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12-14 嗚呼すれ違い。

いつもとは雰囲気が違います。


 困難な仕事を終え、ついに帰ってきた約束の地。

 懐かしい空気が、この身を包む。


 ああ、私はこの地を、一体どれだけ離れていたのだろうか。

 目に映る光景は、記憶に残るそれと寸分違わずそこにある。

 だというのに違和感を覚えてしうのは、私の心が離れてしまったということなのだろうか。

 最早私は異邦人なのか。この大地を踏むべきではないのか。


 いや、それは違う。

 拒んでいるのは、きっと私自身。


 私は恐れているのだ。

 このまま歩を進め、我が家へと辿り着くことを。

 そして向けられるであろう、言葉という名の刃を。


 拒絶の言葉か、罵倒の言葉か。

 その言葉はいかなる武器よりも深く、私を刺し貫くであろう。

 仮にそれが慰めの言葉であったとしても、私は自らの手で切り刻むだろう。


 だが、私は決して足を止めることはない。


 何故ならここは約束の地。

 私が焦がれ、求め続けた、辿り着きたい場所がある。

 私は、ただひたすらに、今日という日を夢見てきたのだから。


 だから進むのだ。

 例え破滅が待っていようとも。


 だから振り返らないのだ。

 例え世界が壊れようとも。


 私は、帰らなければならないのだから。


 ……不意に、頭の中に安っぽい電子音が聞こえてきた。

 メールの着信を告げる音だが、おかしい。

 この音を鳴らせる者は一人しか居ない。だがその人物が私にメールを送ることは、率直に言ってあり得ない。

 何故なら、彼女は今頃……。


 不審に思いながらも、習慣づいている私の手は無意識のうちに操作を始めていた。

 頭の中では警鐘が鳴り響いているというのに、その手は操られているように止まらなかった。

 待て。やめろ。それを開いてはならない。


 願い空しく、私の指は、そのメールを開いた。




『ムっちゃん:早く帰ってきなさいこの妄想アイドルポンコツリーダー。次の仕事が待ってるっていうかもう時間押し押しバーゲンセールですよ。いつまで油売ってんですか。ついでに火種でも売ってんですか。よければ貴方の大事な抱き枕を送りますから上手に焼いたらいかがですか。イヤならさっさと帰ってきなさい。帰ってきたら目の前で焼いてあげますから』




 うわあああああムっちゃん怒ってるうううううう!!!!


 面倒な緊急依頼が入ってご機嫌斜めだったから余計に怒ってる!!

 で、でも仕方ないじゃないですか! ダンジョンツアーにトラブルはつきものですよ!

 ちょっとしたトラブルで時間が押しちゃうなんて当然ですよ! 客商売なんてそんなもんですよ!

 時間通りに仕事が進むデスクワークとは違うんですよーーーー!!


『ムっちゃん:追伸。先ほどダンジョンツアーに行ったパーティからお礼のメールが入りました。『途中、何の気なしにネタ振りしたら、なんかノリでレアMOBの簡単な倒し方、接近戦バージョンも教えて頂きました。こんなにサービス満点というか過剰な内容なのにこの金額ってはっきり言ってあり得ないですね。次回も必ず利用させて頂きます』だそうです。よかったですね。時間かけた甲斐ありましたね。レアMOBとの戦闘講座なんて別料金なんですけどね。ところでお話しがあるのでさっさと帰って来やがりませんかね』


 ばーーーーーれーーーーーてーーーーーるーーーーー!!!!


 こ、これはマズいですよ……ここ最近静かだったからかなりマズいですよ……っ!

 一つでも選択肢間違えたら絶対死ぬ! 抱き枕が!

 折角依頼の合間にこつこつ素材集めて作ったのに! 大変だったのに!


 ムっちゃんならやる。ガチでやる。

 イロイロあって揉めに揉めた相手クランの皆さんを街の真ん中で土下座させたムっちゃんなら絶対ヤる!!


 うあああああ急げ私ーーー!! 拠点までマッハで帰るんですよーーーーー!!


「あれ、鳥族の皆さんばっかり集まってどーしました珍しいですね。っていうかイオンさんじゃないですかこんにちわーっ」


 メチャクチャ急いでるけど周りにも目を光らせてる私、カコイイ。

 いやだって気になりますって。鳥族ばっかり十人以上集まってれば。

 で近づいたら鳥族の集団vsイオンさんの図ですよ。首を突っ込まずにはいられない!

 私の大事なイオンさんを囲もうって輩はどこのどいつだー!

 ルフォートのど真ん中でそんな事するアホはまず居ないはずなんで、多分平和的な内容だと思いますけど。


 それじゃ鳥族だけの素敵な集い(合コン)へのお誘いですかね。そんな事するなら私も呼んでくださいお願いします!

 私はいつでもどこでも盛り上げ役として大人気な女ですよ! 宴会場には必ず呼べと言われるスゴイ子ですよ!

 呼ばれた合コンで出来上がったカップルを一人眺めながら幹事じゃないのにひっそり会計して帰る空気読める女ですよ!! おかしいなぁ、目から汗が……。


「こんにちはメグルさん。どうしたというか、実はこれから用件を聞くところだったんですけど」


 おっとこれからでしたか。私ってばタイミング良すぎないですか? もしかしてフラグ建築士になれる日も近いんじゃないですか?

 私、貴方の帰りをずっと待ってるから……。って手を合わせて彼の背中を見送っとけば、いつまでも帰ってこない彼を思い続けるヒロインを慰めようと不器用な幼なじみが現れて、そしたらタイミングよく見送った彼が帰ってきて両手にイケメン状態を楽しめること間違いなしですよ! しかもワンミスで監禁またはホルマリン漬けなヤンデレルートで!

 やっぱりフラグ建築士の道は諦めます。


「そーだったんですか、これはお邪魔しました。それでは続きをどうぞセレックさん」


 どうぞーっとフレームアウトしながら前を譲る私。


「メグルさん相変わらず元気ですね……」


「いやぁそれほどでも」


 苦笑いで微妙な褒め方をしたのは、クラン・獣人雑伎団のセレックさん。何度か依頼で顔を合わせたことがあるけど、特に悪い人ではない。

 ひとことで言うとプチイケメンな真面目くんですね。正直者な好青年タイプ。学園系少女漫画で出てきそうな、クラスに必ず一人は居るリーダー的な感じ。ただしヒーローポジではない。

 だから今のこの状況も、悪意をもって用意された場ではないんだと思いますけど……。


「それじゃ気を取り直して……今日は、イオンさんにお願いがあって来たんです」


「どういったことでしょう?」


 軽い笑顔で返事するイオンさん。

 最近わかるようになってきたんですけど、これ思いっきり営業スマイルですねー。しかも普通の初対面の人にする営業スマイルより堅いです。

 まぁいきなりこんな大勢で来られたら、いくら相手が下手に出てても警戒が先に来るのは当たり前ですねー。

 でもって警戒するのは多分正解。


「率直に言います。俺たちに飛行方法のアドバイスをしてもらえませんか」


 やっぱりそれですかーっ、予感的中大当たりーーー!

 そんなこったろーと思いましたよ。いや誰でもわかりますねそうですね。


「イオンさんの飛ぶ姿を見てから、俺はただ飛ぶことだけを考えて頑張ってきました。公開された資料を何度も読み、クランの仲間にも協力してもらって、ありとあらゆる手段を試したつもりです。でも、未だに進展がありません。はっきり言って手詰まりなんです」


 獣人雑伎団は、基本的にプレイヤースキルを磨くことを第一とするクラン。

 他のクランと比べて違うのは、特に種族特性を生かすことに主眼を置いていること。

 こないだの公式イベントで、耳と鼻を生かして動物捕獲ゾーンを速攻クリアしてたのが良い例。

 そこに限れば多分キイさんに近いレベルだと思う。戦闘も含めたら絶対負けますけどね。


 獣人雑伎団は各種族がまんべんなく在籍してて、各種族がそれぞれ技術を磨いてる。

 セレックさんもその一人。獣人雑伎団の鳥族担当。

 基本ひ弱な鳥族をどーにかできないかと、日夜研究に励んでる頑張り屋さんです。

 そんな人だから飛行方法には人一倍興味があるわけで、頑張ってはいたけどどうにも進展がないから、ついにイオンさんにお願いしに来てしまったと。


 進展がないってのはうちに相談に来たから知ってました。何か新情報ないかーって。

 『ねーよタコ。あったら公開してるわ鳥頭。つかうちが欲しいっての。鳥ならネギ背負ってこい』(意訳)ってキーくんが叩き返してましたけどね!


「それは俺だけではありません。今後ろに居るみんなはもちろん、他にも頑張ってる人が居ます。みんな、真剣に空を飛びたいと頑張ってるんです」


 そりゃそうでしょう。鳥族選んでおいて飛びたくないってのは少数派ですってば。

 見た目オンリーで選んでるのはそこそこ居るはずだけど、飛べるなら飛びたいって人が多いでしょうし。

 まぁ飛んでみたら怖すぎて無理だった―とかもあるかもしれませんけど、それは今の時点ではまだわかりませんからね。


「だからどうか、俺たちに指導してもらえませんか。お願いします」


「「「「お願いします!!」」」」


 セレックさんの言葉に合わせて声を上げる、後援会の皆さん。

 言いたいことはわかります。

 わかりますけど、でもそーゆーことなら一人で来ましょうよ。

 後ろにぞろぞろ連れてたらそれだけで圧力ですよ。圧迫面接どころか御礼参りですよ。


 獣人雑伎団にこんなに鳥族居ませんよね。飛べない同志を集めてきたってことですよね。

 本人は心を同じくする仲間のことをわかってもらいたいって言いたいのかもしれませんけど、それと向かい合う側のことも考えてみなさいってば。

 普通の人が一対十で立ち向かうなんてシーン、現実でありますか?

 ゼロとは言いませんけどかなりヤバイシーンですよねそれ。内容にもよりますけど普通にビビりますよ。

 本人たちは『お願いを聞いて欲しい』立場で居るつもりかもしれませんけど、周りから見たら『お願いを聞かせようとしている』風にしか見えませんて。


 セレックさんは悪い人ではないんですけどねー。うん、悪い人ではないはず。

 でも外から見るともうちょっと何とか……って言いたくなる感じ?

 指摘したらすぐにわかってくれて、謝って大人しく退いてくれる人なんだけど……うーん……。

 一人だったらともかく、後援会が居ると言いづらいんですよねー。全員が同じように考えてくれるわけじゃないんで。


 なんかこの構図、か弱き民衆(飛べない鳥族の皆さん)を連れた正義の勇者(セレックさん)に問い詰められる、呪いの解き方を秘匿して逃げ回る悪の魔女(イオンさん)の図ぽいし。


 私が指摘しても自分たちのしてることに気付かない人が居て、それが一人でも『私たち、何か悪いことしましたか?』って言うと、他も同調しちゃう気がする。群集心理って恐ろしいですからねー。

 うーん、どうしようかなー。首突っ込むとまーた叩かれそうだなー。


 って、首突っ込むに決まってるんですけどね!


 叩きたいなら叩くがいいです! イオンさんのほうが大事ですんで!

 お前らに嫌われるのがナンボのもんじゃーい! イオンさんが微笑んでくれれば他には何もいりません!

 いやそれは言いすぎですけど。でも気分はそんな感じ。


 とにかく今この場はセレックさんたちには一旦下がってもらう。それでどっかで仕切り直し。

 今この状況でまともに話せる人なんてそうはいませんってば。だから代理で突っ込みまーす。


 あれ、この状況かっこよくないですか? お姫様を守るナイトっぽくないですか?

 やる気出てきましたよー! 今なら実力行使になっても無双できそうな気分ですよ! ただし気分だけ。

 さーかかってきなさーい!


「飛行方法についてですね。申し訳ありませんが、少し時間をいただけますでしょうか? 数日中に、良いお話しをできるかもしれませんので」


「おわあ」


 ずっこけた。

 あいだに入って口を開こうとした瞬間、予想外なことにイオンさんから言葉が飛んできたんで素でずっこけました。


「メグルさん大丈夫ですか?」


「ちょっとコケただけなんで大丈夫です……ていうかイオンさんこそ大丈夫ですか、そんなこと言って」


 さっきのセリフを反芻してみたけど、要は『指導してもいいけど数日待ってね』ってことですよね。

 どー見ても面倒ごとの前触れってのはわかってそうなのに、なんでそんなこと言ったんですか。


「大丈夫です。と言っても、皆さんが望む形とはちょっと違う形になると思いますけど……でも、悪い話にはならないはずですから」


 自分にとって面倒ごとでしかないはずなのに、平然と言ってのけるイオンさん。

 相変わらず見事な営業スマイルですけど、でも何かしら考えがあるっぽいですね。


「……よくわからないですけど、それは俺たち飛べない鳥族にとって有益な物であると?」


「全ての方に有益かはわかりませんけど、恐らく」


「……数日というのは、どれくらい先ですか」


「正確な目処は立ってないんですが……そうですね、三日以内に詳しい状況をお話しします。早くなることはあっても、遅くなることはありません」


「今聞くことはできないんですか」


「まだ、どうなるかわからないので」


 私にもサッパリわからないですねー。最近顔を見て挨拶するだけのすれ違いが多かったし。

 でもイオンさん自信ありげなんで、ここはそれに乗っておきましょう。

 ダメでも私が守りますからね!


「それでは今日はここまでってことで! イオンさん、話せるようになったら呼んでください最優先で行くんで。セレックさんには私から連絡します。それでいいですよね?」


「それはまぁ、構わないですが……」


 おー疑ってますねー。渋々感がにじみ出てますよー?

 公式イベントのインタビューでも釘射しといたし、私がイオンさんラブでイオンさんの味方だってのは周知の事実だから仕方ないですけどねー。


「だーいじょうぶですってー、セレックさんたちに悪いようにはしませんからー。私だって鳥族ですよ? 私も飛びたいし早く知りたいんですよ! さりげなく延期したり逃げたりしませんって!」


 ほーら怖くないですよー私はセレックさんたちの味方ですよー?

 だから嘘なんかつきませんし不利になるようなこともしませんよー?

 それ以上にイオンさんの味方になりますけどね!


「これはクラン・よろずやへの依頼として、必ず遂行致します! 私が一度受けた依頼を蔑ろにすることはないって、知ってますよね?」


 無理な依頼はそもそも受けませんからね。無理ですゴメンナサイって返してますよ! あと失敗したことは多数ありますけど! でも放置したり無かったことにしたりなんて一度もないんで!


「会談場所は公平を期すためにどっかのお店を貸し切りましょうかね。飲み放題とビュッフェと漫才とイリュージョンショーとビンゴ大会は必須ですね。お疲れの方のためにマッサージを受けられるリラクゼーションスペースも用意してー……」


「そ、そこまでしてもらわなくていいんですが……まぁ、そういうことなら」


 必殺! 過剰過ぎるサービスでドン引きさせて大人しくさせよう作戦!

 こうかはばつぐんだ!

 ちなみにさっき言った一部は本当に実行します。『マジやりやがった。コイツヤベぇ』って記憶を植え付けられますからね!


「メグルさん、依頼料はいくらになりますか? 私のせいでこうなりましたから、もちろん私が出しますので」


 ってイオンさんここでそれ言いますか!

 お金を絡ませると一気にリアルになりますからねー。そこまで徹底しとくと完璧です!


「実はお金をかけないで実行できるスペシャルなアイデアがあるんですよー。というわけでセレックさんに連絡する分くらいはください。何かおやつで」


 でーもお金を発生させるとセレックさんが『いやいや俺が』ってなって、セレックさんにも出させると“お金を払った”ってことで客の立場になっちゃうからお金のかからない方向で話を進めます。

 客の立場になると図に乗る人がいますからねー、お客様は神様だろ、的な。セレックさんはそうでもないですけど、後援会の皆さんは知らないので。


 まぁお金をかけないってのは表向きの話ですけどねー。


 貸し切りまでしといて料金ゼロって、不可能じゃないですけど普通お金かかるに決まってるじゃないですかー。

 イオンさんはいい笑顔で頷いてるから、多分わかってるっぽい?

 お金の話を振ってきたりといい、意図してのことだったらなかなかやりますねぇ。


「それならこのロールケーキをどうぞ。新しく行った……お店で買った物ですけど、ものすごく美味しかったので」


「マジですか! やったー!」


 ロールケーキ! しかも二本! やほほーい!

 つい素で喜んじゃったけど仕方ないよね!

 でも仕上げは忘れませんよ!


「じゃ、三日以内に必ず連絡しますんでー失礼しまーっす」


「私も失礼しますね」


 流れに乗ってイオンさんを引っ張り強制離脱! 相手はポカーンとする! イオンさんがポカーンとしなかったのが残念!

 ていうかさっきも普通に答えてたし、実は私いらなかった気がするー。

 イオンさん営業スマイルも完璧だし、もしかして働いてるのかな? でも学生っぽいセリフも聞いたことあるからバイトかな。


「メグルさん、本当にありがとうございました。おかげで助かりました」


 はうっ! イオンさんの安らぎスマイルきたー!

 やっぱ営業スマイルなんかとはモノが違いますねモノが! わたくし元気ハツラツファイト一発ですよ!


「あとで請求書まわしてくださいね」


 やっぱりわかってた! しかもそのセリフ言い慣れてるっぽい!

 アホと天然は違いますからね! 仕事のできる天然とかポイント高すぎですよ素晴らしい!


「りょーかいです。でも本当にお金をかけないで実行するアイデアがあるんで。ゼロは無理ですけどそこまで高くならないはずなんで安心してくださいねー」


 あと勝手に話大きくしちゃったんで割引きもします。でも無理な部分はキッチリ請求します。ほとんど押し売りっていうか状況から半強制になっちゃったんで気が引けますけど。

 でも仕事にしちゃった以上、お金の面まで『なぁなぁ』にするわけにはいきませんからねー。請求書とか言い慣れてる辺り、イオンさんもその辺わかってるのかもしれないですし。

 いろんな意味で、今後ともよろしくお願いしまーっす。


「それにロールケーキまで貰っちゃって、私のほうこそ得させてもらいましたよー」


 むしろ首突っ込んだだけの私が一人勝ち状態? いぇーい。


「ちなみにどこの新作なんです? 私が見たことないケーキ知ってるってやりますねーイオンさん」


「メグルさんなら先に話してもいいんですけど……すいません、さっきのこともあるので、まだ秘密と言うことで」


 ロールケーキと、鳥族の件が、関係ある? どゆことですか?

 気になりますねー。でも私は我慢のできる子。突っ込みませんよー?


「ではさっきの話をするときに一緒に教えてくださいね!」


「それについては、必ず」


 ならおっけーです!


「それでは私はこっちですので。本当にありがとうございました」


「ありがとうございましたですの」


 グリーンさんにも笑顔でお礼言われるとか、私死んでもいいですか!?


「こっちこそありがとうございましたー!」


 私は我慢のできる子! 鼻血が出そうでも気合いで堪えられる子!

 お二人の笑顔を思い出せば、私はこれからも生きていけます……っ!

 去って行く二人を見ながら、私はこれからの未来に思いを馳せるのだった……。


 おやメールですか。私の幸せな気分をぶっ潰すヤツはどこのどいつですか。物理的に潰して欲しいんですか。


『ムっちゃん:いい度胸してますね♪』


 …………………………………………。


 忘れてたああああああああああああああああ!!!!


 グッバイ私の抱き枕……ぐすん。




(前書きの続き)ただし冒頭に限る。


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