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5-5 ようやく現状認識しました……それとクランです。


10/29修正

整備解説書云々の箇所を丸々変更しました。


「ところでイオン、これで用事は終わったと思うけど時間はまだある? よかったらイオンのこといろいろ聞きたいなーって」


「今日は特に用事もないので大丈夫ですよ。私もいろいろお話したいですし」


「ありがとね。じゃ早速なんだけど……何から聞こう?」


「最初から聞けばええやん」


「最初からってどんだけ時間かかるんだよ……」


「すぐ終わりますよ。今日でゲーム五日目ですから」


「はぁっ!?」


「なんかとんでもない話になりそー……」


 バトルデイズでレイチェルさんに話したもののおさらいみたいなものですからね。

 ほぼそれをなぞるようにお話しました。


 初日。

 空を飛べないと言われてショック受けましたが何とか飛んで、カラスと熊を倒して森の広場でのんびり。

 その後草原で着地の練習をして終了。


 二日目。

 ドーナツ買って精霊さんに食べてもらいました。

 セカ村に行って奥さんと話して終了。

 他には何もありませんでしたよ?


 三日目。

 精霊さんとドーナツタイム。

 薬草を採りに行ったらワイバーンが出てきて槍が折れました。

 その後タルトの約束をして終了。


 四日目。

 午前中にバトルデイズで買い物。

 午後は装備を受け取ってから精霊さんとドーナツ。

 その後いろいろあって(迷子になって)山の前で休憩しているところにプルストさんたち到着。


「以後はご存知の通りですね。改めて振り返るとたいしたことしてませんね」


 まだ五日ですから当たり前ですね。


「いやいやいやいや十分凄い事やってるからっつーかとんでもないから!」


「確かにすごいけど、アンタにとんでもないとか言う権利ないから」


「ブーメランや」


「言われた方の身にもなってくださいよ~」


「私だったら自殺を考えますね」


「ウン、俺も今考えたヨ……」


 プルストさんが隅っこで丸くなりました。

 仕方がないですね。


「プルストさん私は気にしてませんから、こっちで一緒に話を聞いて下さい」


「イオンが望むなら喜んで!」


「隅っこで丸くなってても可愛くないですよ?」


「………………」


 何故か無言で泣き始めました。

 やっぱり可愛くないです。


「でもプルストの言うことももっともなんだけど……。イオンはゲームとかあんまりやらないんだよね?」


「そうですね。親戚の伯父さんからもらった紅白のTVゲーム機しか触ったことありませんでした。今は使えませんし」


「紅白?」


「80年代から90年代にかけて一世を風靡したTVゲーム機ですね。まさか今の時代にそれしか触ったことが無い人がいるとは」


 バルガスさんが説明してくれますがそんなに古いものだったんですね、あれ。

 他と比べなくても古いのはわかってましたが、そこまでとは思いませんでした。


「で、友達に誘われて始めたはいいけど鳥族のことが原因で別行動中。だからこのゲームのことも詳しく知らないと」


「説明書は読まなかったんですか~?」


「説明書はわからない時に読むタイプなので」


「なんか意外やなぁ」


 電化製品ってボタンに動作の絵が描いてあるとか、ボタンを押す順番に番号が振ってあるとか、すごいわかりやすいのでつい説明書を読まずに触ってしまうんですよね……。


「友達とはまだ別行動中なの? もう解決したんだよね」


「解決はしたんですが、むこうはテスト勉強でゲームを禁止されてまして」


「あらら~」


「タイミング悪いなぁ」


「いやイオンも勉強しないと」


「私はいつもテスト前でも勉強してませんので。600人中で150位から下がったことないので親も何も言いませんし」


「そ、そう……スペック高いわね……」


 授業を聞いてれば300位、覚えていれば200位、理解していれば100位、それ以上は勉強を重ねた人、と東さんも言ってましたので特に間違ってはないはずです。

 マリーシャは寝てますからスタートの段階が……。


「でも初心者の館でいろいろ解説あったでしょ。というかあれに行けば説明書いらないし」


 初心者の……館……あっ。


「行くのすっかり忘れてました……」


 あの時は違うことに意識とられてましたから忘れてました……。


「そっかーうっかりなのかーなるほどねー」


「なんか安心しますね~」


「それでこそって感じやなぁ」


 皆さん何故か和んでますけどなんか恥ずかしいです……。


「友達とは別行動、説明書は読まなかった、初心者の館は忘れてた。だから何も知らずに動き回ってたのねー」


「あの……うすうす気付いてましたけど……私相当変なことしてました?」


 今思えばレイチェルさんからいろいろ聞かれてた時もこうだったということですよね……。

 いろいろ聞かれたのはかなり変なことをしてたからで……。


「変というか、手順を飛ばしたって感じかな。初心者の館の最後で東と南の魔物が弱くて西が強いから気を付けろって言われるから」


 知らなかった私はその一番強いはずの西に行ってしまってたんですね……。


「でもフォレストクローでしたっけ? 森のカラスも簡単に倒せたんですが、強いんだったらそんなことないんじゃないですか?」


「それは恐らくスピードブーストの影響だと思います」


 スピードブースト?


「名前からすると、速ければ強くなるとかそういう事でしょうか」


「その通りです。現実世界でも助走や勢いをつけることで大きな力を出せますよね? あれと同じです。イオンさんはものすごいスピードで飛んでますから、初期装備でもフォレストクローくらいなら倒せるはずです。ちなみに正式なシステムではないので、プレイヤーが勝手にそう呼んでるだけのものです」


「似たようなもので重力ブーストってのもあるよ。こっちは高いとこから落ちながらやるやつだね。バルガスみたいに重い人がやると効果大」


「一歩間違えると落下ダメージで死んでしまいますが」


 バルガスさんが丁寧に解説してくれたのでよく分かりました。

 言われてみると当たり前のことですね、納得です。

 攻撃を避けることを意識してスピードを上げていましたから、その分威力が大きかったということですね。

 落下ダメージはそのままですね。

 高いところから落ちた衝撃で死んでしまうのも当たり前です。

 TVゲームでも段差から落ちたら死ぬゲームがありましたし。


「でもフォレストクローはまだしもよくブラックフォレストベアも倒せたよね。一撃食らったら死んじゃうと思うんだけど、そんなにレベル上げたの?」


「一度当たれば死ぬと思ったので、全部避けました」


「……そ、そう。(どっちかというとそれの方がすごいと思うんだけど……)」


 死に物狂い……ではないですね。

 デスペナルティで死ぬくらいなら頑張ってみようという程度の感じだったですからね、あの時は。

 半分以上は運だったと思います。


「そういえば~エレメントゴーレムの時もすぐにイエローになってましたね~。まともに当たってないはずなのにおかしいと思ってたんですが~」


「単にレベルが低くてHP少なかったっちゅうことか」


「とにかくこれでわかったわね。ダメージをもらわず、攻撃は全部スピードブースト。だから低レベル初期装備なのにワイバーンまで何とかなったと」


「それだけ聞くと誰でも出来そうなんですが、私が飛べるからできたということですね。さすがに自分でもわかりました……」


 攻撃力と素早さが高いから、レベルを上げずにボスと戦っても何とかなったということだったんですね……。

 一歩間違えばそこで終了という無謀な行動を繰り返していたようです……。

 とはいえ今更この戦い方を変えようもないし変える気も無いんですが。

 私にできることは飛ぶことぐらいですからね。

 何でもできるほどゲームが上手いわけでもないので、だったら得意なことで頑張るだけですから。


「イオンがすごいのは飛べるからだけじゃないんだけど……まぁいっか」


 キイさんが何やら呟いてますが……いいと言うなら聞かなくてもいいことですよね。


イオン『レベル上げてないのに倒せるから魔物って弱いんですね』

全員『違います』


というわけで攻撃・回避特化の紙装甲だとようやく理解したイオンさんでした。

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