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11-17 新ダンジョンに行ってきます。【幕間】

二本同時にアップしております。

両方でワンセットになっていますので、できれば両方とも読んで頂けると幸いです。

(前書きは同一ですが、後書きは異なります)



 やれやれ、ようやく今日のお守り(隊長)役が終わったか。


 この私にそんな事をさせるなど、失礼極まりないというに。


 まぁだが仕方ない。


 ここ(ナイツ)には入って日も浅い。人心の掌握は下から進めていくべきだからな。


 グズ(団員)どものお守りも必要なことだ。


 あいつら私の指揮のおかげで戦えてるというのに、少し褒めればすぐに自分の力と勘違いする。


 全く度し難い馬鹿どもだ。


 扱いが楽でいいがな。


 それにしても、我ながら見事な策略で攻略に参加できたものだ。


 私の隊はナイツオブラウンド全体から見ると最上位の隊というわけではないが、平均レベルが低いからこそ、ただ調べるだけなら私の隊でも出来るからな。


 そう言えば喜んで替わってくれたな、あのバカな隊長は。


 一度目の攻略に無理矢理首を突っ込まず、二回目以降であれば封印を解いた功を盾にして攻略に参加できるというに。


 甘い団長は、そんな小さいことでも必ず考慮する。


 しかもクラン加入後、最速で隊長になったこの私の言葉だ。


 無視できるわけがない。


 私の実力も考えれば、当然のことだがな。


 くくっ、傑作だったな。本当に参加できると知ったときの、グズどもの驚きといったら。


 私の力を信じていなかった証拠だが、まぁそれはいい。グズなのだから仕方ないことだ。


 だが今回の戦闘で思う存分私の活躍を見せてやったからな。


 これでもう、私の言葉を疑うことはないだろう。


 今日のことで一層クランの掌握が進んだな。


 この調子なら、新クランの立ち上げを急いでもいいかもしれん。


 さすがにナイツオブラウンドのメンバーはレベルの高い者が多い。


 だが隊長クラスが特別強いかというとそうでもない。通常のメンバーに毛が生えた程度の者ばかりだ。


 特に(おつむ)がな。


 使えない癖にプライドだけ高い者など必要ない。


 最初は乗っ取ることも考慮していたが、これなら独立したほうがいい。


 既にそれなりの人数が我が元に集っているからな。前倒ししても問題なかろう。


 大勢のメンバーを引き連れての、新クラン立ち上げ。


 そして慌てふためくナイツオブラウンドのゴミども。


 くくっ、その無様な光景が目に浮かぶようだな。


 もちろん、隊長サマも移籍を希望するなら考慮しなくもない。


 考慮するだけは、な。


 だが団長サマはご遠慮願おう。


 変に頭が回る者は必要ない。余計なことまで考えるだけだからな。


 今日の攻略も、無駄なことに頭を使いおって。


 前回の攻略からさほど時間を空けずに再挑戦することは、まぁいい。


 だが二回目の攻略にエスを連れて行くというのは意表を突かれた。


 どうしてそんな無駄なことをするのか、とな。


 だが私には好都合だった。


 初めからレイド前提なら、突然私が増えることにも抵抗が少ない。


 そのうえ隙を突いてエスを妨害する、いい機会だった。


 攻略を失敗させることでその弱さをグズどもに見せつければ、エスのくだらん噂も消えて無くなるからな。


 だがよろずやまで呼んでいるとは思わなかった。


 呼んでいたのがアカデミアの者なら事故を装って殺せたのだが、よろずやはそうもいかん。


 あの女、ああ見えてなかなかの強さだからな。


 まぁそれはいい。


 団長が居る以上、そう簡単に手を出せるとも思っていなかった。


 むしろよろずやのおかげで攻略情報を作成する手間も省けたというものだ。


 結局妨害はできなかったが、後ろから付いていくだけで経験値を稼げたのだから良しとしよう。


 脳筋(ウォーレン)遊び人(エス)どもも、戦ってばかりで全くご苦労なことだ。


 おかげで私の計画は大きく前進した。


 そのことには礼を言わせてもらうとしよう。


 ……だが。


 あれは一体どういうことだッ!!


 入り口の封印はまぁいい。総当たりをすれば誰にだって解ける封印だ。今回は偶然が起こっただけだ。


 だがあの戦闘は何だ!!


 どいつもこいつも一瞬で適応しおって、あいつら本当に初見でチートもしてないのか!?


 中盤から出てきたラーバオクトパスなど、初見でも簡単に切り捨てていた。


 あいつの全身を使った張り付きによる接触ダメージは相当キツいというに、あれだけ近寄っても全員一度も張り付かせなかった。


 ボスなど、ああも容易く倒しおって……っ!


 確かにエスの戦う姿は動画で見ることができる。


 だが動画の数は決して多くない。


 つまり、あの動画は偶然撮影できたスーパープレイをアップしているに過ぎないはずだった。


 そのはずだったというのに……っ!


 くそが! あのような者どもが何故あんなにも強いのだ!


 チートしていないとなるとそんなにも高レベルなのか? いやあいつらが我らほどレベリングしていないのは間違いないはずだ。


 となればどれだけレベルが高くても我らと同レベル。下手をすれば低い可能性がある。


 にも関わらず、あの力。


 特別な装備も、特別なスキルも無い。


 チートもなければ、特殊なテクニックもない。


 そしてレベルも。


 なのに連中が強い理由。


 ただの、個人技能(リアルスキル)


 今日の戦いを見て確信した。


 あいつらはその個人技能により、ステータス以上の能力を発揮している。


 だがゲームである以上、いくら個人技能が優れていようとそれはステータスを限界まで引き出すことしかできないはずだ。


 与えられた身体能力(パラメーター)で攻撃を避け、攻撃を当てる。


 設定された攻撃力で設定された威力の武器を使い、そして設定された防御力の敵に決められたダメージを与える。


 多少のダメージのズレはいい。


 だがあの強さはそんな範囲を逸脱している。


 だったら答えは一つだ。


 ここは、そんなパラメーター(数字)に縛られた世界ではない。


 魔力操作という曖昧なシステムも、聴覚や嗅覚と言ったパラメーターに現れない種族特性も、それなら説明が付く。


 でなければ、たかが空を飛んだだけで新人が最前線で戦えるわけがない。


 普通だったらバランス崩壊と言うべきだろうが、そもそもバランスなど取っていない、いやバランスを取れない(・・・・)証拠だ。


 なにより確信させたのは、あの平凡なパーティのプレイヤー。


 サブクエスト一つで重要な施設の場所を特定させた。


 イベントフラグも何もない。ただの偶然。


 偶然で重要施設を発見できるなど、ゲームとしてのシナリオ進行も考えていない証拠。


 シナリオの流れによる強制力も無ければ、シナリオを無視して不可能なことも可能にできる。


 そう、この世界は何者にも縛られていない。


 やりようによっては、何でも出来る世界(・・・・・・・・)であるということだ。


 ……くくっ、くはははは。


 どうやら、アレ(・・)の言っていたことは本当らしいな。


 そうか、ここは本物なのかっ。


 最初アレから聞いたときは何の戯言かと思ったが、こうも見せつけられれば信じざる得まい。


 ここは、ゲームではなく現実。


 本物の異世界。


 そしてここが本物の異世界であり、全てから自由なのであれば……。


 ふっ。


 面白くなってきたではないかッ。




 

4/11誤字修正しました。


ランドルフさんの次回の活躍にご期待ください。


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