表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/99

白い怪異

 前回から引き続き、亡くなったオカルトライターが残した手帳について、さらに読み進めてわかったことがあった。

 なので、今回は別の話題を一旦書こうと思っていたけど、予定を変えて引き続き「名前を付けられた怪異」について書きたいと思う。


 前回紹介した心霊写真に写る白いもや――今は真っ白な顔に変わってしまったけど、それが「名前を付けられた怪異」だろうと私は感じている。

 これは手帳を残した彼も同じだったみたいだけど、そのことに多少の疑問を持っていたようだ。

 霊感があるとはいえ、写真に写るものと、噂の怪異が同一のものかどうか、彼にも判断ができるわけじゃなかったそうだ。なので、それぞれ別の怪異と解釈することも十分できた。それなのに、同一のものと自然に判断できてしまうのは妙だと考えたらしい。

 そのうえで彼は心霊写真を霊視した時、さらに疑問が生まれたそうだ。


 霊視というのは、霊がどういったものかを知るために行われるもので、主に霊能力者などが行っている。

 霊感のない私としては、具体的に何をやって何がわかるのかというのは理解できないことも多い。聞いた話だと、死んだ人の霊なら生きていた時、どうしていたかとか、どうして死んだのか、何故成仏できずに現世に残っているのかといったことまでわかるそうだ。

 でも、彼が写真に写るものを霊視した時、その正体がまったくわからなかったようだ。人か動物か、はたまた妖怪と呼ばれる異形なのか、普通はそのいずれかだとわかるはずなのに、何の情報もなく、ただただ正体不明だったみたいだ。

 とはいえ、存在しないというわけじゃなく、それも怪異としては強力と言えるほど、存在感だけは強かった。そのことが彼にまた疑問を与えたようだ。


 前々回、彼は除霊を行えるものの、悪魔祓いができなかったと紹介したけど、正体不明の怪異を相手に、除霊は難しいだろうと感じたようだ。

 とはいえ、特に害がない怪異となれば、そこまで気にする必要はない。怪異=必ずしも排除すべき悪いものというわけじゃないというのは、以前にも話したかと思う。

 ただ、この「名前を付けられた怪異」は違う。妻を殺害した後、夫も自殺したという事件と、この怪異がまったくの無関係とは到底思えないからだ。


 その後、彼は調査していく中で、白い怪異の存在に気付いたそうだ。

 その中には、こちらで以前「黒い死神と、白い死神」という雑話で紹介したものもあった。

 これらは単に白いという共通点しかないにも関わらず、何故か同一のものと認識されるという不思議な点がまずある。

 そして、この白い怪異の周りには、人の死が付きまとっている。

 問題の心霊写真に写っているものも白で、何か関係があると彼は考えたようだ。これは私も同じで、何となくという感覚でしかないけど、無関係とは思えないでいる。


 彼は「名前を付けられた怪異」に対して、人の死を招く危険な存在という認識を持っていたようだ。

 だから、彼はこれを除霊するべき怪異と考えて、さらに調査を進めていった。

 ただ、この辺りは一部情報が断片的になっていた。というのも、ところどころページが破られていたからだ。

 何故破られていたのかというのは、断片的な情報から推測できて、恐らく彼は、ある人物に会っていたようだ。その人物は、「名前を付けられた怪異」の噂に登場する少女だ。


 この少女は、怪異に名前を付けた人物であり、写真に写る白いもやに気付いた人物でもあるわけで、調査するうえで、少女に会うのは重要なことだ。

 ただ、ことがことなので、少女の詳細を書いたページを彼は破り捨てたようだ。

 代わりに、少女から聞いた話は別のページでまとめられていた。


 まず、少女は生まれつき霊感を持っていたとされているけど、本当は違うそうだ。単に心霊関係の話が好きで、自分に霊感があるということにしていたらしい。

 これは、幼い頃に自分をヒーローだとか魔法少女だとか言うのと同じで、少女にとってのヒーローや魔法少女が霊感のある霊能力者のようなものということだったらしい。

 でも、実際には霊感なんてなくて、幽霊を見たり感じたりといったこともなかったようだ。

 つまり、少女が生まれつき霊感を持っていたという話は、少女の嘘だったわけだ。


 そんな中、両親の思い出の写真を見ていた時、白いもやが写っていることに少女は気付いた。

 そして、心霊好きの少女は、写真に写る白いもやが幽霊に間違いないと喜び、それから少しして、その幽霊が家に遊びに来たと話すようになった。

 それからしばらくして、少女は「それ」に名前を付けた。それから両親が亡くなったのは、少し後のことだった。


 少女は両親が亡くなった後、怪異の存在を心から信じ、同時に霊感を持つようになったそうだ。

 彼と同じように除霊みたいなこともできるようで、何か除霊するべき怪異がいた時には、都度除霊しているとのことだった。

 また、自らが生み出してしまったともいえる「名前を付けられた怪異」は少女も追っていて、除霊するというなら協力を申し出たそうだ。

 そして、彼と少女で「名前を付けられた怪異」を呼び出し、除霊する計画を立てたようだ。

 ここで手帳は終わっているけど、その結果は予想できる。恐らく除霊に失敗して、彼は亡くなったというわけだ。


 私はここで、私なりの推理をしてみた。

 元々、心霊写真に写る白いもやは、大したことのない怪異だったのだろう。もしかしたら、撮影時のミスや霧によって写った、怪異ですらないものだったのかもしれない。

 そこに心霊好きの少女が意味を作ってしまった。そして、名前を付けたことで、それは危険な怪異になってしまった。

 つまり、この「名前を付けられた怪異」というのは、少女の嘘が生み出したものということだ。


 今、私の目の前に白いもやから真っ白な顔に変化した、心霊写真がある。

 普通の人なら、危険な怪異が間近にいるということで、恐怖を感じるのかなと思う。

 ただ、私はというと、写真がこのように変化する科学的な説明ができないかと調べているところだ。

 これまで以上に異常者だと思われそうだけど、やはり私は怪異を信じることができないというわけだ。

 というか、人を死に招く危険な怪異だというなら、何故今も私は生きているのかという疑問がまず生まれてしまう。

 本来なら、こうして雑話を書くこともできずに私は死んでいるはずだ。

 そうなっていないということは、やはり怪異が存在しないんじゃないかという結論になってしまう。


 とりあえず、今後の方針はある程度決めた。

 まず、問題の少女を探すというのは絶対だろう。もう大人になっていると思うから、少女と呼ぶのは間違いかもしれないけど、ここでは今後も少女と呼んだ方がわかりやすいかと思うので、そうさせてもらう。

 それと、写真から真相に迫るというのもやってみたい。こちらは、近いうちに知り合いに会って、協力を頼みたいと思う。

 そして、この件について雑話で書き続けることだ。


 私は基本的に怪異を否定する人なので、普段のコラムは科学的な説明を付けたうえで、怪異を否定するという結論でまとめていた。

 でも、否定できないネタというのもたくさんあり、それをどこかで書きたいという思いは前からあった。だから、そうしたネタを雑話として、ここに書き始めた形だ。

 そうして書いていたから、今こうして否定し切れない怪異の存在に近付くことができた。

 なので、この雑話では、今後も「名前を付けられた怪異」を追っていきたいと思う。


 そんな雑話でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ