4-5 買い物です。パーティです。
何時の間にかブクマ100件突破!&日刊ランク入り!
読んでいただきありがとうございます!
「イオン、ゲイルファルコン出てきたからお願い!」
いつまでもボーっと見てるだけというわけにもいきません。
ようやく出番のようなので私も頑張りませんと。
しかも魔物に緑の光が集まってますので、あれ魔法ですよね。
「イオンちょっと待……」
キイさんが何か言おうとされましたが今は魔物です。
魔法撃たれる前に倒してしまいましょう。
正面から突っ込んでそのまま二羽落とします。
反転し一羽、更に二羽に向かいます。
槍を使うのは今日二度目ですが、こちらもすごいです。
お店でただ持っただけじゃわかりませんでしたが、実際使ってみるとものすごい使いやすいんですよね。
何がと言うとよく分かりませんが……持ち替えもスムーズですし切る時もとても楽です。
切れ味が良くなったのは分かるんですが、後は重心とかでしょうか?
若干重くなってるのに取り回しは以前より楽になるという不思議な感覚です。
車もただ軽くするだけでは安定しないそうですし、似たような感じでしょうね。
それに刃先が長くなったのも正解でした。
魔物から距離をとれるのはもちろんですが、長くなった分、心にも余裕が出来たようで逆に大胆に魔物に近づくことも出来ます。
とにかくこの槍はとても使いやすいです。
すぐに七羽ほど倒して戻ります。
「お待たせしました。すいませんキイさん、お話の途中で」
「……やっぱり気のせいだったから。大丈夫。うん」
「そうですか。出来ることがあったら言ってくださいね」
私も少しはお役に立たないといけませんから。
その後は山頂までゲイルファルコンが何度も出てきてくれましたので、すくなくとも見学だけで終わったということにはなりませんでした。
どれだけ役に立ったか分かりませんが少し安心です。
皆さん褒めてくれましたがあれだけ奇麗に連携する皆さんです。
きっと私が居なくても大丈夫だったと思いますが、そんなすごい人たちに褒められるとお世辞だと分かっていても照れくさいですね。
「だからダンジョン終わったらぜひ俺とデーとぉおおお!?」
「弱かったか……」
それにしても慣れてる人たちは違いますね。
ダンジョンという事でどこから魔物が来るか分からないのに休憩しながら遊ぶ余裕があるんですから。
ところでプロストさんは今なんて言おうとしたんでしょうね?
すぐに謝ってる辺り少しきつい冗談だったのかもしれま……今聞き捨てならない言葉が聞こえました。
「……スペシャルパフェ?」
しかもルフォートで食べられる。
確かに喫茶店とかもありましたし、そういうのが食べられるお店もありますよね。
お菓子屋さんばかり探してましたが、次はそういうお店を探してみるのもいいかもしれません。
でもお持ち帰りできないと精霊さんと食べられませんね……何とかできないでしょうか。
キイさんに誘っていただきましたが時間の関係からまた今度です。
非常に残念ですが。
なんてのんきに話してましたがボスの打ち合わせとなると一転して真面目な空気になります。
プルストさんを中心として次々役割が決まっていきます。
ただ……。
申し訳ないことにプルストさんが真面目にしていることに何となく違和感をもってしまいます。
いえおかしいわけじゃないんですよ。
むしろ格好よく見えます。
ですが先ほどまでの愛されプルストさんを見ていると、あっちのほうが面白くていいと思います。
だから皆さんあんな風にしてるんですね。
今日はもうボスを倒せば終わりですが、次がある時は私もそうさせてもらいましょう。
そんなことを考えているうちに皆さんの役割が決まって次は私の番だったのですが、
「イオンは好きに動いてくれていい。ダメージにだけ気を付けてくれ」
なんと自由行動です。
でもあれだけ連携できる人たちだと私のことなんて邪魔ですよね。
どんな魔物か分かりませんが、役に立つことよりも邪魔にならないよう気を付けましょう。
「んじゃ行くぞ!」
プルストさんの声に合わせて山頂の広場へ。
《イベント発生条件を満たしました。これよりイベントを開始します》
森の広場と同じようにメッセージが聞こえ、広場の中心を見ると岩が動き出し、最終的に大きな人の形となりました。
バルガスさんが先行しようとしますが魔法の発動を見て急停止します。
ですが私なら間に合うかもしれません。
今なら他の人の邪魔にもならないようですね……。
「ヤバいっ、全員防御!」
プルストさんは防御と言いますが好きにしていいと言われてますし、遠慮なく突っ込みます。
思ったより大きな魔法ですね。
このまま行くと光にかすってしまいそうです。
避けた方がいいでしょうか……でも緑の光なので風の魔法ですよね。
確かこの服は風耐性があると言ってましたし、何とかなるんじゃないでしょうか。
速度を上げ、首元を狙って一撃。
ギィイン!
痛っ。
攻撃は成功し魔法も止まりましたが私も少し当たってしまいました。
初めて魔法に当たりましたがこんな感じなんですね……。
我慢は出来ますがやっぱり当たりたくはないです。
次からは気を付けましょう。
皆さんの方を見ると攻撃を再開しています。
体格差が大きいため足元ばかり攻撃してるようなので、私は頭を狙えば邪魔になりませんよね。
何度か攻撃しているうち、なんとなくリズムが掴めてきました。
バルガスさんが攻撃を防ぎ隙が出来たところを狙って私が体勢を崩します。
それを追うようにプルストさんとアヤメさんが中心となってダメージを与え、またバルガスさんが攻撃を防ぐ。
エリスさんは補助魔法と回復魔法を同時に操って皆さんを援護しています。
時折エレメントゴーレムから魔法が飛んできますが小さいので避けるのは簡単です。
大きいものは私が体勢を崩すと発動前に止まりますので問題ありません。
こんな強い魔物でもパーティで戦うとこんな風になるんですね。
一人で戦う際の難しさは感じませんが、それとはまた違った面白さがあります。
初めは少し不安でしたがやってみるとパーティで戦うのもいいですね。
マリーシャとではどんな風になるのか、今から楽しみです。
っと今は戦闘に集中しませんと。
どうせ今回も最後辺りで強くなるに決まってます。
プルストさんもアヤメさんもどことなく警戒してるようであまり大きな攻撃してませんし、誰かの攻撃で強化されるのを待ってるんでしょうね。
なら僭越ながら私がさせてもらいましょう。
私だったら何かあってもすぐに逃げれますし、二人にはダメージを入れてもらった方がいいですしね。
バルガスさんが攻撃を防いだところを、今までよりスピードを上げて一撃入れました。
「ゴガァアアアア!!」
エレメントゴーレムが大きな声を上げると同時、緑の光に包まれていきます。
「ダブルクロス!」
「アイスランス・トライアタック!」
プルストさんとアヤメさんが攻撃を入れますが魔物の魔法は止まりません。
気が付けば巨体を中心に風が吹き荒れています。
キイさんが矢を撃ってますが当たる前にバラバラになりました。
あれじゃ近づけませんよね。
幸い上側は包まれていないようなので、私がやってみましょう。
プルストさんもこっちを見ていますので、やっていいという事ですよね。
それでは思いっきり行きましょう。
エレメントゴーレムの真上に移動しつつ高度を上げます。
そのまま急降下。
エレメントゴーレムに向けてと言うより地面に向けてと言った感じですが気にしません。
やっぱり最速を出すにはこれが一番ですからねっ!
ギン!!!!
頭から足まで一気に切る抵抗を利用しつつブレーキ。
ほとんど地面にへばりつくような感じで着地しました。
そのまま真上に飛ぼうとしましたが……エレメントゴーレムのまとっていた風が弱くなっているようなので、その風を捕まえて離れます。
そして私が離れたところでプルストさんとバルガスさんが攻撃。
その後はアヤメさんは私と同じく頭上から魔法を撃ちこみ、魔法を撃ち消す役へ変更。
魔法の打ち消しと攻撃を繰り返すだけで、特に問題なくエレメントゴーレムを倒すことに成功しました。
《イベント目標の達成を確認しました》
メッセージが聞こえたところで地上に降ります。
パーティでの戦闘は少し不安でしたが、何とかうまくいってよかったです
「皆さんお疲れ様です」
皆さんお疲れのようで地面に座り込んでいます。
私は飛んでただけでしたけど、皆さんは走り回って大変だったですからね。
「お疲れーそれとサンキューな。イオンのおかげでマジ助かった。お礼にこの後デーごふぅ!」
早速遊ばれてますね。
やっぱり皆さん余裕があったんでしょうね。
褒めていただいてますが、私はおまけに過ぎなかったということですね。
「イオンさん回復しますのでそのまま動かないでくださいね~」
エリスさんの魔法で回復してもらいました。
最初と最後に魔法に当たって少し痛かったんですよね。
特に問題は無いと思いましたが飛んでると少し体が重かったですし、ダメージを受けるとあんな感じになるんですね。
「遠くを飛んでるから私の魔法は届かないし、イエローのままであの竜巻に飛び込んでいくんですよ~? あんまり無茶はしないでくださいね~」
どうも私がダメージを受けてたことをご存知だったようなので、何か調べる方法があるようですね。
今度マリーシャに聞いてみましょう。
もし魔物も調べれるのであれば、いつ倒せるか分からないような戦いとかしないで済みますし。
「なんにせよ全員無事に倒せてよかったってことで。それでイベントアイテムは誰が手に入れた?」
イベントアイテム?
今回はそういうのが手に入るんですね。
どうも全員が手に入るわけではないようですが……これのことでしょうか?
【風精霊の封石】
効果:不明
状態:封印
「これじゃないでしょうか。【風精霊の封石】というものがあります」
私がそう言うと皆さんから呆けたような視線を向けられます。
ぽかーんという擬音が聞こえてきそうですね。
どうしたんでしょう?
「別にアイテムが欲しくて来たわけじゃないので、差し上げますよ?」
「いやそうじゃなくて」
違いました。
「フレンド登録お願いできない?」
むしろこちらからお願いしたいので、すぐに登録させていただきました。
問題なく登録完了です。
「ってマジかよおおおおお!!??」
「ウソでしょ……」
「今日一番の驚きやわ……」
「わ~……」
「なんと……」
完了したことを告げると皆さんからものすごく驚かれました。
登録完了を言っただけなんですが、どうしてそんなに驚かれたんでしょう?
今までフレンド登録の話なんて出てませんでしたし……本当に何があったんでしょう。
「どうしました突然。何かありましたか?」
「正直に申し上げますとイオンはNPCだと思ってましたゴメンナサイ」
いきなりプルストさんに土下座されます。
別にNPCと間違えられたからって怒ったりしないと思うんですけど。
でもまだ知らないことがいっぱいありますし、もしかしたらその勘違いが無かったらさっきの戦いももっと簡単だったかもしれませんね。
お金がいっぱい手に入ったとかアイテムも多く手に入ったとか。
そうだったとしたら申し訳ないことをしました。
「そうなんですか。先ほども言いましたがアイテムなら差し上げますが、他にどんないけないことがありました? 私にできる事ならさせていただくんですが」
「いやイオンに問題があったんじゃなくて……」
プルストさんも申し訳なさそうにしてます。
というか真面目モードのプルストさんになろうとしてますね。
私が悪いことしたと言うよりどうやって謝罪しようという感じです。
本当にどうしたんでしょう。
特に皆さんから変なことされた覚えもありませんし、今回取得したお金やアイテムは全部お渡しするんですが。
お菓子と修理代があれば当面はいいですし。
そしてそんな時にこんなこと言うのは心苦しいんですが……。
「と言いますか申し訳ないんですがそろそろ時間が迫ってまして。早くアイテムお渡しさせてもらえたらと思うんです」
アイテムを確認するときに時間も確認したんですがそろそろ危ない時間です。
どうにか早くまとまったらいいんですが。
「ひとまず今日はここまでにして続きはまた後日にしませんか? 急いで決めてもよくありませんし、時間のある時に落ち着いてという事で。詳しくはキイさんからフレンドメールを送りますので」
悩んでいるとバルガスさんから提案を頂きました。
本当はこういうお金とかに関することはその場で終わらせるのがベストだと思うんですが、焦って適当なことをすると後々問題になりますので今回は甘えることにします。
「はい。それでは今日のところは失礼いたしますね」
その場を辞してすぐに飛びます。
少し時間オーバーしましたが全速で飛べば間に合うと思います。
遅れてもお父さんなら笑って許してくれると思いますが、仕事なのでそういうわけにもいきません。
それにしてもパーティというのもいいですね。
一緒に戦う面白さもいいですが、気の合う人たちとの何気ない会話も楽しかったですね。
いかにも冒険のワンシーンと言った感じです。
アイテムに関するやり取りが終わってももしまた会ってもらえるなら、また一緒に行かせてもらえないかお願いしてみるのもいいかもしれません。
それに明日は月曜日です。
今度こそマリーシャとしっかり話しましょう。
それでマリーシャと一緒に遊びましょう。
プルストさんたちと冒険してもあんなの楽しかったんですから、きっと楽しいはずです。
そんなことを考えていたらつい心がはやってしまい、気が付けば時間に余裕をもって間に合ってしまいました。
ここまで速く飛ぶつもりも無かったんですが……今日二回目の反省です。
せっかく知らない空を飛ぶんだったらもっと楽しんだ方がいいですからね。
また改めて、飛びに行きましょうか。
今話はここまでです。
幕間一つ挟んで次に話になります。
ストックが無くなったのでもしかしたら数日空くかもしれません……。
イオンが魔法を食らった時に痛いと言ってるのは一気にイエローまでいったからです。
軽いダメージは痛みもほとんど感じませんが、今回はダメージが大き過ぎたためです。
まともに食らってれば即死というレベル差があります。