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ドナーの記憶

 記憶の仕組みについては、まだすべてが明らかにされたわけではない。むしろ、不明な点の方が多いともいえる。

 オカルトという言葉は、「理解の難しい非科学的な現象」も含むので、考えようによっては「記憶」もオカルトに含まれるのかもしれない。

 今回はそんな記憶に関する不思議な話を紹介する。


 ほとんどの記憶は脳にあるとされているけど、心臓移植を受けたレシピエントが、元々の心臓の持ち主であるドナーの記憶を持つことがある。そんな話を聞いたことがある人も多いだろう。

 一般的な話として、心臓移植を受けた後、レシピエントの趣味嗜好や性格が変わることは多いそうだ。そして、その理由は移植した心臓に残されたドナーの記憶によるものではないかといった説があるというものだ。

 でも、実際にレシピエントがドナーの記憶を持ったと確認できるケースはかなり稀だ。

 これについては、レシピエントにドナーの情報が教えられないことも関係している。レシピエントが自分とは異なる誰かの記憶を持っていると自覚できても、それがドナーの記憶かどうか確認する術がほとんどないのだ。


 ちなみに、私の知り合いにも心臓移植を受けた人がいて、少し話を聞いたことがある。でも、彼は特にドナーの記憶を持っている自覚はないと話していた。

 心臓移植を受けた後、彼に様々な変化があったものの、それは単純に体調面などの問題で、できなかったことができるようになったことによる変化だった。考えてみれば、他のレシピエントの趣味嗜好や性格が変わるというのも、彼と同じ理由と考えれば納得できる部分もある。

 でも、私は彼が自覚していない、ある事実を実は知っている。


 この件とは直接関係のないところで取材をしていた時、偶然彼のドナーと思われる人を特定できてしまった。そして、彼とドナーの意外な共通点を見つけた。

 一時期、彼はアパートの一室を借りて一人暮らしをしていた。そこは、生前ドナーが暮らしていた部屋と、同じ部屋だったのだ。

 彼はドナーのことを何も知らない。それにもかかわらず、彼とドナーが同じ部屋で暮らすことになったというのは何とも不思議な偶然だ。

 もしかしたら、自覚がないだけで彼もドナーの記憶を少なからず持っているのかもしれない。

 科学的な根拠などは何もないけど、何となくそんな気がする……というより、オカルトライターとしてはそうであってほしいなんて気持ちになってしまう。


 そんな雑話でした。

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