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俺達のパーティーは何かがおかしい  作者: お茶大好きなお茶目さん
このパーティーはおかしい
21/22

豚の丸焼きよろしく、俺の丸焼き

「なんで、俺はこんなにもボコボコにされないけんのよ…」


「何度言ったら分かるの?このクソ短小野郎。お前みたいな下種を極めた男がアールルを奪うからに決まってるじゃない」


ひ、ひでぇ…。


絶賛、俺は魔法少女にボコボコに殴られて、正座させられ、冷たい言葉の暴力を受けてます。


アルル?


アイツならとっくの昔に逃げたよ。

俺を置いて、ね。


取り敢えずさ、人選間違えてね?


俺、ボロクソ言われてんやけど…。

なんでアルルはコイツを紹介したか本当に分からん。


「で、どうして私の元に来たの?」


「仲間集めーー」


ーーゴンッ。


「くぅぅ…」


どこから取り出したのか、ハートがトレードマークの杖で殴られた。しかも、勢いよく。


メッチャ痛いんですけど。


そりゃもう、悶絶する程にね。


「お前みたいな下種の仲間になる訳ないだろうが。身の程を弁えろ。屑が」


ペッと唾を吐きかけられた。


なんで俺がこんな仕打ちを受けなきゃならんのよ…。


「そう言えば…どうしてアールルちゃんは、お前なんかと…?」


今頃になって疑問を覚えたみたい。

俺を殴ってる間に気付けよ。せやったら、俺は数十分もボコボコにされんで済んだのにっ!


「アルーー」


ーーガンッ。


まだ何も言ってないのに頭を杖でブタれた…。


「お前がアールルちゃんの名を語るな!穢れる!」


マジで、ひでぇよ…。


と、取り敢えず、言い方を変えよう…。


「……アイツーー」


ーーガンッ。


「アレーー」


ーーガンッ。


「アーー」


ーーガンッ。


「痛いわっ!!」


ーーゴンッ。


酷いよ…。

アルルの名前はおろか、アルルを指す言葉すら呼ばせてくれないとか…。


逆ギレしたら、キッツイのが来たし…。

泣きそう…。


「と、兎に角、俺らの仲間なんよっ!」


「………」


ようやく言えた。

けど、魔法少女は無言になった。


暫しの沈黙の後、魔法少女がゆっくりと口を開く。


「う、嘘…」


後退り。からの、両手で強く握りしめた杖を今にも俺に振りかからんと掲げーー思いっきり振り下ろした。



〜〜〜



またもやボコボコにされて瀕死状態と化した俺は、地面に倒れてピクピクと死にかけの蛙のような格好になっている。

なのに、魔法少女はヨヨヨッと言いながら膝から崩れ落ち、キッと俺を睨んで言い放って来た。


「私のアールルちゃんは誰にもあげないんだからっ!」


「………」


もう何も言えない。


この人は、所謂、アレだ。

もう一人のリュウみたいな存在だ。


『取扱注意』とか『接触厳禁』とかの札を掛けておいた方がいい人的なアレだ。


痛む身体に喝を入れながら無理矢理に身体を起こして、俺は危険人物に背を向けーー。


「せいっ!」


ーーゴンッ。


「ガッ」


脳天一発。俺の意識はそこで途切れた。


どこか遠い所から「ふんっ。私に背を向けたのが間違いだと思いなさい。その辺の魔物にでも喰われて死ね!」と、悪魔のような冷酷な声が聴こえた気がした。



〜〜〜



目が醒めると、そこはーー。


「あ…熱っ!?熱いっ!?あつつつつっ!!なに!?何よ!?」


豚の丸焼きよろしく、俺の丸焼きにされかけていた。


助けを求めるかのように視線を巡らすと、緑小僧達が俺を囲んで踊ってた。


俺、とことん緑小僧に縁があるみたい…。


って言ってる場合じゃなかった!


「ヘーールプッ!誰かっ!誰かぁっ!!助けテェェェェ!!!」


このままじゃ、ホントに丸焼きになっちゃうよ!


火は背中まで届いてないけど、熱いのよ!熱気が届いてるのよ!

蒸し焼きになるぅぅ!!


「ギャギャッ!」


「グギャギャッ」


「ギャーギャギャ、ギャッ!」


「何言ってんかサッパリ分からんわ!タスケロォ!!」


周りの緑小僧の声がウザい。

人が燃やされてるってのに、助けもせずに踊りやがって。


おいっ、今笑ったの誰や!


チクショーー!死にたくねぇー!


手足が太く長い丸太に固定されて動けんけど、俺は必死に身体を捩って逃げ出そうと試みる。


しかし、俺の手足はシッカリと丸太に固定されてるみたいで、解ける気配など一切ない。


助けはなく、背中からジワジワと蒸し焼きの如く伝わってくる痛みと暑さに耐えていると…。


「俺様が来たッ!」


嬉々としたリュウの声が聴こえた。


助けが来たのだと俺は判断し、咄嗟に声の聴こえた方に視線を向け………は?


「なんでや!?なんでお前もやねんっ!!」


アホやんけ!

超笑顔で丸太に縛られて運ばれて来たよ!?


なんでやねんっ!


「アヒャヒャヒャヒャヒャッ!ヤベェー!マジヤベェー!サイッコーーにクールだせぇぇ!ヒャッハー!!」


成る程。

要するに、リュウの頭はお花畑になっている、と。


落ちてるもんでも食ったんか?


あっ、頭からキノコ生えてる。


俺の隣に吊られたリュウは、俺の丸焼きよろしく、リュウの丸焼きが始まった。


うん。手の打ちようがないね。


頼みの綱であったリュウはイカレてもうてたし、俺も動けない。

これは…万事休すってやつだね。


うん………諦めきれるかいっ!


こんな死に方嫌だよ!

リュウはあげるから、俺だけは逃してよっ!


頼むよ!神様ぁぁぁ!!!


「………」


やはり、神は居なかった。

待てども、待てども、助けは来ない。


リュウも焼かれ始めたし、ついでに言うと、イかれてる。丸太を中心に、拘束された手と足を軸に、体を振り子のようにして器用にグルングルン回ってる。


それ程までに動けるんなら、助けてや…。


ついでに、キノコが焼ける匂いが隣から漂ってくる始末やし…。


仕方ない。

リュウはイカれてるけど大丈夫やと思う。

けれど、俺がヤバイ。背中が焼けてる感覚がしてきたもん。


なんとかするけ…。


取り敢えず、頭の中から対処方法を絞り出す。


俺が出来る事と言えば、余りない。

運転とか、家事とか、物の修理とか、そんな類の事しかできない。


どうしたものか…。


目を瞑って、唸りながら思考に没頭する。


そもそも、俺に出来る事なんて底が知れている。

ならば、この世界で手に入れたスキルに頼るしかないが、俺が持ってるスキル自体、使えるかどうか…。


取り敢えず、一つづつ考えてみよう。


【広く浅く】

武器がないと使いようがないから、ボツ。


【運転】

乗り物?そんなもん、ここにはねぇよ。


【整備】

何を直すって言うねん。


【暴飲暴食】

食えそうなもんなんて、ねぇよ!…いや、俺か…。

自分の腕とか足を食ったら脱出できると思うけど、そんなアホな事する訳ないやんけ!


【読心術】

使い道ねぇぇ!

アルルにしか使えんじゃん!


【収納箱(イベントリ)】

両手塞がってて収納できるの?

とかそんな疑問は置いといて、キメポーズとか死んでも嫌や!


「ダメじゃんっ!」


どれもこれも使いようがねぇな!おいっ!


俺じゃ、どうする事も出来ないと判断し、唯一の希望に縋る事にした。


まぁ、無理やろうけど。


リュウが正気に戻ったら話は別だろうが、さっきからずっと騒いでるから、まだ元には戻ってないと思う。


それでも、助けを求めざるおえない状況の為、視線を隣に向け……ん?


「キャンプファイアァァァ!!」


ペガサス人形量産機と化していた。


厳密に言うならば、どこからともなくフワフワと飛び回るペガサス人形が生み出されて、火に自ら突撃していた。


有り得ない光景に唖然としたものの、一番の驚きは、リュウは火傷一つ負ってなかった事だ。


さっきから風が少し強かったのは知ってた。

けど、まさか、本来ならリュウを丸焼きにする筈の火が風にさらわれて明後日の方向へと向かっているとは思いもよらなかった。


そして、ついでと言うべきか、ペガサス人形が自らを犠牲に火を拡大させていた。


要するに、火事だ。


俺の真下にある火は、懲りずに俺を焼こうとしてるけどなっ。


……って、違う!?


これ、リュウが拡大させた火やん!?風に煽られてるやん!?

んでから、俺の下のやつ燃え尽きてるやん!?


緑小僧達は既に逃走済み。それは良い。

良いのだが、なんだって、リュウの暴走に付き合わされなきゃならんのよ!?


コンチクショー!


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