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9-4 マリーシャと、クエストと、それから……。


 ゆっくりとうつむいたマリーシャ。


「イオン……」


 下を向いたまま、先ほどと同じく力の入っていない声。

 うつむいたのと同じようにゆっくりと、今度は両手が私の肩に乗せられて。


「あんたって子は……」


 そのまま、何かを堪えるように肩が震え始めました。


「どうして……」


 そして。


「どーしてそんなにサイコーなのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 勢いよく上げた顔は満面の笑顔。

 その勢いのまま思い切り抱きしめられました。

 ちょっと苦しいですが、マリーシャが嬉しそうなのも伝わってくるので大歓迎です。


「こんなに可愛くなったのにそのうえ滅茶苦茶カッコよくなってしかも強いとかもう反則すぎだよーーーーー!!」


 でも言ってることはよくわかりません……。


「ていうか何アレ!! どんどん抜いていくし岩も矢も当たらないっていうか向こうから避けてったように見えたよ!!」


 そんなはずありませんよ。向こうから避けていくなんて面白くないですから。


「森も洞窟もなんでもないように飛び回ってるし敵に突っ込んでも平気だしボスなんてソッコーだし!! あーーーもーーーー素晴らしすぎるーーーーー!!!!」


 なんでもなくありません。ものすごく楽しかったので。


「しかも最後のお辞儀がもう可愛すぎて卑怯だよ!! 決めポーズとかドヤ顔するやつは居てもあんなに可愛く締められる人なんて誰もいないよ!! あっイオンがいた!!」


 やっぱりよくわかりません……。


「あーーーホントどーしてくれようこの嫁はーーー!!」


 とにかくマリーシャにはそれほど嬉しいことだったようで、そこまで喜んでもらえると私も嬉しいです。言ってることはよくわかりませんが。

 でも……すこしだけ勢いがよすぎやしませんか?

 頬ずりもさっきまでとは勢いがまるで違いますし、腕の力はどんどん強くなっていきますし。

 こうされてると私も嬉しくなってくるんですが、でももう少し力を弱めてもらえると……。


「いい加減お姉様から離れるですのー!!」


 私より先に我慢できなくなったらしいぐりちゃんが出てきました。

 マリーシャの肩を引っ張って、引き剥がそうと頑張ってくれます。


「黙って聞いていればお姉様のことを勝手に嫁扱いして! そんなことこの私が許しませんの!」


 その声に気付いたマリーシャがぐりちゃんを見つけて、ようやく少し離れてくれました。

 私は助かりましたが、でもぐりちゃんにとってはタイミング最悪ですね。


「あぁぁぁぁぁイオンの肩に乗ってた子だー可愛いーーーー!!」


「何するですのーーーー!!」


 今度はぐりちゃんが捕まって頬ずりされ始めました……。


「しかもお姉様だって!! 可愛い子に可愛いマスコットがついてしかも妹ポジションとかあたしどうしたらいいのーーーーー!!」


「まずその手を離せばいいですの!!」


「それは無理!! それが正義!!」


「意味がわかりませんの!!」


 多分誰にもわかりません。


「ねぇこの子何! イオンなんであんな強いの! ていうかどーやって飛べるようになったの! そういえば何でクランに入ったの!!」


 質問攻めが始まったのでようやく落ち着いてきたようです。


「全部答えますから、とりあえずグリーンを離してあげてください」


「おっけー! あたしマリーシャだよ、よろしくねグリーンっ」


「……グリーンと申しますの……皆様よろしくですの……」


 ようやくマリーシャから解放されましたが、既にふらふらなぐりちゃんです……。

 それでもいつものお辞儀をするぐりちゃんはすごいです。声に元気はありませんけど。


「いやぁゴメンねー、つい興奮しちゃってー。あんなにイオンの格好いいうえに可愛いとこ見せられたらつい」


「……貴方にお姉様の何がわかるというんですのっ」


 いきなりけんか腰ですね。やっぱり水と油でした。


「何がわかるって言われてもなぁ、あたしイオンじゃないし予想しかできないって。危なそうに見える場面でも、なんとかなるからいっかーくらいにしか考えてないとか、むしろあそこまでギリギリなのはそれが面白いからやってるんだろうなーとか。で、あんな真剣そうなのは本気でやってるからで、それって楽しんでるからなんだろうなーって思ったくらいかなぁ。イオンはどうでもいいことはホントテキトーだし。まぁあんなイオン見たことないから、なんとなくだけど」


 ほとんど合ってる気がするんですが……私、そんなにわかりやすいんでしょうか……。


「……失礼しました。貴方見所あるですの」


「え、そう? それでそんなイオンが最後にあの笑顔だよ? もうほんっと最高だったからつい興奮したわけよ!」


「その通りですのっ、私お姉様と一緒に居た時間は短いですけど、好きなことしてるお姉様は本当に素敵なんですのっ。あの笑顔は本当に輝いてましたわ!」


 ぐ、ぐりちゃん?


「だよねだよねっ、あーいうイオンを見るのはホントこっちも嬉しくなってくるよねっ」


「さすがですわマリーシャ様っ」


「様なんていいよぐりちゃんっ」


「人前では遠慮してくださいなっ」


 一瞬で二人が仲良くなってしまいました……今もマリーシャに抱えられてますが、一切嫌そうじゃありません……。

 それに私まだぐりちゃんと呼んでないんですけど許してますし……一体何がどうなったんですか……。

 水と油で私がコップと思いきや、ガソリンと亜酸化窒素で私がスパークプラグのようです……。


「じゃあ嫁でもいいよね!」


「それとこれとは話が別ですわ!」


 やっぱり水と油でした。


「はいはいそこら辺にしときなさい。いつまでたっても話が進まないでしょ」


 パンパンッ、と手を叩いてまとめるシーラさん。

 いつもより時間がかかったのは、マリーシャを発散させるためですね。


「聞きたいことがあるんだったら早くしなさい。私たちだって気になってるんだから」


「そうだった。イオンッ、なんでクランなんかに入ったの!」


 いつになくマリーシャが真剣ですが……どうしたんでしょう?


「どうせ一回ダンジョン行った程度で何でもかんでもベタ褒めして、いい気分にさせたところで勧誘されたんでしょ!」


 ダンジョンに行った回数は一回でしたし、何でもかんでもじゃありませんが褒められましたし……。


「いい気分とかではありませんでしたが、概ね間違ってないです」


 よくそこまでわかりましたね。


「やっぱりっ、そんな甘い言葉に騙されちゃダメでしょ! 入った瞬間に豹変してものすごく厳しくなるんだから!」


「全然変わらなかったですよ?」


 まだ付き合いも長くありませんのでよくわからないですが、多分今後も変わらないと思います。


「じゃあその優しいままつけ込んできて、運営費が必要だからってお金とか素材を請求されるんだよ!」


「それもなかったです。むしろ拠点に部屋を作ってもらいましたよ?」


 アイテムも押しつけられましたし。

 今となっては頂いて正解でしたが。


「先に貢ぐ手できたかっ。じゃあいずれ請求が……あー違うっ、しっかり休ませてレベル上げばっかさせる気だよ! 毎月の目標値があってそこまでレベルとスキルが上がってなかったら罰金取られるの!」


 レベルもスキルも聞かれたことないですね……。

 それにしても、マリーシャってクランが嫌いなんでしょうか?


「それとアカウントとパスワード教えろって言われるんだよっ。何でって聞いたら代わりに上げとくからって言われて! あとケータイの番号とメアドも報告必須で昼も夜も関係なく呼ばれるし、会社も学校もやめろって言われるし、外出はもちろんログアウトどころかAFKも許可が必要で、寝落ちして反応しなかっただけで半端なく怒られるし、そのうえ勝手にクラン抜けようものなら超粘着嫌がらせされてゲームやめるまでつきまとわれるんだから!!」


「とりあえず飲み物どうぞ」


「ありがとっ」


 嫌いなのはわかりましたけど、そんなゼーハーと肩で息するほどの勢いで言わなくてもいいと思うんですが。

 それはそうとアカウントやパスワードはありませんよ。このゲーム機は使用者個人を認識しますし。

 それに携帯番号とアドレスなんて教えるわけありませんし、その他に至っては……そんなこと言ってくる人、本当に居るんでしょうか?


「マリーシャ、貴方クランに嫌な記憶でもあるの?」


「俺知ってる。VRじゃないんだけど、PCのMMORPGでクランに入ったときに面倒なことになったはず。今の話に出たほど酷くなかったけどな」


 それでですか。私は聞いたことないので中学の頃の話ですね。

 シーラさんも『あぁ、あのときの』と思い出してます。


「そんなクランが本当にあったらブラック企業も呆れるわよ。生かさず殺さずが一番いいのに、それじゃ潰すだけでしょ」


「そっちのほうが怖えよ……」


 母と同じ言葉が聞こえましたけど、聞かなかったことにしましょう……。


「マリーシャが心配するようなクランじゃありませんから安心してください。皆さんいい人ですし、変な要求とか規則も無いクランなので、マリーシャと遊ぶのに支障もありませんから」


「お姉様の言うとおりですの。それに変な輩が居たら私が黙ってませんの」


「……本当に大丈夫?」


「大丈夫ですから。なんだったらクランの人に会ってもらえればわかると思います」


 全員は無理でも一人くらいは会ってもらえると思いますし、マリーシャだったらそれでわかってくれると思います。


「……わかった。でも何かあったら必ず言ってねっ。遠慮しないでいいからねっ」


「無いと思いますけど、そのときはお願いします」


 ひとまず納得してくれてよかったです。

 でもどこかで会ってもらったほうがいいかもしれませんね、マリーシャに心配かけてもいけないですし。

 機会があったら、ですね。


「しかしあのことまだ引きずってたんだな。俺てっきりイオンとクラン組めなくてがっかりすると思ってたんだが、そもそもクラン嫌いだからやる気無かったのか」


 安心したような声のリード君。マリーシャのことを心配してたみたいです。


「え、いや確かにいい思い出はないけど、それは別にしてもイオンが居るからってクラン作るつもりは無かったよ?」


「……は? でも五人揃えば作れるだろ」


 安心したような表情から一転、何で? という表情のリード君ですが、対するマリーシャも何で? という表情です。


「作って何かいいことあるの?」


「何って……クラン用のクエスト受けたりとかできるだろ」


「でもクラン用って五人じゃクリア難しいのがほとんどだって、リード言ってたじゃん。この五人以外にメンバーが必要なのにどうすんのさ。あと私クランの運営とか面倒でやりたくないけど、リードが運営するつもりだったの?」


「いや俺だって面倒だよ」


「私もするつもりはないわよ」


「(ふるふる)」


 三人とも拒否。私はさっぱりわかりませんので論外です。


「しかもクラン用のクエストって儲けはいいけど時間も取られるんだよね? でもその分、普通のクエストの数をこなしたほうが、いろんなクエストに行けて面白いでしょ」


「……そりゃ、まぁ」


「じゃあ作る意味ないじゃん」


「……そういえばそうだな」


 プルストさんはクエストのこともあってクランを作ったようなこと言ってましたけど、実は人数が必要だったんですか。

 そういえばメグルさんが、エスはレイドを組んでから挑戦するようなクエストもワンパーティで攻略したと言ってましたし、多分そういうクエストのことなんでしょうね。

 とにかくマリーシャはクランを作る気は無かったようです。


「それにイオンが別のクランに入っててもいいでしょ、こうやってパーティ組んで遊べるなら一緒なわけだし。規則で禁止されてるようなクランだったら反対したかもだけど、でもそんなことはないんだし。それにイオンだって、クランに入ったほうが楽しくなると思ったから入ったんでしょ?」


「そうですね。他の理由もありますけど、少なくとも無理矢理入らされたとかではないです」


「それならよかった。イオンと遊ぶって言っても、イオンもあたしもどっちも楽しいことで遊ぶからいいんだって。クランに入ってイオンは楽しい、楽しいイオンと遊べてあたしも楽しい。ほら、みんなハッピー」


 私が楽しくないと感じたりすると、マリーシャはそれを敏感に感じ取ってきます。

 それは二度と行かくなった遊びを思い出せばよくわかります。

 だから私が楽しくなければ、私に気をつかうばかりでマリーシャも楽しめません。


 誘ってくれたマリーシャと二人で一緒に楽しむには、まず私が楽しくないといけないんです。


 なのでこのゲームをしている時間は、出来るだけ楽しもう、好きなことをしようと考えていました。

 ただ飛ぶだけじゃなく、いろんなところに行くだけじゃなく。

 美味しいもの食べて戦闘もしてクランにも入って。

 私が楽しくなれば、一緒に遊ぶマリーシャも楽しくなってくれます。

 そうすれば、この気をつかってばかりで自分のことは後回しにしてしまう素敵な友人と、お互い何も気にせず目一杯遊べますから。


「…………そか。それならいいんだ……」


「だから言ったでしょう、何もしないほうがいいって」


 シーラさんのその言葉に大きなため息を吐くリード君。加えてリード君の肩をぽんぽんするウェイスト君。どうしたんでしょう?


「ここしばらくの貴方たちに振り回されただけだから気にしないで」


「ゴメンナサイ……」


「ご心配おかけしました……」


 ゲームを買ってから二週間経ってますからね……本当にご心配おかけしました……。


「それより他に聞きたいのは? もうあまり時間ないわよ」


「おっとそうだった。どうやって飛べるようになったの、ってそれは尻尾と一緒か。じゃいつできるようになったの? あの日は翼動かせなかったよね」


「それが……あの日のうちに動かせるようになって……」


「え゛」


 私の言葉に固まるマリーシャ。

 驚きますよね……飛べないって言われたはずなのに、初日から飛んでるんですから……。


「別れてから西の崖の上でのんびりしてたら動かせるようになって、そのまますぐに飛べるようになって……。それで練習してからマリーシャにメールを送ろうとしたんですが、もうログアウトしてたので学校で話せばいいかなと……」


「それで次の日でも平気そうだったのね。それから月曜に仲直りしたはいいけど、テストでゲーム禁止になったからゲームの話は控えてたと。マリーシャ、貴方が逃げずに話を聞いていれば、すぐに一緒に遊べたということね」


「うわーあたしのばかぁぁぁぁぁ!!」


 頭を抱えてぐりぐりこすりつけ始めました。何故か私の膝上に。


「珍しく深読みするからよ」


「うぅぅぅぅぅ……」


 深読み……私が空元気じゃないかとか、そういうことでしょうか。

 気をつかってもらったのは嬉しいですが、今回は完全に裏目に出ましたね……。

 私ももう少し強引にマリーシャを捕まえてたら……いえ、今更ですね。

 もうこんなことは無いほうがいいですが、次があったらもう少し頑張りましょう。


「私も聞きたいんだけど、レベルの割にずいぶん強くない? 昨日のボス、撃破がものすごく速かったわよね」


 今度はシーラさんから質問です。


「クランに入って聞いたんですが、スピードブーストのおかげで与えるダメージが大きいんだそうです」


「そういうこと。スキルとか関係なしに誰にでもできることだけど、その上がり幅が大きかったということなのね」


「あれだけ速けりゃブーストも乗るわなー」


「グリーンさんに関してと飛ぶことについてはBBSに資料上がってたしそれで十分ね。じゃあ……」


「あ、最後もう一つ。装備どこで作ったかだけ教えてー」


 最初に聞かれてましたっけ。


「バトルデイズというお店です。店長のレイチェルさんにデザインから性能まで全てお任せしました」


「バトルデイズのレイチェルって、あのレイチェルかっ」


「やっぱり有名なんですか」


 仕事も早いですし、少なくとも私にはものすごく的確な商品を勧めてくれますし、そのうえ店長なんですから当然と言えば当然ですね。


「バトルデイズは質も規模もトップクラスのお店なのよ。ただ作るのが好きっていう、職人にありがちな物作り欲求を邪魔せずうまく力を引き出し、それらをまとめることで大型総合店として店舗を運営してるの。購入側は質の良いものが手には入って、制作側もきちんと利益が出る。だから店長のレイチェルさんは、制作側と購入側の双方から頼りにされる人なのよ」


 ものすごい敏腕店長だったようです……。


「ちょっと値段は高いけど、フルオーダーするとデザインがものすごくいいって聞いてたんだよねぇ……これは納得だわ……」


「本当にいいわね。マリーシャの言う通り、シンプルだけど細かいところまで丁寧な仕上げだし。何より本人に似合ってる」


「そこだよっ。試着の嫌いなイオンにそこまで似合うようになんて……さっきデザインも任せたって言ったけど、まさか試着とかサンプルとかも見なかったの?」


「そうですよ。ズボンがいいとかひらひらするのはやめてほしいとか、それくらいです」


 マリーシャは試着するだけで疲れた私を見てますからね。

 その辺を嫌がるのはよく知ってます。


「じゃあ一発勝負でこれ!? お金貯めてあたしも作ってもらおっかなぁ……」


「噂されるだけはあるということね。これは私も考えたくなってくるわ」


 二人の目が途端に真剣になりました。さすがレイチェルさんの仕事です。


「おーいそろそろ時間だぞ。結局クエストの話してないけど」


「いくつか考えてあったから大丈夫よ。初心者のイオンに合わせるからイオンが選んで。戦闘は多いほうがいい? そこそこがいい? 無いほうがいい?」


 さすがシーラさん、抜かりありません。

 それに私に合わせてもらえるのもお言葉に甘えましょう。強がっても迷惑かけるだけですし。


「そこそこでお願いします」


「了解。それじゃあお店を出てオレストに行きましょうか」


 ひとまず席を立ってお店を出ましたが、また知らない言葉が出ましたね……。


「マリーシャ、オレストってどこなんですか?」


「ルフォートからだと……」


「ちょっと待ってイオン」


 シーラさんにすぐに遮られました。

 しかも慌てたような感じなんですが、珍しいですね。


「オレストはルフォート東の草原を越えたところにある街なんだけど、まさか行ったこと無いの?」


「無いです。行ったことあるのはセカ村とニデスだけです」


「なんでオレスト飛ばしてニデスが出てくるんだよ……」


「そうよね……飛べるんだったらこうなることも想定しておくべきだったわね……」


 しまった、という表情のシーラさん。さらに珍しいです。

 でも飛ばした、ということは……。


「……もしかして、普通はニデスより先に行く街でした?」


「ほとんどの場合、ルフォートの次に行くのがオレストよ。セカ村のほうがレベル的には丁度いいんだけど、あそこは施設が少ないから無理しててでもオレストに行くのよ」


「ニデスはもっと後だな。俺たちもまだ行ったことないし」


 すぐに西の森へ行ってしまったのと同じく、街も飛ばしてたようです……。

 と、とにかく考えるよりなんとかしましょう。このままではクエストができません。

 結界石を利用しての移動は、一度行ったことのある街にしか行けないですし。

 だったら急がないと。


「オレストは遠いんですか?」


「普通の馬車なら半日だけど、具体的に何キロあるかは……でもそうね、イオンならなんとかなるかもしれないわね。東門から出てひたすら真っ直ぐよ。街道がついてるから迷わないと思うわ」


「それじゃ急いで行きますので向こうで待っててください」


「え、ちょっとイオン?」


 すぐに理解してくれたシーラさんが行き方を教えてくれました。

 それに一言残して、助走をつけすぐに飛び立ちます。

 本当は街中で飛ぶのは控えようと決めてたはずですが、ごめんなさい今回だけ見逃してください……。

 すぐに城壁を越えて街の東側、昨日見た平原が見えました。


「ぐりちゃん、全速で行きますよ」


「今日は何の邪魔もありませんわ。存分に飛ばしてくださいですの」


 急ぎましょう。




◇◇◇




 イオンが飛び立ったあとのマリーシャたちは、形は違えど皆興奮していた。


「イオンが素敵すぎるんだけどあたしどうしたらいいの!?」


「落ち着けばいいのよ。……でも映像と違って本物はすごいわね……」


「間近で見るとかなり迫力あるな……」


「おぉ……」


 それは、その姿を見た他の者たちも同様であった。


「やっべー! 昨日の今日で飛んでるとこ見られるとかラッキーすぎる!」


「下から見るとすっげーな!」


「下からって言うと変なイメージな言葉に聞こえるんだが、これの場合は問題ないよな!?」


「本物はものすごく綺麗ですね……」


「イオン様……空を舞う姿は本当に優雅で素敵……」


「男ども邪魔。白い翼が汚れる」


 頭の上を通られたプレイヤーにも、不評どころか好評だった。



修羅場と言ったな。あれは(略


期待した方、本当にごめんなさい……。

でもここまで引っ張っといてまた引っ張るようなことはしたくなかったんです……。

なのでとりあえず暴走していただきました。

そんなわけでめでたく合流、次からクエストです。



チューニングゲーについての反応が多くて本当にビビりました。

それくらい需要があるならまずパーツの前に工具を買って、工具メーカーもK○CとかSna○onとかスタ○レーとかSI○NETとかP○とかあって、

取り付けからセッティングまで全て現実と同じように手作業で出来るように……。

あその前に、レースの前にライセンスを取るなら作業の前に整備士資格を取って……はい、やりすぎですね。



Q:スパークプラグって何?

A:ガソリンに火を付けて自らも爆発にさらされるタフガイ。危険な役目は彼に任せろ。ただしディーゼル車には居ません。


Q:亜酸化窒素って何?

A:N2O


Q:そうじゃねぇよ

A:ガソリンと混ぜるととってもよく燃えます。小難しいことすっ飛ばして言うと一時的なパワーアップアイテム。NOSとかニトロ(ニトログリセリンではない)とか呼ばれるやつ。映画ワイ○ドスピードで『ポチッ』とすると突然スピードアップするアレ。Ama○onプラ○ムに加入してる人は無料のプラ○ムビデオで見られるので是非。

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