ボイスレコーダー
私は取材などをする際、ボイスレコーダーを活用している。
当然、取材をする時にメモを取るけど、聞き逃しもあるし、私にとってボイスレコーダーは必需品ともいえる。
今回は、そんなボイスレコーダーに関する怪談を紹介する。
大学生のDは、趣味で作曲をしていて、不意に何かフレーズを思い付いた時のため、ボイスレコーダーを持ち歩いていた。
Dの使うボイスレコーダーは、クリップのようなものが付いた特殊なマイクが付属していて、服などに付けられるようになっていた。
ある日、Dはマイクを服の中に隠せば、誰にも知られることなく録音できると気付き、時々日常の会話を録音するようになった。
自分の声だけでなく、相手の声も比較的クリアに録音でき、しかもそうして録音していることに誰も気付かないというのが何だか楽しく、当初とは違う形でボイスレコーダーが活用されるようになっていった。
その日、Dは帰宅すると、大学でこっそり録音したものを聞きながら、課題のレポートを進めていた。
大学で録音したものを聞いていると、自然と大学にいるような気分になるので、それこそ作業BGMとしてDは活用していた。
その時、妙な声が聞こえ始めたので、Dは手を止めた。
それは女性の声で、当然自分の声じゃなければ友人の声でもなかった。
最初は声も小さく、何を言っているのかよくわからなかった。
でも、少しずつ声が大きくなるに連れて、Dは女性が何を言っているのかわかった。
「聞こえる?」
女性の声は、ただその質問を何度も言い続けていた。
声はドンドン大きくなるけど、叫んでいるわけじゃなくて、それこそボソボソ声といった感じだった。
それはまるで、声を発している女性がマイクに近付いてきているかのようだった。
さすがに怖くなり、Dは再生を止めた。
幽霊の存在などDは信じていないけど、こんなものが録音された理由がわからず、ただただ困惑するしかなかった。
そこでふと、Dは嫌な考えが浮かび、イヤホンを付けたまま、録音ボタンに指を当てた。
このボイスレコーダーは、録音している時、イヤホンからリアルタイムで録音している音を聞くことができる。
まさかそんなことないだろうと思いつつ、Dは録音ボタンを押した。
「聞こえる?」
大音量でその声が聞こえた瞬間、Dは停止ボタンを押し、そのままイヤホンを外すとボイスレコーダーを投げ捨てた。
そして、Dはすぐにそのボイスレコーダーを処分したそうだ。
Dはボイスレコーダーに女の幽霊が憑りついたのだろうと考えたそうだ。
だから、ボイスレコーダーを処分した今は大丈夫だろうと安心しているらしい。
ただ、Dの中に、ある疑念が残っているのも事実だ。
それは、幽霊が今もDのそばにいるのではないかという疑念だ。
でも、Dは今もそれを確認する勇気を持てないまま、日々を過ごしているそうだ。
そんな雑話でした。




