表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/99

落とし物

 外を歩いていると、時々落とし物を見つけることがある。

 それが財布とかだったら、交番に届けるべきだけど、そうでなければ無視して見ないふりをする人が多いと思う。

 ただ、時には落とし物を拾って、そのまま持ち帰ってしまうなんてこともあるかもしれない。

 一言助言しておくと、金目の物じゃなかったとしても、そうした落とし物は絶対持ち帰らない方がいい。

 今回は、ある落とし物を拾い、持ち帰ってしまった女子高生Oの体験した話を紹介する。


 Oがそれを見つけたのは、本当に偶然だった。

 下校時、高校の最寄り駅でスマホを出そうと顔を下にやったところで、それが視界に入った。

 それは指輪のようなリングが付いたキーホルダーだった。

 普通、こんな物を見つけても拾わないけど、Oは引き寄せられるかのように、そのキーホルダーを手に取った。


 特に高そうな感じではなくて、もしかしたら手作りかもしれない。

 そんなことを思いつつ、眺めていたところで、丁度電車が来た。

 その場にまた落とすのも良くないなんて心理もあり、Oはそのままキーホルダーをポケットに入れると、電車に乗ってしまった。


 家に着き、Oはしばらくキーホルダーの存在を忘れていたけど、ふと思い出すと制服のポケットから取り出した。

 改めて見ると、そこまで精巧な作りというわけでもないようだし、やっぱり手作りだろうと感じた。

 わざわざ持って帰るような物じゃなかったなと、ちょっとした後悔もありつつ、Oは机にキーホルダーを置いた。


 それから、Oはまたキーホルダーの存在を忘れて、適当に友人と電話したり、宿題をやったり、夕飯を食べて風呂にも入ってという、いつもと同じような感じで夜を迎え、ベッドに入った。

 Oは比較的寝付きが良く、ベッドに入ればすぐに眠ってしまうことがほとんどだ。

 でも、この日はなかなか寝付けなかった。


 そうこうしていると、何かコトコトといった音が部屋に響いた。

 一瞬、地震かと思ったけど、特に部屋が揺れている様子もなく、Oは気のせいだろうと無視した。

 でも、音は次第に激しくなり、ガタガタといった大きな音になっていった。

 さすがに何の音だろうかと思い、Oは起き上がった。

 音は机の方からしていて、目を凝らすと何かが動いているのが見えた。

 ただ、暗い中だと何なのかわからなくて、Oはスマホを手に取るとライトをつけ、机に向けた。

 その瞬間、Oの全身に寒気が走った。


 机の上、キーホルダーが置かれたところに真っ白な手があり、必死にキーホルダーをつかもうと激しく動いていた。

 ただ、うまくつかめないようで、キーホルダーに何度も手がぶつかる形になっていた。

 先ほどから聞こえていた音は、そうして手がぶつかることで、キーホルダーが机の上を跳ねる音だった。


 Oは悲鳴をあげると、すぐに部屋を出て両親のところへ行った。

 両親は何か悪い夢でも見たのだろうと、Oの話を真剣に聞かなかったけど、落とし物を持って帰るのは良くないと、明日駅に届けることを提案した。

 それを受け、Oはキーホルダーを玄関の棚に置いた後、またベッドに入った。

 でも、先ほど見た光景が忘れられなくて、その晩はほとんど眠れなかった。


 翌日、Oは学校へ行く際にキーホルダーを持っていった。

 そして、キーホルダーを拾った駅で、駅員に事情を説明した。

 すると、駅員からこんな話を聞いた。


 昨日、キーホルダーを落としたと女性が訪れたらしい。

 そのキーホルダーは亡くなった娘がプレゼントとして送ってくれた手作りの物で、どうしても見つけてほしいとお願いしてきたそうだ。

 駅員は見つからないだろうと半ば諦めていたから、Oが届けてくれたことで大変喜んでいた。

 それから、落とし物をした人がお礼を言いたいだろうからと駅員に名前を聞かれたけど、Oはこれ以上関わりたくないと考えて、名乗らずにその場を離れた。


 人が物を大事にする時、その物には魂が宿るなんて言葉がある。

 Oにとって大した物じゃなくても、落とした人にとっては本当に大事な物だったのだろう。

 もしかしたら、どうにか取り戻そうという強い思いが、Oの所に怪異として現れたのかもしれない。

 繰り返しになるけど、もし落とし物を見つけたとしても、絶対に持ち帰らない方がいい。


 そんな雑話でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ