12-1 嗚呼すれ違い。
大変お待たせしました……。
今回はこちらの方にお願いしました。
初めましての人は居ないと思うけど皆さん初めましてーっ!
イベントの司会進行から情報収集、素材採取、戦闘指南に護衛任務に至るまで何でも可憐にこなす、BLFOの新世代天使系愛されアイドル、クランよろずやのメグルでーっす!
よ・ろ・し・く・ねっ☆
でもですねーアイドルって大変なんですよ?
ライブのメイキングとか見たことあります? もう毎日あんな感じですよー。
汗と涙と鼻水と血反吐吐きながらハー○マン軍曹式の調教を延々こなしていく日々、みたいな。
挫けそうなときは仲間たちとの心温まる励まし合いですよ。
相手を思いやる親切(心折)な行動が、時に重圧となってのし掛かったり。
でもそれを乗り越えて懸命に前に進むその姿っ。
お互いを叱咤し、涙ながらに励まし合うシーンとか見てるこっちだって泣きそうになりますよね。
なんか殺伐としてないかって?
おっかしいなー。ゲームの中でもこんな感じなんで、現実だったらもっと厳しくないですかね?
「ねー、ムっちゃん♪」
「現実逃避が終わったら仕事してください」
「あい」
冷静というか冷たすぎるムっちゃんの声に妄想から現実に引き戻されて、目の前の光景を改めて眺める。
クランよろずやの拠点。
という名の倉庫。
の隅っこを衝立で区切っただけの事務スペース。
しかもただっ広い倉庫に居るのは私とムっちゃんの二人だけ。寂しい。
いや本当はメンバーもっと居るんで。ただ出払ってるだけなんで。
ついでにお金が無くて倉庫なわけじゃないんで。むしろ最近ウッハウハなんで。メッチャ儲かってますんで。
でもこの倉庫に机と椅子置いただけの拠点が落ち着くって、みんな言うんだもん……。
確かに設備は整ってますよ。
自由にお茶を入れたいからキッチン作ろうって言ったら、巨大魔法ポット(提供:バトルデイズ)にお茶とかコーヒーとか野菜ジュースとかが定期的に補充されるドリンクバー(提供:えあーらーく)が設置されたし。ドリンク代は月極契約で。
せめて休憩用のソファーとか仮眠用のベッドが欲しいって言ったら、丸太ベンチとクッションとテントと寝袋(提供:ホームデイズ)が設置されたし。テントは男女別。寝袋とクッションは恐ろしくフカフカ。
でも床はコンクリ打ちっ放し。壁も天井も鉄骨剥き出し。
せめてファンタジーっぽく木造だったらまだ風情もあったのに、『値段は高くてもいいから広くて頑丈に』って言ったらこうなりました。なして?
だからもーちょっと何とかしたいと思ってもおかしくないですよね! ね!
儲かってんだから少しは拠点を改造したいって思ってもおかしくないですよね!?
エスの拠点だって見た目はうちみたいな感じだったけど、中身は凄かったですからね!?
貴重な畳が一杯敷いてあってゴロゴロできるようになってましたよ! 一畳作るだけでも素材がすっごい必要なのに!!
金は天下の回りもの! 使ってナンボですよーーー!!
「いい加減仕事しなさい」
「あい」
私、この依頼が終わったら拠点を改造するんだっ……。
「ってこの質問またですか? 前もわからなかったヤツじゃないですか」
今やってるのは情報収集系の依頼。一言で言えばお悩み相談Q&Aコーナーみたいな感じ。
『○○の魔物の素材が欲しいから情報に従って周辺地域に行ったけど、魔物が見つかりません。どうやったら見つかりますか?』とか。
攻略情報はネットにも出回ってるけど、でも事細かに全ての情報が載ってるわけじゃない。
サイトによってバラつきがあるし、それらを全て見て回ってたらそれこそ日が暮れる。
私たちは専用のデータベースがあるし、アカデミアともやり取りしてるからかなりの情報量がある。えっへん。
多少のお金で解決できるんだったら、うちを使う人もそれなりに居るというわけです。
ちなみにアカデミアに情報だけ聞こうとすると、ものすごーく時間がかかるんです。『教えて君に情報教えるより調査が優先』だそうで。
なのでうちが窓口になってます。
アカデミアは情報独占したいわけじゃないけど、応対するのが面倒。うちはそれを代行で応対してる、というわけです。もちろん情報料は納めておりますのであしからず。
でも今問題にしたのは、多少の情報はあるけどそれ以上サッパリわからなくって行き詰まってる、どうしようもない系の質問。
「全くわからないものと時間がかかるものは除外しておいたはずですが……ああ、海の精霊の捜索ですか。わかりませんでそのまま返信しておいてください」
「ヒントはあるんだけどさっぱり見つからないですからねー。しかも怪しげな洞窟まであるから探したくなるのはわかるけど」
パリカルス周辺に居るらしい、海の精霊の居場所についての質問。
街では海の精霊が居るって話が聞けるから、誰でも存在だけはすぐに知ることができる。
しかも湾の出口にある岬のとこに洞窟があって、その中にちょっと壊れてるけど祭壇っぽいのがあるから、もう間違いないでしょとなる。
でも、海の精霊とは会えない。
場所が違うのか? 条件があるのか? 専用のアイテムが必要なのか?
興味を引いてやまないというわけですねー。
「仮に会えたとしても何が起きるかわからないですからね。うちがサッパリわかりませんと言えば、すぐに興味を失ってくれるのが幸いです」
「興味は引くけど、そのあとの情報が無いですからねー」
海の精霊が居る、という情報はあっても、会ってどうなるかなんて情報はキレイサッパリ無いのです。
当初は森の精霊みたいにイベントボスが期待されてたけど、洞窟行ってもイベント起きないから『あんれー?』となった。
街の住人も『海には精霊が居る』と言うだけで、祈りを捧げたいから連れてってくれとか、捧げ物を持って行ってくれとか、そんなクエストもサブクエも全く無い。
そもそも森の精霊にだってそんなクエスト無かったですからね。あそこはイベントボスだけだったんで。
海の精霊関係のクエストが無くても、不思議じゃないってもんです。
なので、会ってどうなるかはサッパリ不明。
気になるから会ってみたいけど、会ってもメリットがあるかわからないから、情報が無いならすぐ諦めてくれる。
こういう質問は楽でいいですよねー。
「うちもアカデミアもサッパリわからないんで当面諦めてね。ていうかうちが知りたいから情報くれたらお小遣いあげるよ……っと。はい一件終わりー」
もちろんオブラートと生クリームとカスタードクリームとシュー生地に包んで書きました。シュークリームはダブルクリームが正義!
でも手元に無いので買い置きのボテチをパリポリ。塩っぱいです……誰か私にスウィート・タイム(物理)を……。
「ではあと二十件ほどお願いします」
「う゛ぇっ」
一枚口に含んだ瞬間にものすっごい増えたんですけど!
「あのー、ムっちゃん? 私そろそろ次の依頼が……」
しかもパリカルスで。
「約束の時間まであと三十分もあります」
「いやいや三十分しかないですから!」
今ここルフォートだし。しかも街外れの倉庫街だし。
なのでそろそろ行かないとマズいんですけど……。
「一件当たり一分で終わらせれば間に合います。なので喋るより手を動かしてください」
「それオーバーする思うんですけど!」
言われる前から動かしてるけど!
ていうかそれ十分しか余裕ないし! こっから結界石まで結構距離あるし!
「うちのリーダーの足なら結界石まで八分で行けます。合流はパリカルスの結界石前なので二分余裕があります」
「何でそんな事把握してるんですかねうちのサブリーダーは!」
「敬愛するリーダーのことを、私が知らないわけないじゃないですか」
「そういうセリフは頬を染めながら私のほうを見て恥ずかしげに言って欲しいなー」
メニュー画面から一切視線を逸らさずにに言われましても。
萌えが足りませんよ萌えが。
「そういう依頼は窓口を通して申し込んでください。見積もりして返信しますので」
「まさかの有料!? 社割りは効きますかね!」
「社割りの利用は月一回まででお願いします」
「微妙にリアル!」
「ところでメグル、元気になれる素敵なお知らせが」
「なんですか!」
この乾ききった私の心を一瞬で潤す魔法の言葉を早くプリーズ!
「ダンジョンご案内ツアーの予約が二件追加になりました。よかったですね、これで当分は遊びに行けますよ」
「おかしいなー。ブレイズロードは遊びに行くようなとこじゃないと思うんだけどなー」
割と命のやり取りしに行く場所のハズなんだけどなー。
「ゲイル山もありますから、大丈夫です」
「大丈夫じゃないーーー!!」
どっちも大変だから! ていうか私の戦闘スタイル的に山のほうが疲れるから!
「あ、もう一件増えました」
「私以外が行ってもいいと思うんですけど!」
「既に予約で一杯です」
「私は空いてるの!?」
いつも私の予定から埋まっていくんですけど、それはどうしてなんでしょうか!!
「押し込みました」
「押し込むなー!」
「だってメグル、この時間で終わらせてって言ったら本当に終わらせるんですから、予定が立てやすくて助かります。他の人がテト○スだったら、メグルだけぷよ○よみたいに予定が組めますよ」
予定表を落ちゲー扱いしないで!!
「デキる女には優雅に過ごす時間があってもいいと思うんですけど!」
「第一線のアイドルには休んでる暇なんてありませんよ」
「その線って戦場最前線のことですよね! そうですよね!」
「よくわかりましたね。さすがデキる女です」
「戦場のアイドルなんていやぁぁぁぁぁ!!」
それ、『帰ってきたら結婚するんだっ!』と『私に惚れた男は必ず死ぬのよ……』のフラグですよねー!!
「ついでに、ダンジョンの帰りにパリカルス南西の森でカエルの素材取ってきてください」
「ついでにしちゃ遠くないですかね!!」
「あとドーナツが切れたので買ってきてください」
「私一個も食べてないのにーーーーー!!」
「それと私、明後日リアルで用事が」
「ひぃぃぃぃぃぃ!!」
「冗談です」
「殴っていいですかね! ね! ね!」
ムっちゃんなんてキライだー!
「言い忘れてましたが、メグルが愛してやまないフラワービーの蜜をダースで買っておきましたので。帰ってきたら差し上げます」
「ムっちゃん愛してます!」
「ちょろすぎです」
チョロイン結構! 欲望の前では誰もが素直になるのです!!
全力で依頼を片付けますよー!!
田植えという苦行が終わったので更新!
でも後半の修正が終わってない見切り発車なので途中から一日置きになったりするかもです……。
ジャンル改定に合わせて、ジャンルの変更を行いました。
感想覧で教えてくださった方、ありがとうございます。
この件について細かい突っ込みはご遠慮下さいますようお願いします!一応ネタバレなので!
それでは、今話もお楽しみ下さい。
Q:おい、どこ行くんだ?
A:どこって、今まで我慢してたアン○ャーテ○ド4を買いに……。
Q:続きは?
A:今買ったらヤバイと思って発売日に買わずに我慢したんだから少しくらいいいでしょ!
Q:後半の修正と次話は?
A:……ぼちぼち。
Q:ふーん?
A:すぐかかります……。
Q:そう言いながらコントローラー持ってるのは何だよ?
A:いや、アン○ャがダメならドラ○エ無双2を……。
Q:ほほー?
A:嘘ですゴメンナサイ……。