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第六話

総アクセス数が500を超えました!

ありがとうございます!


編集しました。

行間を開けました。

少し文を変えました。

 簡単に説明すると、なんか鋭い角を持ったカブトムシが、いかにも強そうな岩蜥蜴を瞬殺した。そして、何かしら愚痴りながら奥の方へ飛んで行った。


 残された岩蜥蜴の死体を食べ、俺はカブトムシの向かった奥を見つめていた。

 特別することもないし、追いかけるのもいいなと思っている。魔物となった今でも敵対心のあるやつ以外と戦うのは戸惑われるから、レベル上げも厳しい。精神的に。


 (追いかけるなら急がないと。ギリギリ見えるし、急ぐか。)

 最高速度で転がっていく。進化した体も、転がるのせいで角ばったところが減ってきている。速度は出せるが、体当たりで出せるダメージは少ないだろう。


 レベル上げはしないが、ちょくちょく岩の摂取はしておく。今度は、進化に都合のいい分岐ができるかも分からないし、条件に満たないなど論外な状態にはなりたくない。


 しばらく全力疾走していると、カブトムシの姿が大きく見えてきた。カブトムシは度々、この洞窟にいる魔物に襲われていた。しかし、俺は襲われることがなかった。


 改めてわかったが、カブトムシは話すことができる。愚痴っているような気がしたとか、気のせいだと思っていたが、どうやら本当に話せるらしい。虫が話すなんてことを信じられなかったのだと思うが、岩が虫に偏見を抱いているなんておかしな話だ。

 

 『ああ、もう!それどころじゃないんだよ!!』

 悪態をつきながら、カブトムシは次から次へと魔物を屠っていく。

 カブトムシには悪いが、それを見てこの階層にいる魔物の種類を知ることができた。


 最初にカブトムシに挑んでいた、岩蜥蜴。フロックの上位互換のような、ごつごつした岩。足が長く、十本くらい生えているクモのようなサソリのような魔物。そして、ピルバット。今のところ、その四種の魔物を確認している。

 岩蜥蜴とフロックの上位互換は、床ではなく、壁や天井にいることが多いようで、擬態能力が驚くほどに高い。いることを知った今でも、俺には未だ気付くこともできていないし、俺よりも強いと一目でわかるカブトムシも気づけていない様に見えた。

 

 そして、カブトムシの後を追って走っていると、不意にその姿を見失ってしまった。

 ずっと見つめて追いかけているのだから見失うはずない。だというのに、見失ってしまった。ちなみに、岩になった今では瞬きも必要ないから、瞬きをしている瞬間に、なんてことはあり得ない。


 『...気づかれていないと、思っていたのかい?』

 後ろから声が聞こえた。どうやら、一瞬で回り込まれていたようだった。驚きのあまりに体勢を崩し、出っ張った岩に躓いて飛んでしまう。それでも何とか地面に着地はできた。

 

 『フフッ!面白い反応だね。まるで、普通の魔物みたいだ!』

 …普通の魔物なんだからおかしいことはないし、人が転ぶ姿を見て笑うのはよくない。俺たちは初対面だぞ。


 『君みたいに、たまたま進化できたって魔物は二階層に降りちゃったら、すぐにそこの魔物に倒されると思っていたんだけど、何故か君は生き残って僕の後をついてきている。』

 俺の動きや容姿を見ているというよりかは、俺の中身を覗き込もうとしているかのような、そんな視線を向けてきている。少し恥ずかしい。


 『僕の知る、物質系の魔物には感情がそれほどないんだよね。だから、人間にも扱われやすいんだよ。中には、ゴーレムを作り出すって人もいるくらいだし、ただ頑丈な魔物って認識が当たり前。好奇心から他の魔物を追いかけるとか、そういうこともないと僕は思うし、君のその武器。僕には粗悪ながらも魔道具のように見える。』

 ぺらぺらと饒舌に語ってくれる。しかし、その意味は俺を否定するような物だ。だって、彼の言っていることは、要するに「俺はおかしい」ってことだから。


 『それに、さっき僕に驚いていたよね。他にも、隠れていることもあった。移動速度も調整できる。』

 …俺の持っている常識は、どうやら間違っていたようだ。


 『ああ、それどころじゃなかった!君と話す暇も僕にはなかったよ!付き合ってくれてありがとう!』

 そういって、もう一度移動し始めたのだが、すぐに止まり、戻ってきた。かくいう俺は、現れてはぺらぺらと話し、すぐに離れていった彼の行動に呆気にとられていた。


 『ここからも着いてくるんだったら、覚悟は必要だよ。敵意を感じないし、始末する気はないんだけどね。このダンジョンは思った以上に広い。魔物もこれ以上に強くなっていくはずだ。ここでは君を襲う魔物はいなかったようだけど、ここからは分からないからね。』

 俺に気を使っているような言い方だ。ソレはいいんだが、何を企んでいるのか、何に焦っているのかわからない。分からなくともついて行くつもりではあるけどな。


 『ああ、感情はある変わった物質系の魔物だけど、流石に話せないか。それに、感情があるからと言って、言葉が通じているとも限らないな。あれ?もしかして、全部独りごとになっちゃってる?』

 まあいっか。そう言って、彼は先へと飛んでいく。


 覚悟か。暇つぶしでここまで来たわけだけど、もちろん死んでしまうという覚悟があったわけではない。だからといって、回れ右をして帰るのも嫌だ。どうで上の階にいても暇だし。


 『着いてくるんだね。でも、スピードは落とさないから。』

 そうは言うものの、光って加速するなんてことはしていなかった。初対面に、急いでいるのに気を使ってスピードを落とすなんて必要はないはずだ。何かしら理由があると見た。


 たとえば、ゲームでよくあるマジックポイントが関係しており、飛ぶこと自体には使わないが加速には必要だとする。通常の飛行ではマジックポイントを使わず回復に専念。回復出来たらソレを使って飛ぶ。そういうことなんじゃないのか?

 俺もそれができたら、そう思ったが、そもそもマジックポイントが実在するかも未だ定かではない。



 結構な距離を移動しているような気がする。俺の体格やスピードはいまいち把握できていないが、体感的に感じた移動時間が二十分くらいだ。


 岩が転がる速度か。想像しやすいのが、生前見た映画だ。ああいった岩は大きいから俺よりかは早いのは確かだろう。しかし、それでも岩の転がる速度はかなりの物だと思う。勝手な妄想だが、自転車よりかは早い自信がある。この体で五十メートル走をしてみたいところだ。今は岩だが、俺の記録には変わりない。

 話が逸れてしまったが、二十分間同じ速度で転がり続け、カブトムシを追いかけていたのだ。虫には詳しくないのだが、彼からは疲労感が見えなかった。俺も、疲れることも目が回ることもなかった。魔物の体はとても便利である。


 洞窟内の魔物が、カブトムシに挑もうとしていたが、彼が俺に話しかけてからというもの、一瞥もせず素通りしていくことが多かった。

 そして、俺が一度も戦っていないままに、広い部屋のような場所に着いた。


 さっきまでは岩が重なってできたような、ザ・洞窟だったわけだけど、突然煉瓦のような石詰みの部屋になったのだ。そして、その部屋の奥には、下へと続く階段があった。


 『やっと着いた。広いし入り組んでいるし、本当に厄介だな!君もそう思わないかい?ああ、ここまで君もよく頑張った!物質系で、見たところ初めての進化を迎えたようだけど、僕に着いてこられちゃうのか。なんか悔しいな。』

 話しかけてくるけど、どこか会話をしているというよりも一方的に投げかけてきているようで、人形に話しかける人を彷彿とさせる。

 ずっと走っていたおかげか、俺自身、転がるの速度が増したように思う。


 『そういえば、君は全然戦っていなかったね。悪いとかそういうんじゃなくてね、ここから先に行ける戦闘能力があるのかなって思って。まだ余裕はありそうだし、レベル上げに付き合ってあげようか?』

 とても魅力的だ。レベル上げに手伝ってくれるなんて、こちらからお願いしたいところだ。しかし、敵ではない魔物を一方的に叩くのは…。


 『君の表情は分からないけど、よくよく見てみると、体で感情を表しているのかな。うーん、行きたいけど、戸惑いはある。何に戸惑っているのかな。さすがにそこまでは分からないな。』

 嘘だろ?表情は変わらない。岩だから。そんなことくらいはわかる。問題はそんなことではない。俺は、感情が体に出てしまっているということに驚きを隠せないのだ。

 

 『その動きは…。難しいな。怒っているようには見えないけど、笑っているとかそういう風にも見えない。驚いている、とか?』

 このカブトムシの観察眼には驚異的なものがある。岩の動きなんて、所詮は跳ねるか転がるがいいところだ。どうして、そこから感情を読み取ることができる?


 『理由は分からないけど、ここは人の住む町でもなんでもないんだよ。って、君に言うのもおかしな話だ。戦って強くならないと死んでしまう。進化した君ならそんなことくらいわかるはずだ。そして、ここから先に行くにはもっと強くなる必要があるというのも分かっているはずだ。だったら、戦わないといけない。』

 なんだこのカブトムシは。頭が切れすぎじゃないか。


 『君には僕の言葉が通じているはずだ。一人でいても寂しいだけだし、ここまで一緒に来たよしみじゃないか。君が勝手についてきたってだけだけど。変な愛着を感じるんだよね。』

 …そこまで言われて断るわけにはいかない。何を思っていったのかは分からないけど、確かにここは人の住む町ではない。


 『ダンジョンの魔物には、外から来た魔物にしか敵意を持たないのかな。これで最後だよ?死にたくなかったら、ここでレベルを上げる必要がある。』

 そう、だよな。死にたくはない。あたりまえだ。死にたくなかったら、戦って強くなる必要がある。生憎と岩には筋肉がないので、トレーニングの意味がない。


 『決心はできたみたいだね。君は優しい魔物のようだ。悪く言うと甘い考えをした魔物なんだけどね。じゃあ、行こうか。』

 そう言って、部屋を出て、さっきまで走っていた方へ飛び始めた。

 早速、さっきは逃したが、今度こそはと言わんばかりに、岩蜥蜴が現れた。その数は二体。初めてにしては多いかもしれない。


 『ピンチになったら助けるから、がんばってね!』

 …ええ。あそこまで言っておいて、ピンチになったら助けるから…って。

 まあ、出来るところまでは頑張るけど。


 とりあえず、俺の持っている使えそうな知識を出してみる。

 まずはコイツの攻撃だが、体に生えた岩を飛ばす。あとは噛みつくとか、そういうものだと思う。体当たりにも注意した方がいい。体格差もあるのだから、体を使った攻撃に注意をする必要がある。


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