ベジタブルで行こう!
「アイツに勝てるワケないだろう?」
本人には聴こえないように、そうっと呟いた。
ボリュームたっぷりの髪型が目立つ。
そのほか――やたらと気になる緑の服装。
「いや、ンなこと無いって!」
「そうだよ、やってみなくちゃ分かんないじゃん!?」
どうして……そこまでして背中を押してくれるのか。
正直、検討もつかない。
ただ。
彼らの表情や態度からは。
からかわれているような様子はまるでない。
真剣そのもの。
「じゃあ……行ってくる!!」
意気揚々と、玉砕覚悟で挑んだ。
花束は背中に隠しきれない。
「お願いします! 初めて見たときから……好きでした!!」
意を決して告白した。
だが、即座に放たれた言葉があまりにもキツい。辛い。
「お呼びじゃないわよ、あっち行って」
「あんまり気にすんなよ?」
「そうだぜ? 高嶺の花気取りにきまってるじゃん?」
同情されるのが、これ程苦しいとは想ってもみない。
ガックリと、膝から崩れ落ちてゆく――水滴が落ちた。
「ブロッコリーだもんなぁ……」
真っ赤な姿が去りゆく。
あの娘は、トマト。