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真っ白な顔

 前回も軽く触れたけど、亡くなったオカルトライターの手帳を託されてから、それなりに日が過ぎた。

 まだ途中といったところだけど、これまで手帳を読んだり、独自に調査したりしてわかったことを紹介したい。


 この手帳は、取材内容のメモが中心だけど、詳細にまとめられている部分や、自らの体験をどう表現するかといった考察も書かれている。なので、一部を参考に私の方で記事を書くということも十分できるものだ。実際、試しということで書いたのが前回の雑話だ。

 そして、あるところからメモの内容は、「名前を付けられた怪異」に関するものばかりになる。

 彼が「名前を付けられた怪異」の話を知った経緯は、私やエリさんと違って、何故か知っていたという感じじゃなかった。

 事の始まりは、ある心霊写真がきっかけだったようだ。


 心霊写真というのは、霊感がなくても霊の姿を見ることができるものとして、霊感のない心霊好きが特に好んで見るものかと思う。

 私も同じ理由で心霊写真を好んでよく見る一人だ。

 でも、怪異そのものを信じていない私は、どうやったらこんな写真が撮れるのかという方に興味がいってしまっている。

 だから、最近よく見るCGを使った不自然な心霊写真を見る度に「作りが悪い」なんて感想を持っている。

 もはや、心霊写真じゃなくて、芸術作品に対する感想みたいになっているけど、霊感のない心霊好きとなると、そんな楽しみ方もしてしまうということで、許してほしい。


 話が逸れたけど、彼が出会った心霊写真は、少々複雑な事情があるものだった。

 その心霊写真は、他のオカルトライターから譲り受けたもので、どういった事情があるのかという話もそこで聞いたそうだ。


 それは当時高校生のカップルが旅行に行った際に撮った写真だ。

 キレイな景色を背景に二人を撮った写真。

 それだけなら、いい思い出を残す写真になるだけだっただろう。

 でも、そこには気になるものが写っていた。

 それは、仲良さそうに寄りそう二人の背後に写る、白いもやのようなものだ。

 しかも、そのもやはどこか人の顔のように見えた。


 心霊写真に写るものは、様々な色を持っていて、それぞれに意味がある。

 有名なものとして、赤は「警告」を表す色で、危険信号と言われている。赤い光の入った心霊写真を撮った際は、今後何かしらかの不幸が起こる可能性があると捉えて、警戒するべきだそうだ。

 黒も危険な色の一つで、いわゆる「どす黒い感情」を持ったものがそこにいるということらしい。

 血を連想する赤、闇を連想する黒が、一般的に悪い色と言われている形だ。


 一方、比較的安全と言われる色もある。

 それは、青、緑、そして白だ。

 青は癒し、緑は幸運といった意味があるようで、今後良い方向に進む兆候といった解釈が多い。

 そして、白も自然に存在する精霊のようなものが偶然写ったもので、基本的に害はないという扱いになっている。

 つまり、白は基本的に問題ないということで、二人の背後に写る白いもやも気にする必要はないという結論になる。

 ただ、この写真に関しては、そんな単純な話じゃなかったようだ。


 このカップルは後に結婚して夫婦になり、その数年後に娘が生まれた。

 そんなある日、思い出を振り返りながら、過去の写真を見ていた時、娘が白いもやに気付いた。

 気付いてしまうと気になってしまい、両親は霊感のある知り合いに写真のことを相談した。

 ただ、その知り合いは特に気にしなくていいと言い、それでも気になるならと、その知り合いが写真を預かることになった。


 それから少しした後、夫が妻を殺害し、自らも自殺するという事件が発生した。

 それだけでなく、唯一残された娘に霊感があったという話が加わり、それが「名前を付けられた怪異」という噂になったわけだ。

 その後、問題の写真は処分されることなく、噂と一緒に人から人へと渡されていった。

 そして、亡くなったオカルトライターのところにこの写真が来た時、どういった経緯があるのかという話を聞いたようだ。


 今、この写真はエリさんを経由して、私のところにある。というか、手帳に挟んであった形だ。

 手帳に書かれているとおり、顔にも見える白いもやが写っているけど、心霊写真としてはよくあるというか、そこまで珍しいものでもなかった。

 また、写真の裏には撮った日を表しているのか、「1991年4月1日」という日付が書かれていた。

 その日、何かあっただろうかと調べてみたけど、特に気になることはなかった。


 ただ、実は前回の雑話を書いた直後、この写真に変化があった。

 前回は手帳を読みながら雑話を書いていて、投稿を終えた後、手帳を棚に戻そうとした。

 その時、手帳に挟んでいた写真が落ちて、私はそれを拾った。

 ふと、裏に書かれた日付が目に入り、この日付の丁度30年後にあたる2021年4月1日を迎えていることに気付いた。

 だから何だと思いつつ、写真を見ていたら、段々と白いもやが濃くなっていった。


 最初は目の錯覚かと思ったけど、気付けば白いもやは真っ白な顔に変わっていた。

 その直後、顔の表情が変わったように見えて、私は思わず写真を落とした。

 気持ちを落ち着かせて、改めて写真を見ると、表情は戻っているものの、やはり真っ白な顔が写っていた。

 写真が変化するという話は聞いたことがあり、その理由は霊的なものだけでなく、単に色褪せただけとか様々だ。

 ただ、ここまではっきりとした変化が起こる理由はわからなかった。


 私はさすがに何かありそうだと、本物の霊能力者と信用している彼女に電話をした。

 ただ、遅い時間だったからか彼女は電話に出てくれなくて、しょうがないからメールをしておいた。

 でも、今のところ彼女から返事がなくて、この心霊写真が変化した理由については不明のままだ。

 また何かわかったことや、おかしなことがあった際には報告したいと思う。


 そんな雑話でした。

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