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5-4 ようやく現状認識しました……それとクランです。


皆様のおかげで日刊一位となりました!

心から感謝を述べさせていただきたいと思います。

いつも読んで下さりありがとうございます!


感想についても本当にありがとうございます。

活動報告にてぽつぽつと返信させていただいてますので、感想を下さった方はそちらも見てやってください。


 本題に入ったかと思えば全く違う上に面倒な話でした。

 自分がどうとも思ってないことに謝られてもむしろ迷惑というものです。

 ……と言いたいところですが、プルストさん自身は本当に苦しそうな表情だったので、本人にとっては非常に重要なことだったんだと思います。

 どこか自分に重ねるところがあったから、私にしたことを後悔したということでしょうか。

 少しだけ怒ってしまってつい適当なこと言ってしまいましたが悪いことしました……。

 所詮まだ高校生なんですから、いくらそれっぽいこと言ったって言葉の重みなんか全然ないですからね。

 本当は助けになるようないいこと言えるとそれが一番なんですが……。

 その前に怒らずにしっかりと話を聞いて理解できるようにならないといけませんね。反省です。

 それにしてもプルストさんはやっぱり優しい人のようですね。

 自分で痛みを知っているから他人の痛みに本気になれるという事でしょうか。

 皆さんから愛される理由がよく分かります。


「ではプルストさんの面白くない話も終わったところで昨日の件に移ります」


「面白くない話扱い!?」


「イオンさんは昨日私たちパーティのダンジョン攻略に協力していただきましたので、私たちから報酬を受け取る権利があります。その辺りのことを詰めていきたいと思いますので、まずは分かりやすい取得品のことから進めましょう。エレメントゴーレムを倒した時に入手したアイテムを教えていただいてもいいですか?」


「……私は空気、私は命令があるまで動かないコンピューター……」


 バルガスさんの司会で本題に入りました。

 なんかプルストさんがトラウマ刺激されてますがとりあえず放っときましょう。

 所詮私程度には大したことできませんし、他の皆さんがさりげなく気にしてる様だったのでそちらにお任せです。

 なのでとりあえずは昨日の件です。

 報酬とか特にほしいと思いませんがひとまずストレージを見ながら一通り伝えます。

 私には必要なくても皆さんが必要とするものはあると思いますし。

 取得品はほとんどが素材ですね。

 それと。



【風精霊の封石】

効果:不明

状態:封印



「最後が【風精霊の封石】ですね。これは一個だけです」


 ストレージから出してちゃぶ台の上に置きます。

 見た目は緑色の石ですね。

 宝石とかそういうのではありません。


「エリスさん、どうですか?」


「私の鑑定でも効果は不明です~」


「エリスさんでも鑑定できないとなると、これについての判断は難しいですね」


「昨日も言いましたが私は必要ありませんので差し上げますよ?」


 分からないもの持ってても仕方ないですしね。

 捨てられる物は捨てないとすぐに大変なことになりますから。

 次から次へと使えそうにない部品を貯め込む人が居るとそういう癖がついてしまいます。

 『いつか使うんだよ』は『いつかが来たらの話だが』という言葉が隠されてますからね。信用してはいけません。


「頂くにしても無料というわけにもいきません。ですからこれに関しては後回しにしましょう」


 そうですね。分からないなら分かるものから片付けましょう。


「それで取得された素材やお金に関してですが、私たちが取得したものとそこまで大きな差は無いように思えます。ですので、よければそのままお持ちいただくという形でどうでしょう。代わりに追加報酬といったものも無しとさせてもらえると助かるのですが」


「私は構いませんがこういうのは均等割りが普通ではないんですか? もっと欲しいと言うわけでもないんですが、多く貰いたいわけでもないので」


 計算は楽でいいですがそれだとバランスが取れないと思うので。


「それについてですが……イオンさん、もしかしてパーティを組んだことが無いのでは?」


「はい、誰かと一緒に戦ったのは昨日が初めてでした」


「もしかして昨日初めてって言ったのはそういう意味?」


「そうです。あとダンジョンに入ったのもそうですね。ああでも他の山もダンジョンになるのなら二回目になるんでしょうか」


 ワイバーンを倒しに山に行ったのも含めればそれもダンジョンですね。

 いきなり山頂に行ったのでそんな気がしませんが。


「ダンジョンが二回目?」


「はい。一回目はセカ村の北ですね」


「さっきもそんなこと言ってたよね。イオン、ワイバーン倒したって言ってたけどパーティも初めてって、まさかと思うけど……一人で倒したの?」


「はい一人でした。最後槍が折れてどうしようかと思いましたけど」


 あの時は本当にどうしようかと思いました。

 武器が無くなってしまえば逃げることしかできないんですけど、いきなりああなるとつい慌ててしまいます。


「は? ワイバーンを一人で撃破?」


「いくらなんでも無茶苦茶や」


「プルストさんみたいなことする人他にも居るんですね~」


「俺でもそこまで無茶なことしねぇよっ! 単独でのイベントボス討伐はブラックフォレストベアくらいだ」


「あ、それも倒しました」


「やっぱ同類や」


「……なんだろう。イオンとお揃いなのに、この微妙な気分は……」


 なんでしょう。なんか生温かい雰囲気に……。


「その辺も気になりますが、とりあえずパーティの話に戻させてください」


 あっとそうでした。

 今はワイバーンの話ではありません。


「あの時、私達五人はパーティ登録をしていましたが、イオンさんだけは登録されていませんでした。つまりあの時は五人のパーティが一つと、一人のパーティが一つという状況だったわけです」


 フレンドのように登録する必要があったという事ですか。

 一緒にいるだけではシステム上はパーティにはなってなかったんですね。


「このゲームでは通常、魔物からのドロップアイテム、お金、経験値といったものに関してはパーティ内で均等に分けられます。ですが二つのパーティが同時に戦った場合、どれだけ貢献したかによってまずパーティごとに分けられるのです。つまり、イオンさんが取得したものはシステムが公平に判断した結果という事なのです」


 パーティ間でも均等に分ける場合は、あらかじめパーティ同士でレイドを組む必要があるのです、と説明が続きました。

 つまり今回の私の取得品は、人の目から見てどれほど不公平だとしても、システムからは公平に分けた結果なんですね。


「ですからイオンさんが取得したものはイオンさんが戦った正当な結果であり、受け取る権利があるというわけなのです」


「それでお互い取得したものはそのままという事なんですね。そういう事でしたら納得です」


「ご理解いただけて助かります。残る問題としては魔物を倒した際の経験値なのですが、よければイオンさんのレベルアップに我々が協力させていただくという事でいかがでしょう。これだけは後から分けるという事が出来ませんので……」


「いえいいですよそんな。レベルなんて気にしたことありませんし。それにシステムが公平に分けてるんですからこれ以上いりません」


 レベルは高い方がいいと思いますが無理に上げようとも思いません。

 今はまだいろんなところに行く方が重要です。

 どうしようもなくなってから上げればいいと思うのです。


「そうですか。それでは今回取得したものはお互い全てそのまま、ということでよろしいですか?」


「はい大丈夫です。むしろ申し訳ありません、そこまで気を遣っていただいて」


「いえいえ。お互い丸く収まればそれが一番ですから」


 本当によかったです。

 では後はこれだけですね。


「そうですね。ではあとは【風精霊の封石】についてですが――」


「はい。それはイオンさんの物ですね」


 ……あれ?

 でもこの話は後でと……。


「私は先ほど、『取得したものはお互い“全て”そのまま』と言い、イオンさんも了承されましたから。イオンさんが取得されたそのアイテムもイオンさんの物となります」


 ……えっと。

 ということは。


「……丸め込まれました?」


「さて、なんのことでしょう?」


 バルガスさんの笑顔が黒いです。

 いえやり終わった後なので既に真っ白ですね。

 ……やられました。


「まぁまぁ気にしない気にしないっ。アイテムなんてまた取りに行けばいいんだから」


「そうですよ~物によっては人数分周回するんですから~」


「せやなぁ畳のために何回も潜ったこと思えばあんなん楽勝やわ」


「いや畳はお前のせいだろ……」


「嫌やったら一人で椅子に座っとればええやん。せやったら文句も聞いたるわ。冬のコタツも禁止やけどな」


「すいませんでしたこっちがいいですだから俺もコタツに入れてください」


「ヘタレ」


 きっと皆さん初めからそのつもりだったんでしょうね。

 皆さんの笑顔がとても満足気です。

 本当にいい人たちに出会えたようです。

 けどそういう事なら遠慮する方が失礼ですね。

 それなら私は私で、お返し機会を伺っていましょうか。




今更ですがアヤメの方言については架空の方言という事でお願いします……。

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