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魔狩りのトガリ  作者: 吉四六
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俺の家族って明け透けで俺だけが困るわぁ

 朝を迎えてスッキリと起きる。

 この体は、元々からスッキリと起きられる体なのだが、嫁さんを貰ってから感じていた疲労感を、今日は一切感じない。

 やっぱ、骨折してたのが良くなかったんだろうな。

 そんなことを考えながら、ベッドに座って、隣に眠るトンナの顔を見降ろし、反対側に眠るコルナの顔を見降ろす。

 うん、俗に言う3Pってやつね。

 羨ましがるな。死ぬぞ。

 獣人と普通の3Pなんて、絶対、死ぬからな。

 特殊な行程を経ての3Pならできる。

 うん、安心だ。

 俺にとって、快感の度合いは、相手が、一人であろうが、二人であろうが関係ない。一緒だ。

 でも、アヌヤとヒャクヤは違った。

 二人は、双子であることもあって、霊子の周波数が近い。

 アヌヤは銃弾の軌道変更、ヒャクヤはチビヒャクヤ操作のための、霊子受発信回路を備えており、普段から、互いの感覚を共有できるようなきらいがあった。

 その霊子受発信回路を介して、霊子の周波数を同期させて、エッチをしてみると、どうなるのか?

 うん、いたしたわけですが、その結果が、まあ、ビックリした。

 二人の内、どちらか一方が快感を得ると、もう一方も快感を得て、その快感が相互に増幅し合って、互いの快感が無限大になったのだ。

 音響設備におけるハウリング現象と同じだ。

 その快感の負荷に耐え切れず、二人が同時に獣化するほどの快感だ。

 一昨日に、ヒャクヤが「一度やってみたいの。」と言い出し、やってみたところ、凄まじい咆哮を上げながら、二人が昇天した。

 そんな二人の快感ハウリング現象をトンナとコルナが指を咥えて見ている筈がない訳で。

 あたしも、あたしもってことで、昨日の夜は二人のお相手をさせられたわけだ。

 ヒャクヤとアヌヤが生み出した、霊子受発信回路を埋め込んで、いざ戦闘開始したところ、二人は一瞬で昇天、獣化と同時に意識を失ってグッスリ眠ってる。

 俺は即座に解放されてグッスリ眠らせて頂いた。

 うん。

 特殊な行程を経た3P、最高。

 俺、安心。俺、安全。骨折なし。睡眠十分。結果、最高。


 二人を起こさないようにリビングへ瞬間移動する。

 早起きのオルラが朝食を食べていた。隣には、当たり前のようにロデムスが香箱を作っている。

 香箱とは言っても、ロデムスは魔獣のキバナリで猫じゃない。

 現在の体長は約一.八メートルと大き目の猛獣並みだ。

「おはよう。」

「おはよう、昨日も物凄い声だったね。」

「うむ、魔獣にも、中々あれだけの雄叫びを上げるモノはおるまい。」

 一人と一頭の感想がこれだ。

 昨日のトンナ&コルナの声が如何なるものか想像できるでしょ?

「うん。これからは、しばらく、ああいう声が響くと思う。」

「大丈夫かい?あたしゃ、お前の体が心配だよ。」

 黒い着物を婀娜(あだ)に着崩したオルラが心配しても、説得力の欠片もないが、心配しているのは本当だ。

「大丈夫、昨日みたいな大声を上げてくれる方が俺は無事だから。」

「そうなのかい?」

「失神しちゃうからね。」

 俺は、頷きながら、さらりと応える。

「やだよ。お前の生々しい所を想像しちゃったじゃないか。こんな話、するんじゃなかったよ。」

 オルラが苦々し気に顔を曲げる。

「なに言ってんだか、俺だってもう五人の子持ちだぜ?今更だよ。」

 そう言いながら俺は台所に立つ。

「そんなこと言ったって、お前の小さい頃から知ってるんだ。そのお前があの四人となんて考えるだけで気持ち悪いよ。」

「じゃあ、考えなきゃいいじゃん。ロデムス、テルナドたちを起こして来てくれ。」

「勝手に起きてくるじゃろう。」

 俺の使役魔獣のくせして相変わらず言うこと聞かねえな。

「トロヤリは学校があるし、テルナドだって働きだしたんだ。遅刻するから起こして来てくれ。」

「むう、致し方ないのう、主人の言うことじゃからのう。」

 主人の言うことなんだから一回目で動けよ。ったく。

 俺はフライパンを取り出し、フライパン上に油を再構築してから火にかける。

 皿も水屋から取り出してレタスを一口大の大きさに再構築し、人参、大根は薄い千切り、トマトは薄い櫛型にカットした状態で再構築する。

 ドレッシングはレモン、お酢、バジル、胡椒と塩を少々、オリーブオイルを適度に調合した状態で再構築してやる。好みがあるのでドレッシングはサラダにかけた状態ではなく、空き瓶の中に再構築だ。

 フライパン上にベーコンを再構築し、少し火を通してから卵を割れた状態でその上に再構築する。

 粉状に乾燥したニンニク、ブラックペッパーと塩を少々、人差し指と中指、そして、親指で摘まんだ状態で再構築、三本の指で、擦りながら、まんべんなく振り掛けて、まんべんなくベーコンエッグの味付けは完了だ。

 コンソメスープは、最初からとなると、時間が掛かる、出来上がった状態で鍋の中に再構築し、フライパンの横で火にかける。

 トースト六枚を、大型トースターの中で再構築してタイマーをセット。

 リビングのテーブル上にマーガリンとマーマレード、ブルーベリーとイチゴに、本日のスペシャルジャムである琵琶のジャムを用意してやる。

 サクヤは、ハードボイルドが好きなので、フライパンに水を差したら、蓋をして、黄身をじっくり蒸らしてから、ベーコンエッグを引っ繰り返して更に焼いてやる。

「おはよう。」

 コルナの娘、テルナドが、トンナの産んだトクサヤを抱いて起きてくる。

「おはよう。勝手にベーコンエッグにしたけど、良かったか?」

 俺の言葉に、眠そうなテルナドが「ん。あいがと。」と呟く。

「おはよう。」

 トロヤリが、欠伸をしながら起きてくる。

「おはよう。」

 テルナドの前に、ベーコンエッグとサラダを置きながら、トロヤリに朝の挨拶を返す。

「トロヤリ、台所に用意してあるから、自分で取りに行ってくれ。」

「うん、ありがと。」

 食事ができないので、テルナドからトクサヤを受け取る。

「おはよし。」

 結構はっきりした表情で、サクヤが起きてくる。

 その後ろをロデムスが歩き、オルラの横で香箱を作る。

「おはよう。サクヤ、トロヤリが食事を取りに行ってるから、お前も取りに行きな。」

「ん、あいがし。」

 なんか、最近サクヤの言葉遣いが、更におかしくなってるな。大丈夫か?

「ん、姉さん、スープとトースト。」

 トロヤリが、食事を始めているテルナドに残りの料理を運んでくれる。

「ありがと。トロヤリ、スペシャルジャムがいい?」

「今日のスペシャルはなに?」

「琵琶のジャムだよ。」

「じゃあ、スペシャルで。」

「イチゴし。」

 テルナドが、料理を運んでいるトロヤリとサクヤのために、トーストにマーガリンを塗ってから、それぞれのジャムを塗る。

 こうなってくると俺の出番はもうない。トクサヤをあやすだけだ。

 俺は、空いた片手で水屋を開けて、俺のカップを探す。

「あれ?おい、お前ら。」

 三人に呼び掛ける。

「なに?」

「どうしたの?」

「どしたし?」

 三人がそれぞれに聞き返してくる。

「父さんのコップ知らない?」

 三人が首を傾げる。

「知らないよ?そこに入ってないの?」

「僕も知らないよ。」

「知らんし。」

 俺も首を傾げる。

「おっかしいな。なんで父さんのコップとかだけ、こう、ちょくちょく無くなるんだ?」

 そうなのだ、俺のコップや箸はちょくちょく無くなる。

 常に使う物は錬成器で再構築するよりも、完成品を取り出す方が手間は掛からない。

 俺には関係ないのだが、家族全員が、俺のようになんでもかんでも再構築できるわけでもないのでそうしているのだが、なぜか俺が常に使う品物が、時折、無くなるのだ。

「父さん。ミルクし。」

「ああ、そうか。忘れてた。」

 サクヤは朝食に必ずミルクを飲む。

 俺は開けた水屋からコップを取り出し、そのコップの中にミルクを再構築してサクヤの前に置いてやる。

「あいがし。」

 サクヤが、首が折れたようにして頭を下げる。

 イチゴジャムを口の周りに付けながら、サクヤが俺の方をジッと見る。

「どうした?」

 俺は、トクサヤをあやしながら、自分の前にカップを再構築し、そのカップの中に紅茶を再構築する。

「父さん。激しかったし。」

「ブッ!!」

 思いっきり、紅茶を吹いた。

 その様子を見て、トクサヤが俺の腕の中でケタケタと笑う。

 サクヤ。女の子が何を言ってるんだい?しかも色々省略したな。それじゃあ、父さんが激しかったみたいに聞こえるぞ?俺はサクヤの口周りを拭ってやる。

「サクヤ、おやめ。子供にそんなこと言われたら、父さんの大人としての立場がなくなるじゃない。思ってたって言っちゃダメだよ。ね?」

 うん。

 テルナド、朝から父さんの心はズタズタだよ。

「でも母さんたちの声、凄かったよね。魔獣が出たのかと思って吃驚したよ。」

 うん。

 トロヤリ、話題を変えようか?

「たしかにねえ。あんなのが毎晩続くんじゃ、寝不足でこっちの身が持たないよね。」

 テルナド、その話はやめろってお前が言ったんだよ?

 ああ…、明け透けの家族。

 これって普通じゃないよね?普通の家族像って、もっとこう、なんか奥ゆかしいよね?天に召されそうだよ。

「お前達も諦めな。獣人の母さんたちなんだからしょうがないよ。」

 オルラ、そこは笑いながら言うところなの?

「でも、ドンドン兄弟が増えそうでちょっと怖いよね。」

 うん、それは父さんも怖い。

「次、可愛い弟し。」

 確かにアヌヤの産んだトルタスは野生児だ。でも、サクヤは兄弟が増えること前提なんだな。

「どっちでも良いよ。母さんたちは、目指せ三桁って言ってんだから、その内、可愛い弟だって出てくるさ。」

 トロヤリ、その表現は六歳にしてはどうかと思うぞ?

 出てくるって、その表現はどうだかなぁ…

「でも、昨日は父さんの叫び声がしなかったよね?骨折しなかったの?」

 テルナド、なんてこと聞くんだい?

 君は仮にも女の子なんだよ?そんなことを聞くお年頃じゃないでしょ?

「あ、ああ。骨折は…無かったな…」

 テルナドが驚きの表情を見せながらトーストを頬張る。

「へえ。母さんたち我慢したのかな?それにしちゃ、凄い声だったけど。」

 深く探求するなよ。掘り下げるなよ。両親の夜の生活を朝から話題にするなよ。なんなの、この子たちって?

 勘弁してくれよ。拷問だよ。

「まあ、この手の話はもういいだろ?朝からする話じゃないぞ。」

「ええええ。今更ぁ?だって、一昨日ぐらいから、父さん、母さんたち二人をいっぺんに相手してるでしょ?」

 あれぇ?テルナド、さっき、サクヤにおやめって言ってなかった?言ってたよね?なのに、なぜ、なにゆえ、今は食い付いてくるの?もう父さんの心はズタのボロクソだよ?

「二人相手にしてる方が、骨折しないんだってよ。」

 オルラがバラすしィ。もう、なんなの、この家族、俺を苛めるのがデフォなの?勘弁してくれよぅ。

「いい加減にしないと遅刻するぞ?後片付けはお前らの仕事なんだからな。早く食っちまえよ。」

「あっヤバ。」

 トロヤリが、慌ててサラダを頬張る。

「ところで、父さん。」

 テルナドが食事を終えて、俺に向き直る。

「どうした?」

「魔獣狩りユニオンって加入者募集してる?」

「してるよ?どうして?」

「うん。じゃあ、あたしも魔獣狩りユニオンに入るよ。」

「…」

 え?

「魔獣狩りユニオンに入って、あたしも魔狩りになるよ。」

「え?」

「だから、魔狩りになるって。」

「ええ?」

「もう、魔狩りになるって言ってんでしょ!」

「えええ?」

 拙いよ。それは不味い。いや、不味くはない。拙いだ。

 たしかにテルナドは実績があるから良いよ。魔狩りになるのは良い。でも、魔獣狩りユニオンに入るのは拙いよ。

 だって、ブローニュがいるんだよ?俺のことを狙ってるブローニュが。

 ただでさえ、俺の(しも)は絶倫みたいな言われようしてるのに、ブローニュの存在が知れたら、絶対トンナ達に話が行って、ブローニュの生命の危機が危ないよ?

『おい、混乱してるぞ。』

 してるよ。

 しないわけねぇだろ?

 どうすんだよ?

『しょうがあるまい。反対する理由もないしな。』

「…そうか…じゃあ、面接しなきゃな。」

「面接?いるの?そんなの?」

 テルナドが訝しむ。

「い、いるよ?試験だってしなきゃいけないしな。」

「ええ?でも、あたしは父さんとしょっちゅう魔獣狩りに行ってるじゃん!」

「それと、これとは別だろ?ほら、家族で行く魔獣狩りは、ほら、その、ピクニックみたいなもんだしさ。」

「はあ?」

 む、無理があるか?

「ほ、ほら、魔獣狩りユニオンには、お前の知らない人だっているしさ、そんな人たちと一緒に魔獣を狩るんだぞ?いきなり、知らない他人とチームプレイしろって言われたら、お前、すぐにできるか?」

「む、ううん。たしかに難しいかも…」

 テルナドが首を傾げる。チャンス!

「だろ?だろ?ほらな。だから、適性っていうか、他人と上手くチームプレイができるかどうかの適性を見なきゃダメなんだよ。な?」

 お、思わず早口になる。畳みかけろ!

「今、魔狩りって何人いるの?」

「え?」

 固まるううう。

「だから、父さん以外に魔狩りは何人いるの?」

 俺をいれない?俺をいれないなら…一人…

「と、父さんを入れて、よ、四人だけど?」

『うわ。』

『やらかした。』

『あ~あ。』

『やっちまったな。』

『やっちゃったアア。』

 い、いや、一応、カルザンとブローニュも魔狩りだろ?

『本人たちはそのつもりだろうがな。』

「じゃあ、その三人と上手くチームプレイできればいいのね?」

「そ、そういうことになるかな?なるかもね?うん。多分…」

 最後の方はゴニョゴニョだよ。

 と、いうことで…

 はあ。

 まあ、そういうことで、テルナドが試験を受けに来ることになった。

 どうしよう、カルザンとブローニュを魔狩りに仕立てなきゃ…ああ…どうしよう?

『知らん。』

『身から出た錆だよねぇ。』

『まぁた行き当たりばったりなこと言うからぁ。』

『行き当たったら打ち抜けば良し!』

『家族を捨てて放浪の旅に出て、女の子を食いまくるってのはどう?』

 やっぱりお前らは他人事なんだよなぁ。


 安寧城に向かう足取りが重い。

 瞬間移動でも、ゲートを使っても行けるんだけど、今日はあんまり行きたくない。出社拒否症ってこんな感じなのかな?

『精神的なストレスが腹痛とかの症状になって出るから違うな。』

 出社拒否症になるにはどうしたらいいの?

『まず無理だ。トガリの肉体には俺達がいるからな。』

 ハアアアアア。

 溜息しか出ねえよ。

 そんなことを考えながらでも、安寧城に着くものは着く。目的地を変えない限り到着するのは必然だ。

 安寧城には城壁がない。

 城の壁その物に城門がある。城門は、全部で三つあって、中央の門が勅使門、俺か、俺からの命令、勅命を携えた勅使しか使用することができない門だ。

 その両側には、それぞれ、平定門と常開門という名前の門がある。

 平定門は、安寧城の守備軍が使用する門で、常開門が、誰でも通ることのできる門だ。

 俺は巨大な常開門を潜る。

 その先は、やはり巨大で長い通路が、一直線に続く。

 長さは三十メートル、アーチ状の天井までの高さは十二メートルで、幅は十メートルの石組み通路だ。

 通路の中に入れば、両側の壁面に木造の扉が五メートル間隔で並ぶ。

 その一番手前の左側の扉を開く。

 少し暗めな普通の通路。

 人が二人並べば一杯になってしまう通路だ。

 窓はない。窓はないが、銃を覗かせるための狭間が開けられており、昼間は明かりに困らない。その通路を長々と歩く。

 安寧城を周回するつもりで延々と歩く。

 安寧城の正面に位置する、俺が入って来た城門、その丁度裏側で、幾つ目かの分岐に辿り着く。そこを左に曲がって、木のドアを開いて階段を下りる。幾つかの踊り場で折り返しながら、屋外に出る。

 安寧城の最下層、柵のない吹きさらしのベランダ。

 見上げれば政務専用艦の船底がズラリと並ぶ。

 そのベランダを介して、再び屋内に戻って、更に階段を下りたら、やっと魔獣狩りユニオンの事務所に辿り着く。

「ちゅーす。」

 俺は気軽な挨拶をしながら、事務所に入る。

「おはようございます!なのです!」

 あれ?

「トガ兄ちゃん!今日からよろしくなのです!」

 え?

「トドネ様、トガ兄ちゃんとお呼びしてはいけません。ここではユニオンマスターとお呼びしなければ。」

「そうだったのです!すいません!ユニオンマスター!おはようございます!なのです!!」

 スーガが満足そうにトドネに向かって頷いている。

 おい。

「おい。ちょっと、こっち来い。」

 俺は、スーガに人差し指でこっちに来るように指示する。

 スーガが、首を傾げて「如何いたしましたか?」と近づいて来る。

「いかがもくそもねえよ。どうしてトドネが此処にいるんだ?あ?」

 と、囁き声で言ったのだが「今日から魔獣狩りユニオンの受付事務員をするのです!!」 と、俺の真下からトドネが大声で応える。

 うん、スーガと一緒にトドネも来たのね。

 いや、ちょっと来いって言ったのは、スーガにだから、トドネまで来てどうすんだよ。

 俺はスーガの肩を抱き寄せ、部屋の隅へと移動する。

「トドネはヒャクヤたちとアイドル活動するって言ってたのに、お前が引っ張って来たのか?」

「ヘルザースおっちゃんが、トガ兄ちゃんが、困ってると言っていたのです!!」

 俺達が移動するのに合わせて、トドネがチョコチョコと付いて来てる。

 俺とスーガは別の隅に移動する。

「お、お前、それをOKしたのか?!」

「スーガさんは快くOKして下さいました!!」

 俺はスーガに話し掛けているのに、俺の後ろを付いて回るトドネが、全部、答えてくれる。

 俺はスーガの肩を抱きながら、部屋をウロウロとうろつきながらスーガに話し掛ける。

「トドネは駄目だ。大事な従妹なんだからな。仕舞いには魔狩りになるって言い出すんだから、直ぐに辞めさせろ。」

 俺の後ろでトドネが応える。

「嫌なのです!あたしはここで働くのです!」

 俺はスーガに囁きかける。

「ほら!ヤートの女は頑固なんだからよ。お前、なんとか辞めさせろよ!」

「トガ兄ちゃん!トガ兄ちゃんはあたしのことが嫌いなのですか?!どうしてここで働いちゃダメなんですか?!」

 やっぱりトドネが、俺の後ろで答える。

 もう、俺、必死。

 スーガしか見えてない振りすることで必死です。

「ほら!俺がトドネのこと嫌いなのかって、いらん誤解を生んでるじゃねえかよ!なんとかしろよ!」

「連邦が解体されたので、連邦捜査局が無くなっちゃったのです!あたしはアイドル活動なんてしたくないのです!お願いなのです!」

 足が止まる。

「だ、そうでございます。」

 最後だけスーガが応えた。

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