13-2 母のいる日常。
車回です。
後半で仕事シーンがありますが、読まなくてもいい内容なので興味の無い方はスルーでお願いします。
あと車用語が多いですが、話には関係ないのでわからないくても問題ありません。
でもわからない人は読みづらくてごめんなさい……。
今日は土曜日です。
昨日の夜に母が帰ってきましたが、いつも通り仕事をする日です。
実は休みが明けたらすぐ夏休みなので、休みに入ってしまえば仕事に使える時間を増やせます。
でものんびり構えたりなんてしません。
終わらせられる仕事は、前倒ししてでも終わらせます。
なんて気合いを入れていますが、今日は仕事の前に非常に重要な案件を片付けます。
絶対に今でなくてはいけません。何がなんでも最優先で片付けねばなりません。それほどに重要です。
その案件とは、今朝届いたばかりのシャコチョー。
「これは、どういうことですか?」
と、何故か一緒に届いた、同じ車用のスリットローター、前後セット。
その車の持ち主は……言わなくてもわかるかもしれないですね。
「どうしてシャコチョーと一緒に、こんな物が届くんですか? お父さん」
私とスリットローターを挟んで向かい合っている、父です。
お客様用かと一瞬考えましたが、同じ車種に乗ってるお客様の車とは仕様が違うため、取り付けできません。
何より伝票に『シンサマブン』と書いてあるので、間違いありません。
ですが私はそんな物を注文するとは聞いてませんし、私自身もしてません。
つまり、お父さんが勝手に注文した物です。
こないだ許可したシャコチョーに紛れて注文して、私の目を誤魔化そうと。
よって、仕事の前に緊急かつ重要な事を行います。
お説教タイムです。
「いや、どうしてっつーか……」
「とりあえず正座してください」
「ここ床……」
「どうぞ、段ボールです」
「……はい」
これから仕事なのにツナギを汚して、その状態でお客様の車に乗るわけにはいきませんので。
「それで、どういうことですか?」
「それはやっぱ……ちゅ」
「注文したからなのは当たり前ですね。何故注文したんですか?」
「なんつーか、まぁ……つい」
「『ついでにこれも買っときましょうよ!』と部品屋さんに勧められたなんて、前にやった失敗と同じことを繰り返すはずはないですね。なのにどうしてスリットローターまで届くんでしょうね?」
あのときはカーボンボンネットと一緒にタワーバーでしたっけ。開けてもカッコよく見えるからって。しかもボンピンの注文は忘れてたのに。
で、あのときもしっかりお説教になったはずなんですけどね?
「あー……まぁ……」
……目を逸らしたのでこれみたいですね。
大方、『車高下げたら足回りを見られるから、ついでにスリット見えたらカッコイイですよね!』とか言われたんでしょうね……。
人をノせて仕事を取ってくることはありますけど、同じくらいノせられることもあるので……。
「私、シャコチョーは買ってもいいと言いましたけど、スリットローターまで許可しましたっけ?」
「…………」
「私、シャコチョーは買ってもいいと言いましたけど、スリットローターまで許可しましたっけ?」
「……いや」
「ですよね。なのにどうして注文したんですか?」
「それは……ローターが」
「前に車検を通したとき、ローター交換は当分先だなって言ってませんでしたっけ。あれからそんなに走行距離が伸びましたか?」
「……伸びてません」
「そうですよね。最近遠出してませんからね。で、ローターがどうかしましたか?」
「……ゆ」
「ローターが歪むほどハードなブレーキをするとこに行ったんですか? いつ?」
「…………」
「で、本当はどうして注文したんですか?」
「ノせられてつい注文しましたゴメンナサイ!!」
最初っから認めればいいんですよ……そしたらお説教も短くて済むのに。
私の場合は、ですが。
「そうですか。それじゃあ碧の説教は後回しにして、まず私の分から始めますね」
「お願いします。私はお客様に電話してきますので」
「お願いされました」
説教はひとまず母に任せて、私は仕事です。
実は最初から母も隣に居ました。私と一緒になって父を質問攻めにしてたので。どの質問が母だったのかは明言しませんが。
私はお客様に電話する時間なんですよね。この時間じゃないと出てくれないので。
それに、そろそろオイル交換のお客様も来ますし。
「む、紫? 長田さん来たから」
「藤原君、お願いね」
「はい!」
お父さんが対応するはずだった長田さんが来店しましたが、長田さんは藤原さんとも仲が良いので、母の指示で代わりに対応することに。
藤原さん、顔が強ばってますよ。お客様の前に出るまでに直してくださいね。
藤原さんには昨日の続きの作業がありましたが、それは後でお父さんにやってもらいましょう。
説教は事が発覚してすぐにやらなければ、意味がありませんし。
お母さん、あとはお願いしました。
「……疲れた」
お昼ご飯が終わったばかりなのに、早くもぐったりしてるお父さんです。
まだ午後の仕事が残ってるのに。午前の仕事はほぼ座ってるだけみたいなものだったのに。
「夜中帰ってきたら紫が帰ってきてるし、朝起きたら仕事手伝い始めるし、なのにいきなりこんなことに……」
「まだそんなこと言う余裕があるんですね。午後もお説教しましょうか?」
「悪かった本気で反省してる!」
お母さんの笑顔一つで即座に背筋が伸びました。
この調子だと一年くらいは反省してくれそうです。本当に助かりました。
そろそろ紹介します。
私の母。『新 紫』と書いて、『シン ムラサキ』です。
私と同じく読み間違えられやすいそうで、『アライ ユカリ』と呼ばれることが多いんだとか。
新 徹。
新 紫。
新 碧。
この三人が、この家の家族になります。
仕事の都合で、母はほとんど居ませんけど。
でも私は母のことが大好きです。いつも笑顔を浮かべた、私にとっては優しい母です。
……先程のようなことが無ければ、ですが。
母の姓も父と同じ新ですが、父と母は離婚してます。
離婚したのに姓は戻してないんですよね。いろいろありまして。
詳しいことは私も知ってますけど、今は関係ないのでまたいずれ。
それと今までのやり取りでわかったかもしれませんが、私の話し方はお母さんに似ました。
私が面白がって真似してたんですよね。そしたらこうなりました。
会話だけ聞いてると、どっちがどっちかわからなくなると言われたこともありましたっけ。
「今更だがなんでいきなり帰ってきたんだ? いつもなら八月に入ってからだろ」
お母さんが帰ってくるのは基本的に不定期ですが、毎年八月は必ず帰ってきます。お盆前後がいつものパターンです。
一日で帰ることもあれば一週間近く居ることもあったりで、期間についてはバラバラですけど。
「今年は用事があったので、早めに帰ってきたんですよ」
「用事? んじゃ結構長く居るのか?」
「すぐに終われば短くなりますけど、終わらなければ長いです。最長で八月一杯居ます」
長いです。離婚してからこっち、そんな長期間だったことなんて一度もないですよ。
「長いのはいいけどな、仕事大丈夫か?」
驚くのは少しだけで、心配するのは母の仕事のこと。
お母さんは仕事が好きだってこと、お父さんもよくわかってます。
「大丈夫じゃなかったら帰ってきませんし、それに万が一を考えて、ここで仕事をする準備もしてきたから」
ここで仕事?
いろいろと問題があるので難しいって、前に聞いてたんですけど。
お父さんも同じことを疑問に思ったらしく、よくわからないと言った顔をしてます。
対してお母さんは、そんな顔をする私たちを見て笑ってるだけです。
何か隠してそうですね。
「もったいつけてないで早く言えって。気になる」
私より一瞬早く気付いたお父さんがせっつきます。
お母さんのことに関してなら、お父さんには敵いません。
「別にそんな特別な物じゃないですよ。あれを使うだけですから」
あれ、と言いながら指さしたそこには、
「……VRゲーム?」
いつの間にか、私がいつも使ってるのと同じ、VRゲーム機が置いてありました。
「そうです。VR空間に仕事用のデータを揃えてあるので、現実と変わらない感じで仕事ができるんです。基本はお休み扱いなので、毎日仕事するわけじゃないんですけどね」
確かに、ゲームの中は現実世界みたいに行動することができます。
それを現実世界そっくりに作ってしまえば、仕事だってその中でできますよね。
画面越しに国を跨いで会議するなんて、ずっと前から行われてることです。
それが一歩進んだだけと考えれば、特におかしなことではありません。
「なるほどなー。時代は変わったもんだな、昔はディスプレイ越しの会議なんかーとか言ってた気がするんだが」
「むしろそういう人こそVRに興味があるみたいですよ。自分の体をスキャンしておけば、現実と全く変わらない姿で会議できるんですから」
「自分は相手を本物同様として見られるし、向こうからも見てもらえるってワケか。でも食わず嫌いも多いんじゃないか?」
「それはもう。徹みたいな人はどこにでも居ますから」
「相変わらずミラに乗ってる紫に言われたくねぇ」
「仕事中は会社の車なので、プライベートは別です」
「そりゃそうだろうよ……どうした碧、そんな顔して」
「そんな顔って、嬉しそうにしてるだけですけど?」
仲の良いお父さんとお母さんを見てるのは、ただそれだけで嬉しくなる時間なので。
「いやまぁ顔は笑ってるんだが、ただ話してるだけだろーに」
「今年に入ってから初めてですからね。結構久しぶりだったので」
最後にお母さんに会ったのは、去年の十二月。クリスマスを迎える前に帰ってしまいました。
今は七月。短いと二、三ヶ月で帰ってくるんですが、今回は半年以上帰ってこなかったので、本当に久しぶりという気がするんですよね。
だから余計に嬉しいんだと思います。
「そか。まぁそれならいいか」
嬉しいのはお父さんも同じなはずなので、これ以上どうこう言いません。
単身赴任のお母さんが、久しぶりに帰ってきて嬉しい。
ただそれだけです。
本当は単身赴任と言うにはちょっと違いますけど、似たようなものということで。
「それにしても、そんな笑い方して二人並んで座ってると……益々アレだな」
「アレですね」
自分でも薄々思ってましたけど、二人が言うなら間違いないんでしょうね。
悪いことではないと思うのでいいですけど。
「そうそう。ミラで思い出したんですけど、今回はしっかりメンテお願いしますね」
「一通り見るつもりだが、どの辺が気になってんだ?」
「クラッチがちょっと滑ってます。あとリヤコンビに水が溜まってます」
昨日の夜、ゆっくり入ってくるなぁと思ったらクラッチが危なかったんですか。
それとリヤコンビネーションランプ。他にも出てきそうですが、年式が年式ですからね……。
「リヤコンビはともかくクラッチか。部品手配はしてあるんだろ?」
「戻ってくる前にしてあります」
「じゃ他は見てからだな。つーか車自体を変える気はないんだな」
「気に入ってるので」
そう言うお母さんの笑顔は、全く変える気ありませんよと言いたげでもありました。
お父さんも言ってみただけですからね。『それなら仕方ない』の一言で終わりましたし。
私も変えたくないというのはわかります。
お母さんの乗ってるミラTR-XXアバンツァートR4は、結構古い車ですけど良い車だと思うんです。
コンパクトなボディに軽快に回るエンジン。アクセルを踏めばターボが効いて元気に走って、ブレーキを踏めば即座に止まり、ステアリングを切れば素直に回る。
何をやっても思った通りに反応してくれるので、私は大好きです。
欠点を挙げだすとキリがないですけどね。名前が長いとか。
でも完璧な車なんてありません。『気に入ってる』というただそれだけでも、車を選ぶ理由としては十分なものだと思うのです。
「そっちはわかった。そんで話戻すが、帰ってきた“用事”ってなんだよ?」
長期間こっちに居ても、仕事に支障が無いというのはわかりました。
車の整備が必要だということもわかりました。
でも車の整備という理由だけで、長期間こっちに居るなんてことはないはずです。
「今回は碧に用がありまして」
私ですか?
「わざわざ長期間こっちに居るほどの用事って、ものすごく気になるんですけど」
「そこはまぁ、追々ですね」
あ、これ以上は言いませんよーという笑顔ブロックが出ました。
こうなると絶対言わないんですよね……しかも面白がってる顔してますし。
最後には全部教えてくれるのでいいんですけど。悪い結果になったこともありませんし。
それに、勝手に話を進めてるように見えても、私の意思を無視するようなことはしないんですよね。
必ずどこかで私の意思を確認してきますし、私がイヤと言えばすぐに諦めてくれます。
今まだ話してくれないのは、準備も何もできていなくて、うまくいくかどうかわからないから、でしょうし。
私がイヤと言っても事を進めるような場合は、お母さんとしても絶対に譲れない場合だけです。健康に関わることとか、教育上どうしても必要なこととか。
なので、私にできることは若干警戒しつつ、少しだけ覚悟しておくことくらいです。
待っていれば、そのうちきちんと話してくれますから。
……ただ、その。意思を無視するようなことはありませんけど、いいように言いくるめられて、いつの間にかその気にさせられている事はありますけど……。
「こっちのことは気にしないでください。それまではそっちの仕事も手伝いますから」
「助かるが、ほどほどにな……」
仕事を手伝ってもらえて嬉しいはずなのに、早くも疲れたようなお父さん。
その気持ちはよーくわかります。
私もこれから大変なので……。
「何言ってるんですか。八月に入っちゃえば長期休暇で仕事が無くなるんです。今のうちにやるだけやっとかないでどすうるんですか」
お母さんの言う通り、八月は閑散期です。
日本中が長期休暇になる八月は、車は使う時期であって買う時期ではありませんし、修理はそれまでに終わらせておくべきです。
なので、八月は毎年ものすごく仕事が少なくなります。今が詰め込み時です。
「だからって予定詰めすぎだろ……つかどうやったらこんな隙間無く仕事入るんだよ……」
「営業努力です」
土曜日の午前中という、世間はお休み一色の時間帯しか仕事してないはずなのお母さん。なのに微妙に空いていた今日の予定が、いつの間にかビッチリ埋まってました。
そのうえ数日先まで埋まり始めてます。一体どうやったらここまで仕事を取れるんでしょう……。
「碧の午後一番は森川さんとこのアリストね。もう入ってるから」
「はい……」
しかも私の予定までパンパンになってるんです……。
お父さんのお説教してたはずなのに、本当に何をどうしたんですか……。
「営業努力です」
まだ何も言ってません……。
「碧、諦めろ」
「抵抗するつもりはありませんけど、その仕事の取り方を教えて欲しいです」
普段からもっと仕事を入れていれば、極端に忙しくなることもありません。
仕事量の平準化ができてないということです。
「それはやめろ。俺が死ぬ」
「碧にはちょっと早いので、また今度ですね」
残念です。
「さっ、休憩時間も終わりですから戻りましょう」
「おう。碧、わからないことはすぐ聞けよ」
「わかりました」
休憩時間も終わったので、午後の作業の開始です。
工場に戻って、まず留守番してた藤原さんを昼休憩に送り出してから作業に入ります。
午後一番に作業する車は、JZS161 アリスト。
森川さんのアリストはV300のVERTEX EDITION。最上級グレードをワンオーナーで大事にしてる車です。VERTEX EDITIONなのにリアスポイラーを付けていないのは、オーナーのこだわりポイントだそうです。
お母さんのミラ同様こちらも古い車ですが、イチロクのアリストは今見てもカッコイイと思います。四灯のヘッドランプはいつ見ても目にとまります。
直6エンジン特有の気持ちいい回転フィール。踏めば踏んだだけ走ってくれるツインターボのパワー。
飾り気のない落ち着いた内装。けれど運転席に座ると必ず目に入るホワイトメーターが、なんとなくその気にさせてくるのがいいんですよね……。
外装はゆったりしたイチヨンのデザインも嫌いではないですが、内装はイチロクです……。
っといけません。眺めてないで作業に集中です。
走行距離も伸びてない車ですが、今回の症状はエンジン不調。アクセル踏んでもエンジンが回らないときがあるそうです。
原因は着火不良。ガソリンが正常に燃えてないからです。
イチロクのアリストはボンネット後端からエンジンルームに雨漏りすることがあります。その水がプラグホールに溜まって、電気が正常に流れず、スパークプラグが火花を飛ばせず、ガソリンが燃焼しなかった、という具合です。
と、原因が既に判明している通り、症状は“ほぼ”おさまっています。
前に入庫した際に原因は特定済みで、雨漏りの修理は完了しています。
ですが水に浸かったせいでプラグコードがダメになってたので、今回はそれの交換です。ほぼ、と言ったのはその辺がまだだったからです。
では早速作業に入りましょう。次の仕事も待ってますし……。
なんて次から次へと仕事をこなしてるあいだに、あっという間に夜になってました。
疲れました。本当に……。
一日中仕事したのが久しぶりだったからではないですね。仕事の密度が濃かったからですね。
お父さんと藤原さんは、もっと大変そうでしたし……。
でも明日も頑張ってください。明日はもっとハードなので。
「今日の分終わったからシャコチョーとローター組んでいいよな!」
「明日の営業に影響するといけませんので、明日なら許可します」
「っしゃあ!」
キツいですけど、乗り越えたらご褒美が待ってますから。
9/4 9/7誤字修正しました。
仕事が終わったら、今度は自分の車をいじる。
疲れてようが自分の車は別腹です。
それはそうと碧と紫さんみたいなのはお説教というよりただ怒ってるだけみたいなものですね。
自覚有りの再犯だったので容赦なしですが、お説教という意味ではやっちゃ駄目な方法な気がします。
現実でやったらまちがいなく嫌な上司認定……。
以下いつものQ&Aですが、多過ぎるのでご注意ください……。
Q:スリットローターって何?
A:ブレーキローター(ブレーキディスクとも言う)にスリット(溝)が入った物。ブレーキローターはホイール奥に見える銀色の円盤みたいなヤツのこと。タイヤと一緒に回転しているローターを挟み込むようにブレーキパッドを押しつけて、その摩擦で車のスピードを落とすのがディスクブレーキの作動。スリットローターは溝がブレーキパッドに食い込んで摩擦係数が増える(他にも効果があるけど長いので割愛)ので、制動力が強くなる。ただしパッドの摩耗も早くなるので、メンテ費用もかかる。
ちなみに現行GT-Rのようなローターに穴が空いてるタイプは『ドリルド』と呼ぶ。バイクとか自転車のディスクブレーキはこっちが多いですね。
Q:カーボンボンネットって?
A:カーボン製のボンネットのこと。軽い。それと大体のものが冷却用の穴が空いてるので、軽量化だったり冷却効率が上がったりする。ボンネットだけ黒い車はこれの可能性がありますが、中には色を気にせず中古でボンネット買って、塗装代が無いからそのままって人も居るので、実は違ってることもしばしば。
Q:タワーバーって?
A:サスペンション上部取り付け部の左右を連結する部品のこと。車の剛性を高めてくれる。車によっては標準装備の場合もある。ストラットバーとかストラットタワーバーとも言う。これを付けた状態で事故すると、片側だけで収まるはずだったダメージが反対側にも伝わって大変なことになる場合があるので要注意。
Q:ボンピンって?
A:ボンネットピンのこと。カーボンボンネットは軽さを追求しすぎて強度が足りず、走ってる最中の風圧で破損してめくれ上がることがあるので、それを抑えるためのピン。必須ではないですがあったほうが安心。あとそれっぽく見えてカッコイイ(気がする)。
『カーボンって頑丈なんじゃないの?』と思われるかもしれませんが、大体の市販のカーボンボンネットはレースとかに使われるドライカーボンとは別物(いわゆるFRPカーボンとかウェットカーボン)なので、強度とかそういう方向では当てにしないほうがいいです。ペラペラです。
Q:リヤコンビネーションランプって?
A:車の後ろ側で、ブレーキランプとかウィンカーとかバックランプとか、複数のランプが一つのランプに収まってる物のこと。水とかゴミが入らないようにパッキンが付いてますが、経年劣化でダメになると水が浸入してくる。
Q:六月にも閑散期だって言ってなかったっけ?
A:はい、言ってました。基本的に四月が終わると秋まで結構余裕があります。その中でも特に仕事が減るのが六月と八月。ただしお店による。繁忙期の一、二、三月は暇だった分がまとめてくる感じ。そこの辺が忙しいのは大体の業種で同じだと思いますが。
Q:JZS161アリストって何?
A:トヨタのセダン。アリストの二世代目。三世代目以降はレクサスのGSシリーズになった。というか海外では最初からその名前だった(はず)。
パッと見ただの4ドアセダンなのに、グレードによってはエンジンがスープラ(当時のトヨタ最速のスポーツカー)と同じというハイパワーセダン。V300がそのスープラと同じ2JZ-GTEが載ってるグレード。VERTEXになるとリアスポイラー(リアウィング)が付いたりとかする。ただし文中でも書いてある通り、外す人も居る。
全く関係ないですが、PC用語に詳しい人はVERTEXを『バーテックス』と読むかもしれませんが、ここでは『ベルテックス』でお願いします。細かいですが!
全く関係ないついでに、アリストの初期のカタログは中とじではなく、なんとハードカバーだった。もうバブルは終わってた時期だったと思うのに……。
Q:イチロクとか、イチヨンとか、なに?
A:イチヨンが一世代目のアリスト。型式がJZS14~で始まるので。二世代目がJZS16~なのでイチロク。某豆腐屋のマンガでハチロクとかハチゴーとか言ってたのと同じようなものと思ってもらえれば。
決して、『うぽ○て』をパクっているわけではないです。
ちなみにイチヨンはジウジアーロのデザインということで有名でした。誰?て思うかもしれないけど、タイムマシン的な車で有名なデロリアンDMC-12をデザインした人と言えばわかってもらえるかと。
Q:直6って何?
A:直列6気筒エンジンのこと。ガソリンを爆発させる部屋が六個あって、それが直列に並んでるエンジンだと思ってもらえればいいかと。ちなみに軽自動車は大体三個。
国産車ではV型6気筒に取って代わられて、直6は絶滅した(はず。海外だとBMWはまだ作ってた気が)。
気筒数は同じでも回転フィールは本当にV6と直6で違うんですよ……どっちが良いとか好きかとかは置いといて。
Q:スパークプラグは前に聞いたな。プラグホールとかコードって何?
A:プラグコード→スパークプラグに電気を流すコード。
プラグホール→エンジンにスパークプラグを取り付ける穴のこと。
スパークプラグはガソリンに火をつける部品ですが、マッチとかライターみたいな火ではなく、静電気みたいに電気の力で火花を発生させて、それで火を付けてます。なのでそこが水に浸かるとショートして電気が正常に流れなくなるので、火花が出ない→ガソリンが燃えない→不調。となります。
Q:多過ぎるんだが、限度ってものを覚えような?
A:たまにはと思って詰め込み過ぎました。今は反省してます……。




