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2-7 VRゲーム、始めます。



 ゆっくりと地面に着地し大きく息を吐きます。

 今度は上手く着地できました。

 熊を倒したことよりもそっちの方が嬉しいです。

 それに結構疲れました。

 加速を繰り返したので翼の辺りに何とも言えない疲れを感じます。

 泉の側でゆっくり休憩しましょう。

 石碑(?)に座ろうと近づいてみれば、どうしてか岩が二つに割れていました。

 熊が暴れている間に割れたんでしょうか?

 そんなことを考えていると、岩の間から小さな光る玉のようなものが出てきました。

 光はそのまま泉の方へ飛んでいき、泉の中心辺りで動きが止まりました。

 何が起こるのかと見ていれば泉から水が湧き上がってきます。

 そのまま光を覆ったかと思うと次第に水の形が変わっていき、気付けば女性の姿がそこにありました。


「封印を解いてくれて、本当にありがとう」


 女性に声をかけられますがよくわかりません。

 封印ってなんでしょう?

 もしかして熊の壊した石碑のことでしょうか。

 だとしたらそれは私ではなく熊にお礼を言うべきなんですが……もう居なかったですね。


「いえ、私は特に何もしてないですから」


 むしろ封印を解いた熊を倒してしまいました。


「それでも貴方が居なければ事態は変わりませんでした」


 それはそうかもしれませんが……。


「僅かではありますが私からの気持ちです。どうぞ受け取ってください」


 女性がこちらに手を向けると、先ほどのような光る玉がこちらに飛んできて、私の目の前で止まりました。

 これはお礼のようなものでしょうか。


「そんなもの貰うようなことはしてないんですが……」


 本当にいいんですかと顔を伺うと、女性は笑顔で頷きました。

 これ以上断るのも失礼なので頂くことにします。

 光る玉に手を触れると、頭の中に短く軽快な音とお金の音が響きました。

 まさかこんなことでお金を貰うとは思わなかったので慌てて女性を見ると、その姿は泉の中へ消えていくところでした。


「私は森の精霊。貴方の行く末に、幸あらんことを祈っております」


 その声だけを残し、完全に消えてしまいました。


《イベント目標の達成を確認しました》


 熊の手柄を横取りしてお金まで頂いた。

 その上イベント目標まで達成してしまいました。

 なんとも悪いことをしてしまった気分です。

 ですが熊がお金を持っててもしょうがないですよね。

 街で買い物なんてできるわけありませんし。

 そうですね。

 過ぎてしまったことは仕方がありません。

 熊には私の心の中でお礼をしておきましょう。

 独りよがりですがしないよりはいいでしょう。


 本当にありがとうございました。ですが次に出てくるときは、もう少し威圧感を抑えてくれると助かります。くま○ンとまでは言いませんが、メ○ン熊ぐらいになってくれると、きっと誤解もされにくくなりますから。


 さて、ひとまずイベントも終わったことですしあとはのんびり休憩しましょう。

 岩は割れて小さくなってしまいましたので地面にそのまま座ります。

 木に囲まれているせいで風はありませんが、泉に冷やされた空気は丁度いい涼しさです。

 きっと森の中だとむせかえるくらいだと思いますが、草や木の匂いもいい具合ですね。

 木漏れ日が泉に揺らめいてとても奇麗です。

 下草も柔らかい感じで悪くありません。

 せっかくなので寝ころびます。

 邪魔にならないよう翼を横に向け、地面に体を預け大きく深呼吸。

 草の柔らかさと森の空気を堪能します。

 ここも気持ちいですねー。

 苦労したから尚更です。

 ついこのまま昼寝してしまいそうです。

 確か寝てしまっても大丈夫ってマリーシャも言ってましたよね。

 でも初日ですしさすがにそれはやめておきましょう。

 そういえば始めてから結構時間たってる気がしますが今何時でしょうか。

 確かメニューに現実時間が……思ったほど経ってないですね。

 落ち込んでる時間が時間を長く感じさせたんでしょう。

 それからマリーシャに報告しておかないと。

 いつまでも心配かけさせてはいけません。

 フレンドリストを開いて……あ、もうゲームからログアウトしてるようですね。

 報告は明日にしましょう。

 もう夜中ですから現実でメール入れるのも悪いですし。

 そうと決まればもうしばらくゆっくりしてそれから帰りましょう。


 ……いえやっぱりすぐ帰りましょう。

 途中の草原で着地の練習です。

 でないと心配性なマリーシャに絶対止められます。

 ここにはまた明日も来ればいいんですから。

 そうと決めればすぐに立ち上がり、飛び立ちます。

 やっぱり空を飛ぶのは最高ですね。

 気の向くままに空を飛んで、飽きるまで観光する。

 考えるだけで楽しくなってきます。

 このゲームを教えてくれたマリーシャには本当に感謝です。


 明日学校で会ったら伝えましょう。

 真里のおかげで、私は夢が叶いました。

 いつも優しく私を引っ張ってくれる真里のおかげです。

 本当にいい友達に出会えました。

 感謝してもしきれません。


「クケェェェッ!」


 そんな感傷を壊すようにまたカラスが現れました。

 少しはマリーシャを見習って空気を読んでほしいものです。

 面倒なので逃げましょう。

 進行方向を塞ぐカラスだけ倒します。

 邪魔にならないならどうでもいいです。

 残りはスピードを上げて振り切り森を抜けました。

 草原に地帯に来たところで、牛の居ないスペースを見つけて着地練習です。


 空を飛ぶことと観光すること。

 そしてマリーシャと一緒に遊ぶこと。

 真里に認めてもらえるように、頑張りましょうか。




連続投稿はここまでです。


当然ですがデスペナは痛くありません。

イオンは、死ぬ→ダメージ食らう→痛いと勘違いしてます。


カラスでさえレベル1で戦うような雑魚じゃありません。

そんなのをイオンが一撃で倒してた理由はそのうち。


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