5話 2回戦開幕!僕vs硬化人間
明くる日、僕は試験会場へと向かった。昨日の試合とその後の練習の疲れが少し残っていたが、なんとか気力で持ち堪えている。僕の試合の前の試合が始まった。オルバvs褐色の女の子だ。オルバも褐色の女の子もウィッドが言っていた要注意人物である。オルバに関しては少し情報はを知っているが、褐色の女の子はなんの情報もないため少し不気味である。また、マフラーを巻いているため、表情が読み取りづらく、それもまた怖さを一層引き立てていると言えるだろう。
やはり両者とも勝ち上がっていたのか。
そう感じながら、試合を見た。オルバは始まりと同時に相手の耳元で囁いた。なんと囁いたかここまでは聞こえないが、多分試合後の交渉であろう。勝たせてもらうかわりに資材をやるとかだろう。しかし、褐色の女の子は聞く耳を持たず、右手で殴った。オルバは少しよろめいたが、まだ余裕がありそうな様子だ。褐色の女の子は手を結び始め、何かを詠唱し出した。すると、オルバの表情が強張り始めた。試験場の観客席からはわからないが、なにか幻覚が見えているようだった。
「やめてくれ。やめてくれ!!」
とオルバの声が場内に響き渡った。
「金なら渡す。いくらでもやるから、これ以上はやめてくれ。」
とオルバが必死に懇願するが、褐色の女の子は聞く耳を持たない。
ドン!ドン!
大きな音が鳴った。試験監督の先生が2人の間に入った。「276番、これ以上やったら失格にします」
試験監督の先生が止めに入った。褐色の女の子は表情を一切変えることなく、その幻覚のようなアクタルを解いた。
するとオルバが、
「まだ気絶していないから、俺の負けじゃないですよね?」
と喚き出した。試験監督の先生は続行を認め、再度試合が始まった。多分試験監督の先生はシーフ家から買収されているのであろう。褐色の女の子は再び詠唱を始めた。そして今度は前回より長く詠唱をした。オルバはその間に左頬を殴ったが、褐色の女の子はびくともせず、詠唱を続けた。オルバは何度も殴って殴って殴る。褐色の女の子はその攻撃が一切効いていないかのような素振りで、平然と詠唱した。そして、詠唱が終わると、場内は真っ暗な靄のようなものにつつまれ、暗くて辺りが見えなくなった。靄がかかって10秒
「うわぁぁぁぁぁぁ!、!、」
とオルバの叫び声が聞こえ、次第に靄が晴れていった。オルバは気絶し、その場で倒れていた。試験監督もこれは認めざるを得ないだろう。少しの沈黙が流れた後、
「276番の勝利」
と宣言し、この試合の決着がついた。オルバは担架に乗せられ運ばれた。次は僕の番だ。この試合絶対勝ってやる。と心に言い聞かせ、試験場へ降りた。
「では、これより675番vs987番の試合を始める」
やはり相手の男は背も高く、身体も大きい。どんなアクタルかわからないし、少し不気味だ。そんなことを考えていると、
ジャーン!!
いきなり、ドラの合図で試合が始まった。大男は手を結ぶや否や、詠唱を始めた。
「いきなりかよ」
僕はボソボソと呟いて、右拳で殴った。しかし、大男は微動だにしない。
「さっきの試合と同じだ」
と感じながらも、僕は殴り続けた。しかし、大男は微動だにしない。
そして、大男の詠唱が終わった。
「筋力硬化!!」
大男の身体は鉄のように硬くなった。そして、右拳で一発殴られた。鉄のように硬い拳は僕の骨まで砕けるようなそんな一撃だった。僕はされるがままに、地面へと打ち付けられた。




