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11-13 新ダンジョンに行ってきます。

日がわかりましたが二本目。

視点が変わります。あと時系列が少し戻ります。


 やべぇ、緊張した。

 隣のウェイストだって緊張したはずだ。


 タイミングよく攻略に行くイオンを見つけられたと思ったら、まさかあの知る人ぞ知るフクロウさんと一緒とか。

 なかなか見られない人だからフツーに驚いた。

 いや違うロロさんだった。

 あのカッコいいフクロウさんが実はロロさんって可愛い名前とか、何かギャップつーかそこも含めていいっつーか。

 会っただけじゃなくて会話も出来たしマジラッキーだった。

 一言だけだけどな。


 そんでもってもっとラッキーなのは目の前の光景だ。


「すげーなおい」


「(うんうん)」


 当然だがエスが全員勢揃い。

 動画とか遠目に見たりすることはあったけど、声が聞こえるほど近くってのは初めてだ。

 マリーシャたちはパーティ組んだらしいけどマジ羨ましい。

 遠慮なく呼んでくれりゃよかったのに。


 けどそれはいい。あの二人が居なかったし。

 でも今は目の前に居るっ。


 最強の剣士と言われるプルストさんと、最強の盾持ちと言われるバルガスさん。

 動画でしか見たことないけど、その戦い方はただ凄いの一言だ。

 体の一部みたいに剣を振って、流れるように魔物を切り捨てるプルストさん。

 魔物の攻撃を全て防ぎ、かと思えば『そこで攻撃するか!?』ってタイミングで攻撃するバルガスさん。


 普通に憧れる。マジすげぇ。


 いつもは何考えてるかよくわからないウェイストも、今日は興味津々って感じで二人を見てる。

 当然だよな。攻撃職のプレイヤーだったら一度は意識する人だし。

 そんなのが並んでりゃ見るのは……うお! マスグレイブさん!

 本物見るの久しぶりだーっ!


 ナイツオブラウンドのリーダーを務めるだけじゃなく、本人もプレイヤーとして一流。

 最近は全体を指揮するポジションをやってて戦ってる姿はあまり見られないらしいけど、でも少し前の動画を探せばわんさか出てくる。

 でかいハルバードを振り回して突撃するとことかマジかっけぇ。

 突っ込んだ先で魔物に囲まれても、自由自在に繰り出されるハルバードで次々倒していくんだよな。


 すげぇなおい……エスが勢揃い、ロロさんにマスグレイブさん。それによろずやのメグルさんだよな、あれ。

 あんなに可愛い人なのに、戦闘もかなり強いらしいんだよな。

 今回はサポート役か何かで同行すんのか? 羨ましい、俺も連れてってほしい。

 絶対無理だけどな。


 そんでもってそんな人らと平然と話してるな、イオン。

 イオンのことだから周りの人がどれだけ凄いかよくわかってない……いやわかってても平気で話ししそうだな。

 まだ開始一ヶ月経ってないのにあそこに居て、フツーそんな新人なんて邪魔者扱いされるかもしれないのに、イオンの場合はむしろ歓迎されてるよな。

 空を飛ぶなんて前代未聞のことをやってのけて、しかも強いんだから当たり前だけどな。


 空を飛ぶことについて本気で再検討してるとこ、結構増えてきたみたいだし。

 さすがにまだ成功してないらしいけど、でも成功したら不遇種族とされている状況が一気に変わるかもしれないからそりゃ力も入るってもんだよ。


 にしてもすげぇ。いろいろすげぇ。

 俺もレベル上げて、いつかあそこに混ざりたいもんだな……。


「隊長、こちらです」


 夢の光景に見とれてたら、後ろから鎧を着た一団が近づいてきていた。

 つーかナイツじゃん。……しかも昨日のあの男まで居るな……。


「ご苦労。さすがは我が隊の精鋭だな、報告に間違いがない。……どこかの」


 何でそこでこっち見んだよ。


「儲けの無いサブクエストで遊んでいる平凡な者たちとは、格が違うというものだな」


 …………は?

 『儲けの無いサブクエストで遊んでいる平凡な者たち』って、もしかして昨日のこと言ってるのか?

 確かに普通の護衛クエストに比べたら儲けが少なかったのは事実だけどな、べつに儲けが無かったわけじゃないぞ。

 あのオッサンの分の追加は無かったし面倒だったけどな。

 でもそんなことお前にはどうでもいいだろ……くだらん嫌味言いやがって……。


「リード」


「どうしたウェイスト……」


 メール?


『ウェイスト:ナイツのランドルフ。ガチガチの攻略主義者。攻略に関係ないものは無駄だって毛嫌いするらしい。強いクランを探して複数のクランを渡り歩いてて、ナイツに入ったのも比較的最近。だけど本人のレベルと指揮能力の高さから、すぐに隊長になったんだってさ』


 そんなガチ勢だったのかよ……。

 んじゃあれか、サブクエしてた俺らは遊んでるのと一緒だからムカつくって、それだけで睨んだり嫌味言ってきたりすんのか?

 どんだけ偉いんだよ……。


 そりゃ攻略してる人らは凄いと思うし俺だってそんな風に強くなりたいとは思うけど、でも攻略に専念してるから偉いってわけじゃないだろ。

 それにどうやって強くなるかなんて人の勝手だし、遊んでるのだって自由だろ。


 これ、ゲームなんだし。


 いや別に攻略に真剣になるのがダメってワケじゃなくてな、それはいいけど人の遊び方まで否定するのはどうかって言いたいんだよ。

 そんなの本人の自由で、お前にどうこう言う権利なんて無いだろっての……。


 ていうか俺だけじゃなくてエスにも突っかかってないか?

 ほとんど声聞こえないけどさ、こっからでも何か空気が凍ってるのがわかるぞ。


 確かに強い割に攻略に専念してるクランじゃないからいろいろ言われてるけどさ、でも普通のクランってそうだろ。

 拠点の設備を良くしたいから素材取りに行って、上手いもの食いたいから素材取りに行って。

 エスだからってことでいろいろ突っ込まれてるけど、でもほとんどのクランがやってることだろ。

 攻略には関係ないかもしれないけど、おかしいことじゃないだろ。別に。


 むしろ新ダンジョンに真っ先に挑戦するとか、きっちり攻略もしてるだろ。

 情報が出揃うまで一度も行かないクランだってあるのに、そっちのほうがよっぽど遊んでるっての。


 でもああいうやつには関係ないのか。

 あれか、『私の考える最速の攻略チャート』から外れること自体がダメなのか。

 メンドクセェやつ……。


「……俺たちも行くか」


「(うん)」


 イオンたちが船に乗り込んでいくのを見て、俺たちもどっか行くことにする。

 マリーシャじゃないけど、こういうときはスッキリしたいしな。


「でもこの辺でやれそうなクエストあるか?」


「少し厳しい」


 だよな。

 この辺は俺らのレベルだと、パーティ組んでないとキツいクエストが多い。

 マリーシャとシーラが居ればともかく、二人だけじゃ失敗の可能性が高いんだよな。

 だからって普通に狩りしてるだけってのものなぁ。

 二人だけだから遠出は危険だし、でも街の周辺はポップ遅いし人多いし。

 どうすっかなぁ……。


「おおっ、昨日の少年ではないか!」


 聞き覚えのあるうるさい声のほうを見てみれば、予想通り昨日護衛したギリアムさん。

 なんであんたがポップするんだよ……。


「こんちわ……」


「どうした辛気くさい顔して、若いもんがそんなことでどうする!」


 ムカつくやつの後にアンタが出てくるからだよっ。

 つーか筋肉が鬱陶しいから寄ってくんな!

 今日はスーツじゃなくてタンクトップだから余計に鬱陶しいんだよっ。


「だが丁度いいとこに居た。お前たち、少し付き合え」


 それだけ言ってどっかに歩いてくオッサン。

 ……いや、一人でどこ行くんだよ。


「何している。置いていくぞ!」


 イヤイヤ勝手に決めんな!


「俺たち、これからクエスト行くとこだったんで……」


「む、既に仕事を受注していたのか」


「いやこれからだけど……」


「ならば丁度いいではないか」


 よくねーよ。

 昨日だって実質タダ働きだったし(こっちもやること増えなかったけど)、なんで今日もタダ働きしないといけないんだよ……。


「無論報酬は払うぞ」


 考えを読んだかのようなタイミングで、財布をポンと手渡してくるオッサン。

 手に乗ると同時に、ガシャッと結構いい音がした。


 このゲームの金は、プレイヤー同士ならシステム上の数字だけでやり取りが出来る。

 プレイヤーショップとかで買い物するとそのまま所持金から引かれるし、個人同士の取引ならメニューから相手プレイヤーに送金できる。


 でもNPC相手だと支払い方法は現金になる。貨幣はもちろん金貨とか。

 こっちから渡す場合はメニューから金額を入力、そしたらその金額が財布の中に現れるから、それを渡すだけ。

 受け取るときはその逆。財布に入れたら自動的に所持金に加算されて、財布から現金の姿が消える。ATMっぽい。

 一部のプレイヤーショップでは、雰囲気重視ってことで現金でやり取りする店もある。


 だからNPCのオッサンが報酬を現金で渡してくること自体はおかしくない。

 ……おかしくないんだけど、なんで財布丸ごとなんだよ。この重さ、結構入ってるぞ。


「仕事は森でヘビを狩るだけだ。数は居るがそこまで強くないしな。それで足りるだろう」


「いや多すぎるってのっ」


 この辺で出現率の高いヘビって言うとビーチスネークだよな。

 動きが速いだけで特殊攻撃も無い、大して強くない魔物のはず。

 それを倒すだけでこの金額って……何かヤバイクエストか?


「昨日の分も入れてあるからな、あの嬢ちゃんたちにも渡しといてくれ。分配はそっちで頼むぞ。私はそういう計算はできんからな!」


 そこ自慢げに笑うところじゃないだろ……。

 つかそれより。


「それにしたって多いって。距離だって半分くらいだったのに」


 財布(というか布袋)の口が微妙に開いて中が見えたけど、これならオレストからパリカルスまで普通に護衛するくらいの金額は余裕で入ってるはず。

 それプラスでヘビ狩りの報酬入れてもやっぱり多いぞ。


「距離は半分だったが緊急依頼扱いになるだろう。護衛対象も三人増えたしな。ついでに迷惑料だ。昨日は慌てておって渡し忘れたしな」


 ……このオッサン、ただ偉そうなわけじゃなかったのか……。


「若いモンがそれ以上細かいこと気にするな! 将来ハゲるぞ!」


 ハゲは余計だ。


「では行くぞ若いの!」


 勝手に決めやがって。

 ああでも仕方ないな。報酬は十分だし昨日の分だってもらった。

 これ以上どうこう言うのがカッコ悪いって俺でもわかる。


「しゃーない。行くか」


「うん」


 ウェイストも構わないみたいだしな。

 報酬分くらいの働きはするか。




言っておりませんでしたが、感想は個別に返事はしてませんが全てありがたく読ませていただいております。

個別にさせてもらうと何故か時間がかかるということがわかってからは、返事は不定期に活動報告で行っております。

返事も全てではありませんがご容赦ください……。



ネタが無いと突っ込まれましたが、申し訳ありませんがしばらくありません……。

素朴な疑問にはそのうち活動報告のほうで返信させていただきます。


追記:本当はここに書こうと思って書き出してましたが、つい勢いで各メーカーのファンの方々から怒られそうなになりそうな感じに書いてしまったので引っ込めました……勢いで書くと駄目ですね……。

でも活動報告で書くなら少しくらい……駄目かな。


4/3追記

いつの間にか100話到達してたことに指摘されてようやく気が付きました!

ここまで来れたのも皆様のおかげです。本当にありがとうございます。

これからも頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。


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