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11-2 新ダンジョンに行ってきます。


「邪魔してるぞー」


「あれ、珍しいね」


 拠点に戻ってきたら見たことない男性が一人増えてました。

 キイさんたちはお知り合いのようです。


「初めまして、イオンと言います。最近エスに加入しました」


「グリーンと申しますわ。どうぞよろしくですの」


 なのでまずは挨拶からです。

 皆さんが拠点に迎え入れる人なので、多分悪い人ではないでしょうし。


「ご丁寧にどうも。俺はナイツオブラウンドのマスグレイブだ。よろしくな」


 マスグレイブ……どこかで聞いたような……あっ。


「リレーの解説さんですね」


「覚えててくれたとは嬉しいな」


 低く優しい声で、笑顔を向けてくれるマスグレイブさん。

 短い金髪に大柄な体。外国の軍人さんみたいです。

 でも確か大きなクランのリーダーじゃなかったでしたっけ。なんでここに居るんでしょう?


「丁度いいとこに帰ってきたな。ナイツがブレイズロードの入り方を見つけたらしくてな、俺たちもどうかってことらしい」


 ブレイズロード?

 入り方というと建物とか……いえロードとなってるので、もしかしてダンジョンでしょうか?


「あのダンジョンの入り方、やっとわかったんだ」


 やっぱりでした。


「アカデミアとうちの人海戦術のおかげで、なんとかな」


 どうも一言二言で終わる内容でもなさそうなので、全員に飲み物とタルトを切って出します。

 ぐりちゃんとプルストさんにはワンホールです。約束でしたので。


「俺のまで悪いな」


「皆さんのお客様なので、気にしないでください」


 一人だけ仲間はずれなんて、こっちが食べにくいですしね。


「ただの飲み仲間だし、客ってほど上等なもんじゃないけどな」


「まったくだ。ってこれ美味いな」


 プルストさんと仲がいいようですね。

 からかう言葉にも楽しそうに乗ってきます。


「んでダンジョンはどうだったんだ? その前にゲイル山はどうした」


「おかげさまでゲイル山は攻略できたんだがな、その調子で突撃したらあっさり全滅した」


「うわ、ナイツが全滅なんて結構きつそうだね」


 確か攻略クランと言われてたクランですよね。攻略ということは誰も行ったことがないようなダンジョンに挑戦する人たちで、ということは強さもあると思いますし……。

 そんな人たちが全滅って、相当大変なんじゃないでしょうか?


「一体ずつの強さ的にはゲイル山と同程度なんだが、こっちは遠距離攻撃力してくる魔物ばっかでな」


「それならゲイル山のゲイルファルコン地帯もそうだっただろ。あれ突破したのにダメだったのか?」


「あれもキツかったが、ゴーレムとリザードは直接攻撃だったからなんとかなった。こっちは全ての魔物が遠距離攻撃使ってくるんだよ」


「マジかよ」


「中でもフレイムドッグが厄介なんだ。遠距離攻撃は面倒だし、体が炎に包まれてるから接触ダメージがあってこっちから攻撃もしづらい。あいつさえなんとかなれば、かなり楽になるんだがなぁ」


 魔物自体の強さはゲイル山と大きく変わらないけど、戦い方が厄介ということですか。

 ゲイル山ではゲイルファルコンだけが魔法を飛ばしてきましたが、それと同じような攻撃を他の魔物も行ってくる。

 しかも、現れる全ての魔物が。


 その中でもフレイムドッグという魔物が問題。

 ドッグという名前なら犬の魔物ですよね。狼の魔物と戦ったことがありますが、他の魔物に比べ動きが素早かったです。

 そんな魔物が遠距離攻撃を使ってくるうえ、接触ダメージまで。

 接触ダメージというのは魔物に触れただけで発生するダメージのことだったはずです。攻撃を防いでもダメージが発生するんだとか。

 攻撃するにしろ防ぐにしろ、どちらも大変そうです。


「火耐性装備かき集めてもダメだったのか?」


「人数分揃えたんだが、どうにもな。ロードって言うだけあって一本道なんだが、代わりに隠れるところも無いんだよ」


「撃たれ放題か」


「ナイツは後衛も揃ってるけど、どうしてもメインは重装物理だしね。いくら堅い主戦力だって言っても、攻撃されっぱなしならいつかは削りきられるって事かぁ」


「そのときは重装で固めてたから余計にな。攻撃は当たらないし向こうからはされっぱなし。一応ボスまでは耐えられたんだが、それまでの消耗がでかすぎたんだ。軽装と魔法の強化が必要だって痛感させられたよ」


 そう言って、苦笑いで肩をすくめました。

 地形や戦い方など、自分たちの得意分野とは相性が悪かったというわけですか。


「そこまではわかったけどなんでうちに来たの? 頑張れば何とかなりそうだよね」


 そうですね。ボスまでたどり着いたのであれば、あとは対策次第で何とかなると思うんですが。


「そうなんだが、うちの連中の要望なんだよ」


 要望?


「『あれほど困難だったゲイル山を初見攻略した、エスの突破力を勉強したい』だと。だからエスとうちでレイド組んで挑戦できないかっていう相談なわけだ」


「真面目だなぁ」


「真面目だねぇ」


「真面目ですね~」


「真面目ですね」


「真面目ですの」


「いつかハゲるわ」


 ……私も何か言ったほうがいいんでしょうか。


「良い意味でも悪い意味でもな」


 マスグレイブさんも苦笑いです。


「それと一部の新人辺りは『いくら強いって言っても、ゲイル山を初見って何かおかしくないか?』とか疑ってるバカも居るから、そいつらを黙らせるのにも丁度いいってのもあるな。こっちはついでだが」


「バカだな」


「バカだねー」


「バカですね~」


「愚かですね」


「愚かですの」


「アタマヤバいんやろ」


 こっちは……ノーコメントで……。


「まぁ俺は別に構わないんだけどな。みんなはどうだ?」


「あたしはオッケー。新装備試したいし、入り方が公開されたらどうせ行くんだしね」


「私も同じく~」


「私も構いませんよ」


「ウチもええんやけどな、条件があるわ」


 アヤメさんを除く皆さん快諾です。

 条件って何でしょう?


「聞けることならもちろん聞くが、ほどほどで頼む」


「結構キツいで。イベントアイテムはウチにくれるゆうんが条件やからな」


 イベントアイテムというと……私がもらった【風精霊の封石】と同じような物ですよね。それってかなり重要な物では……あっ。

 ブレイズロード(燃えさかる炎の道)ゲイル(疾風)山って、どことなく似てますよね。

 ゲイル山はその名の通り風精霊でしたし、それならブレイズロードは、もしかして?


「ボスはエレメントゴーレムだったんやろ?」


「その通りだ。ドロップは予想できたしその条件も予想できたからな、それについては話を付けてある。うちのパーティにドロップしたら間違いなく渡す。ただそっちのパーティにドロップしたら知らん」


 やっぱりでした。

 魔法職の人は精霊と契約するだけで強くなれるようなものですからね、契約したいに決まってます。


「俺は別にいらないな。魔法は簡単なバフなら使うけど、それを強化したって……」


「言ってなかったが、封石を武器に合成すると魔法剣が使えるぞ」


「なんだと!?」


 ものすごく食いつきました……。


「正しくは魔法付与の特殊効果だな。某国民的RPGみたいに魔法を剣に乗せられるんだ。まだ検証が十分じゃないんだが、今のとこわかってるのは封石と同じ属性しか付与できないってのと、魔法の強さによって威力が変わるってくらいだな。魔法は自分で使ってもいいし他人に使ってもらってもいい。ただし妨害の効果とか特殊効果は無くなる。付与されるのは威力だけだ」


「た、例えばだぞ? アヤメに全力で魔法かけてもらったら……」


「相当凄いことになるだろうな」


「おおおおおおお……」


 鉄鉱石を欲しがってたときより目が輝いてますね……もう止まりません……。


「アヤメ!」


「二週目ならええで」


「よっしゃあ!」


 あっさり解決しました。

 けどそれならキイさんたちも欲しがるんじゃないでしょうか?


「この中で火属性は二人だけだしね、いいんじゃないかな」


「レベルアップにもなりますしね~」


「他の属性の人が持ったらどうなるかというのも気になりますが、そこは検証を待ちましょうか」


 こちらも無事解決。

 ブレイズロードに行くことは決定ですね。


「ところでさっきから喋ってないけど、イオンはどう?」


「そういえばそうだな。イオンさんも好きに言ってくれていいぞ」


「遠慮してたというわけではないんですけど、見ているだけでも面白かったので。マスグレイブさんと皆さん、仲良いんですね」


 ぽんぽん話が進んでいくのがドラマのようというかマンガのようというか。

 とにかく見ていて飽きません。見ているこちらも楽しくなってきます。


「そ、そう……(だから不意打ち笑顔はヤバいって……)」


「気分を害したとかじゃないならよかった(メグルが気に入るわけだよ……)」


「はい。なので行くことは私も賛成ですし、アイテムについても構わないんですが……」


 新しいダンジョンというのは興味ありますしね。

 ゲイル山で戦うのは楽しかったので、こちらも楽しみです。

 楽しみなんですが……。


「あ、これから予定あったね」


 そうなんです。マリーシャとシーラさんを置いてきてしまいましたが、これからリード君たちも合流する予定になってたので……。


「それは問題ない。というよりこっちの準備が出来てないから今日じゃないほうが助かる。ちなみにいつなら大丈夫になるかな?」


「私は今日の夕方以降なら大丈夫です」


 先日と同じく、夕方で解散しようということになってるので。


「申し訳ありませんが、夜は私のほうに予定があるので」


 バルガスさんです。いつも忙しいようですしね。

 それからいくつか話し合いましたが、最終的に明日の夜からということになりました。

 明日は月曜なので学校ですが、夜からなら大丈夫です。


「延期させてしまいますが、では明日の夜ということで」


「こっちこそ急がせたようで悪いな。じゃあ行くのは決定したところで……話は変わるんだがイオンさん、このタルトどこで買ったか教えてくれないか。秘密だったら無理にとは言わないが」


 すぐに食べきってましたからね。甘い物も好きなようです。


「セカ村の宿屋です。あまり数は作らないそうなので、買えない日もあるかもしれませんけど」


「セカ村……? あのサブクエクリアしたか。ムカつく店主の言うこと聞くとこんな特典あったんだな」


「いえ、話は聞きましたけど、彼の言うことは聞いてませんよ」


「……どういうことか聞いてもいいか?」


「手に入れた薬草は直接本人に渡しました。なので宿屋でウダウダしてたランツさんはほとんど関わってませんし、その件で怒ったランツさんのお父さんに宿屋を取り上げられてました」


 今は大人しく畑仕事をしてると、新しい店主のラザさんが言ってました。


「そんなことになってたんだ」


「メシウマですね~」


「あとでアメちゃんやるわー」


 思った以上に好評でした。


「なるほどそういうやり方もアリか……」


「今なら気付くかもしれんが、あのころは他にやりたいこといっぱいあったしな」


「報酬不明で難易度も高くて依頼人が不評なサブクエストなんて、興味を引きませんでしたからね」


 男性陣も同様です。ランツさんを見て気分のいい人は居ませんよね……。


「私からも聞いていいですか? プルストさんにもですけど」


 私も気になった事があるので聞いてみます。

 間違ってる可能性も高いんですが……。


「なんだ?」


「俺もか?」


「間違ってたらごめんなさい。こないだの公式イベントに出るように助言してくださったのは、もしかして……」


「その通りだが……ああ、まだ聞いてなかったのか。でもよくわかったな」


「そういや誰からってのは言ってなかったな……」


 感心したように驚くマスグレイブさんと、そうだったなぁと思い出すプルストさん。

 そんな重要なこと忘れないでください……。


「その人の助言を採用するくらいには二人の仲が良くて、頭も回る人のようだったので、もしかしたらと」


 あと公式イベントで解説もしてたので、その関連から考えが至りました。


「そのことでは、本当にお世話になりました」


 マスグレイブさんの案がなければ、今頃どうなっていたかなんてわかりません。

 公式イベントに出なければ逆に何も無かった可能性もありますが、私を取り巻く今の状況が良いものであるという事実は変わりません。

 なので私にとっては大変お世話になった人です。

 しっかりとお辞儀をして、お礼を伝えます。


「こっちこそ、おかげでいいもん見せてもらったよ」


「い、いいものかどうなのかはわかりませんけど、喜んでもらえたなら良かったです……」


 返事しにくいです……。


「いやいやホントにな。それにイオンさんのおかげでいろいろ面白くなってきたし、ここまで変わるとは思わなかった」


「えっと……?」


 何がそんなに変わったんでしょう?


「鳥族がもう一度飛び方の研究を始めるのは予想出来たんだけどな、それ以外の連中も本気でサポートし始めたんだよ。それも結構な数が」


「え、そんなことになってるの?」


「レベリングそっちのけで頑張ってるとパーティとか、いくつもあるらしいぞ」


「へぇ、前は馬鹿にされるだけだったのに、変われば変わるもんだね」


 飛べないとわかってるのにそんな無駄なことして何になる、とかそういうことですよね……。

 でも空を飛べるということを実証できたので、研究も無駄ではなく、成功したらパーティとしてもメリットのある事になったと。


「イオンさんがあれだけ活躍してくれたからな。『鳥族を育たら強くなるかも』って話が広まったわけだ」


 か、活躍と言われると恥ずかしいですけど……それは置いておいて、鳥族が『ただ弱いだけの種族』ではなく、『強くなるかもしれない種族』へと見方が変わってくれたのは嬉しいです。


「発売から半年以上経ってようやく空を飛べるプレイヤーが現れた。一度は諦められたことだが、それがこれ以上ない成果を伴って復活。つまり新しい分野が切り開かれたわけだ。新しい分野っていうのは誰もが興味を持つし、自分のものにしようと頑張ったり試行錯誤する。ゲーム全体が活性化するってことだな」


 言われる通りだと思います。

 まだまだ攻略されていないゲームとはいえ、ただ攻略だけに興味を持つ人ばかりではありませんし、何も変わらない状況ではいつか飽きてしまいます。

 メグルさんのように空を飛ぶことに興味を持つ人が増えれば、そこから何かが発展する可能性だってあります。思いもしない発見だってあるかもしれません。


「それと今後のためにも良い状況になったよな。もしイオンさんが酷い扱いされてゲームをやめることになってみろ。その事件が尾を引いて二度と空を飛ぼうとするやつなんて現れなくなるし、仮に飛べたとしても徹底的に秘匿される。そんなの面白くないしな」


 空を飛んだらアレコレ言われるとわかっていても飛びたがる人なんて、そうは居ないですよね……。

 私は隠れても飛ぶかもしれませんが、それでも今よりずっと窮屈になるはずです。


「俺はこのゲームが好きだし面白いからやってる。そしてこのゲームを活性化させるイオンさんが現れた。もっとゲームが面白くなるかもしれないのに、協力しない手はない。つまり俺にとっては最優先で協力するべきものだったわけだ」


 私がマリーシャと楽しく遊ぶためにゲームを楽しんでいたのと同じように、マスグレイブさんもゲームを楽しむためにいろいろしている、というようなことでしょうか?

 クランのリーダーもしているのにそんな事まで考えるなんて、すごい人ですね……。


「で、協力した結果このゲームはもっと面白くなってきた。俺は元手を回収できたどころか恐ろしく得したわけだな」


 助言一つで自分にとって望む状況になってきたんですから、マスグレイブさんが得をしているというのは事実かもしれません。

 とはいえ得をしたのは私も一緒です。今が私にとって都合の良い状況なのは間違いありませんし。

 なので、私に出来ることなら何かお礼をしたいと……。


「だからもし仮にイオンさんが俺に対して礼をしたいとか考えてるんだったらやめてくれな。俺は十分得をしたし、これ以上得すると今後良いこと無いんじゃないかって怖くなる。今年の運勢中吉だったしな」


 言葉の調子自体は軽く、でも私の考えを中断させるように、マスグレイブさんの言葉が続きました。

 続いたんですが…………えっと。


「中吉は重要か?」


「気分的に重要だ」


 いつの間にかプルストさんと笑い合ってるマスグレイブさんですが……。


 ……もしかして、丸め込まれました?


 ――周囲が良い状況になっていることを説明したうえで、それが自分にとって望んだものだということを強調し、既に多すぎるほどの利益を得たことまで言われてしまいましたの。しかもこれ以上はいらないという理由まで付けて。


 最後は唐突に話を変えられた気がしますが、そこまでは納得させられてしまいました……。


 ――手の出しようがありませんの。


「……あの、マスグレイブさん。私がお世話になったのは変わらないので……」


「じゃ明日のダンジョン攻略頑張ってくれ。な?」


「……はい」


 何とか話を戻そうとしましたが、爽やかな笑顔でやんわりと押し込められました……。

 父が相手ならともかく、バルガスさんといいマスグレイブさんといい、頭の回る人が相手になると手も足も出ません……。


 せめて言われた通りに頑張ります……てこれ、公式イベントの前にも同じようなこと考えましたよね……。

 借金なんてないのに、どんどん何かが積み重なっていく気分です……。


 ……でもそんな風に考えるのもなんだか失礼になるでしょうか? 勝手に借金気分なんて相手の事を信用してないのと同じです。いつか返せと言われるんじゃないかと、疑ってるようなものです。


 だったらもう少し軽く考えてみましょうか。


 マスグレイブさんの言ってる通り、ゲームが面白いからみんなプレイしている。

 私のことで助言をもらえたのは、それの一環。


 マリーシャと一緒かもしれないですね。

 私が楽しんでれば、自分も楽しい。面白くなさそうにしてる人と遊ぶより、楽しんでる人と遊んだほうが楽しいに決まってます。


 残念ながら、今は最適なお返しなんて私には思いつきません。

 だったら私も、目一杯この世界を楽しむことにましょう。

 当面は気にしてしまうかもしれませんけど、そこはまぁ、追々慣れるということで。


「そういうことなら明日は頑張ります。他にもお手伝いできそうなことがれば言ってくださいね。まだゲームを始めたばかりなので、いろいろやってみたいですし。……嫌なことは断るかもしれませんけど」


「おお、そんときゃ遠慮なく世話になる」


 とりあえずは、明日のダンジョン攻略からですね。


「さすがマスグレイブ。スマートに話を持ってくねー」


「うちのリーダーは泥臭いと言いますかなんと言いますか」


「口が下手で悪かったな……」


「プルストさんのも悪くはないと思いますよ? 誤解を招くことはあるかもしれませんけど」


「……よくおわかりで」


 やっぱりでした。

 ストレートに言われるのはいいですけど、疑われ始めるとリカバリーが難しいんじゃないかと思います。

 微妙な表情してるので、心当たりは多そうです……。


「俺の話はいいからダンジョンの話聞かせてくれ。とりあえず魔物から」


「続きは飲みながら聞いてやる。それじゃまずは……」


 話は変わってダンジョン攻略会議に。

 地形のことや魔物のことなど、一通りの説明と質問タイム。

 丁度終わった頃に、マリーシャからメールが入りました。


「すいません。準備完了の連絡が来たので、私そろそろ行きますね」


「悪いな、いろいろ言って」


「私のほうこそ。それでは、明日はよろしくお願いします」


 食器を片付けてぐりちゃんを肩に乗せて、私も出発です。




◇◇◇




「うーん。普段はあの調子なのに、空を飛ばせたらあのスピードで飛び回るのか。ギャップが凄いな」


「でしょ。会った直後はのんびり屋さんだなーなんて考えてたのに、戦闘になったらまるで違うし」


「やってることはアレですが、本人の調子は戦闘中でも変わりません」


「おもろいわー」


「飛んでるときと~お菓子を食べてるときが~一番幸せそうなんですよね~」


「イオンからお菓子を取ってはいけない……」


「そんなの当たり前だろ」


「それに気付かないのがプルストだから」


「残念なやつだ」



というわけでダンジョン行きのフラグを。

魔法付与についての詳しい解説は次話以降で。



Q:今日は大人しいね?

A:お見苦しい姿をお見せしてしまい、大変申し訳ございませんでした。そのせいで感想覧がそればかりになるという事態に。やっぱり皆さんも和服好きなんですね!最高ですよね!ぞれじゃゴフッ。


Q:黙ろうな?

A:ハイ。本当に申し訳ございませんでした。


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