二十四話:アマシロ様
「アマシロ様……?」
「そうじゃ。 わらわがアマシロ様じゃ!」
何か文句でもあるのか!? と憤慨するアマシロ様。
ノーパン疑惑の巨乳神官について行き、神殿の奥へと向かった俺を待ち受けていたのは、のじゃロリだった。
「の、ノリオ様! こう見えてもアマシロ様は凄いお方なのですよ! もっと敬意を払ってくださいね!!」
ミオちゃんが慌てた様子で俺の腕に胸をくっつけ耳打ちしてくる。
「こう見えて……?」 そうとう耳がいいのか、アマシロ様は呟き眉をピクリと動かした。
案内された貴賓室。
華奢な椅子に腰を掛け、足を組み、紅茶を啜るのじゃロリ。
どう見ても、十歳くらいの女の子にしか見えない。
菫色の長い髪に少し太い眉。 表情豊かな幼い顔立ち。 まったく威厳を感じないペッタンコ。 白を基調とした赤黒金と派手なヒラヒラした服を着崩している。 その筋の紳士達には人気がでそうだ。
「フン! 小童よ、早くお主の玉を見せるのじゃ!」
「はっ?」
「ほら、早くだすのじゃ!!」
玉を見せろと言われても、初期装備のパンツは脱げませんよ?
あれ、倫理コード解除したら脱げるんだっけ?
とりあえず脱ぐか。
「な、なな、何をしておるのじゃっ!? きゃっ」
「だって玉を見せろって……」
「違いますよ! ノリオ様っ。 黒い宝玉のことです!! きゃっ」
装備だから着脱は一瞬なのだよ。
恥ずかしがるミオちゃん可愛い。 やっぱりどうにか一緒に温泉に。
「わらわに変なモノを見せるでないッッ!!」
「ぐはっ!?」
腹部を襲う激痛。
ロリ突きが危険な場所に……。
「まったく! だから来たくなかったのじゃーー!! ケダモノどものいる下界なんぞおおお」
「ぐぅぅ……」
「大丈夫ですか!? ノリオ様っ」
ダメです。
息子にヒールライトをください。
「うぅ……早く戻りたいのじゃ……」
背中をとんとんしてくれるミオちゃん。
のじゃロリは壁際の窓から空を見上げ呟いている。
うっすらと。
光に透ける透明な翼が見えた。 空を飛んでいた人たちは白い羽だったと思ったけどな。
「これでいいのか?」
「おお、それじゃ! はやくよこすのじゃ〜〜♪」
アイテムボックスからジャイドのドロップアイテムである黒の宝玉を取り出す。 その宝玉は相変わらずの禍々しいオーラを放っている。
「うむ! 間違いないのじゃ、これをいっぱい集めたらまた上に戻れるのじゃ〜〜♪」
普通に手でもつ、のじゃロリ。
「上に?」
「はい。 アマシロ様は天人族の住まう浮遊大陸【エデン】から、お役目の為、一時的に下界へと降りてくださっているのです」
「そうなのじゃ! わらわはほんとは凄く偉いのじゃ。 お主など口をきくことも許されんのじゃ!!」
ワハハ! と愉快気に笑う、のじゃロリ。
イラっとしたので黒い宝玉を取り上げる。
「なっ、なにをするのじゃーー!」
「いや、俺のだし」
ボスのドロップアイテム。
本当はPTの物だけど。 ミオちゃん達とはPTを組んでたわけではないし、ラストアタックも俺だったしね。
俺にジャイ〇ン理論は通用せんぞ!
「イジワルするでない〜〜。 よこすのじゃ……!」
ぴょんぴょん飛び跳ねる。
着崩している服がさらに着崩れる。
「タダで手に入るとでも?」
「くっ! これだから、下界は嫌なのじゃっ。 わかった、わかったのじゃ。 ならば、これと交換でどうじゃ!!」
「「!!」」
のじゃロリの出した対価に、俺とミオちゃんが目を見開く。
「こ、これは!?」
「きゃあああああ!! なにをしているんですかっ! アマシロ様ッ!!」
ピンクの布。
薄いピンク色をした特徴的な形の布をヒラヒラさせるアマシロ様。
ミオちゃんが慌てた様子で悲鳴を上げる。
「ミオのパンティじゃ!!」
やっぱり。 というか、何故……。
「神官服の下に下着を着るなど、言語道断! 没収してやったのじゃ♪」
「〜〜〜〜っ!!」
俺がつい視線をやると、恥ずかしそうに手で前と後ろを隠すミオちゃん。 隠されると逆にエロい、いとエロい。 若干に前かがみになるので、ポヨンとその豊満な双丘が重力に従い形を変える。
「ん? 下着ってことは……」
ノーブラ……。
「うむ! ならばセットでどうじゃーー!」
追加される薄いピンク色の特徴的な布。
先ほどと少し形の違うそれは、どうやらセットらしい。
「ノリオ様……」
いかん。 つい悪魔の交渉に応じようとしていたが、ミオちゃんの冷めた視線に我に返る。
「いや、ダメだろ」
「くっ!? ほんとうに下界はケダモノだらけじゃっ。 まさかわらわのパンティを要求するとはのぉ……」
「いや、それはいらない」
おませなお子様だ。
「もっと実用的な良い物が欲しいんだけど?」
「むぅ。 とは言ってものぉ。 われらは下界の民に物をやってはいけない決まりなのじゃ」
野良猫に餌をやってはいけないみたいな言い方をするね。
「おお、そうじゃ! クラスチェンジではどうじゃ?」
「クラスチェンジ??」
「うむ。 レベルは足りておる。 あとは必要な素材があれば上位のクラスへとクラスチェンジが可能じゃぞ?」
え? 上位クラスとか聞いたことがないんだが……。
「ほんとうはエデンまで来たものにしか、クラスチェンジはしてはいけないのじゃ。 しかし最近の魔族の動きに対応するためには手駒が……、んん゛っ……猫の手も借りたいぐらい忙しいのじゃ!」
「……」
言い直せてない。
しかし、クラスチェンジか。 これは乗らない手はないだろう。
「それで!」
「ムフフ。 決まりじゃな? では宝玉は貰うのじゃ♪」
俺からひったくるように黒の宝玉を奪うアマシロ様。
するとメッセージが届いた。
ピロロン。
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クラスチェンジクエストを受領しました。
☆必要素材☆
・闇の宝玉x10
・光の宝玉x10
・ファラオの心臓x1
・古龍の血x1
・月の涙x1
・各種遺物x1
以上を揃えてNPCアマシロに渡す。
遺物の種類によりクラスチェンジ先が変化します。
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「……」
まったく不明のアイテムだらけ。
ギルドに帰ってレフィーさんたちに相談するしかないな。
※誤字修正 経緯→敬意 報告ありがとうございますm(__)m




