異世界に行く方法
前回に引き続き、「本物の霊能力者」として紹介している彼女に、某掲示板で噂されている怪談を話したら、どんな感想をもらえたかという話を紹介する。
今回は少し怪異とは違うかもしれないけど、「異世界に行く方法」という噂について感想をもらった。
この「異世界に行く方法」というのは、エレベーターを使って異世界に行くことができるなんていう噂だ。
具体的な方法については、以下の通りだ。
まず、十階以上ある建物のエレベーターに一人で乗った後、四階、二階、六階、二階、十階の順に移動する。この時、途中でエレベーターから降りたり、誰か別の人が乗ってきたりしたら失敗になる。
次に五階に移動すると、女性が乗ってくる。これは女の子だという話もあるそうだけど、生きた人じゃないらしい。ここでの注意として、乗ってきた女性に話しかけてはいけない。話しかけてしまうと、そこで失敗になってしまう。
女性が乗ってきたら、一階のボタンを押す。しかし、エレベーターは下へ行かずに上がっていくそうだ。
そのまま九階を過ぎると、そこは異世界とのことだ。
元々いた世界との違いは、その世界に自分しか存在しないという点だ。周辺をいくら探しても、自分以外の人が誰一人いないとのことだ。
なお、異世界に行った後、戻り方は一切紹介されていないので、行う際は自己責任で行ってほしい。
最近、ライトノベルなどを中心に異世界ものが流行っているけど、この話は結構前から噂されていたかと思う。
それにライトノベルに出てくる異世界とは違い、自分一人しかいない世界ということで、随分と夢のない話だ。
でも、オカルト好きの人で実際に試した人もいるようで、不思議な体験をしたと語る人もいる。
この体験談というのは、不思議なことが起こったので、最後九階を過ぎる前にエレベーターを降りて、中断させたという話が多い。異世界に行って戻ってこれないとなれば、当然その体験を私達に伝えることはできないわけだし、これは自然なことだろう。
ただ、異世界に行った後、なぜか戻ることができたといった話も一部あるので、絶対に戻れないということでもないようだ。とはいえ、前述した通り、確実に戻る方法が確立されていないわけなので、実際に行う際は自己責任と言われている。
彼女はこの話を聞いて、何から言えばいいのか迷っている様子だった。とりあえず、彼女は異世界ものにも馴染みがないようで、異世界がどういうものなのかというところから訳がわからないといった感じだった。
なので、私から少しフォローする形で説明しつつ、それを受けて彼女なりに考えてくれた。
そして、最初に彼女が話したのは、神隠しと呼ばれるものについてだ
神隠しというのは、突然人がいなくなってしまうというもので、それが神によるものじゃないかといった説から言われるようになったものである。
神隠しの話は、古くから数え切れないほど多く語られていて、聞いたことがあるという人も多いだろう。
ただ、彼女は神隠しに関する話を聞いたことがあるとしつつも、それが怪異と呼べるものかどうかも含めまったくわからず、言ってしまえば専門外だそうだ。
なので、異世界に行く方法といった話が神隠しとかそういった話に繋がるものだとしたら、彼女としてはお手上げとのことだ。
そんな前置きをしたうえで、彼女はエレベーターという点に注目して、ある話をしてくれた。
まず、彼女はエレベーターが苦手で、あまり乗らないそうだ。
エレベーターが苦手という人は一定数いるようで、見ず知らずの人と狭い空間に閉じ込められる感覚とか、他に人がいると知り合いと一緒でも話しづらい空気があるとか、そういったことが苦手という人もいるかと思う。
彼女の場合、人の念や思いといったものを人並み以上に感じ取ることができるようなので、尚更エレベーターというものを苦手にしているようだ。
彼女の話だと、空間に念や思いが留まることがあるようで、エレベーターに留まる念や思いがどうも苦手だそうだ。
それを考えると、エレベーターは他の場所とは異なる空間と言えるとのことだ。
そして、彼女はエレベーターに乗ったまま、決められた階に移動するといった儀式の危険性についても言及した。
儀式というと、古い物を使って行うものと考える人が多いかと思うけど、彼女によると古いか新しいかは関係ないそうだ。
今回話題にあがったエレベーターだけでなく、パソコンやスマホを使った場合でも、何かしらかの意図が込められた手順は、儀式や呪いといったものになってしまうようだ。
つまり、エレベーターを用いた異世界に行く方法というものは、何かしらかの意図が込められたものであり、間違いなく儀式といえるものになっているそうだ。
また、こうした儀式というのは、達成するのが困難であればあるほど大きな効果を発揮するそうだ。
それを踏まえて今回紹介した手順を振り返ってみると、なかなか困難だということがわかる。
十階以上ある建物というとマンションなどが最初に思い付くけど、そこだと誰かが途中で乗ってくる可能性が高い。
それならどこがいいかと考えたところで、答えはなかなか出てこないだろう。
深夜や朝方といった人の利用が少ない時間帯を狙うにしても、人が来る可能性はあるし、そもそもで不審者扱いされる危険だってある。
考えれば考えるほど、困難だということがよくわかる。
だからこそ、達成できた時に何かしらか大きな効果が出る可能性は十分あるだろう。
最後に、彼女は途中で乗ってくる女性について、ある考察を話した。
生きた人ではないと言われているし、もしかしたら、この女性を呼び出す儀式という見方も考えられるそうだ。
つまり、かなり手順は異なるけど、こっくりさんのような降霊術の一種ということだ。
そして、異世界に行くというのは、降霊術が成功した後の副次的なものじゃないかとのことだ。
考えてみれば、生きた人じゃない存在とエレベーターで二人きりになるというのは、なかなか嫌なものだ。
結果、何かしらか強い霊障を受けて、あたかも異世界に行ってしまったかのようになるという説は、確かにありそうだ。
とはいえ、その場合は命を落としたり、幻覚を見せられたり、それこそ神隠しにあったりと、ろくなことにはならなそうだ。
異世界に行く方法といった話は、これだけでなく、電車を使った方法などもあるそうだ。
電車というと、きさらぎ駅という都市伝説を思い浮かべる人もいるかと思うけど、手順が不明なだけで、似たようなものなのかもしれない。
今回紹介した通り、彼女も専門外なので、何が起こるかという部分も含め、ほとんど考察になってしまった。
ただ、それは何が起こるかわからないという意味でもあるので、くれぐれも行う際は自己責任で行ってほしい。
そんな雑話でした。




