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無名の臣僕  作者: 夕暮
1章 編入試験編
2/5

2話 編入試験 第一次試験 トーナメント開幕!

2日目、聖学校へ行って分かったことは、転入には試験があり、その中で1人しか選ばれない。試験は1年かけて行われる。そのため、不合格であった者は1年間何もしていなかったといえるため学校を除名となる。それに加え、次年度からの一切の入学もできないため、実質そこで、英雄への人生は幕を閉じることになる。僕はこのことを聞くと、余計に心に火がつき、負けられないと家に帰ってから間も無く、鍛錬をしにいつものスクラップ場へと向かった。

-----

  スクラップ場にて。

僕は誰もいない、誰も来ないスクラップ場で、人の目を気にせず、1人で鍛錬を積めるこの場所をとても好んでいた。しかし、今日は違った。先客がいたのだ。僕は慌てて目を擦ったが、間違いない数十メートル先に人の形が見える。

僕は恐る恐る物音を立てず近づいたが、相手はこちらの気配に気づき、すぐに立ち去った。それから、水平線に陽の半分が沈みかけた頃まで僕は鍛錬を続けた。


 明くる日、僕たち数人がカルテシト館に呼び出された。

僕たち全員が揃ったと同時に、2階の階段から先生が降りてきた。長髪で凛とした顔立ちの人である。

「君たち16人が今回の編入試験希望者だね?」

みんな一斉にこくりと頷き、先生は続けた。

「私はセラー。今回編入試験の担当をする者だ。そして、君たちは編入試験の大まかな話を聞いていると思うが、引き返す者はいないね?」

僕は間髪入れずに頷いた。周りも同様にすぐさま頷いていた。

「では今から具体的な試験の内容を話すね。

 第一次試験、それはトーナメント方式の戦いだ。生徒同士一体一の戦いをしてもらい、先に気絶した方が負け、そして、上位4位までに入れば第一次試験をクリアということだ。どうだ?簡単だろ」

僕は最後の1人を決めるのがトーナメント方式の戦いだと考えていたので、少し驚きがあった。

そして、先生は続けて

「第二次試験、それは後のお楽しみってことで。勝った者だけがわかる。どう?ワクワクするだろ?」

僕は先生の話を聞きながら、トーナメントが楽しみで仕方なかった。

「第一次試験は来週から始める。しっかり準備しておくように。みんな健闘を祈るよ」

 そう言って先生は階段をもう一度上がった。僕は家に帰ってすぐ鍛錬に行こうと思い、カルテシト館の扉を開けようとしたところ、1人の男の子に話しかけられた。

「君なんて言う名前なの?僕はルキ」

「僕はまだ名前がなくて、、」

「まだ名前がないの?君の家って貧乏なのか。」

 と嘲笑された。そして、ルキはまた質問をしてきた。

「君のアクタルはどんなの?」

「僕のアクタ、、」

「君。それ以上言うな。トーナメントで不利になるぞ」

「え?」

「ルキ。そういう卑怯な戦いはやめにしないか」

 ルキはチェッ。っと舌を鳴らしその場を去った。

「君大丈夫かい?申し遅れたね。僕はウィッド」

 ウィッドは背が高く、顔も良い。おまけに優しいときたら、非の打ち所がない好青年である。僕は

「本当にありがとう、ウィッド」

 とウィッドに感謝をしてそこから数十分ウィッドと話した。どうやらウィッドはエレンデール家の長男らしく、父はあの五武帝のグラン・エレンデールらしい。この国には五武帝と言われる最強の戦士がいる。グラン・エレンデールはその中でも能力上昇に長けた味方を鼓舞する戦いで有名だ。また、五武帝には僕の憧れるシラフィルもいる。しかし、シラフィルはその中で最も強く、星から能力を最大限にまで引き出せる四公と言われ、そしてその四公はブシュ島の四つの国に1人ずついる。

 ウィッドの優しさは父親譲りなのかと感心しながら、話を聞いた。そしてまた、それぞれどんなアクタルを持っているかは知らないが、ウィッドはこの試験を受ける他の生徒の情報も教えてくれた。要注意人物は、名前はなく、マフラーを巻き顔のほとんどは見えないらしい。その人物の情報としては褐色でどうやら女の子であるそうだ。もう1人の要注意人物は、オルバという男で、その男はシーフ・スタダリフの息子であるそうだ。シーフ・スタダリフはここら辺の豪族で財力があるため、何をしてくるかわからないと。僕はウィッドの話を真剣に聞いた後、家に戻り鍛錬に励んだ。

-----

1週間後 第一次試験 トーナメント 開始日


 僕は胸の高まりを抑えることができないまま、当日を迎えた。会場には僕たちだけでなく、生徒や近所の人までもが見にきていた。

 ジャーン!!

ドラの音が鳴り響いた。それとともに先生は適当に対戦相手を決めていった。

 僕が当たる人は、、、、

 【一回戦 ウィッド対 987番 】


 987番は僕のこの学校での入学番号である。

 「ぇ!」

 思わず声が出た。まさかウィッドと一回戦から対戦すると思っていなかったので、動揺が拭いきれない。ウィッドも緊張しているのだろうか。そう思い、ウィッドの仕草を確認すると、ウィッドも動揺していたっぽいように見えた。僕はどこか安堵しつつ、闘技場へと降りた。

ウィッドが強くていいやつなことも知ってる。しかし、ここで負けるわけにはいかない。


 ジャーン!!

今、ドラの合図と共にウィッドとの試合が始まった。

 

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