5-1 ようやく現状認識しました……それとクランです。
ブクマ1000件突破……(((((((( ;゜Д゜))))))))
いつもこれしか言ってませんがとにかくありがとうございます!
今回は百合成分が強めかもしれません。
苦手な方はご注意ください。
……やり過ぎた気がしないでもない……。
月曜日の朝。
新しい週の始まりという奇麗な言葉とは真逆に見える、気怠そうに登校する人がほとんどの朝。
六月のこの時期は気温も大分上がってきて、それが一層学生たちのやる気を奪っていく。
やる気のある者の多くは部活に精を出し。
趣味に没頭するものは早速と机の上に何やら広げはじめ。
そして、それ以外に力を注ぐ者がここに一人。
「おはよー……う?」
教室に入ってきた生徒の腰に手をまわし抱きついて、というより拘束した一人の生徒。
「おはようございます。真里」
「あ、碧……」
ようやく捕まえました。
真里のことだから私より早く来たら始業まで逃げると考えて、いつもよりかなり早く登校したのです。
朝の弱い私にとっては拷問にも等しい時間を耐えてここに居るのです。
絶対逃がしませんよっ。
「えーっと、朝から嬉しいんだけど、ちょっと放してくれないかなーって」
「ダメです。離すと逃げますので」
声の調子だけはいつもの真里ですね。
ですが真里のことだから放すと本気で走って逃げます。
先生の目があろうと絶対にやります。
「に、逃げないって」
「そういうセリフは私の目を見て言ってください」
「後ろから抱きつかれてるから見えないよね!?」
「じゃあやっぱり離しません」
「嫁が反抗期だ……」
「真里が逃げるからですよ」
あれだけ逃げられて今更信じるほど馬鹿でもありません。
強制執行です。
「だって……あたしのせいでさ……傷つけたわけだし……」
先ほどまでとは違う、後悔を含んだ声。
やっぱり、まだいつもの真里ではありません。
「だっても何もありません。それよりそういう自覚はあるんですね」
「……うん……」
「じゃあ責任とってくださいね」
「……はい……」
「責任とって、最後まで私に付き合ってくださいね」
「……わかりました……」
「これだけ好きにさせといて、今更逃げようと言ってもそうはいきませんからね」
「……もちろんで……好きに?」
「はい。今では大好きになりましたので」
空も観光もお菓子も、それから戦うことも。
真里の居ない間に本当にゲームのことを好きになりました。
「そ、そうなの? でもあれは」
「真里は私の言うことがそんなに信じられませんか?」
真里の言葉を遮って続けます。
いつまでも逃げるなら追いかければいいのです。
「そんなことないよっ」
「じゃあ少しは私のことも見てください。真里が居ないから、一人で色んな所に行ってたんです。観光もして、美味しいものも食べて、本当に楽しかったんです」
「碧……」
「真里の居ない間にいろいろあったんですよ? だから私をこんなにした責任とって、最後まで私に付き合ってくださいね」
そう言って腰に回していた手を放し、真里の顔をのぞき込みながら続けました。
「逃がしませんからね?」
「~~~っ! あたしが嫁を逃がすわけがないでしょ! こんな可愛い嫁のためならどこまでだって行ってやるわ!」
「ありがとうございます、真里」
元気な声を上げて今度は真里から抱きついてきます。
ようやくいつもの真里に戻ってくれました。
やっぱり真里はこうでないといけませんね。
「おはよう二人とも」
「あ、おはようございます、東さん」
「ところで二人とも、朝から随分と熱烈のようね」
そうでしょうか?
真里が抱きついてくるのはいつものことなので、別に普通だと思ったんですが。
そうですよねと、周りを見てみると……。
……よく聞き取れませんが、何故かこちらを注目されているようですね
「ところで二人とも、何の話をしていたの?」
「ゲームの話ですけど?」
「だ、そうよ。分かったら全員散りなさい」
東さんがクラスの皆さんを追い払っています。
皆さん何故かがっかりしたような表情ですが、どうしたんでしょうね?
「でもそっかー碧もゲーム好きになってくれたかー」
「はい。戦うのもやってみるとなかなか面白いですね」
「戦闘も!? ……なんてできた嫁なの……あたしにはもったいないわ……」
「本当にもったいないわね」
「うるさい。でもそれなら今日は早速クエストやろうね! レベル差あるからルフォートで……」
「来週までに私が探しといてあげるわ。貴方に任せたらどんなことになるか」
「ちょっとなんで来週なのさー碧もいいって言ってるんだから今日でいいでしょー」
「私がダメと言ってるの。来週から期末テストだから、終わるまでゲームは禁止よ」
「…………てすと?」
真里の目がぱちくりしてます。
来週の月曜から水曜まで期末テストですが、どうやら忘れてたみたいですね。
「そうよ」
「……じゃあゲームは?」
「禁止よ」
「……碧とのクエストは?」
「お預けね」
「……じゃあ」
「私が二度と勉強を教えなくてもいいんだったらやってもいいわよ」
「……」
真里が泣きそうな目で私を見てきます。
「頑張ってくださいね」
笑顔で送り出しましょう。
真里はいつも赤点ギリギリなので、東さんの指導が無ければ間違いなく全滅ですから。
「碧にも裏切られたー……」
「真里が留年したら一緒に遊べませんからね。仕方ありません」
「うぅ……」
「普段から勉強しないからよ」
「碧だってしてないもん……」
「家ではしてませんが、授業中にしっかり勉強してますので」
真里は大抵寝てます。
私も予習復習とかしてませんしテスト対策も特にしてませんが、今まで大丈夫だったから大丈夫でしょう。
父も留年しなければOKと言ってますから、特に順位にこだわらなくてもいいですしね。
「真里頑張ってくださいね。テストが終わったらゲームの中で美味しいもの食べましょう。そのころには美味しいタルトが食べれるようになってると思いますから」
「あらいいわね。そんなの探してるなんて、本当にゲームを楽しんでるのね」
「それが楽しみの一つですから。そういえばルフォートでスペシャルパフェがあるって聞いたんですけど知りませんか? リンジーという人が作ってると思うんですが」
「リンジー……聞いたことないわね。調べてみましょうか?」
「知らなかったらいいんです。今日教えてくれた人たちと会いますので、その時聞いてみます」
「教えてくれた人!?」
どうしたんでしょう。
真里の目が何やら怖いです。
「そ、その人ってまさか……お、男だったり……」
「いえ女性ですよ」
言葉を言ったのはプルストさんですが内容を教えてくれたのはキイさんなので、間違っては無いはずです。
「そっかぁ……よかったぁ……」
一気に脱力してますがどうしたんでしょう。
「ほら先生来たわよ」
東さんの声に急かされ席に着きます。
なんとか真里と話せるようになったので安心しました。
テストが終わるまで遊べないのは残念ですがそういう理由だったら我慢できます。
今までとは違いますからね。
それにその間に少しでも真里に追いつけますし。
確か初めて三か月と言ってましたから、レベルも知識も、追いつくのは当分先になりそうですが。
どれくらい強くなってるとか聞いた方がいいんでしょうか。
でもゲームのできない真里にゲームの話を振るわけにもいきませんね。
じゃあ当面はプルストさんたちを目標にさせてもらいましょう。
今日の話がうまくまとまれば、色々お願いしてみましょうか。
◇◇◇
「またやってるよあの二人」
「朝から熱いなーあの夫婦は」
「見てて面白いからいいけどねー」
「でも先週は真里おかしかったじゃん」
「あーなんか逃げまくってたねー」
「俺佐々木がぼっち飯してるとこ初めて見たぜ」
「それじゃ今修羅場か……」
「やっぱそうなん?」
「あの二人に限ってそれは無いでしょー」
「いや今傷つけたか聞こえたんだけど」
「え、ウソ」
「今度は責任とってって聞こえたよ!?」
「おいおいおいマジかよマジかよ」
「傷つけて責任ってあの二人何やってんのよ……」
「……付き合ってくださいね、だって」
「なんだってーーーー!?」
「うるさい男子っ、今いいとこなんだから」
「よく聞こえなかったけど今度は好きって言ってるよー!」
「朝からこんないい百合が見れるなんて……妄想が捗るわぁ」
「なんでこの漫研は捕まらないの……」
「ちょっ、あれっ」
「うわぁ……」
「下から上目遣いでのぞき込んで、逃がさない宣言……」
「しかもあの邪気も計算もない天然から出る笑顔付き……」
「あれは効くわぁ……」
「犯罪レベルね……」
「これ男子に見せていいの?」
「うわー男子共が静かだと思ったらなんか悶えてる。キモッ」
「ていうか挙動不審? ホントキモイわー」
「変態共め」
「でもどうせ大したことないオチな気がする」
「妄想が捗れば何でもいいわ」
「ここにも居たよ……」
「あーやっぱり、ゲームだってさ」
「ゲーム一つで百合な修羅場をでっちあげて奇麗にまとめれる夫婦って」
「東も大変ね……」
「姑はどこでも苦労するもんでしょ……」
「誰が姑よ誰が!」
12/31
表現について修正しました。
折角仲直りしたのにパーティ組むのはまだお預けという落ち……。
以前にも書きましたが百合ルートの予定は(恐らく)ありません。
一話分完成してから投稿という形をとっていますがなんとか間に合いました。
なので数日は連続で投稿できると思います。
サブタイの通り今話は主に説明回です。