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魔狩りのトガリ  作者: 吉四六
81/405

トンナのダイダロスはイズモリを黙らせる

 太い霊子のビームが、その前進を止めていた。

 駆逐艦は霊子を吐き出し続けている。その霊子がスサノヲを呑み込んだ座標で止まっているのだ。

「いいぞ、トロヤリ、その調子だ。」

『うん!』

 俺の声にトロヤリが応える。

 トロヤリは、両手を前に突き出し、霊子障壁を展開していた。

 斥力を生み出す霊子障壁ではない。引力を生み出す霊子障壁だ。

 その霊子障壁で霊子砲から放たれた霊子ビームを受け止め、スサノヲの背面から霊子を拡散させ、幽子へと還元している。

 駆逐艦が沈黙する。

 別の駆逐艦が霊子砲を撃とうとしている。

「九時の方向、上方二十度、距離三百、駆逐艦が霊子砲の準備をしている。」

『了解!』

 俺のナビゲーションにトロヤリが即座に動く。

『な、なに言ってんのよ!トガリ!トロヤリに霊子砲の前に立たせるなんて!ダメよ!』

 トンナがスサノヲを追う。

 霊子を撃ち出す駆逐艦の前面にスサノヲが立ち塞がる。

『ウッラアアアアアアアアアッ!!』

 そのスサノヲの更に前、スサノヲの前に斧槍を捨てたトンナのダイダロスが立つ。

「ば、馬鹿!ダイダロスじゃ…」

 そう、ダイダロスに、いや、トンナには霊子の周波数を変換することはできない。ただでさえ獣人は霊子を体外に放出できないのだ。竜騎士に搭乗しても酒呑童子を装着しなければ、竜騎士を満足に稼働させることができない。酒呑童子という触媒があって獣人は竜騎士のパワーをフルに出すことができるのだ。

 霊子ビームが撃ち出される。

 オロチごと、いや!俺自身が瞬間移動で…

 そう思った瞬間、霊子ビームにダイダロスが突貫した。

『うちの子に!なにさらしてんだよオオオオオオオオオオオッ!!』

 ダイダロスが高速でパンチを撃ち出す。

 連打だ。

 いや、連撃か。

 太い霊子ビームに真正面から直撃した。

 でもダイダロスの超高速の連撃が霊子の太い光を弾き飛ばし、散らしている。

「…」

 俺は思わず言葉を失った。

『ば、馬鹿な!こ、こんなこと!理論的には不可能だ!』

 珍しい、イズモリの叫び声を初めて聞いたような気がするよ。

『な、なんだ!?何故こんなことができる!?』

 ダイダロスは自分に向かって来る霊子ビームを弾き、押し退け、前に進んでいる。

『ウラウラウラウラアアアアアアッ!!』

 叫べば、なんとかできるんじゃないか?

『そんな訳あるか!』

 俺に怒るなよ。

『こ、こんな馬鹿なことがまかり通るなんて!どうなってる!ダイダロスに何か特殊な効果があったのか?!』

 母親の愛じゃね?

『そんな物でなんとかなるんなら!世界には物理法則なんて必要なくなる!!』

 でも、実際なんとかなってるじゃねぇか。

『…』

 イズモリが黙り込んだのと同時にダイダロスが駆逐艦の霊子砲にまで到達する。

 ウラ、ウラ、言ってれば俺でもできるんだろうか?

『できる訳が!…無いと信じたい…』

 実際にやっちゃったからなぁ。

『そ、そうだな…』

 三百六十度全面モニターに映し出された光景は、ダイダロスが霊子砲を打ち破って駆逐艦の砲口を破壊しているシーンだ。

 もう、百聞は一見に如かずだよな。

『うむ、事実は事実として受け止めねばな、今後の課題として、この映像は記録しといてくれ。』

 わかってるよ。発生した素粒子なんかの記録も取れればいいんだけどな。

『そっちはダイダロスの方と、そうだな、マイクロマシンが中央サーバーに残してるだろうから、客観的映像記録として保存してくれ。』

 了解。

 遠くに、戦場を彩る蒼白い霊子の輝きを望み、俺はオロチを加速させた。


 三百六十度全面モニターに映し出された光景は一見すると膠着状態だが、トガナキノの方が圧倒的に不利だ。

 国体母艦の編隊を挟み込むようにしてジェルメノム帝国の竜騎士が攻めている。

 トガナキノは防衛線を構築しているが、圧倒的に数が少ない。

 敵は徐々に侵攻戦線を左右に伸ばし、防衛線が薄くなるように誘導している。

 ジェルメノム帝国駆逐艦からの艦砲射撃を霊子障壁でよく防いでいるが、いつまでもつのか。

『ヒャクヤ!そっちに行ったよ!』

『そっちもなにも!もう!敵だらけなの!!』

『テル姉!僕の後ろに回って!抜けた敵を止めるんだ!』

『コルナ、駆逐艦の管制ブリッジを狙うんだよ。』

『コイツら!いっくら叩き潰しても次から次へと出て来るんよ!!』

『トロヤリ、スサノヲの暗黒精霊を使え!』

 王族竜騎士部隊もてんてこ舞いだな。

 王族機専用回線以外にも各回線から慌ただしい、焦った通信が遣り取りされている。

 それに対してジェルメノム帝国の方は淡々と作業をこなしているような雰囲気だ。

 行くぞ。

『よし!やっと俺の出番だな!!』

 ああ、タナハラ、頼むぞ。

『任せろ!』

 タナハラの声と共にマスタースレイブ基幹ユニットが俺の体から離れ、背中に生やした異形の腕が更に伸びる。

 赤ん坊のようだった腕が、ヘイカ・デシターの腕と同じサイズにまで大きく育つ。

 親指が小指に変形し、小指が親指へと変形する。

 肘関節が逆関節となって、右腕が左腕へ、左腕が右腕へと変わる。

 両肩が生まれ、肩を追うようにして鎖骨、肩甲骨、背骨と、次々に構築し、最後に後ろ向きの頭部を再構築する。

 俺の背中から後ろを向いた俺が生まれる。

「おう!こうやって物質世界で二人一組ってのは新鮮だな!」

 上半身、脇から上部分だけの俺。その俺が振り返って俺に呼び掛けて来る。

 もう一人の俺はタナハラだ。

「ああ、ちょっと新鮮だな。」

 応えている間に、タナハラのスキンヘッドに髪の毛が生えていく。

「お、長髪は勘弁な、俺はどっちかと言うと短髪の方が好きなんだ!」

「わかった。」

 俺の背中から生えたタナハラと共にマスタースレイブ基幹ユニットを再装着し、タナハラはマスタースレイブ基幹ユニットに加えて、霊子感応ヘルメットを被り、その顔を見えなくする。

「ようし、準備完了だ!」

 タナハラの言葉を受けて、マウスピースを噛み締め、オロチのコントロールを俺へと戻す。

 蒼白い霊子がコクピット内を駆け抜ける。

「よし、いつでも行けるぜ!」

「よし、アシュラモードに移行する。」

 俺の言葉にオロチが反応する。

『了解しました。オロチ、アシュラモード起動。』

 タナハラの被る霊子感応ヘルメットに十本のコードが伸長して突き刺さる。

 同時にオロチの変形が始まった。

 翼の関節が逆を向き、皮膜を形成していたアルミナガラス製の屈曲誘導装甲を折り畳む。

 翼が長大な指を備えた腕となり、オロチの上部へと掲げられ、オロチのテールが折れ曲がり、その屈曲部分から異形の腕がリフトアップ。同時に背骨がうねりながら、弧を描いてテールから分離する。

 翼だった腕が持ち上がるとともに起き上がる異形の存在。

 髑髏を模した第二フェイスに骨のような歪な腕。

 第二フェイス、髑髏の顔が口を開いて「カカカカッ」と歯を鳴らして笑う。

 オロチの両掌が蒼白い光を放つ。

 翼であった両腕の指先にも同じ光が灯る。

「イデア!敵竜騎士の霊子周波数のマーキング情報をオロチに寄越せ!」

『了解しました。』

 三百六十度全面モニターにジェルメノム帝国竜騎士がマーキングされる。

「行くぞ!!」

「おおっ!!」

 オロチの霊子ジェットを全開。

「イズモリ!質量方向変換!」

『任せろ。』

 イズモリがシミュレートした方向へとオロチの質量が変換される。オロチの加速が落下速度を加えて超加速となる。

 一気に戦場に飛び込む。

 トガナキノの防衛戦線ではない。

 ジェルメノム帝国編隊のど真ん中だ。

 周りには敵しかいない。

『トガリ!!』

『父ちゃん!!』

『パパ!!』

『旦那様、遅いではないか。』

『やれやれ、やっと来たのかい。』

『父さん!』

『もう、父さん!遅いよ!』

『父さんは来なくてイイんし!アチシに任しとくんし!』

『トガ兄ちゃん!!』

 これで、神州トガナキノ国王族竜騎士部隊が勢揃いだ。

 俺は霊子の周波数を各個に識別、一瞬で霊子の周波数を変換、同一周波数の霊子に分解命令を走らせて、オロチの両掌と髑髏側の指から放出、アーク溶断器のような短い霊子をナイフのようにして敵竜騎士に襲い掛かる。

 斬り刻みながらオロチが飛ぶ。

 敵陣の中心部でオロチが縦横無尽に飛び回り、次々と敵竜騎士を斬り刻み、稼働不能の状態へと陥れる。

「オオオオオオオオオッ!!」

 前後左右上下と周りにいるモノは全て叩き斬る。

 オロチを回転させて斬る。

 錐揉みしながら斬る。

 擦れ違いざまに斬る。

 相対しても斬る。

 カーブを描きながら斬る。

 直進しながら斬る。

 腕を回して斬る。

 振り抜いて切る。

 離脱しながらも斬る。

 斬る。

『トロヤリ!よく見ておくんだよ!コレが父さんだよ!』

 斬る。

『にゃあ、父ちゃんが出て来ると、全部、食われちまうんよ。』

 斬る

『ホントなの、ウチらがココにいる必要ってあるの?』

 斬る。

『まったく、尋常じゃないスピードだよ。』

 斬る。

『神懸かりとは正にこのこと。旦那様は異常だ。』

 斬る。

『凄い…凄いよ!父さん!』

 斬る

『スゴ…これが、父さんの本気なんだ…』

 斬る。

『ア、アチシだって…』

 斬る。

『やっぱりトガ兄ちゃんは凄いのです!』

 斬って、斬って、斬りまくる。

 傍にあれば駆逐艦も斬り刻む。

 駆逐艦の左舷を錐揉みしながら通り抜け、俺を駆逐艦に抑え込もうとする竜騎士を斬りながら駆逐艦の横っ腹も斬り刻む。

 戦闘機も斬る。

 竜騎士の腕も斬る。

 竜騎士の足も斬る。

 コクピットさえ斬らなければ問題はない。

 燃焼系のジェネレーターではない。

 爆発の恐れはない。パイロットが無事であればいい。敵竜騎士のコクピットも頑丈だ。地上に落下したぐらいでは問題にならない。

 質量方向変換システムも生きている。

 稼働不能となった竜騎士がゆっくりと下降していくだけだ。

 だから俺は遠慮なく斬ることができる。

 だから斬る。

 駆逐艦がゆっくりと墜ちていく。

 一隻、二隻とその数を増やしていく。

 駆逐艦を包み込むようにして回転して斬り刻む。

「六隻。」

 墜とした駆逐艦の数を呟く。

 超高速ゾーンに入り、超加速しているオロチにとってはジェルメノム帝国の艦隊は止まっているに等しい。

 ジェルメノム帝国の編隊を抜ける。オロチをターンさせてジェルメノム帝国の被害状況を確認する。

 まだまだ数が多い。

『マスター霊子周波数検知変換コンバーターを設置した試作剣が完成しました。』

 やっとか。

『しかしながら、霊子金属の絶対量が不足しております。全竜騎士に武装させることは不可能です。』

 これを使え。

 俺は霊子金属の各元素を、マイクロマシンを使ってイデアの下に届ける。

『これは…このように大量の霊子金属構成元素をどうやって入手なさったのですか?』

 ジェルメノム帝国からちょろまかしたんだよ。

 そう、クドラデレンゲの根に絡みついていた霊子結晶。俺はその霊子結晶を、全て、分解保存して持ち帰って来ていた。

 イデア、急げ、これだけの数、俺一人じゃどうにもならん。

『了解しました。』

 俺は再びジェルメノム帝国の編隊に突っ込もうとオロチを加速させた時だった、王族専用回線から皆の声ががなり立てる。

『ね、姉さん!コッチも突っ込むんし!父さんに、全部狩られるんし!』

『ばか!お前達は突っ込むんじゃないよ!アヌヤ!行くよ!』

『了解なんよ!父ちゃんに負けてられないんよ!』

『皆、バカみたいにバトルマニアなの。ウチは付いていけないの。』

『そうだね、ヒャクヤ、あたしらはコッチで防衛戦線を保持するよ。』

『うむ、向こうで数を減らしてくれれば、コッチも守りやすくなるというモノだ。』

『じゃあ、僕は父さんと一緒に。』

『な!ト、トロヤリ!ダメだよ!父さんと一緒になんて!父さんは一番危ないとこに突っ込んでくのが趣味みたいな人なんだよ!』

『そうなの、パパと(おんな)じに考えちゃダメなの。あの竜騎士の格好、もう、まるっきり魔王なの。』

『ホントなんよ。あたしがバトル馬鹿なんて言われてるけど、父ちゃんに比べたら可愛いもんなんよ。』

『まったく、いつまで経っても変わらないねぇ、困ったもんだよ。』

『オルラ様の仰る通り。旦那様には困ったものです。』

『なら、アチシたちも父さんの所に行くんし!!姉ちゃん!行くんし!』

『バッカ、父さんと同じ所に行ったら、それこそ死んじゃうよ?父さんは異常なんだからね。』

『そうなのです!トガ兄ちゃんと同じようにできると思っちゃダメなのです!トガ兄ちゃんは、戦闘となったら変態なのです!』

 人数が増えて貶され方も変化したな。

 うん、娘と従妹に散々な言われようしてるって二乗なんだよな。俺の心が傷付く度合いがね、うん、倍じゃなくって二乗。

 トロヤリは霊子体の扱いには熟達していた。

「トロヤリ、来い!」

『うん!』

『もう!トガリィ!』

 トロヤリの声を聞くと同時にオロチでジェルメノム帝国の編隊へと再突入。

 俺は横から、トロヤリとトンナ、アヌヤペアは正面からだ。

「トロヤリ、俺の後ろからレーザーで攻撃しろ。」

『うん、わかった。』

 トンナとアヌヤから離脱し、アマテラスモードを起動して、高速移動で、トロヤリが大きく回り込んで俺の後ろにつく。

 敵竜騎士には屈曲誘導装甲が見当たらない。

 高圧縮で集束された光子は空気中で減衰する。しかし竜騎士に対する兵器としては優秀だ。光子は質量を持たない。したがって、霊子の質量方向変換が通用しない。粒子の層を作ることで減衰させることができるが、荷電粒子に対する程、効果的でもない。

 スサノヲの背部に取付けられた光背中央の円盤には三十八個のレーザー射出口がある。

 トロヤリがアマテラスモードを停止させて、俺の真後ろについたことを確認して、俺はトロヤリに注意を促す。

「いいか?スサノヲが勝手に照準を定めるが、射出のタイミングはトロヤリだ。スサノヲは、今、人を殺さないようにピンポイントで敵竜騎士をターゲットしてるはずだ。スサノヲの位置が変われば、ターゲットも変わる。スサノヲが高速で移動すればするほど、ターゲットがズレる。トリガーを引くタイミングに注意しろ。」

 光速で射出される兵器だから、俺が注意を促すほどにズレることはない。しかし、敵機も動いている。距離もある。一ミリメートルの誤差が五メートル以上になる可能性はあると信じ込ませる。

 通信機越しにトロヤリが唾を飲み込む音が聞こえる。

 よし、命の重みを自覚してる。

『まったく、お前も無用なプレッシャーをかけるな。』

 教育の一環だよ。

 実際はスサノヲの演算シミュレートは的を外さない。操作者がスサノヲから、そのコントロールを取り上げない限りは、スサノヲがどんなに動いてもレーザーの速度を超えることは絶対にない。だから外れることはない。

 だが、操作者の眼球と照準器が連動している場合は、操作者の眼球運動が優先されて、周淳される。

「魔獣狩りと一緒だ。呼吸を乱すな。スサノヲはピーキーに調整してある。僅かな揺らぎが影響するぞ。」

『う、うん。』

 トロヤリが撃たない間も俺は次々と竜騎士を墜とす。

『と、父さん、僕の霊子量じゃ足りない!』

「焦るな。お前に合わせてスサノヲを調整してある。アマテラスモードを、もう一度、起動させろ。そうすれば、霊子ジェットとレーザーに優先して霊子が供給されるから撃てる。」

『わ、わかった。』

 錐揉みしながら背面と前面の竜騎士を斬り刻む。

 ジェルメノム帝国編隊の中央に到達する。

「撃て!!」

 スサノヲの背面から三十八条の光線が奔る。

 全てのレーザーが敵竜騎士の霊子ジェネレーターを貫通する。

「よし。良いぞ、その調子だ。」

『うん!』

 トロヤリに近付く竜騎士を俺が次々と斬り墜とし、トロヤリはレーザーを撃ち続ける。

 イデア、どうだ?

『十五機は換装完了です。』

 よし。

「コロノア!」

『はいっ!』

「イデアが換装した竜騎士十五機を出撃させろ。展開は国体母艦前方の敵竜騎士だ。」

『承知いたしました。』

 新神母艦の総指揮ブリッジにてコロノアが立ち上がる。

「対竜騎士兵装の竜騎士を投入!!標的!前方ジェルメノム帝国竜騎士部隊!陛下の御前だ!殲滅せよ!!」

 剣を換装した竜騎士が次々と航空母艦から飛び立つ。

 イデア、敵竜騎士のマーキング情報と霊子変換作業はお前の仕事だ。頼むぞ。

『はい、お任せください。』

「コロノア、剣の換装した機鎧から、順次、竜騎士を入れ替えろ、国体母艦後方にも回せよ!」

 通信機の向こう側でコロノアが笑う。

『承知しております。陛下は戦局のことをお気になさらず、御存分に暴れられるのがよろしかろうかと存じます。』

 コロノアの言葉に俺は口角を上げて笑う。

「トンナ!」

『は、ハイ!』

「アヌヤ!」

『ハイなんよ!』

「お前達はトロヤリの護衛に回れ!俺は、一旦、戦線を離れる!」

『え?またぁ?』

『まぁた、勝手するんかよ?』

「ああ!どうせ俺は勝手気ままの行き当たりばったりだからな!」

 自虐の言葉を残して、オロチを急上昇させる。

 サエリ!コノエ!ナルセ!バセル!ドノバ!ガノン!

 六人のAナンバーズがそれぞれに返事する。

 お前達のマイクロマシンで今から送る霊子周波数を探せ!

『了解しました。』

『了解ィしましたぁ。』

『わかりましたっ。』

『はぁい。』

『承ります。』

『一所懸命にて当たらせていただきます。』

 うん、Aナンバーズにも個性があるねぇ。

 成層圏を超える直前でオロチを停止させる。

 瞼を閉じる。

 神経を集中させ、俺の霊子体を広げる。

 圧縮された霊子体。

 その圧縮率を徐々に下げ、広く、薄く、周囲の微細な欠片も見逃さないように広げていく。

『ヒットしましたぁ。』

 よし。

 いた。

 瞼を開く。

 俺は空にあって空を見上げる。

 星々の煌きに混じって、ソレはいた。

 金色に輝くソレは、如何にもアイツが好きそうな色だ。

 金色の獅子。

 巨大なライオンが宙にあって堂々たる立ち姿を見せていた。

 ジェルメノム帝国初代皇帝メルヘッシェン・フォーギース・バーナマム。

 奴がほくそ笑んでいるのが手に取るように感じられた。

お読み頂き、誠にありがとうございました。本日の投稿はここまでとさせて頂きます。ありがとうございました。

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