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08 ホワイトシチューとパンケーキ

 ◇


 大前提として、この世界の料理は――不味い!!


(いや、少し言い過ぎたな、訂正しよう)


 この世界の全ての料理が不味い訳ではないと思う。だが、この町の料理が不味い事は間違いない。

 それは、ウチで料理を作っている母親のイデアに限った話じゃない。この町の文化として、料理そのもののレベルが低いのだ。

 無論、前の世界である日本の料理とは比べ物にならない。この町の人間は、往々にして美食グルメというモノに無頓着なのだ。


(では、何故ここまで町の人が料理に対して興味を示さないのか?)


 ここから先は周りから聞いた話と、独自に調べた情報を俺なりに整理した内容になる。それは矢張り、フェイスレスとの長きに渡る争いが原因だろう。

 戦争など大きな事変が起きてまず問題になるのが食料問題だ。人の数を測るのに人“口”とはよく言ったもので、多くの人間が動けば当然多くの食料が動く。

 戦争なんてその最たるモノで、兵士の糧食確保は戦争においての命題とされている。


 しかも戦争は一度その火口が切られると、国の若い人間はその殆どが戦場に狩り出され、それに伴って国内で農作物などを生産する人手が減少する。

 更には敵国に領土が奪われるなんて事もあり、食材を作る土地そのものがなくなってしまう場合もある。

 そうして国内での食料の生産が下がれば、今度は兵達や国民の糧食を補うための方法として、食料の“保存法”が発達するようになる訳だ。


(ただでさえ少ない食料を腐らせて無駄にする訳にはいかない――となれば、保存技術が発達するのは当然の流れだろう)


 更にこのアディルファナ王国は、一度その領土の全てを失っている。

 作物を作る人材を失い、更に作る土地まで失ってしまっては、自国だけで食料を確保する事は不可能だ。

 今ではフェイスレスから少しは領土を取り戻せたものの、それでも国民全体の食料を賄う事は難しい。

 しかもこの国は一年を通して気温が低く、作れる作物も芋など寒さに強い物に限られ、内陸のため魚を採る事も難しい。


(つまりこの町で暮らしている人達には、“料理”という行為そのものに割く余裕がない)


 事実、俺がこの世界に来てから食べた食事も――まぁ俺から見た感想だが――その大半が料理と呼べる代物ではなかった。

 この町の人達にとって料理とは、食材の調理ではなく寧ろ“加工”と言った方が良いかもしれない。

 なので大抵の調理法は単純に煮るか焼くかの二択なのだが、保存の為の方法は驚くほど多岐に及ぶ。酒や酢や塩に漬ける、煙で燻す、日に干す、発酵させる、凍結させる等々。


 人類文明の進化の過程を考えると、人は初めに食材を生で食べ、火を使えるようになってから食材を焼く事を覚え、陶器を作り出すようになってから煮る事を覚え始める。

 そうして、やがて農業や漁業などが発達し、食材の安定した供給が確保できると、余った食材を保存するための技術が発達し、そこで漸く本格的な“調理”や“料理”へと発展していく訳だ。


(多分この町では、その保存の段階で食材の加工技術がストップしたんだろう)


 それが分かった時、俺は少し違和感を覚えた。この国では巨大ロボットが歩いているし、それを運ぶ為の大きな車両なども存在している。

 ボイラーを利用した廃熱管で室内を暖め、キッチンでは同じ原理を利用した熱で食材の調理もされている。

 だから、この国の技術レベルは決して低くはない。これだけ技術が発展しているなら、同時に料理の技術だってもっと高くなってもおかしくない筈だ。


(でもよくよく考えると、それ等の核心部分には全部聖紋が使われてるんだよな)


 前にも言ったが、教会の聖紋なんてチートクラスのオーバーテクノロジーだ。原理なんてまるで分からず、それによって齎される恩恵を人々は神さまの奇跡としか思っていない。

 そのお陰で工業的なレベルは段階を跨いで一気に向上したのだろうが、その反面料理などと言った文化的なレベルは、完全に置いてけぼりを喰った状態なのだろう。


美食グルメ? 旨み? 食感? 料理の“さしすせそ”? 何それ美味しいの? 美味しいんです!)


 それにこっちの世界の人類は、フェイスレスによって一時期滅亡の瀬戸際にまで追い詰められた経緯がある。

 聖紋を利用した技術の発展は、フェイスレスに対抗する武器や道具開発に重きが置かれ、食料に対しては量と保存が第一で、味の追求は二の次だったのだろう。


(まぁ料理って所詮は“娯楽”だからな)


 人間ただ生きていくだけなら、食事なんて必要な栄養素を摂取していれば何も問題ない。“味”を追求する料理なんて、生活に余裕がなければ中々発達しないモノだ。

 でだ、そんな料理とも言えない料理ばかりを食ってる環境下で、俺が前に居た世界――“日本での料理”を作り、かつソレをこっちの世界の住人に食わせたらどうなるのか?


 その答えが――


「フーフー! ハグッ! アグアグアグ!」

「ハフハフ! ングッ! バクバクバク!」


 ――“コレ”である。


 初めてのホワイトシチューを警戒した様子で見ていたゼルガとゼオルだが、スプーンですくった一杯目を口にしたとたん、猛烈な勢いで残りのシチューを頬張り始めた。

 熱々の湯気を何度も吹き飛ばし、すくったシチューを熱さも気にせず飲み下し、煮込まれた大き目の野菜をハフハフと噛み砕いている。

 そんなに急いで食べると口の中を火傷しそうなもんだが、二人は気にする事なく額に大粒の汗を浮かべながら、一心不乱に自分の口にシチューをかっ込む。


「ちょ、ちょっと二人とも、まだあるからもう少し落ち着い――」

「「お代わり!」」


 瞬く間に空っぽになった二つの椀が、同時にイデアの前に突き出された。


「……はいはい、じゃあ少し待っててください」


 二人から椀を受け取ると、イデアは自分のシチューには殆ど手を付ける間もなく、再び厨房へと戻って行く。


「ほれヒビカ。今日は特別だからな、お前の分のシチューもあるぞー」

「キャンキャン! ハッハッハ――」


 ヒビカ用の椀に入れたシチューを持って近づくと、ヒビカは自分も欲しい欲しいと全身を使ってアピールしてくる。

 千切れんばかりに尻尾を振り、その場でクルクル回ったり、後足だけで立ち上がって後ろにコケたりを繰り返している。


(うむ、実に癒される)


 このまま何時間でも眺めていたい処だが、それは流石に可哀想だ。


「待てだぞー、待て」


 だが動物を飼う以上、ペットの躾は飼い主の義務だ。

 俺は心を鬼にして、今にもお椀に顔を突っ込もうとするヒビカを手で押し留める。


「キュ~ン……」


 言われた通りジッと我慢するヒビカだが、目は置かれたお椀に釘付けで、口からは一筋のヨダレが垂れている。

 見ていて非常に気の毒だ。俺は心の中で十数え終わると、直ぐに「よしっ」と許しを出した。


「ハクハクハク!」


(おお、シチューのかさがみるみる減っていく)


 因みに、ヒビカ用に用意したシチューは塩分控えめの薄味で、具も全部食べ易いように小さ目にし、火傷しないよう事前に冷ましてある。

 俺なりに色々と気を使ったつもりだが、コイツって食べさせちゃいけない物とかあるのだろうか?


(確か、前の世界じゃ犬はタマネギとかチョコが毒だって聞いた事があるけど……猫だったっけ?)


 だから前にイデアに、『キツネって食べたらいけない物ってある?』と尋ねてみた処、逆に『その子キツネなの?』と返された事がある。

 なので、未だコイツの正体はハッキリとしていない。


(けどコイツってなんでも食うんだよなぁ)


 初めて会った時も気にせず芋食ってたし、肉食って訳じゃないのだろう。

 まぁ仮に肉食だとしても、ウチみたいな貧乏宿屋で飼う以上毎日肉なんて高級品食べさせてはいられない。なので、助かったと言えば助かった。


「しっかし、こんな美味いモン初めて食ったぞ!」

「うん、ホントに美味いよコレ! 母さんとイセアが作ったんだろ、どうやって作ったんだ?」

「えっと、このシチューの作り方は――」

「うおッ! お、おいゼオル! このべテルもスゲーぞ!? お前も食ってみろ!」

「うわホントだ!? つかコレってホントにベテネなのか? ヤッコの毛よりフッカフカじゃないか!?」


 パンケーキの例えが家畜の毛というのはどうなんだろう? まぁこの人達には他に例えようがないのかもしれないが……。


「おいおいイセア、このベテネどうやって作ったんだ!?」

「いや、それはベテネじゃなくパンケー――」

「おまたせー。お代わり持ってきたわよ」

「「待ってました!!」」


 俺がシチューやパンケーキの説明をするより早く、二人はイデアの持ってきたシチューを猛然と食べ始める。


(……うん、二人とも聞く気ないよね)


「なぁヒビカ、人に尋ねておいて無視するって酷くね?」

「ハクハクハク!」

「……」


 俺も自分のぶんを食べる事にする。ちょっぴり寂しいなんて思ってない。


「良かったわねイセア、アナタの料理大好評じゃない」

「お母たまっ!」

「きゃっ、な、なぁに急に?」


 俺はひっしとイデアの懐にしがみ付いた。母は偉大なり。


 数ヶ月前、ヤッコの背中で今後の対策を練っていた俺は、あの後直ぐにイデアに相談を持ちかけた。

 厨房を使わせて貰えないかというお願いと、ゼオルの誕生日に料理を作らせては貰えないかというお願いだ。

 無論、イデアも最初は渋った。そりゃ俺みたいな子供に厨房なんて使わせたくはあるまい。

 そんなイデアを『兄の誕生日を自分なりに祝ってあげたいから』と何とか説き伏せ、自分と二人ならという条件で厨房の使用許可を得られた。


(まぁ俺だってこんな小さな身体で料理ができるとは思ってない。大人の協力は不可欠だ)


 そこから先は、まさに試行錯誤の連続だった。正直、こうしてゼオルの誕生日に間に合ってホッとしている。

 そもそも折角の誕生日なんだからと、手の込んだ物を作ろうと考えたのが間違いだったのかもしれない。

 多分、久々に作る料理とあって、俺の中で何かスイッチが入ってしまったんだろう。


 さっきも言ったように、この世界は料理という物に関心が薄い。それに伴って調理道具も種類が少なく、泡立て器すら市場には売っていない有様だ。

 更には前の世界では簡単に手に入ったバターなんかも、こっちでは普通に高級品扱いだ。俺たちのような一般家族にはそうそう手の出る代物じゃない。

 そのため道具や食材をわざわざ自作したりして、準備段階にやらたと時間が掛かってしまった。

 だが、俺の今後の計画を考慮するのなら、コレくらいの事はしておいた方が良いと判断し、今回のホワイトシチューとパンケーキを作るに至ったのだ。


 幸い、ウチにはバターや生クリーム等の原材料を提供してくれるヤッコがいるし、卵だってキュウス達から拝借できる。

 ヤッコのミルクを分離させ生クリームからバターを作り、小麦粉と混ぜてホワイトソースまで作った。

 他にもキョロ鳥の“ガラ”から出汁を取ったりと非常に苦労したが、お陰でまぁまぁ納得のいく物が出来上がった。

 イデアに完成品を試食して貰った時には、その味に文字通り飛び跳ねるくらい驚いていた。


 惜しむらくは、“コショウ”が手に入らなかった事だろう。その昔、コショウ等といった香辛料の類は同じ重さの黄金と同等の取引がされていたという。

 コレばかりは自作する事もできず、市場に流通さえしていない。もしかしたら、この世界にはそもそも存在すらしないのかもしれない。


(アレがあれば、料理の幅がもっと広がるんだが……)


 しかし、何はともあれこうして料理は完成した。

 見ての通りシチューは大好評だし、パンケーキはシロップとかが無いのでただのパンとして食べられている。

 こっちの世界にもベテネと言う、前の世界の“ナン”というかピザ生地の“ドゥ”みたいな物があるのだが、パンケーキとは似ても似つかない代物なので、受け入れられるかが少し心配だった。


(でも、ソレも杞憂だったな)


 結構焼いたと思ったパンケーキも、今ではもうほとんど皿の上に残ってない。このままでは俺の分まで無くなってしまう。


「――それでね、イセアったら凄いのよ。割った卵を幾つもかき混ぜて、こんなに膨らませちゃうだもの。そこに小麦粉を混ぜて焼くと、そこから更にこーんなに膨らんじゃって」

「へー、それでこんなフカフカで軟らかなベテネになるのか」


(本当なら、もっとちゃんとしたパンの一つでも焼きたかったんだが……)


 こっちの世界にもパン“らしき物”はあるのだが、やっぱり前の世界のレベルには到底及ばない。イースト菌なんて物は勿論無く、一から酵母を作ろうにもこの寒さでは難しい。

 ヒーターを使えば温度はどうにかなるかもしれないが、発酵につかう砂糖もないし、ドライフルーツで代用したとしてもそれで失敗したら元も子もない。

 なので、取り合えず卵を泡立てたパンケーキで手を打ったのだ。


「それにこの白いスープも絶品じゃねーか、一体どこで作り方を覚えたんだ?」

「それがね、この子殆ど自分で考えたって言うのよ!」

「なに!? それホントかイセア!?」

「え? あ、う、うん」


 不意に話を振られ慌てて頷く。


「前々からこうしたら美味しくなるかもって思ってたんだ。だから兄ちゃんの誕生日のお祝いに、母ちゃんと一緒に作ってみる事にしたんだよ」


 自分で考えたと言う部分は嘘だが、前々から作ってみようと思っていたのは本当だ。前の世界の食事に慣れていた俺にとって、ここでの六年間の食事はある意味苦行に近かった。

 何度も前の世界の料理を恋しく思ったが、それも続けているうちに自慢の適応力で飽きを通り越し、やがて慣れに変わっていった。


(米や醤油の無い生活とか、昔は考えられなったんだけどなぁ)


 今はまだ身体が小さいので、料理作りにはもっと成長してから挑戦してみるつもりだった。だが、今回のゼオルの件もあって少し予定を早める事にしたのだ。


「……お前、アマル芋を焼いた時といい、巨兵に乗るよりコックになった方が良いんじゃないか?」


(うん、言われると思った)


「ヤだよ。ボクは絶対巨兵に乗るんだから」

「そ、そうか……」


 キッパリとゼルガに言い放っておく。少し残念そうな顔をされたが、そこだけは曲げるつもりも譲るつもりもない。


「でも、ありがとなイセア。わざわざ俺のためにこんな美味いモノ作ってくれて、兄ちゃん凄く嬉しいよ」

「そ、そう? 母ちゃんにも沢山手伝ってもらったけどね。ヘヘ」


 そう直球で感謝されると些か照れくさい。

 まぁあれだけ頑張って作ったのだ、これだけ喜んでもらえるなら俺も作った甲斐がある。それに、その方が今後の計画にも都合が良い。


「けど俺も少し残念だな。イセアが本当にコックになってくれれば、毎日この美味い料理が食えたかもしれないのに」


 なんて、半ば冗談交じりに言うゼオルだが――


「良いよ」

「え……?」

「別に本物のコックになるつもりはないけど、この程度なら毎日作っても良いよ」


 返ってきた俺の台詞に、ゼオルは一瞬ポカンとした顔付になる。


「い、いやいや、そいつは流石に無理だろう」

「何で?」

「何でって……あのなイセア、お前にはまだ分からないかもしれないが、こんな手の込んだ料理を毎日作ってたら、ウチが何回潰れたって足らないぞ」

「そうねぇ、正直今日のお料理を用意するだけで、宿の売り上げの半月分は使ったわね」

「「はッ!?」」

「まぁキョロ鳥も一羽潰したしね。結構試行錯誤もしたし、実際の予算はもっと掛かってると思うよ」


 平然と言ってのける俺とイデアの台詞に、二人の表情が唖然から愕然へと変化する。

 そのまま暫く硬直していたゼルガが、恐るおそるといった様子でイデアに向けて口を開く。


「お、お前、たかが料理にそんなに金使ったのか……?」

「“たかが料理”じゃないわよ。私とイセアがゼオルのために作った、“とーっても美味しい料理”じゃない。アナタだって夢中で食べてたでしょ」

「そういう問題じゃねぇっ!」


 ドンッ、とゼルガがテーブルを叩く。


 置かれた食器がガチャリと揺れ、驚いたヒビカが空のお椀を蹴飛ばし部屋の隅に隠れてしまう。お祝いムードだった室内の空気が、一気に重く硬いものに変わってしまった。

 いつもは温厚な父親が、ここまで激昂する姿を見たのは始めてだ。だが、それも仕方ないだろう。

 一回の食事に宿の売り上げ半月分以上というのは、我ながら流石に予算を掛けすぎた。それで冷静を保てというのも無理がある。


 俺と同じくゼオルもゼルガの様子に戸惑っていたが、イデアの表情には殆ど変化がない……我が母ながら、意外と肝が据わっている。


「そんな大きな声出さないで、今日はゼオルの誕生日なのよ」

「……それにしたってお前、限度ってモンがあるだろう」


 イデアに窘められて少しだけ自重したゼルガだが、声を抑えただけで話を逸らすつもりはないらしい。


(さて、流れ的にそろそろ本題だな)


 本当ならここから先の“説得”は俺がしようと思っていたのだが、事前に『そこは自分に任せておけ』とイデアから言われている。

 なのでここは、取り合えず口を挟まず二人の遣り取りを見守る事にする。イデアには甘い処があるので少し心配だが、いざとなれば俺も加勢すればいい。


「どうせお前の事だ、イセアに頼まれて首を縦に振っちまったんだろ」

「ええそうよ」

「“そうよ”じゃないっ、そこはお前が止める所だろ。こんな無駄金使う前に」

「無駄なんかじゃないわよ、現にこんなに美味しいお料理が出来たじゃない」

「だからそういう問題じゃないだろう。今日の出費を取り返すのにどれだけ掛かるのか分かってるのか?」

「あら、この家の帳簿の管理は私がしてるのよ、分からない筈ないでしょう」

「だったら――!」


 幾ら話しても事態の深刻さが伝わらない様子のイデアに、再びゼルガの沸点が徐々に昇り始める。


(お、おいおい、大丈夫か?)


「と、父さんも母さんも落ち着いてよ」


 その二人のやり取りに、堪らずゼオルが仲裁に割って入る。


「ねぇ母さん」

「なぁにゼオル?」

「俺は、父さんの言っている事は間違ってないと思う。もしイセアが無駄な散財をするなら、それはちゃんと止めるべきだ」

「……そうね」

「でもさ、俺には母さんとイセアの二人が、何の理由もなくそんな事するとは思えないんだよ……何か理由があるんじゃない?」


(……やっぱ、俺の兄貴は優秀だなぁ)


 そりゃあ俺たちだって、ただゼオルの誕生日を祝うためだけにこの料理を作った訳ではない。言うなればコレは、一種の“先行投資”だ。

 父親のゼルガもその考えに漸く至ったらしく、黙って俺とイデアの顔を交互に見る。


「……そうなのか?」

「ええ、理由なら勿論あるわよ」


 すると、イデアはスッと椅子から立ち上がり――


「明日から我が家は、この二つの料理を使って、宿にお客様を呼び込みます!」


 白く小さな拳を固め、そう高らかに宣言した。

 それを聞いたゼルガは意外そうに目を開き、ゼオルの方は得心したような顔付きになる。


「……つまりそれは、このスープとベテネで、お客さんを集めようって事?」

「そうよ。あと、“ホワイトシチュー”と“パンケーキ”ですからね、この料理の名前は」

「お前達、最初からそんなこと考えてこの料理作ったのか?」

「何言ってるんですか、この家を盛り立てる方法なら、私はこの料理を作るずーっと前から考えてました」


 イデアは少しだけ頬を膨らませると、プイとゼルガから顔を背けてしまう。


「だったら、どうして前もって俺に相談しない?」

「もし事前に相談したら、アナタ絶対反対したでしょ?」

「そ、それは……そう、かもしれんが……」


 そう、この六年間の付き合いで分かったが、ゼルガは非常に堅実なタイプの人間だ。

 細かな事は余り気にしないが、基本的に危険を避け、日々の積み重ねで成果を上げる――言い換えれば、“保守的”とも言える。

 そういう人間は突発や短期の問題には対応できても、長期的な問題に対応するのは苦手な傾向にある。今回のような“挑戦”には、どうしても及び腰になってしまうのだ。


 だからこそ俺は、先ず最初にイデアに相談を持ちかけた。


「私だって最初は反対したわ。けどね、イセアの話を聞いているうち、この料理の製作にならこれだけのお金を使っても良いと思ったの。成功するかは判らなかったけど、上手くいけば十分もとは取り返せる。ちゃんと計算もしたんだから」

「計算ってお前……まだこの料理が本当に売れるかどうかも分からないだろ」

「あら? さっきまで美味い美味いって沢山食べてたのは、どこの誰だったかしら?」

「むぐ……」


 ゼルガが言い淀む。


(そりゃアレだけ盛大に食ってりゃあ反論するのは難しかろう)


「それにアナタも分かってるでしょ、このままじゃどちらにせよこの家は立ち行かなくなる。その内少しずつ切り詰める事になるわ。それなら、まだ余裕がある今の内に対策を講じておくべきよ」


 家の帳簿を着けているイデアなら、この宿を今のまま続ける事が難しいと理解している。


 俺も前に少しだけ帳簿を見せてもらった事があるが、芳しいとは言えない状況だ。言ってしまえばシーソーゲーム、出費と収入がトントンだった。

 前にゼオルが言ったように、稼ぎ頭であるヤッコが居なくなるだけで、我が家の家計に対するダメージは深刻な物になる。

 その状況は、仮にゼオルがこの家を継いだ処でそう簡単には変わらない。多分、遅いか早いかの違いでしかないだろう。


「……分かった。お前の言う事も尤もだ。だが子供達に聞かせる話でもない、この話は後でゆっくり――」

「ダメよ」


 一度話に区切りを付け、この場を収めようとするゼルガの台詞を、イデアは途中でキッパリ否定した。


「ダメなのよ。これは今、この場でしないといけない話なの」

「イデア……お前……」


 いつもと違うイデアの様子に、ゼルガが怪訝そうに眉を顰める。


「……ん?」


 その時、二人の会話を聞いていた俺の脛の辺りに、何やらフカフカの感触が。

 気になってテーブルの下を覗くと、いつの間にか部屋の隅に隠れていたヒビカが俺の足に纏わり付いていた。

 どことなく不安そうな顔付きだったので、膝の上に抱き上げて背中を撫でてやる。


「キュ~」

「しー」


 鼻先に指を当てて言うと、尻尾は少し揺れているもののヒビカはちゃんと大人しくなった。


(うむ、いい子いい子)


「私がこの料理を作ろうと思ったのは、何も家計が苦しいからだけじゃないの」


 再び椅子に座り直し、イデアはゆっくりと口を開く。


「それはね、イセアが本気だったからよ」

「え……」


 皆の視線が、ヒビカを撫でている俺に向けられた。


「そりゃあ可愛い息子の頼みなら、何だって聞いてあげたいと思うわよ。でも今回は別、流石に失敗した時のリスクが大きすぎるわ。だから最初は反対したの」

「じゃあ、何で?」

「そうしたらイセアが言ったのよ、『自分もこの家の助けになりたい』『この料理なら絶対に成功するから』って。その時のイセアの真剣な顔を見て、私はこの子を信じてあげる事にしたの」

「だからって、子供の言う事だぞ」

「関係ないわ。イセアが賢い事はアナタも知ってるでしょ? それに、この子が本気かどうかは顔を見て直ぐに判ったわ。私はこの子の母親ですもの」


 そう言って胸を張り、イデアは自信のある微笑を浮かべた。


 まぁ俺が本気だった事も、料理作成に自信があった事も事実だ。なんといっても、最初から作り方を知っているからな。

 香辛料の類が無いので少し納得のいかない出来にはなったが、料理を食った家族の反応を見て、これでも十分イケると確信した。

 しかも、作った料理はこの辺りの寒い気候にあわせた熱々のホワイトシチューだ。受け入れられない筈がない。


 更に、食材が前の世界の物と同じではないため、料理を作るのに余計な時間と費用が掛かってしまったが、これからはそのコストも大幅に削減できる。

 さっきも言ったが、今回の料理は少し気合を入れすぎた。多少質は落ちるだろうが、わざわざホワイトソースから作らなくても美味いシチューは作れるのだ。

 なのでこれからは、もっとお手軽な価格でこの料理を作る事ができる。


「それに、ソレだけが理由じゃないわよ。一番の理由はね……イセアが『お兄ちゃんを応援したい』って言ったからなの」

「え……?」


 ゼオルが心底意外そうな顔付で俺を見た。


(そんなに変な事を言ったつもりはないんだがなぁ……)


「イセアが、俺を?」

「ええ。勿論あなたの誕生日のお祝いと、家計も考えての事でしょうけれど、一番の理由はゼオル、“イセアがあなたを応援したがったからよ”。だから、私はイセアに協力する事にしたの」

「……本当かイセア?」

「うん」


 ゼオルの問いに俺は素直に頷く。


 そう、この料理でゼオルの誕生日を祝い、ウチの経営を助ける事も目的の内ではあったが、俺の一番の目的は兄のゼオルを応援したかったからに他ならない。


「何だってそんなコト」

「だって兄ちゃん、色々と悩んでたじゃないか。だからボク、兄ちゃんに元気出して貰いたくて」

「いや、ソレは……」


 ゼオルが思わず口篭る。まぁ悩んでいる事実を隠したがっているのだから仕方がない。

 だが、彼が悩んでいてソレがどんな悩みなのかは、既にこの場に居る全員に露見している。知らぬは本人だけなのだ。

 しかし途中で口を噤んだその事実が、彼が悩みを抱えている事を如実に示している。それに気付き、ゼオルは慌てて言葉の続きを紡ごうとするのだが――


「ち、違うんだ父さん、別に俺は――」

「ゼオル」

「な、何? 母さん」


 いつにも増して真剣なイデアの眼差しが、真っ直ぐにゼオルの姿を捉える。それを受け、ゼオルの背筋も自然と正される。


「あなたがこれからどんな人生を選ぶにせよ、私達はそれを全力で応援するわ。それは約束する」

「お、俺は……」


 意外にもゼルガはその様子を黙って見ているだけだ。

 てっきり話の途中で止めに入るか、何か言ってくるものと思ったのだが、どうやらこの件には本気で口を出すつもりはないらしい。


「でもね、その選択をする前に、もう一度しっかりと考えてみてほしいの。あなたの為に一番頑張ったのが誰なのか。その人が、どんな想いで頑張ったのか」


 イデアが何を伝えたいのか、何となくだが悟ったのだろう。ゼオルの視線が、ゆっくりと俺に向けられる。


(さて、漸く俺の出番だな)


 といっても、何か特別な事をする訳じゃない。少し、兄のゼオルに伝えたい事があるだけだ。

 予想以上にイデアが健闘してくれたお陰で、ここまで殆ど口を開く機会がなかった。でもここからは、俺自身の口から直にゼオルに伝えなきゃいけない。


「兄ちゃん――」


 取り合えずヒビカには膝上からご退場頂き、俺も兄の瞳を見詰め、ハッキリと自分の想いを口にする。


「“ボクなら大丈夫だよ”」

「――ッ!」


 瞬間、ゼオルの表情がハッと固まった。


 彼が軍隊に入ることを諦め、この家を継ごうとするのには、大きく分けて二つの要因がある。

 一つ目は、何度も言うがこの家の経済状況だ。もしかしたら、ゼオルも俺と同じように家の帳簿を見たのかもしれない。

 きっと、自分が入隊した後に両親のどちらかが倒れたらとか、そんないらない心配でもしているのだろう。

 ゼルガもイデアも、年齢的にはまだまだ働き盛りだ。なので、その心配もまだまだ先の話になる。


 そして二つ目の要因は――他ならないこの“俺”だ。


 家族には『頭が良い』だの『期待している』だの言われた処で、所詮俺はただの子供でしかない。今年で年齢が七になるとは言え、身体的にはまだ十分幼い身だ。

 更に、俺にはこの風貌もある。黒い髪に金色の目、それにこの濃い色の肌。家族の中だけじゃなく、この町の中でも俺と同じ見た目の人物はいない。

 そしてそんな“異物”は、集団の中では爪弾きにされるのが世の常だ。


 つまり今の俺は身体的にも立場的にも、この町では最も弱者の部類に位置している。

 心根の優しい兄の事だ。自分が軍に入隊してしまえば、唯でさえ少ない弟の味方が更に減ってしまう、とでも考えていたのだろう。

 この家を継ごうとするのは経済状況以上に、そんな俺を危惧している部分が大きいと思う。


(まぁ俺自身はそんな差別なんて全く気にしてないし、精神年齢的には一人ぼっちが寂しいって歳じゃない)


 心配してもらえるのは素直に嬉しいのだが、それが原因で兄の足枷にはなりたくはない。


「兄ちゃんが居なくても、ボク頑張るから」


 それに、理解者は少なくても決してゼロではない。家族は勿論、教会のラドック神父とも仲が良いし、行き付けの店のおっちゃんやおばちゃんも良くしてくれる。

 家に帰ればヒビカやキュウス、ヤッコたち動物もいるので、寂しいと感じた事は一度もない。寧ろ、イデアを筆頭に周りの人間が俺に気を使ってくれるので、申し訳なく感じる位だ。


(大体、俺がこの世界の“異物”だって事は、俺自身が一番自覚してるからな)


 でも、だからこそコレは、俺の口からゼオルに伝えなければいけない。

 本気で彼の夢を応援するのなら、両親のイデアやゼルガではなく、一番の弱者である弟の俺こそが、彼の背中を押してあげなきゃいけないのだ。

 そうでなければ、彼がその足を前に踏み出す事は、この先きっとないだろう。


「だから兄ちゃんは気にしないで、自分が一番したいと思った事をやって」

「……イセア、お前……」


 俺の台詞を聞いて暫し唖然としていたゼオルは、気が付いたように俺以外の周りにも視線を向ける。

 見ると俺だけじゃなく、イデアもゼルガも黙って彼の事を見詰めていた。皆、ゼオルの言葉を待っているのだ。

 言葉は少なかったが、俺も自分の伝えたかった事はちゃんと伝えられたと思う――後は、彼が答えを出す番だ。


「え、と……」


 そんな周囲の雰囲気に気圧されたのか、ゼオルは戸惑うように視線を周囲に彷徨わせる。すると、その視線がさっきまでシチューを食べていた空のお椀に向けられた。

 何を思ったのか、ゼオルは暫しそのお椀をジッと見詰めた後、やがて憑物が落ちたかのようにふっと肩から力を抜いた。


「……そっか、そうだよな……」


 僅かに綻んだ口元から、呟くように訥々と言葉を紡ぐ。


「ハハ……何だかバカみたいだな、俺……」


 そこから、更に自嘲気味に口元を歪ませると――


「なぁ、イセア」

「なに?」

「ありがとな。このホワイトシチューにパンケーキ――だったか? ホントに美味かったよ。冗談なんて抜きにして、毎日だって食べたいと思った。本当に美味くて、それに……嬉しかったよ」


 空になり、すっかり冷たくなったお椀に両手を添える。


「お前って本当に凄いヤツだったんだな……」

「そ、そう?」


 しみじみといった様子でそう語るゼオルの横顔は、ちょっと俺には言い表し辛い。

 無表情って訳ではないのだが、どちらかと言うと寂しそうな、一見諦めに近い顔付きにも見える。


「不思議な味だった。香りも良くて色々な具も入ってて、複雑なのにコクも纏まりもあった。何より暖かくて……優しい味だった。何か、まるでウチの家族みたいだったよ」


 シチューが“家族”とは、また斬新な表現だ。流石にそこまで狙って作った訳じゃないが、彼らしいと言えば彼らしい例え方だと思う。


「やっぱ俺、皆のことが大好きだ」

「ゼオル……」


 ゼオルは一度目を閉じると、暫くして目を開き、真っ直ぐゼルガの顔を見詰める。俺から見たその視線は一見鋭くもあったが、不思議と硬さは感じなかった。

 強さの中に優しさがある――いつもよりずっと真剣な目付きの筈なのに、俺にはこれが彼本来の眼差しのようにも思えた。


「父さん、俺――軍学校に入ろうと思う」


 そして、ゼオルが父親にハッキリと自分の想いを継げると――


「……わかった」


 それだけを口にし、ゼルガはゆっくりと、しかし力強い頷きを息子へと返した。




 ◇


 その夜以来、俺たちの生活は激変した。


 俺の作ったホワイトシチューとパンケーキはものの見事に大当たり――どころか、予想以上の集客力を発揮した。

 最初は町の中心で兵士相手に少し宣伝しただけだったのだが、そこから噂が人伝にあれよあれよと町中に広がり、町の外れだというのに大量の客が家に押し寄せるようになったのだ。


 無論、ウチのような小さな宿屋で捌ける数じゃない上、泊まれなくてもいいから料理だけでも食べたいと言う人間が続出した。

 お陰で泊まりに来る客以外にも、昼には食事処として店を開く羽目になってしまった。

 結果的に家の経済状況は怒涛の勢いで改善したが、同時に俺たちの仕事量も信じられない程に激増した。

 ここまでくると、料理がメインで宿屋が副業みたいな状況だ。もういっそ宿屋を止めて、普通の食事処にしようという案まで出てくる始末。


(……正直、物凄くしんどい)


 料理の作り方は両親に教えたから俺は殆ど手を出していないが、戦力の一人であるゼオルが抜けた事で、ヤッコの乳搾りやキョロ鳥たちの卵回収、買出しや客室の掃除など、その他の仕事の殆どが俺に回ってきてしまった。

 お陰で本を読んだり調べ物をする機会が極端に減り、ラドック神父とゆっくり会話を楽しむ事もできやしない。


(せめてパンケーキは止めて、シチューだけにしておけば良かったと何度後悔したことか……)


 そして肝心の我が兄ゼオルだが――その年の夏、無事軍学校に入学した。


 ハッキリと目標を定めたゼオルは凄かった。あの誕生日から僅か半年の間だったが、家の仕事を手伝いつつ猛勉強を開始したのだ。

 イデアやゼルガだけじゃなく、俺にまで字の読み方や書き方を教えてくれと頼み込み、寝る間も惜しんで勉学に励んでいた。


 この世界の軍学校は日本の義務教育とは違う、皆おなじラインから一斉にスタート――という訳にはいかない。


 入学初めにテストのようなモノを受け、個人の身体力や学力を測り、その結果いかんでその者に合ったクラスに編入される。

 だから貴族や金持ち達は、自分の子供を事前に教育機関に通わせたり、家庭教師を雇ったりするのだ。

 でも、俺たちのような一般市民は独学で勉強するしかない。スタートの位置からして既に違う、軍学校内での格差が生まれるのも仕方がない。


 ゼオルはそんな状況に、彼なりに立ち向かおうとしていた。


 まぁ彼の夢を応援したいと言い出したのは俺だ。流石に半年では詰め込める量に限りがあったが、そこは俺も最大限協力した。仕事の合間を縫っては、その都度色々と彼の頭に叩き込んだ。

 文字の読み書きは勿論のこと、足し引き掛け割りの計算や、理科や物理などを教えようとした辺りで勘弁してくれと泣き付かれたりもした。

 我が兄ながら結構優秀な生徒だったので、少し調子に乗り過ぎたかもしれない。


(……ごめんよ兄ちゃん)


 そうして、色々と厄介な問題が重なってはいたものの、何とかその全てをまるっと収める事ができた。本当なら巨兵一筋でいたかった俺だが、こうなっては仕方がない。

 まぁ人生なんてままならないモノだ。暫くの間は家の手伝いに集中して、巨兵関連はわきの方に置いておくとしよう。


 それに俺も年齢が十五になったら、ゼオルの後を追う形で軍学校に入るのだ。こればかりは、例え家族に引き留められても変えるつもりはない。

 そして一度軍に入隊してしまえば、そう簡単には家に帰る事ができなくなってしまう。それなら、親孝行はできる内にしておいた方が良い。


(『やっておけば良かった』なんて後悔は、もうしたくはないからな……)


 だが、俺が十五になるまであと八年も待たなきゃいけないっていうのは、何とももどかしい限りだ。

 そうして、何とかもっと早い段階で巨兵に関わる事ができないものか、とか考えながら過ごしていた十歳の秋――俺は、とある“少女”と出会う事になる。

 そしてそれは、この世界での俺の“料理人”としての人生を、ある意味で決定付ける出会いでもあった。


(……なしてぇ??)


ようやく一部が終わり、ここからが本番でございます。

いやー時間がかかりますな。

次はいつになることやら・・・。

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