第四話 魔法の訓練 その1
名前すごく迷いました。
カナってどこかで聞いたことある……。
この世界で生まれてから四年。私もついに四歳になった。
さて、四歳になるとさすがに言葉も覚えてくるし、会話もできるようになる。
つまり何が言いたいんだよって? いやいやいや、分からないかね? チミ。
私の名前が分かったんだよ!!
「あら、カナじゃない。どうしたの?」
そういうのは私のお母さんことアンナだ。
お母さんの本名はアンナディア。決して、あんなディア(ディアが何かは知らん)とか中途半端な名前ではない。そして私は最初、そう思っていたとかでもない。
で、カナっていうのが私の名前だ。よく親って子の名前を省略して呼ぶけど、私もそれに入るっぽい。
ママっぽくカルナディアだってよ。カル●とかいう死後の世界にいる奴ではない。
「ああ、ママ。私もう四歳だからお手伝いするよ」
転生してもまだママとか、そういうことはいってはいけない。
……さっきからなんか否定してばっかりだな。まあいいか。
で、絶賛お手伝い中の私。お手伝いをするとお駄賃がもらえるからだ。
自分で生きていかないといけないって時のために、今からお金をためておくのである。
計算的だなって? いやいやそれほどでも~。……そんなこと言ってないか。
で、実はそれはついで。本命はここからだ。
「ねえ、ママ。ママって魔法が使えるの?」
そう、前回も言ったように、私は今の今まで魔法のことを覚えているんです!
ふつうはだいぶちっちゃい時だから覚えちゃいないだろうけど、私はすでに立派な女子高生。
しかも見たことないものだったから覚えているのも当然である。
あれから魔法を使うところを見たことはなく、読めるようになった本も絵本ばかりだった。
本に魔法の知識が書いてあるとか、大ウソじゃねえか! って当時は思った。
だから頼れるのはママしかいない! え、お父さん? 見たことないさ。
私が寝ている間にでも帰ってきているでしょう。
「全く、またそれ? 魔法は一歩間違えると危ないんだから。まだカナには駄目よ」
はぐらかされる。むう。毎回こうなのだ。
ならもう一度!
「ママ~。いいでしょ? 私だってもうお手伝いも分かるし、本も読めるんだよ。だから心配しなくても大丈夫!」
そう上目遣いで言う。
あ、きもいって? いやいや、私はまだかわいい四歳児。
だから大丈夫なのよ。セーフセーフ。
その結果、私の上目遣い攻撃にママは耐えられるはずもなく、顔を思いっきり緩めて笑顔になっていた。
どうしてこうも親バカなのだろう。
「もう~、カナちゃんがそこまで言うならしょうがないわよね~!」
ほっぺたに手を当ててデレデレしている。乙女か!
「教えてくれるの!?」
「ええ。そこまで言うなら、庭に出なさい」
庭に出る? 表に出ろやゴラ的な、怒られるものじゃないよね?
というか、魔法は庭に出てやらないと危険なものがあるのか。当たり前だけどさ。
……操作が出来なくて失敗しそうだからとか、そうじゃないよね?
そうだと願いたい。
そしてママに連れられて外に出る。
どんなものが見られるんだろう。ちょっとドキドキである。
こうして、私の魔法訓練は始まった。
魔法の表現に迷います。
憂鬱だなー……。まあ、できる限りやってみます。