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ラストサクリファイス  作者: 木下たたら
第一章 全ての始まり
4/6

冒険そして狩りへ

 町を一歩外に出るとそこには辺り一面に草原が広がっていた。遠くの方には山や森もポツンと見える。


 よくよく草原を見てみると少し離れたところに小さな魔物達が動いていた。


「こいつらを倒せばいいんだよな?」


「そうだよ。 がんばって〜。 僕は適当について行くから」


「よしまかせろ!」


 俺は勢いよく走り出し一番近くにいたうさぎ型の魔物めがけて背中に担いだ剣を振る。だか、獲物をめがけて振り下ろした剣は空を切り地面を叩く。

 

 俺は剣を背中に戻し再び魔物を狙うがまたも空振りする。魔物達は俺を嘲るかのようにピョンピョンと跳ねながらこちらを見ている。


「あれ、おっかし〜な」


 何度もウサギ型の魔物を追い剣を振るが当らない。別の個体に標的を変えてみるが一向に当たる気配がない。


 俺は激しく息切れをしながら言う。


「はあ、はあ、なにこれ動き早すぎんだろ。全く当たる気しないんだけど」


 フェイは腕を組んで言う。


「大剣は振りが大きいからね。闇雲に攻撃したってなかなか当たらないよ。魔物にはそれぞれ弱点とか特徴があるから観察して見たら?」


 俺は言われた通りしばらく魔物を眺めてみる。するとこの魔物達には一定回数飛び跳ねた後に少しの間動きが止まるインターバルがあった。


 これだ、と思い俺はその隙を狙い剣を振り下ろすと斬撃音と共に見事に命中し、ラビィと言う魔物の名前残りHP5分の0という表示が出て魔物は倒れた。


 そしてポンと言う音がして煙になって魔物が消え、そこからお金が俺の目の前に現れたがま口型の財布へと吸い込まれて行く。


「フェイ! やったぞ! 倒したぞ! いちげき……」

 

俺が興奮しながらそう言いかけた時、フェイの方を見てみると奴は杖の反対側で軽く小突いただけで魔物を次々に倒していた。


「うん? どうした〜? なんか言った?」

 

 俺は恥ずかしく、しおらしくもなりながら、


「あ、いや、なんでもないです」

 

 そう言って魔物の方へと向き直り狩りへと戻った。

 

 ウサギ型の魔物ラビィを数匹倒した時、ファンファーレが鳴りレベルアップという表示と共に光に包まれた。


「おめでとう。これでレベルが2になったね」


「サンキュ、順調順調」

 

 俺は気分が良くなり鼻歌を交えながら魔物を倒し進んで行った。


 道中目が弱点のもの、飛行型で地上に降りた瞬間を狙えば倒せる魔物、それぞれの弱点や特徴を見つけながら戦って行った。

 

 しばらく進み森が目の前に見える頃にはレベルは4まで上がっていた。


「結構倒したつもりだったけどまだレベル4なんだな」


「そんなもんだよ。まだ町から出てすぐだしね」


「そうだよな。じゃああの森の中に行ったらもっと強いのと戦えるんじゃないか?」


「あの森はまだちょっと早いと思うよ。目安でいったらレベル10くらいかな?」


「そうなのか、じゃあ今日はこの辺にして引き返すか」


 だね、とフェイが返事をし俺達は元来た道を引き返そうとした。


 だがその瞬間背後で何かゾワっとするような音がして振り返るとそこには全身に鎧を着て片手斧を持った魔物が姿を現していた。


「お、おい。あいつなんだよ? 急に現れたぞ」

 

 フェイは訝しげな目をしながら、


「分かんない。僕も見たことないよ。どうする? 戦う」


「そりゃ戦うだろ。経験値凄そうだしな。でも強そうだし、もちろん協力してくれるよな?」


「え?しないよ」


 俺は驚いた表情でフェイを見る。


「いやしてくんないのかよ!どう見ても強そうだよあれ?俺負けちゃうかもよ?いいの?」


「大丈夫だよたかしならやれる!最悪負けても今なら減るお金もそんなにないでしょ」

 

 フェイは腕を組みながらニコッと笑顔を見せた。自分は手は出しませんと明らかな観戦モードに入っている。


「お前やっぱり見かけによらず結構なスパルタだな。まあいいよやってやる!」

 

 俺は覚悟を決め鎧を着た魔物と対峙する。まずは弱点を探そうと観察しながら間合いを少しずつ詰め敵の攻撃を誘う。奴はまだ動かない。


 間合いを約2メートルほどの所まで詰めると奴が動き出し斧を振りかざしてきた。俺は後ろに下がり攻撃を避ける。

 

 なるほど、俺と同じで武器の振りが重い。攻撃の後がチャンスだと思い次の攻撃を待つ。再度間合いを詰め奴の攻撃をかわし剣を振るう。


「ここだ!」

 

 相手の方に肩に攻撃が命中した。だが鎧は硬く剣は

弾かれ隙が出来てしまう。その隙を相手は見逃さず、俺はの攻撃をもろにくらいそれが致命傷となった。

 

 HP残り32分の1。たった一撃で虫の息だ。


「くそっ、早速ピンチじゃねえか」

 

 俺は助けを乞うようにフェイへ目線を送る。だが奴は笑顔で腕を組んだまま姿勢を崩さない。あくまで自分でなんとかしろって訳ね。


「つっても回復もできねえしなんかアイテム持ってるわけでもねえしな……」

 

 そう思いながらも空であるはずの上下のポケットに手を入れて見る。すると左ズボンのポケットに何かがあった。それを取り出して見る。


「これは……」

 

 出てきたのは鍵が三つついたキーケース。頭の中で自分の過去の映像がフラッシュバックし始めた。


「おぎゃあ、おぎゃあ」


「せんせい!はやくごはん!」「はいはいちょっとまってね」


「よし!サッカーしに行こうぜ」


「送ってくよ」「うん、ありがと」


「こら! 授業中だぞ! 寝るんじゃない!」「んああ、はーい」


「はいこれプレゼント」「なにこれ?」「キーケースだよ。免許取ったなら使うと思って」「まじで? 嬉しいよ。ありがとな」


「ずっと好きだった、結婚を前提に付き合ってくれ」「はい」


「あきくん……さようなら」


「ククク……」


 幼少期、から青年期、大人になるまでの間を一気に駆け巡る。


 その中で自分に婚約者がいたこと。そして破局したこと。最後には謎の黒ずくめの男に刺され気を失いこの世界に連れてこられたこと。全てを思い出した。


 すると辺りが急に闇に覆われ、俺は独り暗闇の中へ閉じ込められていった。

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