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本物の霊能力者

 以前、「信用できる霊能力者はいないのか?」という雑話の中で、知り合いに信用できる霊能力者がいるといったことを軽く書いた。

 今回は、その霊能力者について書こうと思う。


 いつもならイニシャルのようなものを付けるけど、彼女がそれを嫌ったので、ここでは単に「彼女」と明記することにする。

 彼女との出会いは、少々不思議なものだった。


 当時、私は心霊スポットの調査を終えた後、軽食でも取ろうかと喫茶店に寄った。

 喫茶店に入ると、店員が近付いてきた。でも、その店員が言ってきたのは、よくある「いらっしゃいませ」じゃなかった。


「すいません、その肩についているの、はらってもいいですか?」


 いきなりこんなことを言ってきた店員が、彼女だった。

 最初、私は何を言われたのか、まったく理解できなくて固まってしまった。

 そうしていると、他の店員が来てくれて、彼女には霊感があり、時々こんなことがあるといったフォローを入れた。


 私はオカルトライターとして仕事も軌道に乗り始めた頃だったし、そういうことならと彼女に「はらってほしい」とお願いしてみた。

 その願いを聞いて、彼女は私の肩をニ、三回はらってくれた。

 すると、何だか肩が軽くなったような気がした。

 それまで、別に肩が重いとか思っていたわけでもないのに、彼女が肩をはらってくれたことで、気分すら軽くなったような不思議な感覚があった。


 これは何かあるかもしれないと、私は自らがオカルトライターとして活動していることを伝えたうえで、彼女の取材を申し出た。

 でも、彼女はとても困った様子で、取材を受けてくれそうな雰囲気じゃなかった。

 それでも無理を言って、何とか話だけでも聞くことはできた。


 彼女は、生まれつき他の人には見えない存在――いわゆる怪異と呼ばれる存在を認識することができた。

 それは、もやのようなはっきりとしない姿で現れることもあれば、はっきりとした姿で現れることもあり、様々だそうだ。

 中には、生きた人や動物と同じ姿で現れるものもあり、はっきりと見えることもあるらしい。

 でも、彼女はそれが生きた存在か、そうでないかの判断がすぐにできるそうだ。

 なぜ判断ができるのか、彼女はうまく説明できないようで、「何となく」と言っていた。


 こうした他の人にはない能力を持っているものの、それを彼女が自覚したのは、それなりに成長した後だったようだ。

 何をきっかけに自覚するようになったのかという部分について、彼女は話したくない様子だったので、聞かなかった。

 ただ、何か良くないことがあったんだろうなということは感じた。


 その後、彼女は怪異というものを自分なりに勉強して、どう対処するべきかということを決めていった。

 最初に取った対処としては、必要以上に怪異に近づかないようにするというものだ。

 これには、怪談を聞いたり、心霊系の番組やホラー映画を見たりといったことも含まれるようで、彼女はそういったものを極力避けるようにしているそうだ。

 それこそ、テレビでホラー映画のCMがあった時にテレビを消したり、ネットサーフィンをしている時に怖い話を見かけたらブラウザを閉じたり、徹底しているらしい。


 そうして過ごしていても、時には怪異に遭遇してしまうことがある。

 それに対しては、別の対処ができるようになった。

 怪異の対処としては、「除霊」というものがよく使われる。言葉の通り、霊=怪異を除外するというものだ。

 でも、彼女が行っていることは、「浄霊」だそうだ。

 これは、怪異を除外するのではなく、浄化させるという意味だそうだ。


 これまで、私は怪異すべてが悪いというわけじゃなく、中には良い怪異も存在するといった話をしてきた。

 これは彼女からの受け売りで、怪異=悪いものというわけじゃないと、彼女は思っているそうだ。

 ただ、どの怪異が良くて、どれが悪いかという判断については、彼女も曖昧なようだ。

 例えると、目の前にいる人が、良い人か悪い人か判断するのに似ているという。


 また、悪い怪異を見つけたからといって、必ず対処するといった姿勢でもないそうだ。

 これも例えてくれたけど、いかにも怖そうな人を見かけたからといって、警察に連絡しないのと同じだなんて彼女は言っていた。

 つまり、彼女は浄霊するべきかどうかというのを、怪異の良し悪しだけでなく、自ら浄霊したいと思わない限りしないといったスタンスのようだ。

 そのうえで、私に憑いていた何かを浄霊してくれたのは、彼女の気まぐれだったのかもしれない。


 彼女の気まぐれは、これだけで終わらなかった。

 どういうわけか、彼女は私を心配してくれて、何か悪い怪異がついた時に対処すると約束してくれた。

 彼女は霊能力者として活動していないから、何か依頼されて浄霊するといったこともしていない。

 それなのに、そんな約束をしてくれたのだ。

 彼女の真意はわからないものの、私はそれを快く受けて、彼女に自分の連絡先を教えた。

 そして、何かあった時は連絡してほしいとお願いした。


 それから、いかにもやばそうな心霊スポットへ行った帰りや、霊障にあっている人の取材に行った後、彼女から連絡が来るようになった。

 内容はいつも同じで、「良くないものが憑いているから浄霊したい」というものだった。

 前述したとおり、彼女は怪談や怖い話などを見ないようにしているから、私の記事を見ることもないはずだ。

 それなのに、彼女は私がどういった場所へいったのかとか、どういった人に会ったのかというのを毎回言い当てたうえで、浄霊してくれる。

 それこそ記事として公開する前の内容についても言い当てるので、彼女は本物の霊能力者なのかなと思っている。


 さて、今回この話を雑話として載せたのは、彼女からの提案というか指示によるものだ。

 また何か良くないものが憑いているということで、彼女に浄霊してもらった時、十月から始めたことについて詳しく聞きたいと言われた。

 そこで思い当たったのは、この雑話だ。

 いわゆる記事にするまでもない没ネタともいえるものを、雑話として公開し始めたのが十月のことだ。

 そのことを伝えると、彼女は雑話に自分のことを書いてほしいと言ってきた。

 その理由について、詳しいことは教えてくれなかったけど、そうすることで何か良くない怪異を引き寄せた時、対処しやすくなるからとのことだった。

 私としては、彼女のことを何かしらかの形で書きたいと思っていたし、そういうことならと今回書かせてもらった。

 せっかくなので、これからは彼女から聞いた話なども紹介できればと思う。


 そんな雑話でした。

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