心霊写真を追う夢
私には心霊好きの男友達がいて、よく色々な話をしてくれる。
今後、何度も登場しそうだから、ここでは彼のことをSと表すことにする。
今回はそんなSが体験した話の一つを紹介する。
その夜、Sは夢を見ていた。そして、夢の中でSは一枚の心霊写真を追っていた。
その写真は、キレイな景色を背景に男女二人が写ったもので、一見すると旅行の記念に撮った写真のようだった。でも、二人の背後には白いもやのようなものが写っていて、見ようによっては人の顔に見えた。
写真の裏には、「1991年4月1日」と日付が書いてあり、おそらく写真を撮った日付を表しているのだろうと推測できた。
Sは、この写真がどこかの観光地で撮られたものだろうと推理して、様々な地方を巡りつつ、写真に写る人物と場所に見覚えがある人はいないかと調査を進めていった。でも、なかなか重要な情報は得られず、調査は難航した。
夢というのは、何の結末も迎えることなく覚めることが多くある。この時も同じで、Sは心霊写真について何もわからないまま目を覚ましてしまった。
辺りは真っ暗で、まだ深夜だというのはすぐわかった。何でこんな深夜に起きてしまったのかと思いつつ、Sは今見た夢を思い返した。
所詮は夢だけど、謎解きも好きなSとしては、何もわからないまま終わってしまったことが不満だった。だから、何かあるんじゃないかと少し頭を働かせた。
「どんな夢を見たの?」
そんな声が聞こえて、Sは自分が見た夢の内容を思い返しながら、
「何か心霊写真を追っていて、写真の裏には『1991年4月1日』って日付があって、色々観光地とか回ったけど何もわからなくて……」
と順に説明していった。説明することで、S自身も頭の中で今見た夢の内容をある程度整理できた。
でも、そこでSはある疑問を持った。
今、質問してきたのは誰なのか?
当時、Sは実家暮らしなものの一人部屋で寝ていたから、こんな深夜に誰かがいるというのはおかしい。そう気づいてSは声がした方へ目を向けたけど、そこには誰もいなかった。
はっきりと目を向けるまで、そこにはぼんやりと人影のようなものが立っていた。でも、その人影はいつの間にか消えて、部屋にはSしかいなかった。
その時の体験、そして見た夢のことをSは今でもよく思い返すそうだ。単なる夢と片付けるのは簡単だけど、目を覚ました後に聞こえた不思議な声も含め、何かあるんじゃないかとSは言っていた。
こう言うのは良くないかもしれないけど、オカルトライターとして私は結論がほしいから、Sが何か重要な手がかりを見つけてくれることを心から願う。
そんな雑話でした。