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第十八話

十八話には、「うわぁ」と思うグロ要素があります。

ピルバット戦も十分にグロかったので、今更注意するのも遅いとは思いますが、苦手だと感じましたら、後書きに、簡単に要約したものを書いておきますので、読んでいただけると嬉しいです。

 露わになっていた魔石を狙い、バレットを連続して撃つ。

 最初はあんなにも恐怖させられていたゴーレムだったが、今では上部と下部が離れて身動きも満足にできておらず、今では弱く感じさせられた。ついさっき死を覚悟していたのにだ。


 逃げようとしているのか、攻撃しようとしているのかはわからないが、じたばたとしていた。しかし、砕かれて無くなった部位が多すぎたのだ。逃げることはできなかったようだ。

 そして、ついに……


 『相手のゴーレムを倒しました。経験値を取得しました。レベルが上がりました。レベルが十八になりました。』

 との言葉が頭の中に響き渡った。

 それほど関心が無いというわけでもないが、以前のレベルを覚えていないのでいくら上がったかはわからない。しかし、それ以上に驚いていることがあった。



 『……なんか、呆気なかったね。』

 グングニルがそう言った。

少し余裕を見せすぎたのが原因だろう。作業感覚で攻撃をしていたのだ。


 「真正面から一人で、だったら勝てないんだろうけどね。」

もっと火力があったらいいんだけどな。スローック本来の強さが足りないのかもしれない。


 「うん、やっぱりおかしいな。右手だけが別の魔物だったってことか?」


 『ゴーレム自体、会ったことが無いくらいの魔物だからねえ……』

 つまり、グングニルも分からないと。


 『あ、でも…もしかしたらだけど、君を追いかけすぎて、右手と本体とのリンクが切れて、内蔵されてあった魔石の影響で魔物化しちゃったというのもあり得るんじゃない?君が言ったのもあり得なくはないんだけどね。』

 …他の魔物として生まれ変わった、か。確かに、そうでなければ追いかけ続けるのも不可能に近い。


 「……うーん、答えは分からないか。あ、ちょっとごめんね。」

 わからないことを考え続けても意味はない。だったら、先に進まないと時間の無駄だ。それに、人間が同じ階層へやってきたという緊急事態だ。実は、ゆっくりする時間もなかったんじゃないかと思えてくる程だ。


 そう言って、ゴーレムだった物に近づき、上部と下部を食べた。


 「よし!行こうぜ!」


 『ああ、待って!質問なんだけど、今、人間は行動中みたいなんだ。そこで、前から行くか後ろから行くか、どっちから攻めようか?』

 ……前からか後ろからか、不意打ちをつくなら後ろからだ。そして、その人間は今、敵として現れている。

 答えは出ている。

 

 『ここまでくるってことは、人間も相当な技術を持っているはずなんだ。だから、多分奇襲も効果は薄いと思うよ。』

 ……答えは出ていなかったのかもしれない。

 

 「水晶の光のおかげで、こんな洞窟内ででも視力に頼ってるかもしれない。だったら、前から行って、水晶を食べていこうか。」


 『なるほど。いいね!僕も、何時でも攻撃ができるように構えておくよ!』

 

 『前から、ということは…えっと。うん、こっちだよ!』

 そう言って飛んで行った。

 その後を、転がって追いかけていく。

 走っていく道は、俺がグングニルを追ってきたときのものだった。水晶は回復しきっているので、多分通ったという、とても曖昧な記憶だ。


 「あ、いいこと思いついた。」

 驚かせて、一瞬だけでも動きを止められたらいい。その一瞬をグングニルが有効活用してくれるはずだ。

 人間だった俺には、魔物よりも人間を驚かせるほうが得意だ。この世界の人間は分からないが、きっと俺にはできる。


 『うん?何か言った?』

 グングニルが、こちらを振り向かずに聞いてくる。


 「人間と戦う時に使えそうな物を思いついたんだ。」

 そう言って、心の中で、それに必要なものを作るように神の声にお願いした。


 『そっか、楽しみにしてるよ。』

 人間の許へ行く道中に、グングニルの言っていたクモを数匹見つけ、トランスキンを見つけられた気がした。


 「あ、もしかして結構近くまで来られた?」

 今まで感じ取っていた魔力とは全く違った、不思議なものを感じ取った。


 『ここまで来たらわかるか。そうだよ、すぐ近くまで来てるよ。』

 だったら、ここ辺りから水晶を食べるべきか。

 

 ガジガジと、至る所に生えてある水晶にかぶりつく。


 「俺が話せるってことは、人間の前では内緒にしてくれ。」

 話せるほどレアな魔物だと思われたくないとか、そんな理由ではない。そもそも、話せるということがどれほどレアなのかがわからない。


 『了解!でも、声を発さずに直接伝えられる念話というもので、ずっと君と話していたから、他人に聞こえることはないんだ。だから、伝えるべきことがあったら、ちゃんと伝えるからね。』

 念話、か。そういえば、神の声同様で、声の聞こえ方に違和感はあったのだが、これがあの念話というやつだったのか。


 いつでも向かえるようにと構える。


 『…行くよ!』

 その声と共に、全力で転がっていく。

 さっきまでいた道から左に曲がり、さらに右に曲がった先に人間がいる。注意深いのかゆっくり歩いている様子だ。


 右手を使い、人間に近づきながら水晶を破壊していく。

 真っ直ぐ転がっていくわけではなく、砕いた衝撃で飛び上がった水晶を食べるためにグネグネと曲がりながら進んでいる。


 明るくなっていた洞窟内が一気に暗くなっていく。


 「…な、なんだ!?」

 人間の声が聞こえた。渋めの男性の声だった。


 姿が見えた。

 この世界で初めて出会った人間は、細めの体ではあるがガッチリと筋肉がついているように見えた。そして、整えることもしていない伸び放題のひげ、初めて見るボロボロになった鉄の胸当て、大きめの曲がった剣。

 筋肉はついているが、どちらかというとやはり細めで、むしろガリガリに近かった。目の下にはクマのようなものが見えた。


 突然目の前が真っ暗になっていき、男は焦り出した。そして、そのうちに男の後ろ側にある水晶も食べていく。


 『先、もらうね!』

 そう言うと、グングニルは光を放ちながら高速で飛んでいく。

 そして、何も持っていなかった左手を吹き飛ばした。


 「ウググッ!!クソが!!暗視発動!ハーダー!ファスター!!」

 男は叫ぶように、スキルを発動させた。

 大ダメージを与えられたので、先に水晶を食べた意味はあった。


 『こいつは、僕を追ってきた冒険者の中でもそれなりに目立つくらいの強さだったよ!戦っているところは見ていないけど、魔法で速さを上げられるから厄介だとは思うよ!それに、防御力も上げているようだ!!』

 当たらなければどんな攻撃だったとしても脅威ではない。その上、もしも当たったとしても防御力を上げているので、大ダメージにはならない。俺もゲームでよくした戦法だ。


 「グングニルか!!所詮は虫か!まだ三階層だったか!!グングニルだったら、左手くらいくれてやる!!」

 剣を逆手に持ち、グングニルの方へ攻撃を仕掛ける。


 「助けてくれぇぇぇぇええええええええええッ!!!!!!」

 俺は、これでもかというくらいに大きな声を上げた。


 「あ?」

 男は、短い声を漏らしながら周りを見回す。グングニルへの警戒は解いていないようだった。

 グングニルの価値が高すぎて俺は眼中にないようだ。しかし、さっきの叫び声によって、俺の存在に気づき、見下ろしてきていた。


 「…お前か?」

 怪しそうに睨みつけながら近づいてきた。


 「そこに、誰かいるのか!?俺はここだ!!助けてくれ!!!!!」

 俺はまた叫ぶ。ひたすらに、助けを求める様に。


 「なんだ?なんなんだ…?」

 俺の姿をじろじろと見つめていた。


 「助けて!助けてくれッ!!!」

 次は、叫びながら口を開き、そこから先ほど作った物を出した。


 「助けてくれ!引っ張ってくれ!!!」

 俺は、洞窟内で食べた肉を使って、人間の手を作っていたのだ。そして、それを口から出し、男に見せつけたのだ。


 「く、食われたのに、まだ生きているのか!?」

 急いで、俺の出した手を掴もうとした。

 一見、悪そうな、怖そうな人に見えていたが、勝手に見た目で判断してはいけなかった。


 「があああああああああッ!!!!!!!!」

 俺は口を閉じた。そして、これでもかというくらいの大声を上げた。


 「な、な…おい。おい!口開けろや!!」

 男が俺に攻撃を仕掛けてきた。

 切羽詰まった雰囲気で助けを求められ、手を伸ばされ、目の前でそいつの希望が消え去る瞬間を目の当たりにする。

 驚く以上のものだ。まさにサイコパスだ。しかし、それで意識が全て俺に向いた。

 焦りながらも、グングニルはまた体を光らせながら突撃した。そして、男を貫き、一瞬で絶命させた。


 『…君、かなりの鬼畜だね。魔物の僕もびっくりしたというか、怖くなったよ。』

 グングニルも引いていたようだった。

 驚かせるだけのつもりが、緊張もあって危険な方へ向かって行ってしまっただけなのだ。これを意図してやったわけじゃない。嘘じゃない。

 

 倒れた死体を一口で食べきった。

 同じ人間だった。そもそも、同じ生き物として、大量の血液を見たときはパニックに陥るのが普通のはずなのだ。だというのに、冷静になった今でも、何も感じずにいた。

 人間だったはずなのだ。


 「……あはは。ごめんね。あー、うん。とりあえず、レベル上げしよっか。」

 自分が作ったのだが、何とも言えない空気に耐えられず逃げた。


 『新しい称号:非道を取得しました。』

 ……だよな。非道だよな。


 『で、でもさ。おかげで、何のダメージも得ずに倒せたんだよ!』

 フォローをしてくれるが、いたたまれない気持ちは続く。


 『ほら、爆弾クモ見つけたよ!!』

 まあ、やってしまったことは仕方がないんだ。


 「戦うか!!」

 俺が落ち込んで、グングニルが慰めるというのもおかしな光景だろう。無理やりにでもテンションを上げなければ。


 「うおおおおお!!!!」

 爆弾クモに向けてバレットを撃ちこんだ。

 

 『ああッ!?待って!!!』

 グングニルが慌てた声を上げたが、少し遅かったようだ。

 俺の右手は、クモの腹に埋め込んで行った。案外やわらかいな、そう思わされた次の瞬間……


 ドゴオオオオオオオオオオンッッ!!!!!!!

 

 ものすごい爆発音と、強烈な熱風が押し寄せてくる。

 一瞬にして後方の壁へ飛ばされた。衝撃が尋常ではないくらいだった。

 

 そんな俺の視界の端に、緑の小さな光が見えた。


読んでいただきありがとうございます!


長い間戦っていただいたゴーレムの倒され方、こんな感じでいいのかと自分に質問しましたが、「あれ以外あると思うか?」と返されてしまいました。


投稿はこれまで通り遅いままにはなりますが、一週間に一回、月曜日のお昼十二に投稿できるように心掛けます。


十八話 四十文字でまとめてみた。

ゴーレムと三階層へ来た人間を倒す。気が狂った主人公は爆弾クモを爆発させてしまう。


以上です!次回もお楽しみに!

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