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4-1 買い物です。パーティです。


今回から新しい話になります。

よろしくお願いします。


最初辺りで愚痴ってるシーンがありますので、ご不快な方はスルーしてください。



 さて今日はまず買い物です。

 昨日折ってしまった槍を買いに行きます。

 何だかんだで戦うのも面白いという事が分かりましたので、思い切って良いもの買ってみようと思います。

 ですがどれがいいのかなんて分かりません。

 その辺のことをマリーシャに聞きたかったんですが、どうもログインしてないようなので諦めました。

 仕方ないので自分で何とかします。

 知らないのにどうやってと思われるかもしれませんが、知らないなら知ってる人に任せればいいのです。


「いらっしゃいませ」


 そう、店員さんです。

 知らないことはプロに任せればいいのです。

 知らないのなら知ってる人に要望とお金を出して待ってればいいのです。

 もちろん疑問に思ったことは聞くべきです。

 そしてその返答に疑問があれば詳しく聞き、お互いの認識をすり合わせていくべきだと思います。

 お互いの認識がずれているだけならそれで解決ですし、そもそも要望が違っていればそれに合わせた整備作業をしなければなりません。

 作業内容の提案だって大歓迎です。

 プロの方も全てを知っているわけではありませんから、雑誌とか知人とか、とにかく情報はあればあるほど助かります。

 ですがざっと聞いただけでなんでも『ネットの情報と違う』と言うのは間違ってると思うのです。

 といいますか顔も見えないどんな人かも知らない人が書いた情報を、ただネットに書いてあるだけでなんでも鵜呑みにするのはどうしてでしょう?

 インパネ裏の配線がこすれて鳴っている異音に対して、『フロントサスのアッパーマウントが……』とか言うのはどうしてでしょう?

 現に改善しているのに、一体何の問題があるんでしょう?

 まるで異音が解消されることよりも、部品交換の方が主目的になっているかのようです。

 車が同じだとしても、乗り方も違えば走行環境も違うはずです。

 人間と一緒で全く同じ壊れ方をするわけがありません。

 ……そういう箇所が少なからずあることは事実ですが。

 とはいえ全てがそうではありませんから一台ごとに確認して整備をするんです。

 決して闇雲にいじっているわけではないんです。

 なのに定型文は『ネットと違う』。

 ネットの情報はそんなに偉いんですかっ。


 ……おかしいですね。お店に来ただけなのに何を考えているんでしょう。


 コホン。

 とにかく今は槍のことです。

 選んだお店は武器屋通りの中でも一番大きいお店にしました。

 通りに面したショーケースにも、一通りの武器、防具が並んでいます。

 槍だけをショーケースに並べているお店もありましたが、何も分からないので専門店よりも総合店を選びました。

 槍だけに関してなら専門店の方がいいと思いますが、あまりに何も知らない私にはこちらの方がいいと思いましたので。

 総合店は扱うものの幅が広い分、多方面から考えてもらえると思います。

 その分店員さんは知識量が必要になりますので、買う側は物だけでなく人も見極めないとけませんが。

 とはいえ私はそこまでこだわりがあるわけでもありませんし、ギリギリまで良いものをとも考えません。

 騙されてない程度に良いものだったらそれで十分です。

 買い物一つにそこまで神経質にはなれませんので。


「すいません、お聞きしてもよろしいですか?」


 手近な店員さんに声をかけます。

……店員さん、ですよね?


「いらっしゃいませ。どういったご相談しょうか」


 よかったです。

 声をかけておいてなんでしたが、一瞬違うかと思ってしまいました。

 何せ服装が、いわゆるメイドさんの恰好でしたので。

 足元までの紺色のロングスカートにフリルのついた白いエプロン。

 白い耳が可愛い兎族の方ですね。

 ストレートの金髪もとても奇麗ですし、メイド服じゃなければお嬢様に見えたと思います。

 こういう服装って喫茶店だけかと思っていましたが違うんですね。

 いえそもそもは大きなお屋敷とかで働く人でしたっけ。

 まぁどうでもいいですね、とても似合ってますし。


「あの、お客様?」


「すいません、ついお綺麗な方だと見入ってしまいました」


「まぁ、ありがとうございます」


 そう言って笑って流してもらえましたが、初対面なのにじろじろ見て失礼でしたね。

 気を付けませんと。


「よかったらお客様も着てみますか?」


「いえ、私にはそんな可愛い服は似合わないと思いますので」


 私よりマリーシャに着てもらいましょう。

 それがいいです。


「そんなことはないと思いますが……失礼しました。それでご用件は?」


「実は使っていた槍が折れてしまいまして新しい槍を買いに来たんです。ですがゲームを始めたばかりでどれがいいのか分かりませんので、よければアドバイスなど頂けないかと」


「そうでしたか、もちろんご案内させていただきます。差支えなければ、今まではどういったものをお使いだったのか、お聞かせくださいますか?」


 槍のコーナーを示され、そちらに歩きながら話を続けます。


「はい、これなんですが」


 現物があるので実際に見てもらった方が早いと思いストレージから取り出します。


【冒険者の鉄槍】

攻撃力:1

状態:破損(大)


「これは……」


 少し驚いたような表情です。

 最初に持っている武器は誰でも持っているものだと思うんですが。


「失礼しました。冒険者装備を大破損まで使い込まれる方はそうは居ませんので、少々驚いてしまいました」


「そうなんですか? 三日で壊れたので、最初の武器だとこういうものかなと思ったんですが」


「……三日、ですか?」


「はい。始めてから今日で四日目なので」


「……よろしければ、どういった使用をしたのかお聞きしてもよろしいでしょうか。新しいものを用意するにしても、用途に合った物でなければすぐに破損させてしまいますので」


 もっともです。

 道具は用途に合わせて使ってこそです。

 工具も間違った使い方をするとすぐに壊れますしね。


「わかりました。ですが何と言えばいいんでしょう……」


 言おうとして困りました。

 飛んで、横に持って、敵とすれ違う。

 これだけです。

 ……そのまま言ってみましょうか。


「えっとですね、刃の部分を横に向けて持って、そのまま敵とすれ違うときに切り付けてます」


「なるほど、突くよりも切るようにしてお使いなんですね。いつもそういった使い方を?」


「はい。振ったりとか分かりませんので、それだけです」


「そうでしたか。ちなみにどういった魔物と戦ったのか、そちらもよろしいでしょうか」


 戦った魔物……。

 思い出してみるとあまり多くありませんね。

 確かに無理させすぎたかもしれません。

 壊れて当たり前ですね。


「まず一日目が街の西にある森でカラスと熊ですね。熊は一体でしたがカラスは数えてません。あと森からの帰りに草原の牛を四頭くらいだったと思います」


 あのカラスは森の上を通る度に出てきて鬱陶しいので、今は無視できるときはそのまま逃げてます。


「カラスと熊と牛……ですか」


「二日目が西の森のカラスと、その向こうの草原で出てくるよく分からない鳥ですね」


 数は少ないですが森の向こうの草原でも鳥が出てきました。

 無暗に近づいてこないので基本的に無視してますが、カラスと違って羽を飛ばしてくることに気付いてからは倒すようにしています。

 いきなり飛ばされるとすごく驚くんですよね。


「三日目は二日目と同じ内容に加えて、セカ村の北にある山ですね。多分雑貨屋の奥さんが言ってたワイバーンという魔物だと思うんですが、トカゲと蝙蝠を足したような大きい魔物を倒すときに槍が折れました。以上です」


「……最後はワイバーンですか」


 私が言い終えると真剣な顔で考え始めました。

 いつもあんなのと戦うわけではないですし、そこを基準にしなくてもいいんですが。


「……これは秘密にしていることもあると思ますので無理にお答えいただかなくてもいいのですが、よければワイバーンと戦った時のことを伺ってもよろしいでしょうか?」


「大丈夫ですよ、別に秘密にしてるわけでもありませんし。といっても先ほど言ったことと変わらないんです。空を飛んで、すれ違いざまに構えた槍で切り付ける。それだけでした。他はや尻尾や翼に当たらないよう気を付けただけで」


 改めて考えてもそれだけです。

 なんというか、戦うと言うより空を飛んでるだけなんですよね。

 戦ってるというよりは空を飛ぶことの延長です。

 だから戦うのも面白くなったんだと思いますが。


「空を……飛んで……?」


 あ、そういえば鳥族は飛べないはずなんでしたっけ。

 もしかして疑われたかもしれません。


「はい。何故か私は飛ぶ事が出来たので、飛んでる勢いで敵に切りつけてます」


 でも言ってしまったものは仕方がありませんし嘘を言うわけにもいきませんのでこのまま通します。

 断られたらその時です。


「分かりました。沢山の質問に答えていただきあありがとうございます」


 先ほどまでの真剣な表情とは打って変わって明るい笑顔です。

 信じてもらえたかどうかは置いといて追い出されるようなことはなさそうでよかったです。


「お客様の場合ですと、形状は刃の部分を長めに取った物の方がよろしいかと思います。効果範囲を増やすことで攻撃力を増加させることはもちろんですが、すれ違いざまという事であれば魔物に近づきがちでしょうから、安全を確保する意味でもその方がいいでしょう。ですが勢いを利用する関係からどうしても武器を痛めがちですので、攻撃力よりも耐久性を重視した方が、戦闘中の破損も抑えられ戦闘に集中できるのではと思います」


 形状に性能、全くもって言われる通りですね。

 特に耐久性を気にしてもらえるのは助かります。

 安心して使えるからこそ頼りになると言うものですから。


「それでお願いします。予算は100,000ゼルですので、その範囲で見繕ってもらえますか?」


 改めて見ると結構増えてたんですよね、何時の間にか。

 カラスは光物が好きと言いますし、それででしょうか?

 とにかく普通の武器がどれくらいの金額なのか分かりませんので持ってる全額を使います。

 もちろんおやつの分は除いてありますが。


「100,000ゼルですね。それだけあれば要望に合ったものをご用意できますが、よろしければ一緒に防具の方もいかかでしょう」


 そういえば防具のことを考えてませんでしたね。

 武器が壊れたから武器を買いに来ただけですし。

 防具って今着ている服のことですよね。

 ……これが壊れてから買いに来る。

 どう壊れるのか分かりませんが……外、歩ける格好なんでしょうか……。


「よければその予算内で防具の方もご用意させていただきますが」


「是非お願いします」


 即答します。

 壊れる前でよかったです。

 替えは必要ですからね。


「ですがお金は足りますか? どれくらいするものか分かりませんが」


「一通りご用意はできますがやはり品質は落ちますので……そういえばお客様、魔物の素材はお持ちでしょうか?」


 素材?


「魔物を倒すとお金とは別に素材が手に入ることがあります。特にお客様の場合は槍の攻撃だけで倒していますので、多めに持っていると思います」


 そういえばストレージ一覧にそういったものがありました。

 なんとかの爪とか嘴とか。

 あれって魔物の素材だったんですね。


「そういった素材は冒険者ギルドで換金できますし、当店でも買取を行っています。そしてそれを踏まえての提案なのですが」


 そこで一旦言葉を区切り、先ほどまで槍を見繕っていた視線を改めて私へ向けられます。

 そうやって見つめられるとつい、やっぱり奇麗な人だなぁなんて考えてしまいますが、今は真面目にしましょう。


「よろしければオーダーメイドで装備をおつくりしませんか?」


 なんと、売ってもらうだけでなく作ってもらう事が出来たんですか。

 ああでもリード君も鍛冶がどうとか言ってましたね。

 いいですねオーダーメイド。


「お持ちの素材を利用して装備を作成。余った素材はそのまま買い取らせていただきますので予算の上乗せにもなります。欠点としては作成までにお時間がかかることですが、槍と装備の一揃えでしたら……午後一時には出来上がります」


「それくらいでしたら大丈夫です。オーダーメイドでお願いします」


 現実ではなかなか機会がりませんが、一度くらいはやってみたいですし。

 高いんですよね、車用のワンオフ部品。


「ありがとうございます。それでは細かいところを詰めたいともうのですが……基本的には任せていただいてもよろしいでしょうか?」


「詳しくありませんのでそれでお願いします。大雑把な要望だけ聞いてもらえれば大丈夫ですので」


 槍の提案が私好みでしたからこの方なら大丈夫でしょう。

 もう完全に丸投げです。


「ありがとうございます。要望はどういったものでしょう」


「槍は先ほど話していただいたもので構いません。防具は軽くて動きやすい物で、空を飛ぶのでフリルとかひらひらするのもやめてください。あとスカートではなくズボンで。それくらいですね」


「分かりました。そのように進めさせていただきます」


 メモを取り終わった店員さんに素材とお金を預けお店を後にします。

 これで買い物はひとまず完了ですね。

 あとはどこかで時間潰して……いえログアウトして買い物に行きましょう。

 いつもは午後に行ってますが、今のうちにやっておけば午後は気にしなくてもいいですしね。




愚痴の内容はあくまでイオンの主観によるものです。

決して作者の本音をぶちまけたとかではありません。

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