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跳ね返るBB弾

 先日紹介した、心霊好きな男友達Sの体験談を今回も紹介する。

 Sにとって、もしかしたら霊的な存在はいるのかもしれないと思わせた体験とのことだ。


 当時、中学生だったSは、近くに住む友人Yの家へよく遊びに行っていた。

 その日は、Yの持っているエアガンで遊ぼうということになり、二人で一丁のエアガンを交代で撃って遊んでいた。

 標的は段ボール箱で、これはYのちょっとしたアイデアというか発見によるものだった。


 Yはエアガンで遊ぶ際に様々な標的を使っていたけど、標的にBB弾が当たるかどうかということより、別の問題に悩まされていた。それは、撃ったBB弾がどこへ飛んでいったか確認するのが難しく、多くのBB弾がなくなってしまうという問題だった。

 そんな中、段ボール箱を標的にしてエアガンを撃った際にちょっとした発見があった。


 エアガンはそれなりの威力があり、段ボール一枚程度ならBB弾は貫通する。でも、段ボール二枚となると厳しいようで、そこではBB弾が貫通しない。

 つまり、段ボール箱に向けてエアガンを撃つと、BB弾が段ボール一枚を貫通して箱の中に入った後、二枚目の段ボールは貫通しない=箱の中にBB弾が残るのだ。

 そして、エアガンに装填したBB弾を撃ち尽くしたら、箱の中のBB弾を回収し、それをまた使えばいい。


 そんなYの発見にSも感心しつつ、二人は段ボール箱を標的に、交代でエアガンを撃って遊んでいた。

 ただ、BB弾を繰り返し使うことには多少の問題があり、衝撃に耐えられなかったBB弾がいくつか割れてしまうことがあった。

 それだけならしょうがないことで片付けられたが、Sがちょっとした悪ふざけをしてしまった。


 Sは割れてしまったBB弾を集めた後、

「BB弾の供養をしよう」

 と言うと、部屋にあった仏壇の鐘を「チーン」と鳴らした。

「あまりそうやってふざけるのは良くないよ」

 鐘を鳴らした直後、SはYからそんな風に真剣な様子で注意された。

 こういった悪ふざけは、むしろYがよくやっていたので、意外なYの態度にSは驚いた。ただ、悪いことをしたという自覚はあったので、

「ごめん」

 とだけSはYに謝った。


 その後はまた二人で交代しながらエアガンを撃った。ただ、少しして、二人は異変に気付いた。

 エアガンを撃った後、BB弾が跳ね返ってくるようになったのだ。

 段ボール箱の後ろは窓だし、段ボール箱に当たらなかったBB弾がそこに当たれば、跳ね返ってくるのは当然だ。でも、段ボール箱はそれなりに大きいし、距離も離れていないから、そんなに何度もBB弾が当たらずに外れていると考えるのも妙だった。

 次第に、毎回のようにBB弾が跳ね返ってくるようになり、さすがにおかしいという話になった。


 そして、Sはよく狙いを定めてからエアガンを撃った。

 すると丁度、狙いどおりの場所にBB弾が当たり、段ボールに穴が開く瞬間が確認できた。

 それにもかかわらず、BB弾はSの頬をかすめるように跳ね返ってきた。


 間違いなく段ボール箱に当たったはずで、それでBB弾が跳ね返ってくるなんてありえない。穴が開きすぎて箱を貫通しているのだろうかと箱の後ろ側も確認したけど、そんな感じではなく、BB弾が跳ね返ってくる理由は一切わからなかった。


 そこで、Sは先ほどふざけて仏壇の鐘を鳴らしたことを思い出した。すぐに謝ったけど、謝った相手はYに対してで、仏壇に対しては何も言っていなかった。

 そうしたことをYと話し、SとYは二人で、

「さっきはすいませんでした。もう二度とあんなことはしません」

 と、仏壇に向けて頭を下げながら謝った。


 それから少しして、解決できたかどうか確認しようと、二人はまたエアガンを段ボール箱に向けて撃った。

 すると、先ほどまで毎回のように跳ね返ってきていたBB弾が、まったく跳ね返ってこなくなった。

 二人は仏壇に謝る時、半信半疑な部分があったものの、謝った途端に問題が解決し、やはりこれが原因だったのかもしれないと強く思ったそうだ。


 仏壇に祀られているのは仏様で、悪霊などではない。

 この話は、SとYに対して、仏様が説教の意味も兼ねて注意したものではないかと私は感じている。

「時には悪い霊もいるから、そんな悪ふざけをしてはいけないよ」

 なんて注意をBB弾を跳ね返すことで仏様が二人に伝えた。

 そう考えると、少しほっこりしてしまう。


 そんな雑話でした。

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