表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
149/152

14-3 空を飛ぶ練習、始めるよ!

本日二本目。短めです。

14-2がまだの人はそちらからどうぞ。




 説明が終わったので、早速練習場に来た。

 イオンさんから聞いてたけど凄いねここ。本当に鳥族ばっかり!

 こんなの見ると私だってテンション上がっちゃうよ!


「小さい子が多いので、少しうるさいですけど」


「大丈夫」


 ミーアさんが申し訳なさそうに言うけど、私はぜーんぜん気にしない。

 仲良さそうにおしゃべりしながら翼動かす練習してる子たちとかすっごく可愛い! 楽しそうでいいなぁ。


「ロロさんは、まずはあっちで翼を動かす練習からだな」


 エレノアさんの言う『あっち』は、その可愛い子たちの集まってるとこだった。

 私なんかがそこに混ざると思うと、こっちこそ申し訳なくなって来る……。


「ところで本当にミーアから教わるのか? いやミーアはしっかりしてるから不安はないんだが、小さい子に教わるというのは抵抗があるという者も居るからな」


「全然」


 そういう人がいるのは知ってるけど、私は平気。いつも生徒の子たちから色々教えてもらってるもん。もちろん勉強のこと以外で。


「エレノアが悪いわけじゃない。でもミーアがいい」


 練習場に来てからのミーアさん、小さい子に何度も話しかけられてる。飛び方教えてーって。

 ただ教え慣れてるってだけなら、こんなに慕われないと思う。だから本当にいい先生なんじゃないかな。

 だからきっかけはアレだしまだ教わってもないけど、ミーアさんから教わるのは正解だって、そう思える。


「ロロさん……ありがとうございますっ!」


 そのミーアさんは何故か嬉しそうな顔でこっちを見てた。

 そんな嬉しくなるようなこと言ったかな……。

 でも私がミーアさんに教えてもらうと、小さい子たちから取っちゃうことになるのかな? 大丈夫なの?


「小さい子は、見てなくていい?」


「大丈夫です。教えるって言ってもずっと付きっきりではないですし、いつも何人もまとめて見てるんで!」


 それもそっか。翼を動かす練習なんて、一人でできるもんね。


「それより、私の教え方じゃ合わないって思ったら、遠慮なく言ってくださいね。合わないのにいつまでも続けてたら、なかなか上達しないですから」


 基本的な練習方法はあっても、最終的には自分の感覚が全て。

 お互いの感性の合う、合わないってどうしてもあると思うし、だからプレイヤー間ではそういう話はしない方がいいということになってた。

 その辺はプレイヤーもNPCも一緒ということだね。


「ならミーア、あとは頼む。ロロさんも頑張ってくれ」


「はいっ」


 私は頷くだけで返事してエレノアさんを見送って、ついに練習を始めることになった。

 まずは翼を動かす練習をしてる子たちが集まってるところ、の少し外れたところに移動して、準備から。


「それじゃあバングルを付けて起動してください。表面をなぞると起動しますから。三つまとめてじゃなくて、一つずつ起動してくださいね」


 言われた通り、まずはバングルを腕に……付けようとしたけど、なんかコートが邪魔。脱いでストレージにしまう。

 コートの下は黒のスーツに黒のネクタイ。カッターシャツはグレーと全体的にかなり暗い。

 練習してるあいだはジャケットも脱いじゃおう。カッターシャツ姿になって……となるとネクタイも邪魔な気がしてきた。ネクタイを外して『わっ』首元を開いて……。

 あの、ミーアさん。なんで顔が赤くなってるのかな……?


「その、首もとをぐいってする仕草って、なんかイイですね!」


 そ、そう。

 ごめんなさい。スーツ姿の男性が格好いいのはわかるけど、ネクタイを緩める仕草がいいかどうかはわからない……。

 というかこっちの世界でスーツ姿の人なんて見たことないけど、そういうのはどこの世界でも変わらないの……?


 とにかくネクタイを外して首元のボタンも外す。これでスッキリ。

 最後にカッターシャツの袖を少しあげてバングルを付ける。細くて軽いから三つ付けても邪魔にならない。


 これで準備完了。袖をおろす前にバングルの表面をなぞって、魔道具を起ど、ッ!

 三つ目を起動した瞬間、何かが翼に流れ始めたのがハッキリとわかった。

 この流れてるのが魔力だよね。こんな感じなんだぁ……。


「どうですか? 何か変わった感じがあります?」


「……何かが、翼に向かって流れてる感じがする」


 何か、じゃなくて魔力が翼に流れてる。

 翼に入った魔力は翼を満たすまで流れたと思ったら、一部は体のほうへ戻り始めた。

 翼に流れる魔力と体に戻る魔力。全身をぐるぐる回ってるみたい……。


「それが魔力です。翼と体を行ったり来たりしてるはずなので、それで魔力を動かす感覚を覚えてください。最初から感じられるんだったら魔力についてはすぐ覚えると思いますよ。逆にこれを感じられないと、時間がかかっちゃう場合がありますけど」


 そうだよね、魔力操作を覚えないと次に行けないもんね。


「次は翼を動かしてみましょう」


 ……ってあれ? 魔力操作の練習じゃないの?


「魔力操作は?」


「翼を動かしながらのほうが、魔力の動きを感じ取りやすいんです。翼を動かすと魔力の流れも変化するので。なので、翼を動かす練習をしてるうちに自然と覚えちゃうことが多いんです。翼を動かせるようになっても魔力の操作をできなかったら、そのときは改めて、ですね」


 どうせ翼に魔力が流れてるんだから、翼を動かした方がその変化を感じ取りやすい。言われてみればそうかも。


「それじゃあ、ゆっくりと腕を左右に上げてください」


 ミーアさんに言われた通り、今度は腕を左右に上げていく。

 すると、それと連動するように、私の翼も左右に開いていった。

 その感覚は、背中を通して私に伝わってきた。

 魔力が流れる感覚ほどハッキリとしたものじゃない。なんだか背中が痒いような、違う誰かに触られてるような、どうしても違和感が先に立っちゃう、不思議な感覚なんだけど……。

 でも、間違いなく翼が動いてるんだっていうのはわかる。

 翼が動くのはこんな感じなんだね……。


「ロロさん、翼も綺麗ですね……」


 ……ミーアさん、今度は私の翼を見て顔を赤くしてた。


「黒いのに?」


 ただ真っ黒なだけだと思うんだけど。


「もしかして異世界では黒は人気ないんですか? こっちの世界はそうでもないんですけど」


 そうなの?

 この練習場に居る子たちを見ると、白系と茶系が多いんだよね。ミーアさんも薄い茶色。

 街の中にはグレーの翼の鳥族も居たけど、黒い翼は見かけなかった。


「こっちの世界だと、翼はハッキリした色が綺麗だって言われるんです。白なら白、黒なら黒とか。何色か、というのはあんまり関係ないんです。数は少ないですけど、この街にも翼が黒い人は居ますよ。ちなみにモテる人が多いです」


 モ、モテるとかどうかは置いといて、そういう基準なんだね。


「周りを見てください。みんなも綺麗な黒だから見とれてますよ。しっとりと艶やかな、落ち着いた黒。本当に素敵です……」


 溜め息しながら感想を言うミーアさんからつい目を逸らしちゃったけど、それも失敗だった。

 だって本当に周りの子も見てるんだもん……見とれてるかどうかはわからないけど……。


「大丈夫です、自信持って下さい! 全然変じゃないですから! とっても綺麗ですから!」


「……ありがとう」


 や、やっぱり褒められるのは恥ずかしい……。

 でもイオンさんも綺麗だって言ってくれたし、少しくらい自信持っていいのかな……。


「あっ、ごめんなさい見とれてばっかりで。練習しないとですね!」


 そ、そうだね練習しないとね!

 私も何考えてるの……もぅ……。


「今度は、左右に上げた両腕をそのまま前後に動かして下さい。これもゆっくりです」


 言われるまま、今度は腕を動かすと……ホントに動いたよ!

 腕を上げた時点で動いてたんだけど、でも今度はゆっくりだけど羽ばたいてるみたいな感じ! なんかスゴイ!


「ただ前後に動かすだけじゃなくて、肘や手先を使って羽ばたくように、空気を掻く(・・)ように動かして下さい。翼もそれに合わせて動きますから」


 言われたように動かしたら、わっ、本当に羽ばたくような感じになったよ! すごいすごい!


「ゆっくりでいいので、あとはそれをひたすら繰り返して下さい。それで、動かしてるあいだは翼が動く感覚と、魔力の流れに集中するんです。回数や速さよりも、どれだけその感覚を掴めるかが重要なので」


 言われて背中に集中してみると、確かに動かし方によって微妙に感覚が違う。

 つまりこれを覚えて自分で動かせるようになれば、その通りに翼が動くようになるわけだから……っ。


 そんなこと考えたらものすごいやる気出てきたよ!!


 はたから見たら地味な練習に見えるけど、やってると全然そんな事無い。動かしてるだけでも楽しい!

 背中に伝わってくる感覚に集中してるだけで、なんだか楽しくなってくる!


「腕を動かしてるだけなので、あまり面白くないかもですけど……」


「全然」


 大丈夫! ずっと続けられるから!


「そうですか? でも休憩はちゃんとして下さいね。やりっぱなしだと、すぐに魔力なくなっちゃいますから」


「わかった」


 返事をしたあとは、ひたすら腕を動かして背中に集中した。

 魔力が無くなっても、回復を待って練習を続けた。

 やりすぎてミーアさんに心配されるまで、ずーっと動かしてた。

 だって、すぐにでも飛べるようになりたくなったんだもん……。


 飛べるようになりたいって、今まではそこまで強く考えたことはなかった。

 でもいざ翼を動かしてみたら、本当に飛びたいって思えるようになった。

 実際に飛んだらどうなるかなんて、まだわからない。

 でも今は飛んでみたいって思う。


 だから練習頑張るよ!





割とどうでもいい話。

14話のタイトル、ドラ○もんの主題歌のワンフレーズを使いたくてたまりませんでした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ