表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女はいずれ時の支配者となる  作者: サコラン
第一章   転生後の生活
8/20

第七話   喧嘩の末

実際に五歳児は何をやっているのかを調べた……。

あとママとお父さんでわかれているのは私の癖だったりします。

 家が半壊した日からまたまた数か月。

私は五歳になり、すでに歩くことは完ぺきになった。

いやあ、やっぱり赤ちゃんの体は慣れないもんだよね! あの地獄から脱出できてよかった。



 で、そんな今日。

リビングではピリピリした空気が漂っていた。


 私から見て左側にママが座っている。机をこつこつと叩いて言った。


 「ねえ、急にそんなこと言わないでよ。どうしてこのタイミングで引越ししないといけないの?」


 イライラした声を誰に向かって行っているかと言えば、それは私のお父さん。

なんと! 私にはちゃんとお父さんがいたのだ。シングルマザーじゃなかったんかい。


 「だから言っただろう。これは仕事なんだ」


 パピーことファザリスはそうイライラしながら言っている。

私のお父さんはファザリスという名前らしく、これまた私は当時「お父さん(ファザー)だからファザリスか、なんつって。ぶふっ!」と笑ってしまったのは事実だ。


 お父さんもやはりストレスが溜まっているのか、足で床を鳴らしている。

……似た者同士だね! と考えてしまうのは私の緊張が足りないからか。


 ママは自分の自慢の金髪を触りながら口をとがらせた。


 「大体ねえ、まだカナが小さいでしょう? この森の方が、治安が悪い街よりかは断然安全よ」


 そう断然の部分を強調して言う。


 「はあ、全く。分からないのか? ふつうこの年ではほかの子と遊ぶのが普通なんだ。出ないとこの子は人見知りになるかもしれない」


 お父さんは最もな正論を言ってママを退ける。

全く、いつまで言い合いしているんだ。子供の前で。



 どうしてこんな言い合いをしているかというと、どうやらこの森を引っ越すらしいからだ。

引っ越すのは治安がそこそこ悪い隣町。

何でも、おとんの仕事の都合だとか。


 ママに聞いても笑顔ではぐらかされたため、詳しくは分からない。

でも会話から推測すると多分、私が原因なんだと思う。


 私がまだ小さいから、という理由で引っ越したく無いママ。

だが今は友達を作ることが大事だ、と言って引かないお父さん。

白熱してまんなぁ。


 でも、このままだと私の望みはかなえられない。

それはなぜか。正解は……。



 「ねえ、ママ、お父さん。私、外に行きたい」



 外を見に行きたいことが望みだから、でしたー!!

だってさ、いい加減この森も見飽きた。


 ここは田舎だから仕方ないかもしれないけど、人も通りかからない。

挙句の果てまでは、そこそこ強い魔物が出てくる始末。お父さんが倒してくれていたらしいけど。

だから、文化が垣間見える町の方に行ってみたいのだ。


 「はぁ、カナまで……。でもカナ、街の方は怖い人たちがいっぱいいるのよ?」


 そう赤ちゃんに言い聞かせるような口調で私に問いかけてくる。

でも、私には魔法があるから怖くない。そこらの人よりかは強いだろう。


 「私には魔法がある。外に出るために練習したんだから」


 そう真顔で言ってのけると、ママは顔を少し緩め、お父さんは驚いた表情になった。


 「そうねえ、そこまで言うなら……」


 やはりママは私にデレデレだ。どんだけやし。

これで私の望みが通る、と思っていたらお父さんの様子がおかしかった。


 「……この年で魔法?しかも、アンナからはすでに中級には達していると言っていた。いや、でも魔力量がおかしい。だがそうはいっても……」


 とぶつぶつ言っている。はあ、中級に魔力量?

何が問題なのかは分からないけど、私はちゃんと魔法は扱えていると思う。

このお父さんの尋常じゃない感じからすると、他の人に魔法を見せるのはやめた方がいいかもしれない。

それで無双してみようと思ったのに……。


 「……はあ、きりがない。全く、これだから子供は……」


 頭を抱えて溜息を吐くお父さん。

なになに? そんなに子供が厄介かって?

そんなあ、これでももう20越えですよ。通算だけど。


 「で、あなた。町に行くの? それともいかないの?」


 ママがお父さんにせっついてる。お父さんお疲れです。



 「……そうだな、そんなに言うなら俺も許さないはずがない。いいだろう」



 やったー! 私の望みが通ったー!


 お父さんはまたため息をついている。


 私はついに、この森からおさらばすることになったのだ。

この家には、いろいろな思い出があるなあ。


 最初に転生してきたのが私の部屋で、それから魔法で半壊して。

半壊したのを直させられたのも、よくはないけど思い出だなあ。



 とりあえずお別れになる日程は明日らしい。

それまでに荷物をまとめないといけない。

あー、憂鬱だなあ……。

私が原因のケンカは収まり、結局そのあとは荷物の片づけに追われることとなった。




 翌日早朝。

最後に振り返って私の家を見つめる。

もうここもおさらばだ。


 最後に、昨日猛練習をして使えるようになった魔法をかける。


 「……保存」


 これで、この家はこれから一生古くなる心配はない。魔力ってすごいな。


 あ、ネーミングがダサいとかそういうことは言っちゃいけない。

英語は苦手なのだ!



 そうして私は自分の家を、この世界で初めて降り立った思い出の場所を去った。




 町に着くのが楽しみだ!



毎日更新きついんじゃ……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  「で、あなた。町に行くの? それともいかないの?」  ママがお父さんにせっついてる。お父さんお疲れです。  「……そうだな、そんなに言うなら俺も許さないはずがない。いいだろう」 許…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ