくつか挙げてみよう。
屋上へ続く階段は、いつも12段なのに、夜になると13段になる。
理科室の人体模型は、夜中になると勝手に動き出す。
音楽室にある音楽家の肖像画は、時々瞬きをしたり、目を動かしたりする。
花子さんなど、トイレで幽霊が現れるという話。
体育館で、勝手にボールが跳ねることがある。
風もないのに、何故か遊具が揺れることがある。
他にもたくさんあるけど、一応七つは挙げずに六つで留めた。
最後の方は雑な書き方にしたけど、それには理由がある。
というのも、こうした七不思議というのは、以前から何度かコラムに書いていて、私なりに否定する根拠があるからだ。
せっかくなので、順番に否定してみよう。
屋上へ続く階段は、いつも12段なのに、夜になると13段になる。
この話について、そもそもで屋上へ続く階段が、他の階を繋ぐ怪談と同じ段数になっていないという学校は多い。
これには理由があり、各階には天井と床があるけど、屋上は屋根の役割を持っていて貯水子などもある。
そのため、他の階よりも厚く作られていて、当然屋上へ行くために必要な階段の段数も増えるというものだ。
こうしたことを知らない生徒が、噂を確かめようと屋上へ続く階段の段数を数えた時、他の階と違うと驚き、噂を広めたというわけだ。
理科室の人体模型は、夜中になると勝手に動き出す。
これは、人形が勝手に動くという怪談が元々存在しているので、その関連で生まれた怪談だと考えられる。
理科室には、人体模型だけでなく、骸骨や標本といった不気味なものが置いてあり、それらが勝手に動くという話もある。
止まっていても不気味なものが動くというのは、恐怖そのものでしかない。
そうした恐怖心から、動くかもしれないではなく、動くという怪談になったと考えられる。
音楽室にある音楽家の肖像画は、時々瞬きをしたり、目を動かしたりする。
こちらも理科室の噂と同じようなものだ。
音楽室に飾られた肖像画の人物は、大昔に活躍した人で、みんな亡くなっている。
亡くなった人の絵というのは、幼心に対して恐怖を与えるものだ。
だから、光の加減で瞬きをしたように見えたり、目を動かしたように見えたりすることがあり、それがそのまま怪談になったのだろう。
花子さんなど、トイレで幽霊が現れるという話。
トイレという空間は、普通に過ごしていても何だか嫌というか、妙な感覚を持つ空間かと思う。
人としてしょうがないものの、まず用を足すというのが、何だか恥ずかしいなんて気持ちを持つ人は大人でも多い。
それが学校となると子供が多いわけで、トイレにネガティブな考えを持つ生徒が多いと思う。
人によっては、一人きりの空間と感じる人もいるだろうけど、孤独感を感じる人もいるだろうし、そうした気持ちから、怪異が存在するんじゃないかという噂に繋がったのかもしれない。
ここで興味深いのは、全部が個室の女子トイレで特に怪談が語られて、小をするには開放的らしい男子トイレだとあまり怪談が語られないというものだ。
もしかしたら、一人になると怪異に遭遇しやすいといった噂から、女ほどトイレが怖いものになっているのかもしれない。
体育館で、勝手にボールが跳ねることがある。
この辺りから、若干適当な話にさせてもらったけど、これについては、人の思いや感情が原因だろうという結論しか持っていないことを先に伝えておく。
聞いた話だと、バスケットボール部に所属する生徒が、一人残って練習をしていたところ、ひとりでにボールが高く跳ね上がり、怖くてそのまま帰ってしまったというものがある。
ただ、他の人が見ていたわけじゃないし、話をしてくれた人は実力が伸びないと悩んでいる人だったので、気持ち的に追い詰められて、幻覚を見てしまったんじゃないかという結論に至った。
それか、彼に悪戯しようと企んだ、他の生徒によるものとも考えたけど、この辺りは何の根拠もないものだ。
風もないのに、何故か遊具が揺れることがある。
これは、音の作用で科学的に説明されているものがあるので、それが原因と考えている。
音というのは、基本的に何かが振動している時に発するものとされている。
また、共振という、他の音の影響を受けて、振動してしまうものがあるともされている。
こうした話を踏まえると、遊具が勝手に揺れるのは、どこからか響いてきた音に共振して、その結果揺れたんじゃないかと考えられるわけだ。
この音というのも、人の耳だと感知できない重低音や超音波というものがあり、何も聞こえなかった=音によるものじゃないとできないので、人の耳だと聞こえない音=人だとわからない空気の振動で起こった、不思議な現象と解釈している。
こういった形で、学校で起こったとされる怪談を、私は否定してきた。
でも、その中で私が否定できなかった話もいくつかある。
せっかくなので、そちらも紹介しよう。
女子中学生のUは、男友達のHと一緒に、通っている中学校の七不思議を調べていた。
その理由は、単なる興味からだったけど、先輩や先生から話を聞いたり、兄や姉を持つ同級生から話を聞いたり、それなりに本格的な調査を進めた。
そうして、UとHは、六つの不思議までわかったものの、誰に聞いても七つ目だけがわからなかった。
七つ目が存在しないんじゃないかと、Uは諦め気味だったものの、Hは絶対に七つ目の不思議を突き止めると強く言った。
それから数日後、Hは七つ目の不思議がわかったと、Uに言ってきた。
でも、具体的にどういった内容なのかは言ってくれなくて、何故か秘密にされてしまった。
その翌日、Uは先生から、Hが亡くなったという知らせを聞き、あまりにも突然のことだったので、大変驚いた。
何故亡くなったのかという部分について、先生は詳しい説明をしてくれなかったけど、恐らく突然の自殺だったんだろうという話を、風の噂でUは聞いた。
この件について、私なりに調べてみたものの、古い話だったこともあって、真相はわからなかった。
自殺したHが本当に七不思議をすべて知ったかどうかすらわからないので、私としての見解は何もないとしかいえない。
ただ、「藪をつついて蛇を出す」という、昔からのことわざがあるので、危険なものには近付かない方がいいということなのかと思う。
七つの不思議を集めた、七不思議。
そう聞くと七つ全部知りたいと思うのは、当たり前かと思う。
私だって、知りたいと思う一人だ。
でも、知るということが、必ずしも良いとは限らない。
もしも皆さんが七不思議など、今は知らないことを知りたいと思っているなら、それを止めるつもりはない。
ただ、知るということは、それなりの覚悟が必要だということを、知ってほしいと伝えたい。
そんな雑話でした。




