1200字超短編 ワープ試験にまつわるetc
思い付きで書きました。
これから俺は人類初の偉業に挑む。30年前に光速航行が可能になり、
それから模索が続けられ重力子コントロールが可能になり、ついに空間歪曲技術が開発され空間歪曲が確認された。
そして、空間歪曲技術の検証が無人で往還できることが証明され、これから人類初の有人ワープ実験が行われるのだ。そのパイロットが俺というわけだ。何とも誇らしい。
「YSS-WT-01、こちら月面管制局。テスト開始5分前です。システムスタート。モジュールプレテストを開始してください」
「こちらYSS‐WT‐01。了解プレテスト開始。光速航行システム、グリーン。航法システム、グリーン。重力子コントロールシステム、・・・・・ん?」
「こちら月面管制局。異常ですか?」
「こちらYSS-WT-01、いやグリーンだ。再点検する。重力子コントロールシステム、・・・グリーン。生命維持、グリーン。」
一部ラグがあったがオールグリーンが確認できた。ラグを報告するべきかどうかは迷うが、俺は今にでもワープを経験したい。いや人類史にその名前を刻み込みたい。史上初のワープドライブを敢行した男として!
「こちら月面管制局。スタート1分前。全システムスタートしてください」
「全システムスタート。オールグリーン。・・・・・エンジン点火」
船体がうなりを上げ始める。この後フルブラスト。光速到達後に空間歪曲システム起動、火星までジャンプする。それが今回のテストの予定だ。光速であれば14分の距離に火星がある。太陽の重力圏をかすめるが影響はないだろうという予測だ。
「カウント同期します。30秒前・・・・・15秒前…10,9,8,7,6,5,4,3,2,1、スタート!」
ズドン!という音とともに船が加速を開始する光速到達まで約1分。そこからが俺の本番だ。次第に正面の景色が光の輪を形成し始める。ドップラー効果と言われるやつだな。ミッションアラームが鳴る。
「重力子コントロールシステム。始動!空間歪曲開始。ワームホール形成確認。突入する!」
「とぉ・・・・・・・・・・・・・」
何かが聞こえた。バツン!船内で破裂音がした。急いでシステムの確認をする。急速に減速Gを感じた。そして通常空間へと脱出する。目の前に地球が存在した。おかしい。俺の母国アメリカがどこにもないいや大陸自体が・・・・・反対側にあるならアジアが見えるはずだ。それどころか南極大陸もない。そしてなんだ?月が異様に近い。地球と月の位置が合わない。一体俺はどこに出たんだ?そして船体後方から閃光が走り俺の意識は途絶えた。
「YSS‐WT-01!聞こえますか!ダメです規定時間を過ぎても交信ありません。観測にも出ません!」
そうしてワープ実験は失敗に終わった。
「せっかくお客さんが20万年ぶりに通って、歌ったのに、今回はずいぶんと遠い所へ飛んで行ったのお」
誰かの声が聞こえた。




