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12-15 嗚呼すれ違い。

すいません遅くなりました……。


 バトルデイズから出てすぐ、街を歩いてると鳥族の方から話しかけられました。

 ロロさんメグルさん以外では初めて会った鳥族のプレイヤーさんでしたが、残念ながらあまり嬉しくありませんでした。

 その方の背後に十人くらい鳥族が居たので、そんなに一度に来られると私じゃなくても嬉しくないと思います……。


 ですが運良くメグルさんが通りがかってくれて助かりました。

 メグルさんが現れた途端、鳥族の皆さんの勢いが大きく削がれたので。

 影響力のある人だと聞いてはいましたが、実際目にすると凄いですね。なのに普段は気さくでそんな様子は一切感じません。

 自然体、と言えばいいんでしょうか。

 力を出すべき時。そうでない時。どんなときでも変わらないメグルさん。

 私はつい意識してしまいます。身構えてしまうと相手にも警戒させてしまうだけなんですが……まだ、思うようにできません。

 やっぱりメグルさんも凄い人です……。


 鳥族の皆さんが私に話しかけてきた理由は、空の飛び方について。

 状況からなんとなく予想できたので、内心ではああやっぱりという感じでした。


 メグルさんのおかげで余裕を持って話をすることができましたが、実際にトンネルが通れるかどうかはまだわからないので、ホーレックのことを話すのは少しだけ待ってもらうことにしました。

 新しい街のことを話すのは私としては問題ないんですが、さすがに街中で話すのはどうかと思いますし。

 かといってあの人数差でどこかお店に入ってこっそり話す、なんてことになったらいつ出てこられるかわかりません。

 クレーム対応で相手宅に訪問したまま数時間出てこられないなんて話、当たり前のように聞きますからね……うちのお店でも実際にありましたし……。

 これはゲームなので無理矢理ログアウトしたらいいだけなんですが、話が終わってないのにそんな事したら、多分もっと大変な事になってしまいます。

 メグルさんに一緒に居てもらえるならそんな危険も減るかもしれませんけど、でもメグルさんはかなり急いでそうだったのでお願いするわけにもいきません。


 そういった理由もあって三日ほど時間を頂きましたが、本当は可能な限り早く話してしまうつもりです。

 延期した理由の半分は、そんな危険が無いように仕切り直したかっただけなので。


 それにトンネルの状況がわかれば、今後についての予定も検討できるかもしれません。

 崩落箇所をどう工事するか、とか。

 ホーレックの話をしたら鳥族の皆さんは興味を持つと思いますし、そしたら協力してもらえるかもしれませんしね。


 あとはどういう形でお話ししようかなと考えていたら、ありがたいことにメグルさんが間に入ってくれました。

 本当に助かります。このままだと、私一人で全員を相手にしなければならない可能性がありました。

 でもメグルさん、いえ、よろずやという第三者が入ってくれるなら、一方的なことは言いにくいはずです。

 本人に言うつもりはなくても、気が付かないまま、なんてこともあり得ます。第三者が居れば指摘してもらえますので。


 最後はきちんと仕事の形にするために、依頼料の確認。

 セレックさんたちの前では『お金をかけないで』と言われましたけど、『無料で』とは言われませんでしたので、もしかしたらと思って請求書をくださいと言ったらやっぱりでした。

 請求書をお願いしたときのメグルさんは少し驚きつつも嬉しそうな表情だったので、確認して正解だったようです。


 嬉しそうではありましたが、その理由は儲かるから、ではないと思います。儲けが目的だったら料金交渉もしっかりしてくるはずですし。

 それが無かったので、多分大きな負担にならない程度に収めるつもりなんじゃないでしょうか。話の流れで無理に押しつけた形になったから、とか考えて。

 私としては本当に助かる申し出だったので正規料金でもいいんですけど、仕事の取り方としては反則スレスレと言われそうですしね。今回はお言葉に甘えさせていただきます。


 とにかく、今回はメグルさんのおかげで万事丸く収まりました。本当にありがとうございます。


 ――見た目や言動とは裏腹に、頼りになる方ですの。


 しばらくはメグルさんの分のロールケーキも買ってくることにしましょう。


 ――そうするですの。


 そんな事を考えつつ、いつも通り空へ。

 まずはトンネルに行って魔物退治。それからホーレックです。

 本当はホーレックから行くほうが近いんですが……。


 ――街に寄ってエレノアさんに見つかったら、付いてくるに決まってますの。


 私も同意見です。

 というわけで、ルフォートから直接向かうことにしました。




 昨日と同じく、高度を上げて山脈を越えます。

 トンネルの入り口はわかってますので、山脈を越えたらそこに向かって急降下。

 魔物に見つかる前にトンネルの中に隠れてしまいます。

 体の大きいワイバーンはトンネルの中にまで入ってこられませんけど、周囲にはマンティコアも居たので見つかると面倒です。

 今回は無事見つからずトンネルに入れました。


 トンネルは以前入った坑道と同じような作りです。

 木の柱で補強された洞窟が、ひたすら直線に伸びています。

 トンネルに照明は無く、入り口のここからでは奥がどうなっているかサッパリ見えません。

 昨日はマジックランタンを使ってゆっくり進みましたが、今日は暗視機能付きのメガネがあるので早速使ってみます。


 結局買うことにしたのは、私用に作られたというゴーグルタイプと、普通のメガネタイプの二つです。

 ゴーグルは造りがしっかりしてますけど、フレームが厚いので視界が狭くなります。慣れれば気にならないと思うんですけど。

 メガネは……フレームが視界に入りますけど、細いのであまり気になりません。

 今回はメガネにしましょう。


 メガネをかけて暗視機能をオンに。

 それと同時に視界が明るくなり、まるで照明に照らされているようにトンネルがハッキリ見えました。

 ……あれ? 暗視機能って、色まで元に戻るものでしたっけ……?

 確か違いますよね。普通の暗視装置は赤外線カメラを利用してるとかで、色までは再現されなかったはずです。

 魔道具って凄いですね……。

 その分、値段も凄かったですけど。


 値段が凄いのに二つ買ったのは、使用時間に制限があるからです。戦闘が長引いた場合のことも考えて買いました。

 本当は交換用の魔石(フレームの一部をバッテリーみたいに交換できるようになってます)があれば必要ないそうですが、でも戦闘中に交換が必要になったら命取りだと、ロロさんからアドバイスがあったからです。

 魔石だけ交換するより、メガネごと替えたほうが速いということですね。ロロさんも同じ形のアイガードを複数持ってると言ってました。


 そういった理由が有るので、ここからはスピード勝負です。

 急いで魔物を倒してしまいましょう。




 メガネのおかげで見えるようになった、トンネルの奥。

 蜘蛛の巣が壁のように張られ、道が塞がれていました。

 ジャイアントスパイダーは、巣に作られた僅かな隙間から毒液を飛ばして攻撃してきます。

 巣の排除に手間取ってしまうと、攻撃されっぱなしになってしまうというわけです。

 なので私の考えた作戦は、毒液の届かないところから攻撃して巣を破壊してしまうという、シンプルというか当たり前な作戦です。


 私の遠距離攻撃手段は、ウィンドアローとウィンドカッターのみ。

 昨日試してみましたが、ウィンドアローは小さな穴が空くだけ。ウィンドカッターだともう少し大きく切れましたが、巣を一つ排除するには何度も撃つ必要があります。

 ジャイアントスパイダーの毒液は結構遠くまで飛んでくるので、避けながら魔法を使う必要があります。

 一つ排除するだけでも、かなり大変そうでした。


 そこで出番なのが、今日受け取ってきたばかりの新しい武器です。

 まずはいつもの槍をストレージに入れ、取り出しやすいようにショートカットを設定。

 代わりに先ほど受け取った、新しい武器を取り出します。


【手投式近距離多目的無誘導槍・焼夷】


 なんとも長い名前ではありますが、どういう物かは名前だけである程度わかりますね。

 読んで字の如く、投擲専用の槍です。

 長すぎるので皆さん投げ槍とか焼夷槍とか呼んでますけど。

 この槍を遠距離から投擲して、巣と一緒にジャイアントスパイダーを攻撃してしまおうというわけです。


 それでは行きますよっ。


 出した槍を逆手に持ち、トンネル入り口から助走して離陸。

 そのまま一番近い蜘蛛の巣まで一気にスピードを乗せます。

 実は昨日、エレノアさんから効率的な加速の飛び方を聞いたので、今まで以上に加速できるようになりました。

 そのおかげでジャイアントスパイダーの巣にあっという間に接近。

 巣の手前で肩に担ぐように槍を構え、毒液を飛ばしてくるギリギリの地点で、


「流星槍!」


 新しい武器のために修得した、新しいスキルで槍を投擲しました。

 打ち出さたように飛んで行く槍は私の手から離れた瞬間炎に包まれ、目の前の蜘蛛の巣を貫通。

 すぐ後ろに居たジャイアントスパイダーに突き刺さりましたがそれでも槍は止まらず、二つ巣を破ったところで地面に落下。

 それと同時にゴウッ、とトンネル内部を覆うように炎が広がり、ジャイアントスパイダーを纏めて焼き払いました。


 言葉では聞いてましたけど本当に威力が上がってますね。炎がものすごいです。


 ――トンネルの中だから派手に見える、というのを差し引いても、かなり炎が強くなってますの。


 炎が強くなっただけじゃありません。

 握りやすく、投げやすいように設計されたグリップ。

 柄の部分には小さな羽が付いていて、遠くまで安定して届くように作られています。


 一から十まで本当に投擲専用に作られた槍です。

 さすがに高価なだけあって、細かいところまでしっかり作られてます……。


 ――でもこんな使い捨て(・・・・)の槍を使い続けてたら、すぐにお財布空っぽですの。


 金額に見合った威力はあると思いますが、それを出せるかどうかはまた別の話ですしね。


 ――あそこの職人さんも、凄いモノ作りましたの……。


 あんな一言で始まってしまうんですからね……。


 事の起こりは、魔法付与についてテストを繰り返していた頃です。

 その日は破壊試験用の盾を壊して、威力の測定をしていました。

 同じ盾を、条件を僅かに変えながら何度も壊す試験。はっきり言って地味で面白くない光景ですね。

 そんな状況でテストを終えそうになった頃、ふと一人の職人さんが口を開きました。


『……テストとか無視してメチャクチャ加速して攻撃したら、どれくらい威力出んのかな』


 その一言に全員が興味を持ったのは言うまでもありません。もちろん私もです。

 一気に話が盛り上がり、最終的に『急降下しながら槍を思いっきり投げる』という形でやってみようとなりました。


『急降下爆撃みたいな感じでお願いします! 外れてもいいんで!』


 急降下爆撃なんて見たことはないですが、でも言いたいことは何となくわかったので早速試してみることに。

 その結果……。


『冗談で言ったのに、マジ爆撃だった』『爆撃言うなよ。ニーベ○ンヴァ○スティだろ』『試験用の盾とか跡形も残らないわな。うん、知ってた』『これ、槍投げスキル使ったらガチヤバくね?』『急降下できなくても空から投げればいいんだから、空戦技術もいらないよな』『いっそのこと爆撃用の槍を作れば……』『飛べれば誰でも使える高威力兵器……』『鳥族の群れから放たれる、死の雨』『何それ。鳥族コワイ』


『『『でも作りたいよな!!』』』


 そういった経緯で作られることになった、投擲専用の槍。

 私もテストに協力することになり、魔法付与の検証と同時進行で開発が進みました。


 そのために新しく修得したスキルが、槍術・流星槍です。

 そのためとは言いましたが、実はこういう遠距離攻撃スキルを修得しようと思ってたので、丁度良かったというのもあります。


 ブレイズロードで戦ったときから考えてたんです。直接攻撃以外で、もっと威力のある攻撃方法がないかなって。

 ブレイズロードには直接攻撃しづらい魔物が多かったので……。

 なので今回の武器の作成については、私も積極的に開発に参加しました。


 流星槍というスキルは、見た目はただ槍を投げるだけのスキルです。

 でも実は上位のスキルなだけあって、威力はかなりのものです。

 下位スキルの飛槍に比べて槍が飛んで行くスピードも速いですし、直線的な軌道を描くので狙いも付けやすい、とても使いやすいスキルです。

 一応は飛槍も修得しましたけどこっちは若干山なりに飛んでいくので、基本は流星槍を中心に使うことになると思います。


 ちなみに鑑定のスキルを修得したのはこのときです。ついで程度にしか考えてなかったので、あやうく忘れそうになりました……。


 スキルも修得して開発が始まりましたが、早速とばかりに問題が発生。

 槍がすぐ壊れるんです。威力が大きすぎて。

 私の槍は耐久性重視だったので壊れませんでしたが、試作の槍はそれはもうボキボキ壊れました。

 私の槍も壊れはしませんでしたけど耐久値の減り具合は相当なものだったので、いっそのこと耐久性を無視した使い捨てにしようという方向に。

 槍を回収する手間も省けますしね。


 でも、使い捨ての槍なのに高価。

 その理由は今使用した通り、槍一本ずつに攻撃魔道具としての機能があるからです。


 ただ槍を投げるだけなら、極端な話、一番安い槍を投げればいいだけ。

 投擲専用として販売するなら、それに見合った付加価値が必要になります。

 空から地上に向かって投げることを想定してスタートしましたが、残念ながらそれをできるのは現時点では私だけ。ほとんどの人は地上から投げます。

 なので槍に羽を付けて、遠くまで真っ直ぐ届くような形状で作ることに。


 それから何よりも重要視される、武器としての威力。

 焼夷槍のように燃え広がる攻撃魔道具(手榴弾みたいな物らしいです)は今までにもあったそうですが、最近は売れ筋から外れていたんだとか。

 ゲーム発売当時は人気があったけど、今は他の装備が進歩してきたのが一番の理由だと言われました。

 なのでその魔道具をそのまま流用して槍と組み合わせるだけではなく、今まで以上の威力を出せるように改良。

 その結果、投げやすく、威力の大きい武器として生まれ変わることになりました。


 でも値段はかなり高くなってしまいました。

 最初の頃に聞いていた想定金額の倍くらいになってたので、思わず『売れるんですか?』と聞いてしまうくらいに。


『大丈夫よ。大量に買ってく人は居なくても、緊急用の必殺武器として売れるわ。それに今ならエレメントゴーレムの弱点速攻用にも使えるはずだから、そっち方面とかね』


『全員は無理でも、槍を使う人は買っていくと思うよ。高いけど使いやすいから』


『何よりホーレックに行けるようになれば、鳥族が飛ぶのも現実味を帯びてくる。そしたらヒット商品間違いなしよ! トンネル開通に人手が必要ならいつでも言ってね。最優先で協力するから!』


『人手って、どうせ私のことじゃない……喜んで協力するけど』


 そのときはよろしくお願いします……。


 そんな槍に関することを思い出しつつ槍を何度も投げてトンネルを進み、気が付けばもうすぐ南側の出口。

 と言っても崩落してるので行き止まりですし、魔物がもう一匹だけ残ってます。

 何となくですけど今までのジャイアントスパイダーより強そうですね……やっぱり一番奥の魔物は強くなるものなんでしょうか。


 だったら違う槍を使いましょうか。

 槍の名前の最後。わざわざ“焼夷”と付いてることからわかる通り、実は違う効果の槍もありますので。


 ではまず一本目、“冷凍”から。

 先ほどまでと同じく、加速して投擲。

 魔物に命中して、ジャイアントスパイダーを崩落した土砂に縫い付けました。

 やはり今までよりも強いらしく槍を引き抜こうと暴れますが、槍の効果で魔物ごと周囲を氷漬けにし、魔物の動きが止まりました。


 まだ倒れませんね……予想通りですけど。

 それでは次は“炸裂”を……トンネルの中で使ったら大変なことになりますよね。もっと崩落しますよね。

 では最後のコレにしましょう。

 特別製で一本しか用意されてませんでしたが、今この状況にはピッタリのはずです。


 トンネルを戻ってほどほどのところで……いえ、もっと戻って目一杯加速しましょう。

 命中したら間違いなく最強と言われた槍なんです。中途半端に使うより、本気を出したほうが良いに決まってます。

 トンネルをかなり戻って着地。ストレージから特別製の、一回り大きな槍を取り出します。

 槍というか杭のような感じですね……結構重いです。


 そんな大きい槍を持って、今まで以上に強く羽ばたいて加速。

 空気を翼で蹴り出すように羽ばたきを強め、減速が間に合う本当にギリギリまで加速を続け、全身を弓のようにしならせて、“貫通”の槍を投擲しました。


「流星槍ッ!!」


 思いっきり加速したうえで放たれた槍は、一瞬にして魔物に命中。


ドゴォオオオオオオオオオオオンン!!!!


 轟音を響かせながら、崩落した土砂ごと(・・・・・・・・)魔物を吹き飛ばしました。

 あとに残ったのは吹き飛ばし切れなかった土砂と、魔物を封じ込めていた氷の破片。

 そして、太陽の光に照らされる土煙。

 不思議なことに、空が見えるようになりました。


 ……おかしいですね。魔物を倒すだけのつもりだったんですけど。


 ――魔物を貫通したどころか、土砂も貫通してしまっただけですの。その衝撃で土砂が吹き飛んだですの。


 ……私、槍を間違えてなかったですよね。炸裂ではなく貫通を使いましたよね。


 ――そこは間違ってませんでしたの。


 ……防具を貫通してダメージを与えられるようにって聞いてたんですけど。


 ――そう聞きましたが、『パイルバンカー兼バンカーバスターを目指した!』とも聞いたですの。私は知りませんけど、何か物騒な兵器ではないんですの?


 私も知らないです。でもバンカーって聞くとゴルフの砂地のことしか思い浮かばないんですけど、砂地をバスター(破壊)するって考えると……。


 ――土砂を貫通して当然ですの。


 では、太陽の光が差し込んでる気がするのは、暗視装置が壊れたとかではなく……。


 ――私にも見えるですの。


 私、魔物を倒すのと、崩落状況を確認するだけのつもりだったんですけど……。


 ――トンネルも繋げてしまったですの。


 …………えっと。


 ――やり過ぎたですの。


 ……………………。


 ま、まぁいいことですよねっ。

 まだ土砂があるので人一人がギリギリ通れる程度ですけど、あとは土砂をどけるだけですよねっ。

 工事が楽になりましたよねっ。皆さんすぐにでもホーレックに行けますよねっ。


 ――誰に向かって言い訳してるんですの。どうせ誰に話しても『やっぱり』って言うに決まってますの。


 そして微妙な笑顔で見られるんですね……。


 ――開き直って『開通させたので感謝しなさい』くらい言ってやるですの。


 ぐりちゃんお願いします……。


 ――お任せくださいですの。これでもかというほど、お姉様の素晴らしい姿を力説してみせますわっ。


 やっぱりしない方向でお願いします……。


 ――残念ですの。ところで返事しなくてもいいんですの?


「……ィ……ン……たら……じ……」


 さっきから何故かキイさんの声が聞こえる気がしてたんですが、そっちも気のせいじゃないんですね……。


「……ーン、生きてるー?」


 ……このまま黙ってたら、魔物のせいということに出来ないでしょうか。

 私は何もしてません。魔物が暴れてこうなっただけです。

 キイさんと会わずにこのまま引き返して、時間を空けて合流。私が来たときにはこうなってた。そういうことにしましょう。

 そうと決まったら……。


「イオーン。イオンさーん。魔物倒すだけのつもりが土砂も吹き飛ばして、ついついやりすぎちゃって腰の引けちゃったイオンは居ませんかー? 投げ槍の制作中に『一般人はそんなスピードで急降下できないと思うんでもうちょっと加減してもらえませんか。武器の威力が凄いのかイオンさんのスピードが凄いのかわからないんで。このまま動画公開したら性能詐欺って言われそうなんで』って宣伝用動画撮影にあるまじきお願いされたスピード大好き暴走イオンさんは居ませんかー?」


「居ません!」


 な、なんですかそのスピード狂みたいな評価はっ。『思いっきりやってください』って言われたからやっただけです!


「お約束な反応ありがとねー。そっち行くからちょっと待っててー」


 あっ。


 ――お姉様……。



6/15若干表現を修正。話の流れに変更はありません。

6/16誤字脱字修正しました。



というわけで、投げてもらいました。


新武器の種類は焼夷、冷凍、炸裂、貫通の四つです。(今のところは)

新武器の名前については突っ込みどころ多数だと思いますが、どうかソフトにお願いします……。


Q:焼夷だけ浮いてない?

A:火炎(と氷結)は他の魔道具と被ったので、差別化の意味も含めてこっちということにしてます。あと職人が譲らなかったから。



Q:これ、別に槍じゃなくてもよくない?

A:今後別の形状でも販売予定。というか開発中ということで……。



Q:暗視装置って、車についてんの?

A:一部高級車に採用されてます。どのメーカーも白黒に表示にされる(はず)。



Q:お客様宅に行って何時間も帰って来られないこととか、本当にあるの?

A:あります(断言)


唐突ですが、

『銀座○らまる百○店お客様相談室』という本があります。

読むと、動悸、息切れ、頭痛、腹痛、けいれん、トラウマのフラッシュバック等を体験できる、大変素晴らしい作品です。

特に第一話……第一話の訪問が……うっ、頭がっ。



メグルさんの実況の報酬のお菓子は、前回渡した分と今後しばらく届けられる分です。


メグル『イオンさんに定期的に届けてもらえるとかどんな神サービスですか! やたー!』


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