幸福を呼ぶ怪異
今回の雑話が第77回ということで、ラッキー7にちなみ、幸福を呼ぶ怪異に関する話を紹介したい。
これまで何度も怪異=悪いものというわけじゃないという話をしてきたけど、中には幸福を呼ぶと言われている怪異がある。
有名なところとしては、ケサランパサランがそれに当たる。
ケサランパサランは、白い毛玉のような姿をした未確認物体で、見つけると幸福になると言われている。
その正体は、動物(ウサギと言われている)の毛玉じゃないかとか、タンポポの綿毛に似たものじゃないかといった現実的な説もあれば、妖怪の一種とする説も存在する。
ケサランパサランを現実に存在するものと捉えた場合、それは四つ葉のクローバーみたいなものと解釈できるかと思う。四つ葉のクローバーを見つけると、幸福になるといった噂があるけど、それと同じような意味合いなんだろう。
一方、妖怪の一種と捉えた場合、一般的にオーブと呼ばれるものが変化して、小さな願いをかなえる存在になっているんじゃないかといった説がある。また、こちらはおしろいを与えることで増殖するとも言われていて、そうして育てることでさらに幸福を呼ぶことができるそうだ。
とはいえ、私は残念ながらケサランパサランを見つけたことがないし、見つけたといった話を聞いたこともない。
オカルトライターをやっていれば、当然多くの人から話を聞くし、比較的有名な怪異なら、真偽不明とはいえ誰かしらか見たことがあるといった話を聞けるものだ。
それなのに、ケサランパサランに関しては、そういった話を一切聞かないので、本当に珍しい怪異ということなのかもしれない。
なので、もし見つけることができたら、その時点で珍しい=幸福といった意味もあるのかと思う。
他にも幸福を呼ぶ怪異として、有名なものがいる。
それは、座敷童子だ。
座敷童子は古い屋敷などに住むとされる子供の姿をした妖怪だ。
時に悪戯をすることもあるけど、見た人は幸福になるとか、住む家に富をもたらすといった言い伝えがある。
座敷童子は、岩手県を中心とした東北地方で、その存在が報告されている妖怪だそうだ。
ちなみに、座敷童子が現れると言われている有名な旅館があるのも岩手県だ。
こちらの旅館はテレビで紹介されたり、不思議な体験談が多く語られたりしているので、知っている人も多いかもしれない。
ただ、座敷童子が東北地方にしかいない妖怪かというと、そうじゃないようだ。
そもそもの話として、座敷童子の正体が何であるかというのも様々な説があり、それによって解釈も変わってくる。
その中で多くある説は、幼くして亡くなってしまった子供の幽霊なんじゃないかというものだ。
幼い子供の幽霊というのは、本来一生をかけて消費するはずだった生命力のようなものを魂に残している。
なので、他の怪異にはできないことができる、いわゆる強力な怪異になりやすいといった話をどこかで聞いたことがある。
それが恨みを持っている場合は危険な悪霊になってしまう可能性があるけど、反対に純粋な心を持っている場合は人々を幸せにする怪異になっていてもおかしくない。
座敷童子というのは、そうした存在なんじゃないかと私は考えている。
例えば、具体的な話として、こんな話を聞いたことがあるので、紹介しよう。
夫婦二人に娘が一人という、ある三人の家族は、一見幸せな生活を送っているものの、悲しい過去があった。
それは、夫婦の間に生まれた一人目の子供を、原因不明の突然死で失ってしまったことだ。
それでも夫婦は悲しみを乗り越え、少しして娘が生まれると、深い愛情を娘に注いだ。
ただ、家では時々不思議なことがあった。
まず、物が勝手に移動するということが頻繁にあった。
ある時は、テーブルの上に置いていた鍵が目の前で滑るように移動したり、椅子が揺れたり、明らかにおかしな現象もあった。
また、幼稚園児の娘が見えない誰かと話をすることがあった。最初のうちは、ままごとのようなものと思っていたけど、次第に話し方が妙にリアルで、娘に幽霊のようなものが見えているんじゃないかと両親は心配した。
でも、娘から詳しい話を聞いたところで、両親は何が起こっているのか理解した。
両親は亡くなった子供のことを、まだ幼い娘に話したことがなかった。それは当然、亡くなった子供が男の子だということも含めてだ。
それにもかかわらず、娘は話し相手のことを「お兄ちゃん」と呼んでいた。
それを知って、最初は驚きもあった。でも、亡くなった息子が今も家にいて、それこそ娘の遊び相手になっているなら嬉しいという気持ちもあり、夫婦は娘の話を信じた。
それ以降、物が動いたり、娘が見えない誰かと話したりといったことがあっても、夫婦は怖がるどころか嬉しくなる時が増えていった。
ただ、そんな家族にまた困難が訪れた。
小学生になったばかりの娘の具合が悪くなり、病院へ行ったところ、手術が必要な重病だと宣告されてしまったのだ。
しかも、手術をしたとしても、助かる見込みはほとんどないという、絶望的な言葉を言われてしまった。
娘がすぐ入院することになり、着替えなどを準備するために家へ戻った夫婦は、ただただ悲しみに暮れるしかなかった。
そんな時、家中の家具や物が急に揺れ出した。
今まで、ここまで激しい現象が起こることはなかったので、夫婦はただただ驚いた。
でも、なぜか恐怖を感じることはなく、むしろ不安が消えていったという。
それから少しして、娘は手術を受け、奇跡的に回復した。
助かったとしても、何かしらかの後遺症が残るだろうと言われていたのに、後遺症すら残ることなく、娘はすっかり元気になった。
医者ですら奇跡としか考えられなかったそうで、それこそ不思議な力が働いたんじゃないかとさえ言っていた。
そして、それは両親も同じ気持ちだった。
というのも、娘に話を聞いたところ、手術を受けた際にお兄ちゃんの夢を見たといった話を聞けたからだ。
娘はお兄ちゃんに手を引っ張ってもらって、前へ歩き続けたらしい。そして、両親の姿を見つけたところで、目を覚ましたそうだ。
後日、娘が退院して家に帰ると、また家中の家具や物が揺れ出した。
それは、元気になった娘のことを喜んでくれているかのようで、両親は亡くなった息子に感謝しながら泣いてしまったそうだ。
今は娘も成長して高校生になった。
娘がお兄ちゃんと話をするといったことはなくなってしまったけど、今でも物が勝手に動くといったことはあるそうだ。
そして、その度に成長することなくいつまでも子供のままの家族の存在を感じて、三人は幸せな気持ちになるそうだ。
以前から話しているとおり、私は怪異やオカルトを信じたいけど信じられないという人間だ。
でも、もし願いがかなうなら、今回話したような幸福を呼ぶ怪異と遭遇してみたい。
そう考えるのは、さすがに都合が良すぎると怒られそうだけど、私はそうさせてもらう。
そんな雑話でした。




