ビデオ通話
こういったご時世だと、ビデオ通話を活用する人も多いと思う。
離れた人が相手でも、お互いに顔を見て会話ができるというのは、画期的な技術だ。
ただ、ビデオ通話をやる際は、相手が本当に存在しているか、よく考えてほしい。
今回は、サラリーマンEの体験談を紹介する。
Eは元々自宅にパソコンがあって、それなりに活用していた。
だから、友人からビデオ通話をしながら酒を飲もうと提案された時も、すんなり受け入れられた。
すぐにウェブカメラを購入し、無事に設定を終えると、Eと友人はビデオ通話のテストも兼ねて、早速飲もうという話になった。
様々なソフトがある中で、有名なものを選ぶと、Eは一通りの設定をあっさり終えて、友人とビデオ通話を繋いでみた。
でも、友人の方はうまく設定できないようで、「もうちょっと待ってほしい」といったメッセージがスマホの方に届いた。
Eはビデオ通話を繋いだまま友人を待っていたけど、なかなか来ないので、適当に動画サイトなどを見て時間を潰していた。
それからある程度の時間が過ぎたところで、急に
「もしもし?」
といった声が聞こえた。
最小化していたウィンドウを戻すと、そこには友人の姿が映っていた。
「遅いよ」
「ごめん、手こずった」
「とりあえず、大丈夫そうだね」
E達は酒を持ってくると、軽く乾杯をした。
ビデオ通話ではあるものの、こうして直接話すのは久しぶりだ。なので、E達はお互いに近況報告から話を始めた。
そうして十分ほど話していたところで、またスマホにメッセージが届いた。
何かと思って確認すると、そこには友人からの「今夜は接続できそうにないから、また次回にしよう」というメッセージが来ていた。
Eは今、こうして友人とビデオ通話をしているから、何を言っているのだろうかと思いつつ、パソコンに目を戻した。
「なあ、変なメッセージが来たんだけど、これ何?」
Eがそう聞いても、友人から返事はなかった。
それだけでなく、友人の画面は固まってしまったのか、まったく動いていなかった。
「もしもし?」
何度か呼びかけても、返事はなく、画面も固まったままだった。
接続が切れたのだろうかと思いつつ、自分の方のネットワークを確認しようとしたところで、友人の画面に変化があった。
ただ、それは動いたとかそういったものじゃなく、何だかグニャグニャと歪んでいくような、なんとも不気味な変化だった。
さすがに怖くなり、Eは接続を切った。
そうすることで友人の画面は消え、ひとまずEは安心した。
その後、友人にスマホで連絡を取ったものの、ビデオ通話には接続できていないの一点張りで、Eの話を聞いても信じてくれなかった。
Eは友人が悪戯でもしたのだろうかと思ったけど、友人はそこまでパソコンに詳しくないはずなので、それも考えづらいと感じたそうだ。
後日、無事に友人とはビデオ通話ができたけど、この時のことは今でも腑に落ちないでいるようだ。
声だけでなく、姿も見えるということで、ビデオ通話はそこに相手が存在しているという感覚を強く持てるものだ。
でも、本当に相手が存在しているかどうか、それは確認のしようがない。
ネットワークを跨いだその先に、実は誰も存在しない。
もしかしたら、そんな現実もあるのかもしれない。
そんな雑話でした。




