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曰くVS技術の進歩

 曰くというものは、様々な場所にあって、それこそ数え切れないほどある。

 そうした曰くは、都市開発を進めるうえで、時に障害となる。

 何とか撤去しようとしたものの、事故が発生してできなかったなんて話も無数に存在する。

 でも、技術の進歩によるものか、曰くのある場所が変わった例もある。

 今回はそんな話を三つほど紹介する。


 まずは有名なところから話そう。ある空港の駐車場に、長いこと居座り続けた鳥居についてだ。

 この話は有名なので、ご存知の方も多いだろう。

 詳しい事情については省略するけど、移転しようとした際、他のものは移転できたのに、その鳥居の移転だけができなかった。

 その理由は、移転しようとすると事故が起きたり、作業員が死亡したりするからだといった話が残されている。


 そうして、残された鳥居は約半世紀も駐車場の真ん中に立っていた。

 それは一見して異常なもので、典型的な曰くといえるものだった。


 でも、この鳥居は現在そこにない。

 その後、鳥居の移転作業が無事に行われ、約半世紀も存在していた曰くはなくなったわけだ。

 移転作業に関して、事故や関係者の不幸があったといった話を私は知らないし、おそらくなかったのだろう。



 次に紹介するのも、ある神社の話だ。

 そこは、国道と平行した細い道にあった神社で、辺りに街灯が一切なく、夜になれば真っ暗になる場所にあった。

 すぐ近くの国道には街灯があるのに、そこに来た途端、辺りが真っ暗になるということ。鳥居を抜け、さらに社殿の横を通り過ぎ、林を抜けていくと、その先には墓地があること。それだけで、不気味な雰囲気は十分あった。

 さらに、ここで首吊り自殺をした者がいるという噂があり、地元の人の間では、ちょっとした心霊スポットになっていた。


 さて、この神社の現在はどうなっているかというと、一応今も同じ場所に存在している。

 ただ、辺りの道に街灯がつけられただけでなく、社殿も改装され、夜には明かりがつくようになった。

 そうして、今は夜に訪れても明るく、以前のような不気味な雰囲気はすっかり消えた。

 今では、その神社が心霊スポットだという話をほとんど聞かない。そこにあった曰くは、恐らくもうないのだろう。



 最後に、ある林道にまつわる話を紹介する。

 そこは、崖のようになっている林の中を通る道で、所々に木が固定されていて、簡素な階段のようになっていた。

 ただ、土はむき出しで、いわゆる獣道のような感じだった。


 当然、歩きでしか通れない道だけど、意外にも利用者は多かった。

 近くにある中学校の通学路に指定されていたというのもあるけど、歩行者しか利用できない近道として、地元の人はよく利用していた。

 でも、当然のことながら、林道の中を通るということで、夜になれば不気味な雰囲気があった。


 そんな場所だから、ここを通学路にしている人を中心に、近くの中学校で様々な噂が飛び交った。

 中学生ともなれば、こうした噂が大好きな年代だから、当然の流れともいえる。

 その中で、二つの噂が頻繁に言われるようになった。


 一つ目は、ここの林で首吊り自殺をした者がいたというものだ。

 これについては、単なる噂ではなく、事実だと確認された。

 この首吊り自殺の第一発見者は、当時中学校に通っていた生徒だった。

 その生徒は、警察の事情聴取などを受けるため、その日学校を休むことになったそうだ。

 このことは当時話題になり、クラスどころか学校中の噂になった。

 その後も、先輩から後輩に伝わったり、兄弟を持つ生徒が聞いたり、事実として語り継がれた形だ。


 二つ目は、ここでバイク事故があったというものだ。

 前述したとおり、ここは歩きでしか利用できない道で、自転車で通ることすら難しい道だ。

 それにもかかわらず、バイクがこの道に入ってしまったそうだ。

 それも、坂の上から入ってしまったから、そのままバイクを制御できず、太い木に激突した。

 この運転手は、亡くなってしまったらしい。

 これも事実で、林道の脇に焦げた丸太が存在しているなど、事故の痕跡を確認できるものも残されていた。


 ここまでの流れでわかりそうだけど、この道も今はなくなっている……と言っていいか、判断に迷うところだ。

 すぐ近くには舗装された道が新設され、開発も進んでいるそうだ。

 ただ、この林そのものは今も残っている。何なら、入り口をガードレールで塞いだだけで、この道もまだそこにあるのだ。

 もしかしたら、ここにはまだ曰くが残っているのかもしれない。



 さて、三つほど紹介したけど、こうした曰くは今後も少しずつ減っていくものだろうと、私は考えている。

 それだけ、技術の進歩というものはすごいということだ。

 ちょっとした曰くぐらいなら、容易くなくせるぐらい、技術の進歩が進んだといえるかもしれない。

 もしかしたら、古くから曰くのある場所なんて、珍しいものになる未来もあるかと思う。


 ただ、それですべての怪異が消えることはないだろうというのも、私の考えだ。

 長い間、その状態であったものを変えることで、また新たな曰くを生み出す危険は少なからずあるはずだ。

 技術の進歩や都市開発を否定するわけではないけど、本来あるべき姿というものが何なのか。

 そんな疑問を私は持ってしまう。


 そんな雑話でした。

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