引越し
引っ越す事を本格的に考慮し始めたのは、今年、2022年の夏前に30万円の超巨大フィギュアが届いたのが理由だった。
一目惚れして半年以上悩んだ挙句に購入してしまったそれは、1Kのアパートに置くには巨大過ぎた。また、更に他にもフィギュアやら動物の頭蓋骨やら、大量の本やら、そういうもので溢れていた空間に更にそんなフィギュアまで来てしまったものだから、もうリングフィットをする空間もなくなってしまっていた。
ただ、東京の夏はとんでもなく暑い。夏が終わった後に本格的に動こうと思っていた。
現在のアパートは、大学卒業の後に東京で就職してからずっと住んでいた住居だった。
多少過保護気味の母親が良いと言った場所に流されるように連れて行かれ(大学は地方だったのもあって東京に関しては疎かったし、母親の言うことには基本流される方が楽だという経験則もあった)、そこの不動産屋に入って、数件の内見の内、予算内で最も高額で、最も綺麗な場所に決めた。
都心近くであるが、最寄り駅までは10分程掛かる場所。築年数もそれなりだが、リノベーションが為されていて、古臭さというものは全くないアパート。
そこに大学時代から付き添ってきた家具やら家電やらを連れて引っ越して、5年半が経った。
本が好きだったり、他にも角好きが興じて角が格好良い動物の頭蓋骨を集めたりだとか、フィギュアを集めたりだとかで、本棚が一つ、棚が二つ増えた。
料理が趣味だったのもあって、炊飯器が買い換えられ、オーブンも買った。調理器具も幾つか増えて、もう冷蔵庫下の収納にはもう余り入り切らなくなっている。
大学時代にはなかったベランダでハーブやらを育て始めた。
きっともう保証期間などとうに切れている、10年以上使っている電子レンジ、冷蔵庫と洗濯機はそれでも変わりなく動いていた。特に洗濯機など、大学時代の4年間は外に置かれていたというのに何も異常を発していなかった。
また、再び内見をする時に気付いたが、外からの光が入るという風呂場が都会では余りないようで、それに関してはこのアパートはとても良い物件だと思う。
アスファルトで基本覆われた、都心近くの住宅街の中。コンビニと安い定食屋が近くにあるおかげで、自炊が面倒臭くなった時は良く世話になっていた。
また、多少歩けばスーパーやら飲食店やら本屋やらが数多にある。ただゲーセンとか、カラオケとかそういう代物はなく、完全に理路整然とした街、とまではいかずとも、そういう街並みを歩いていると感じるような、きちんと生きている人しか許容しないような雰囲気は少しばかりあった。
けれど個人的にはそこまで気になるレベルでもなく、引越しを考える時も、この近くで良いか、と決めていた。
新居への要望としては、家賃としては現在プラス1万くらいで、今よりやや広い場所、くらいで考えていた。
後、出来ればキッチンがもう少し広くて、追い焚きが出来る風呂場があって。
という形で夏に不動産屋に物件の抽出を依頼して、でも都会では内見と同時に決めるくらいでないと、すぐに良い物件は埋まってしまうという事もあり、夏が終わってやーっと、外に出て歩くだけでも汗が出なくなってきた頃に物件の抽出と内見を依頼した。
そして実際に渡された不動産情報の中から幾つか決めて内見をしてみれば、自分が今のアパートにすっかり慣れ親しんでしまった事に気付いた。
要するに、きちんとリノベーションされたアパートでない、古さを感じさせるアパートには住みたくないと思ってしまうようになっていた。
一件目は中こそは多少良かったものの、外に荒れ放題の空き地があり、夏になってしまったら虫がたっぷり入ってくる事が予想された。また洗濯機も外に置く形だったり、階段はボロボロだったりと。大学時代に住んでいたアパートを想起させた。
二件目は外も中もかなり古かった。キッチンは結構広めだったけれど、またこちらも洗濯機を外に置く形で、外の通路や階段は、先日に雨が降っていた事もあるだろうけれど、階段も含めてかなり滑った。大学時代のアパートよりボロさを感じさせた。
車で三件目に移動する最中、その不動産屋に聞いてみれば、そもそも今の住居が今の家賃だとかなり優れている方で、きちんと今住んでいるアパートみたいに綺麗な、という条件を入れてしまうと家賃にプラス4~5万積まないといけないという事だった。
ただ、幸いにもその三件目がその綺麗なアパートで、洗濯機のスペースもきちんと中。1DKで今よりもそこそこに物を置けるスペースもあった為、そこに決める事が出来た。風呂場に外からの光は入らないけれど。
今住んでいるアパートから10分も歩けば着けるような場所。近くにコンビニとパン屋と、スーパーと、ちょっと高い飲食店と、サイゼよりは高いファミレス。安い定食屋は、多分ないかもしれない。
最寄駅までは、前よりも多分ちょっとばかり近い。
出来ればまた内見に付き合いたいと言っていて、実際にまた一緒に内見した母親とも意見は基本一致し、その後昼飯を食べて別れた。
冷蔵庫内の調味料やらも、引越しまでに出来るだけ使い切るように毎日の自炊を考えるようになった。
引越し会社を決め(見積もりサイトを利用してしまったら、複数社からメールやら電話やらがひっきりなしに届くようになって思い切り後悔した。結局大手に頼んだ)、現住居のインフラの契約終了と、新住居のインフラの契約開始を申し込んだ。
ネット回線は今のがちょっと微妙だったのもあって色々悩んで、無難そうなのを選んでみたけれど、なーんか契約の手続きが煩雑でちょっと大丈夫かなあ、と感じている。
明治牛乳の宅配を気まぐれから契約していて、お腹に良い飲料を基本毎日飲んだり、ついでにチラシから地方の特産物を時折頼んでいたり、と結構楽しかったけれど、毎月五千円近く払っている事もあって一旦終了する事にした。
洗濯機と冷蔵庫は流石に買い換える事にした。
洗濯機は、物干しが面倒臭いなあというのを常日頃から感じていたので、想像の1.5倍は出費が嵩んだけれどドラム式のしっかり乾燥してくれるものを選んだ。
冷蔵庫は、とあるyoutuberがやっていた自宅でパンチェッタというのをやりたいというのもあって、もう少しサイズがでかいものを選ぶ事にした。こっちは想像より結構安かった。
そして今日、引越し会社から荷造り用の段ボールが届いて、早速本やらを詰め込み始めている。
実際に引越しをするのはもうちょっと先で、その前に親にも車で来て貰って、巨大なフィギュアだけは別に運んで貰う事にしていた。
礼として、ちょっと良い店で昼飯か何かを奢るつもりだったりする。