猟奇的な殺人犯
前回、知り合いの刑事の話を少ししたけど、ある用があって、最近その刑事に会ってきた。
ここでは、その刑事のことをKさんと表記したいと思う。
今回は、そんなKさんの話や、Kさんから聞いた話を紹介しよう。
まず、私とKさんが知り合ったのは、妙な縁というか、当時私は古い友人と偶然の再会をして、頻繁にやり取りするようになった。
その友人が私と再会する前に、これまた妙な縁でKさんと知り合い、何かとやり取りしていたそうだ。
そんなわけで、私はその友人を通じて、Kさんと知り合った。
出会った当時、Kさんはまだお巡りさんをしていたけど、それから少しして刑事になった。
そんな時、以前も軽く話したけど、私はストーカー被害にあってしまい、そのことを友人に相談した。
すると、友人は刑事になったKさんに相談しようと提案してくれた。
でも、私は警察沙汰にまでしたくないといった気持ちがあり、最初に提案された時は断ってしまった。
その結果、私だけでなく、他の人が暴力にあうといったことまで起こってしまい、結局Kさんに頼ることにした。
Kさんのおかげで騒動は解決して、今思い返しても、本当にお世話になったと感謝しかない。
実は、私の先輩で師匠とも呼べるエリさんとの出会いは、Kさんのおかげで実現したことだ。
元々、Kさんとエリさんは同級生だったそうで、今現在もやり取りしている友人同士だ。
友人の方が先にKさんを通じてエリさんと知り合い、何かの機会に飲みに行こうといった話から私が誘われて、エリさんと会うことができた。
Kさんがいなかったら、エリさんと知り合うことはなかったし、今オカルトライターとして活動することもなかっただろう。
そうした面でも、Kさんには感謝している。
そんなKさんに今回会ったのは、「名前を付けられた怪異」について、調べてほしいことがあったからだ。
それは、白いもや――今は白い顔が写る心霊写真に関するもので、その写真に写る二人の男女がどこの誰なのかということだ。
刑事のKさんなら、こうしたことは比較的簡単に調べられるだろうということで、Kさんに写真を見てもらった。
とはいえ、刑事がこんな理由で捜査をするとなると大問題になるので、残念ながら断られてしまった。
大事なことなのでもう一度言うと、刑事がこんな理由で捜査をするとなると大問題になるので、残念ながら断られてしまった。
でも、Kさんが別の件で捜査していた時、偶然私の知りたいことを知るかもしれないし、それをうっかり独り言とかで私に知らせてしまうことはあるかもしれない。
これだけいえば、きっと大丈夫だろう。
この「名前を付けられた怪異」について、Kさんはエリさんから話を聞いていたようで、十分注意するようにと警告に近い助言をしてくれた。
それだけでなく、身の危険を感じたり、何か事件に巻き込まれたりした時は、すぐに相談してほしいとも言ってくれた。
友人がKさんのことを頼れる大人だなんて言っていたけど、私も同じ気持ちだ。
私自身もいい大人なのに、今でもKさんに助けてもらうことがあるのは、どうかなと思うこともあるけど、Kさんが心配してくれるから、いつまでも頼ってしまいたくなるのだ。
それと最近になって、本物の霊能力者として紹介している彼女と連絡が取れなくなってしまっていること。
先日、「降霊術師」という雑話で紹介した人とも連絡が取れないことを伝え、何かあったかもしれないと言っておいた。
こちらについては、何か事件に巻き込まれている可能性があるという、一般人からの情報として聞いてもらった形だ。
Kさんは快く了解してくれて、何かわかれば連絡してくれるとのことだった。
一応、こちらのお願いは以上で終わったので、これで帰っても良かったんだけど、Kさんに時間があるとのことで、軽く食事をすることになった。
私はKさんの奥さんとも知り合いだから、そちらの近況報告を聞いたり、今度エリさんも呼んで飲みにでも行こうかといった話をしたり、とりあえず他愛もない話をしていた。
そんな中、刑事のKさんが体験した怖い話なんてものがないかと質問してみた。
すると、Kさんは事実と異なる作り話を……さすがにしつこいので割愛するけど、作り話ということで紹介する。
Kさんは刑事になった後、ある犯罪者に会ったそうだ。
それは、猟奇的な殺人を犯した犯人だ。
あまりにも猟奇的な事件が発生した時、それをマスコミ報道などでみんなに伝えると、心に大きな傷を負ってしまう人が一定数いる。
そうした配慮から、マスコミ報道などで詳細が知らされることもなく、インターネットで調べてもほとんど情報が見つからないといった、情報統制が行われることはあるそうだ。
Kさんが会った犯人が犯した事件も、そうした配慮でほとんどの人が知らない事件になっている。
事の発端は、ある旅館で大量殺人があったことだ。
犯人はその旅館の亭主で、料理に毒物を入れて客を殺害した後、客の腕を切り落とすという奇行に走った。
その後、逃走しようとしたのか、犯人は旅館に通じるトンネルを通っていたところ、トンネルが崩壊して、亡くなった。
猟奇的な殺人を犯した犯人は、後に心霊スポットとなった、その旅館を訪れた女性だそうだ。
これは、彼女が証言したもので、話によると彼女はそこで恐ろしい体験をしたとのことだった。
その結果、当時交際していた男性と、その姉が行方不明になり、彼女によると二人は問題の旅館で怪異に殺されたと話した。
その後、彼女は怪異に憑りつかれてしまったのか、人を殺害した後、両腕を切り落とすという殺人事件を起こすようになった。
それが発覚したのは、何の縁なのか、エリさんが彼女に取材したことがきっかけだった。
オカルトライターとして、彼女から恐怖体験を聞こうとエリさんは取材して、その後すぐにエリさんは犯人に襲われた。
幸い、エリさん自身は特に怪我を負うこともなかったけど、エリさんを庇ったアシスタントが重傷を負ってしまったそうだ。
当然、彼女は現行犯として逮捕された。
当時、Kさんはまだ刑事じゃなかったけど、エリさんと知り合いということで、この事件について独自に調べ、色々と上の人にお願いしたそうだ。
そうした様々な経緯を通じて、Kさんは彼女に会えたというわけだ。
元々、Kさんは彼女について、怪異に憑りつかれてしまったんじゃないかといった話を周りから聞いていた。
だから、それなりの覚悟をKさんは持っていたらしい。
Kさんと会った彼女は、ずっとニヤニヤと笑っていて、とても正気と思えない状態だったそうだ。
彼女はキレイだからという理由で腕を切り落としていたそうで、最後に会ったエリさんのキレイな腕を切り落とせなかったことを残念だと話した。
常識を持って接すると理解できそうにないと思いつつ、Kさんは気持ちを落ち着かせて、彼女と話したそうだ。
現在、旅館に通じるトンネルは崩壊したままで、かなり迂回しないと旅館に到達できないこと。
彼女が行方不明になったと話した、恋人とその姉は、彼女の自宅で遺体となって発見されたこと。
つまり、彼女が心霊スポットとなった旅館を訪れたこと自体嘘じゃないかといったことを、Kさんは彼女にぶつけたそうだ。
でも、彼女は問題の旅館に絶対行ったと言い張って、Kさんの話を信じる気配はなかったそうだ。
そのうえで、Kさんはこんな話をしてくれた。
怪異というものは、結局人が作り出すもので、本当に怖いのは人だということ。
怪異が存在するかどうかわからないものの、それが存在するとして、それは人が作り出したものだろうということ。
だから、怪異にだけ目を向けないで、人に目を向けてほしいと真剣な表情で言われた。
この辺りのことはKさんらしいというか、いつも私はKさんの術中にはまり、Kさんの言う通りにしますとしか、思えなくなってしまうのだ。
そんなわけで、私はKさんの助言をそのまま受け入れた。
Kさんと別れた後も、私はKさんの言葉を思い返した。
本当に怖いのは、怪異じゃなくて人だということ。
怪異は存在しているかどうかすらわからないものだけど、人は確かに存在しているものだ。
だからこそ、人に目を向けてほしいというのは、その通りですとしかいえないものだった。
私は多くの人に助けられているなということも実感しつつ、今後もオカルトライターとして頑張っていきたい。
本当に伝えたいことは、ありきたりな言葉になってしまうものだなと思いつつ、今回は終わりにしたいと思う。
そんな雑話でした。




