心霊ビデオの砂嵐
これまでに何度か紹介している、心霊好きな男友達Sの体験談を今回も紹介する。
もしかしたら、今の若い人はVHSというのを知らないかもしれないけど、これはそのVHSが主流だった頃の話だ。
Sは心霊ものの投稿映像を扱った作品を見るのが好きで、昔からよくレンタルで借りて見ている。
こうした投稿映像を扱った作品はシリーズ化した有名なものからマイナーなものまで様々あり、中には出来の悪い作品も多くある。でも、そうした出来の悪さもSはある意味楽しんでいて、目に付いたものは基本的に見るようにしていた。
Sは、その日も投稿映像を扱った作品を借りて、家で見ていた。
どちらかといえば、その作品は出来が悪い方だったけど、Sはそれなりに楽しんでいた。
そうして見ていく中に「悪魔憑き」というタイトルの投稿映像があった。
それは、ある男性が彼女と夜の公園で談笑しているところをビデオで撮っていたら、突然見知らぬ男が襲いかかってくるという映像だった。
一見すると心霊要素の全然ない映像だけど、解説ではその襲いかかってきた男が悪魔憑きにあっていたのだろうなんて言っていて、無理やり心霊要素を加えていた。
ただ、カメラに向かって男が襲いかかってくるわけで、まるで自分が襲われているかのような臨場感というか迫力はすごかった。
男が殴りかかってきた時に映像がぶれ、最終的に砂嵐になったところで映像は終わった。
それから少しして、Sは異変に気付いた。
音声を聞いていると、次の投稿映像の紹介に入っているはずなのに、映像は砂嵐のままなのだ。
Sはビデオの不具合だろうと思い、一旦ビデオを停止したり取り出したりして問題を解消しようとした。VHSの時代は時々こうしたことがあり、ビデオ自体の不具合だった場合はしょうがないと諦めた人も多いだろう。
しばらくの間、Sが色々と試してみたものの、砂嵐は一向に直らなかった。どこかで直らないかなと早送りや巻き戻しも試してみたけど、映像は砂嵐のままだった。
ただ、音声を聞いていて、Sはあることに気付いた。
どうやら巻き戻しをし過ぎたようで、音声を聞くと前の動画の紹介をしているようだった。それなのに、映像は砂嵐だった。
つまり、さっきまで正常に映像が映っていた部分まで砂嵐になってしまったのだ。
そんなことあるのかと少し不気味に思いつつ、Sは母親の部屋にあったビデオデッキと交換して、改めてビデオを再生した。すると問題は解消され、砂嵐になってしまった後の部分も含め、問題なく見ることができた。
結局、ビデオデッキの故障だったのかと思いつつ、映像を見ていて、Sは改めて不思議だと感じることがあった。
例の「悪魔憑き」の映像は、正常に見られる状態でも最後は砂嵐になった。つまり、その砂嵐の映像になったと同時にビデオデッキが壊れ、砂嵐の映像しか映らなくなったということになる。
そんな偶然があるのだろうかといった疑問は、Sの中にずっと残り続けた。
そんなことがあったにもかかわらず、Sは今でも懲りずに心霊もののビデオを見続けているそうだ。
私も人のことを言えないけど、それが心霊好きというものなのだろう。
そんな雑話でした。




