サンタクロース
幼い頃、クリスマスの朝が楽しみだった人は多いだろう。
枕元に置かれた、サンタクロースからのプレゼント。起きてすぐにそのプレゼントを確認して、朝から大はしゃぎした思い出は私にもある。
今回は、そんなサンタクロースの話をしたいと思う。
さて、暴言だと怒られることを覚悟のうえで言わせてもらう。
私はサンタクロースが怪異の一種だと考えている。
これまでにも、怪異すべてが怖いもの、あるいは悪いものと考えるのは誤りで、良い怪異もいるといった話をしてきた。
サンタクロースは、当然良い怪異ということだ。
色々と調べてみると、サンタクロースのモデルは、キリスト教の司教だそうだ。
その司教は、貧しい人に金貨をめぐんでいたそうで、それが由来で今のサンタクロースになっているのではとのことだ。
プレゼントを靴下に入れてくれるというのも、貧しい家に金貨を投げ入れた際、靴下に金貨が入ったからといった話が基になっているようだ。
真っ赤な服に、もじゃもじゃの白い髭。トナカイの引くソリに乗って、夜空を飛び回るというイメージは、様々な絵本などを通じて作られたものだ。
たとえ嘘であっても、多くの人がその存在を知り、さらに信じることで怪異が現実になるという話を以前紹介した。
そのうえで考えると、サンタクロースは、現実になりやすい怪異といえる。
絵や映像などで表されることも多いから、その存在だけでなく、どんな姿かも多くの人が知っている。
そして、信じる信じない以前に、信じたいと思う人が多いというのも重要だ。
また、ちょっと夢のない話をすると、子供にサンタクロースの存在を信じさせようと、両親がこっそりプレゼントを用意するといった家庭は多い。
ただ、こうした子供に信じさせたいという両親の思いも、サンタクロースを現実にする強い要素になる。
実際、サンタクロースにまつわる不思議な話も色々ある。
今回は、ある一家で起こった、不思議な話を紹介しよう。
その夫婦は、幼い娘のためにクリスマスプレゼントを事前に用意すると、見つからないように鍵のついた倉庫に隠していた。
そして、クリスマスイブの深夜、倉庫からプレゼントを出し、娘の枕元にこっそり置く予定だった。
しかし、クリスマスイブの夜、夫の仕事でトラブルが発生して、その日は帰れなくなってしまった。
プレゼントを隠した倉庫の鍵は夫しか持っていないから、今夜のうちに娘の枕元にプレゼントを置けない。朝、プレゼントがなかった時、娘はきっと悲しむに違いないと思いつつ、どうすることもできなかった。
仕事を終え、夫が帰れるようになった時には、もう辺りは明るくなり始めていた。
まだ娘が眠っていることを願いつつ、夫は家に着き、そして信じられない光景を見た。
そこには、プレゼントを喜ぶ娘の姿があったのだ。
妻がどうにかしてくれたのかと思ったものの、そういうわけでもなく、何が起こったのか、まったく理解できなかった。
鍵のかかった倉庫を開けると、中にあったはずのプレゼントはなくなっていて、もう一つ別にプレゼントを用意したというわけでもなかった。
ただ、何か魔法のように倉庫の中からプレゼントが飛び出し、それが娘の枕元に置かれたのだ。
これは、サンタクロースを信じた娘と、娘にサンタクロースを信じさせようとした夫婦によって起こった、怪異だったのかもしれない。
大人になると、自然とサンタクロースを信じることはなくなる。
でも、信じる気持ちは、いつまでも持っていていいかもしれない。
今回の雑話を書いている時、ふと昔のことを思い出した。
クリスマスイブに街を歩いていたら、サンタクロースの恰好をした少年がいて、当時私と一緒にいた人は、その少年のことを本物のサンタクロースだと言っていた。
その時は単なるコスプレだろうと決め付けてしまったけど、もしかしたら本当に本物のサンタクロースだったのかもしれない。
そんなことを今更ながら信じてみたくなった。
そんな雑話でした。




