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11-18 新ダンジョンに行ってきます。【幕間2】

二本同時にアップしております。

両方でワンセットになっていますので、できれば両方とも読んで頂けると幸いです。

(前書きは同一ですが、後書きは異なります)



「っしゃいませえーっ!」


「思ったより早かったな」


「ウォーレンのやる気が余ってたから押しつけてきたんだ。生中と枝豆と冷や奴」


「よろこんでー!」


「じゃとりあえず乾杯」


「お疲れさん」


「一応聞いとくが契約は上手くいったんだよな」


「早速連射してたぞ。生中とししゃも」


「よろこんでー!」


「で、的にされたわけか」


「俺は見逃してもらえた。奇跡的に」


「本当に奇跡だなおい。何をどうした」


「今回の精霊はキツネだったから骨付き肉あげたんだが、どうも好物だったらしい」


「餌付けしたのか……ところで人型じゃなくキツネなのか?」


「その辺はメグルが纏めてアップするはずだからそっちに聞いてくれ」


「ならそうする。だが人型以外もいけるとなると、ただマスコットとしても連れ歩くやつが増えそうだな」


「それはそれでいいんじゃないか? 物理職はメリット薄いが」


「イオンさんみたいな魔法戦士タイプじゃないとな。そういう職種は二周必須になるのか」


「精霊でブーストして魔法付与でさらに威力上げてか。燃費悪いから使いどころ難しいだろうな」


「だがイオンさんがそんな威力の攻撃できるようなったら恐ろしいことになるな。是非やってほしい」


「それは俺も思った。混み始める前に、ゲイル山も二周目行っとくか」


「それにしてもあの戦闘は凄かったな。ただ飛べるってだけじゃああも飛び回ることは無理だろ。絶対に」


「あのロケットパンチに突っ込んでくとかな。俺からしても正気かって思うぞ」


「度胸があるのか無謀なのか……。何にしてもあの飛行能力は間違いなくプレイヤースキルがずば抜けてるからだな。二人目以降の飛行成功者は比較されるぞ、絶対」


「ロロとかメグルが成功してくれればいいんだけどな。イオンほど飛べなかったとしても、あの二人なら違う方向で生かせるだろ。生中」


「ロロさんは間違いないな。狙撃ポイントを三次元に移動して変更できるスナイパーとか怖すぎる。そこにサプレッサー付きの狙撃銃持たせたらどうなるやら。生中」


「よろこんでー!」


「速く飛ぶことよりも静かで見つからずに飛ぶ方法を追求しそうだな。マジ怖え」


「メグルもな、あれだけ騒いでたのに結局最後までお前と二人で真っ正面で戦ってたな。本気になるとあそこまで戦えるとは思わなかった」


「滅茶苦茶速いんだよなあいつ。あんな短いダガーで戦ったのに接触ダメージもかなり小さそうだった」


「イオンさん、地上でも踏み込み加速のために翼を使ってたよな。メグルにはあんな感じで地上戦で翼を生かす戦い方を編み出して欲しいもんだ」


「こうして聞くと鳥族のポテンシャル高いな。そこまでの難易度が高すぎだが。クラスチェンジで大化けする二次職みたいだな。あさりバター」


「レベルだけでどうにかなるもんじゃないって事が難点だけどな。ポテトフライ」


「よろこんでー!」


「……それはそうと一応聞いておくんだが」


「アイツのことか?」


「ああ。そっちじゃ入るのに簡単な面接があるんだろ? 何であんなの入れたんだ?」


「うちは攻略優先だが、最速攻略を目指してるわけじゃないからな。ああいうガチ勢を入れてみるのも刺激になるかと思ったんだ。今のところは良い方向に向かってる」


「アレでか?」


「おお。最速攻略をしたいって考えてる連中があいつの隊に集まってるからな。そういうのを連れて独立するって言い出すのも時間の問題だ」


「あー……要はアク抜き……のために加入させたのか? けどそのままクランを乗っ取られでもしたらどうするんだよ」


「クラン内の権限は各隊の隊長に分散して持たせてるからな。リーダーが変わっただけじゃ、クランを好きに動かすことはできない。権限を持ってる全員を抱き込むなら話は別だが、あいつほとんどの隊長から嫌われてるからな。クランを乗っ取るよりも新しく作ったほうが楽だ」


「そんなことしてたのかよ……」


「まぁそれだけが目的で業務分担を進めたわけじゃないんだがな。ついでにあいつのことだから自分だけの城を欲しがるだろうしな、まず間違いなく独立だろ」


「そこはわかる。それで今日の攻略に参加させたのはどうしてだ? ほとんど役に立ってなかったってのに」


「増長させるのに丁度良かったんだよ。攻略に加われないはずの隊を攻略に参加させることで、『自分の言葉は団長にも無視できない、自分は力のある存在だ』とか考えるだろうからな。そのきっかけ用に封印解除の功績を用意してやったんだよ。最初に封印解除を任せた隊長にはすんなり譲るよう言っといてな」


「調子に乗せてさっさと出て行ってもらうために参加させたのか……」


「でなきゃ基本後ろから眺めててトドメだけかっさらっていくような戦い方のやつを、新ダンジョンの攻略に連れて行くわけないだろ。あれで活躍してるって思ってるのは、本人とあの隊の連中だけだぞ」


「一撃でトドメを刺すってのはカッコよく見えるからなぁ。でもいいのか? 独立なんかさせて」


「ああ問題ない。最近じゃもっともらしい素材採取とレベリングばっかさせてたから、抜けたところで大した影響はない。抜けたあとの穴埋めも準備し始めてるからいつ抜けられても大丈夫だ」


「準備よすぎだろ……」


「何より、居なくなってくれたほうが助かるんだ」


「そうなのか?」


「さっきも言ったが、うちは最速攻略を目指してるわけじゃない。いつの間にか最前線をトップで突っ走るクランってイメージになってるが、元を正せば安全確実に一歩ずつ進むためって事で組織化したのが始まりだ。というか今もそうだからクランに入るやつには必ず説明してるんだが、どうも誤解したままのやつが多いんだ」


「実際トップを走ってるから仕方ないよな」


「まぁな。で、エスの事を疑ってたのもそういうやつが多いんだが、こいつらが行動するよりも声を上げるだけってタイプが多くてな。鬱陶しくなったからアイツに纏めて連れてってもらおうってわけだ」


「身も蓋もないな……」


「クランの運営は最大限努力するつもりだが、さすがに個人の価値観とかメンタル的なことまでは面倒見切れん。リアルでも大変なのに、ゲームでできるか」


「相手だって嫌がるだろ、そこまで干渉するなって」


「俺だって嫌だ。だがこのままうちに留まらせたって不満が溜まるばかりだろ。お互いのためにならんし、だったら穏便に出て行ってもらうだけだ。アイツも引き抜くつもりでこそこそ動いてるから、丁度いいのさ」


「でかいクランは大変だな……」


「やりがいはあるが、お前には向かないな。生中」


「よろこんでー!」


「絶対やりたくねぇ」


「それはそうと俺も聞きたいんだが」


「なんだ?」


「過去にどんな誤解を招いたんだ? プルスト大先生は」


「……冷酒」


「よろこんでー!」


「まぁ傷を抉るのは勘弁してやるシスコン」


「…………」


「悪かった。代わりに面白い話してやるから」


「傷を抉られた俺を癒やせるほど面白いのか……?」


「そこまでの効果はないな」


「そうかい。でどんな話なんだよ」


「このゲームは、実は本物の異世界なんだそうだ」


「……もう酔ったのか。疲れてるんだな」


「俺じゃなくて、そう言ってるやつがな。きゅうり一本漬け」


「本当にそんなアホなこと言ってるやつが居るのか? 炙り明太子」


「よろこんでー!」


「ウワサレベルだから、特定の誰かって訳じゃないけどな」


「そんなのどのVRゲームにもついてまわる、ただの都市伝説だろ……」


「BLFOは他に比べて圧倒的にクォリティが高いからな、余計に言われるんだろ」


「質がいいのは俺も思ったけどな、『他のゲームよりクォリティが高すぎる。ゲームとして作ることが不可能だから本物の異世界だ』ってことか? でも最新のゲームでもそうなのか? 最近出たのはやってないんだが」


「先週出た登山のやつをやったんだけどな、全然だった」


「そうなのか」


「空気感とかそういうのが全然違う。あとはNPCだな。やっぱりテンプレな台詞回しが多いんだよ」


「このゲームで一番驚いたのはそこだよな。新開発の感情エンジンだったか? 新開発にもほどがあるだろって思ったぞ」


「中の人が居るって言われても驚かないレベルだ」


「でもそんなエンジンを作るのが不可能って証拠も無いしな」


「無いな。ちょっと前に見た人工知能デモは本当に自然な受け答えしてたし、人工知能が『人類を滅亡させる』なんて冗談を言ったのも相当前の話だしな。ゲームのエンジンだからお粗末なものしか作れないとは言えない。あとVR初期に出たコミュニケーション系の恋愛ゲームがあっただろ。学習エンジンが優秀で、今じゃかなり自然な反応らしいぞ」


「そういう方面で優秀なのはさすが日本だ……」


「ついでにさっき言った登山ゲーだって、グラフィックだけならBLFOに負けてなかった。本物の登山家に言わせると『綺麗すぎる』らしいが」


「リアル志向のゲームはそういう方面で突っ込みが入るか……。でもそれなら他の部分だって追いつかれるのは時間の問題だろ。あまりに本物っぽいから異世界だって言いくなるのもわからんでもないけどな……」


「本当に違うと思うか?」


「肯定する理由が少なすぎるだろ。大体そんなこと言ってるやつらは何を根拠にそんなこと言ってんだ」


「いくつかあるが、大きいのは魔力操作と種族特性だな。どっちもシステムとして曖昧すぎるから個人ごとの差が大きすぎる。『システムに落としきれなかった証拠』だそうだ。生中」


「でも両方とも練習して出来るようになったヤツはいるしなぁ。例えば泳ぐ練習して一人はすぐに泳げるようになって、一人はしばらく練習したら泳げるようになって、もう一人はどれだけ練習しても泳げなかったとか、そういうことじゃないのか? 冷酒とかつお塩タタキ」


「よろこんでー!」


「水泳と一緒にしていいのかわからんが……まぁそういうのはあるしな。練習しても料理が下手な人とか車の駐車が下手な人とか。ただこの場合はゲームのシステムなんだから、誰でも利用できないとおかしいだろっていう観点からの突っ込みだろうな」


「バルガスに言わせると、『昔は表示されてない数値や隠された設定をどこまで正確に把握できるかが攻略の鍵になるものでした』だと。それを知ってるかどうかで進め方が全然違って難易度激変とか」


「全ての人間が全ての機能を使えるわけじゃないって事だな。最近のゲームは全ての情報が開示されるのが当たり前だからなぁ。BLFOは昔に戻った……じゃないな。能力は練習して初めて使えるようになる技能だって考えれば、現実に即したゲームと言えるかもな」


「ゲームの中で現実って言うと違和感があるが、ここは仮想現実の世界なわけだし、不親切だろうがそういうのがあってもいいだろ」


「俺もそう思う。あと最近じゃ練習で魔力操作できるようになったヤツも増えてきてるみたいだしな、このまま行けばそう特別なことじゃなくなるはずだ」


「そりゃいいことだ。それで、いくつかあるって言ったが他にもあるのか?」


「シナリオ進行だな。サブクエからいきなり重要情報が判明したりとかするだろ。『フラグ管理がずさんなのは、本物の世界だから人の心までは制御できないからだ』ってさ」


「今日だってサブクエかのおかげで祭壇が判明したばっかりだしな。でもこのゲームにシナリオとかあったか? クエスト中ならともかく、それ以外じゃ全部フリー進行だろ」


「お前の言う通りなんだよな。クエスト中なら話を聞かないと先に進めないとかあるが、それ以外じゃそんなシーンに遭遇したことはない。サブクエは一回で消えてしまうのがほとんどだから、フラグかどうかの確認もできないしな、クエスト以外じゃフラグ管理なんてしてない可能性すらある」


「むしろその可能性が高いだろ」


「ああ。そもそも“サブクエスト”なんて呼び方はプレイヤーが勝手に付けた呼び方だ。初心者の館でもそんな言葉は出てこないしな。クエストと混同して、フラグがあると考えること自体が間違ってる」


「それって自由度が高いだけじゃないか? フラグがないんだからどんな進め方でも先に進めるんだし、仮にフラグがあったとしても、フラグを立てるのに努力するか、それともフラグを無視して自力で探した場合でも到達できるように作られてるってことだろ」


「そうなるな」


「それ、良く作り込まれたゲームっていうことになるんじゃないか……?」


「そうなるな」


「逆に、何回でも受けられるクエストとか、ゲームの世界じゃないと不可能だろっていうことには『魔法の力でどうとでもなる』とか言うのか」


「そうなるだろうな」


「……なぁ、本当にそんなこと信じてるやつ、いるのか……?」


「ゼロじゃないだろうが、ほとんどは『だったらいいな』レベルだろ」


「信じたやつ大丈夫か……いろいろと……」


「まぁそう言うなよ。夢の世界に来てるんだから、夢を信じたっていいだろ」


「それもそうだな。ここに居る時点で、俺も似たようなもんか……」


「そういうことだ」


「でもそれを信じたやつが居たとして、本物の異世界だからってどうするんだよ。別にメリットも何も無いだろ」


「異世界に行きたいってのは、それだけで憧れるからなぁ」


「今こうやって異世界に来てるだろ、そいつらに言わせれば」


「永住する方法を探すとか」


「街の外は魔物だらけの世界に永住したいのか……」


「この世界が仮に本物だとしたら、NPCも生身の人ということになる。だからこの世界に永住するって事はNPCと同じ扱いになるって気がするんだが、死んだNPCは二度と復活しないしな。ゲームだから戦って死んでも結界石に戻されるだけだが、永住となったらそういうわけにもいかないだろうに」


「NPC、死んだら復活しないのか? 街中で暴力振るおうとするとシステムで止められるってのは知ってるんだが」


「ダンジョンで冒険者NPCと会ったヤツの話なんだがな、助ける間もなくやられたNPCが居たそうだが、街に戻っても復活してないし他のNPCに聞いても死んだとしか言わないそうだ」


「マジかよ……」


「街の中で生活するだけなら安全だろうが、街の外はそのまま戦場だからな。異世界に行ってみたいってだけならわかるが、永住まではしたくないな」


「同感だ」


「あとはそうだな……いかにも定番だが、今のところ街以上の統治機構が無いのをいいことに、自分が国を作って統治するとか」


「政治家……じゃなくて王様になりたいのか。ここが本物の異世界とかは置いといて、それを本気で考えたやつは間違いなくアレだな」


「ああ、間違いない」


「「どうしようもない大馬鹿だ」」



4/11誤字修正しました。


ランドルフさんの次回の活躍に(ほどほどに)ご期待ください。

というわけでランドルフを放置してる件の説明回でした。


一応補足しておくと、どっちの方向に進もうか悩んでいるので反応を見て決める、とかではないので念のため。

バレバレだと思いますが……。


それと私は泳げないほうです。全く。



Q:人類滅亡させるって人工知能が言ったのって、アレ本当に冗談だったの?

A:質問者が冗談交じりに聞いた質問(のはず)に対する返答なので、この場では冗談ということにしてます。表情真顔だったけど……。ネタを知らない人は人工知能とか滅亡とかでググると出てくるのでそちらをどうぞ。ターミ○ーター怖い……。


次話はGWが終わる前に投稿できるといいなぁ……(希望的観測)


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